セガは、PSP用ソフト「セブンスドラゴン2020」が本日発売されたことを記念し、クラブ セガ 秋葉原 新館において、発売記念抽選会を行った。
抽選会場には、ソフトを購入した人たちが立ち寄り、思い思いの賞品を手に入れようと抽選に臨んでいた。
また、今回、プロデューサー 小玉理恵子氏、ディレクター 新納一哉氏、サウンドコンポーザー 古代祐三氏、キャラクターデザイン 三輪士郎氏、主題歌を担当したsasakure.UK氏のお話を伺う機会が得られたので紹介しよう。
――発売をむかえての感想は?
小玉氏:非常に嬉しく思っています。実は、ここにいるクリエイター5人が揃うのが初めてなんです。「セブンスドラゴン2020」の発売日にみんな揃って「よかったね」と言えたことが嬉しく思っています。
sasakure.UK氏:長い時を経て解禁されたなと、嬉しく思います。ボーカロイドをフューチャーした作品という側面があり、その主題歌でボーカロイドの技術的な良さを前面に押し出して、みなさんに伝えられたらいいなと思っています。
古代氏:去年の11月頃からBGMの制作をはじめて、ちょうど1年になりますが、あっと言う間に過ぎ、時が経つのは早いなと実感しています。長い間開発に加わって、ここまでこれてよかったです。
新納氏:前作は、ユーザーの皆さんからご指摘を受ける所や反省点もいっぱいありましたが、それも踏まえて、ハードや世界観を変えて、新しいクリエイターの方たちと一緒に頑張って作ったゲームです。昨日、twitterを見ていて、「発売日おめでとうございます」というツイートがたくさん流れていて、泣きました。皆さんが楽しみにしていてくれているゲームだったということが嬉しいです。ゲームを買って楽しんでもらいたいです。
三輪氏:キャラクターデザインの仕事がはじめてだったので、プレッシャーがありました。今までユーザーとして楽しませてもらっていた人たちとチームを組んで、1つの作品を作らせてもらえたことが嬉しいです。前作のファンにも受け入れられれば嬉しいです。
――開発途中で大変だったことは?
新納氏:今回、小玉さんから「デバッグや調整は、いけるところまでやっていいよ」と言われて、びっくりするくらいまでギリギリまでやりました。その直後に倒れて手術したんですが(笑)。
――そんなにギリギリまで開発されていたのですか?
小玉氏:セガハードの時はもっと引っ張ったことがありました(笑)。今回が新納さんと2回目で、バランスを取る時間によって、ゲームの良し悪しが決まってしまうところもあるので、今回もトコトンやってもらおうと思いました。他の開発の方やセガのみんなと協力してバランスをとってきたので、楽しんでもらえる出来になっていると思います。
sasakure.UK氏:私は古代さんの楽曲をアレンジして、ボーカロイドで主題歌を作る役だったんですが、一度、制作した主題歌がリテイクになってしまったんです。もともと人間の声に近い形でボーカロイドを使った主題歌を作ろうとしていたのですが、最終的にはボーカロイドに合わせたアレンジやメロディーを作る形にしました。
最初のテイクを後から聞くと、ボーカロイドの良さが出てない部分がありました。リテイクもらった後はすんなり進んだんですが、自分の中で料理するのが大変でした。終わった後は、これでよかったんだなと思いました。
古代氏:3月11日の地震の時に怖い曲を作っていて、それが辛くて辛くて。自分で作っていて怖くなっちゃうんですよ。それがとても大変でした。1ヶ月ぐらい辛くて、スランプになってしまいました。
三輪氏:新納さんからは、カッチリ決まったイメージがあったので、それに沿ってデザインするので、楽な部分もありますし、そうでない部分もあり、おもしろくも大変でした。月刊でマンガの連載も持っているので、同時進行するのが大変でした。
――何かエピソードはありますか?
三輪氏:僕はセーラー服は上下黒がいいと思ったんです(笑)。でも、新納さんは「夏服じゃないとダメです。譲れません。」と言うんです。今では愛着が湧いてきたのでよかったと思っています。
新納氏:黒服だとちょっと暗いですし、黒髪なので全身真っ黒になってしまうかなと思ったんです。三輪さんはセンスが良いので、カッコよすぎてしまうんですよね。もう少しベーシックな形で、みんなが愛着を持てるようなデザインにしたくてお願いしました。
小玉氏:ゲーム画面では、色で見分けるサイン性があったほうがいいと思うんです。
三輪氏:ニーソックスというのは決まっていたんですが、赤がカワイイなと思って決めました。
小玉氏:最後は新納さんが入院したんですが、最初は私が入院していていたんです。今だから言えるんですが、「もしかしたらゲームが作れなくなってしまうんじゃないかな」と思っていたんです。実は、「セブンスドラゴン2020」の企画書を読んだのが病室で新納さんがプレゼンしてくれたんです。
新納氏:手術明けの病室でパジャマ姿の小玉さんに企画書を見せたんです(笑)。
小玉氏:そこから1年半くらい経ちましたが、またゲームを作れてよかったなと思いました。個人的にも思い出深い「セブンスドラゴン2020」になりました。
――前作と音楽の雰囲気が違うと思いますが、工夫したりイメージした点はありますか?
古代氏:最初に新納さんと打ち合わせしたときに、三輪さんのイラストを見せてもらい、「前作の音楽だと合わないですね」と意見が一致しました。試行錯誤をして、クラブミュージックのような曲が合うんじゃないかと思い、採用しました。前作のアレンジも入っていますが、ほとんど新作のノリで作っているので、前作を知っている方にも違った雰囲気のものを楽しんでもらいたいです。
――ユーザーにぜひ見てもらいたい所は?
sasakure.UK氏:全部見てもらいたいんですが(笑)。主題歌は思いを込めて作ったので、ゲームをプレイした後に主題歌を聞くと、理解が深まり、新しい発見があると思います。是非、主題歌はヘビーローテーションで聞いてもらいたいです。
古代氏:実は、初音ミクバージョンをやることを聞いたのが、制作が終わる1ヶ月前立ったんです。メロディーがあまり捉えられない、歌物とは真逆の方向性のサウンドを作っていて、「どうやって作るんだろう?」と思いました。
完成をドキドキしながら待っていたら「こんな風になるんだ!」と良い意味で驚いたんです。私の曲がアンダーグラウンドテイストとするならば、初音ミクバージョンは、ポップなんです。裏と表のように違うアレンジが楽しめます。
三輪氏:プレイヤーキャラクターが10体となり、前作より減ってしまったのが残念だったんですが、その分、町に住んでいる人や都庁で働いている人などのノンプレイヤーキャラクターをたくさんデザインしたので、見てもらえると嬉しいです。
僕も、メインキャラクターをデザインしただいぶ後に「初音ミクが出ます」という話を聞きました(笑)。メインキャラクターのデザインよりも紆余曲折ありました。黄色いスーツの男キャラクターが気に入っているんですが、新納さんから「サンプルネームが“肉じゃがです”。カッコよすぎるから罰を与えました。」と言われました(笑)。
ノンプレイヤーキャラクターだと、主人公たちの先輩にあたるガトウというキャラクターが気に入っています。前作に登場するキャラクターが3人いるんですが、いろいろと考えてデザインしたので見てもらえれば嬉しいです。3人の中では、エメルが気に入っています。
新納氏:東京だからこそのサブキャラクターのイベントや世界観があるので、そこを見て欲しいです。バトルは最後まで調整したので見てもらいたいです。個人的には全部見てもらいたいです。メモリースティックにインストールすると快適にプレイできるので是非インストールして遊んで下さい。
小玉氏:前作から新納さんと「さわり心地が良いRPGにしたいね」と言っていたんです。ボタンを押した後のレスポンスや次の行き先がわかりやすいなど作り込めました。世界が滅びたところから始まる重い話なんですが、そこで明るく生きている人間の強さを表したシナリオやセリフを見てもらいたいです。
――ありがとうございました。