ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンは、12月20日に発売となるPS Vita「箱! -OPEN ME-」について、東京・秋葉原「ツインボックスアキハバラ」にて発売記念イベントを実施し、制作スタッフ陣によるトークショーや最新情報を公開した。
PS Vitaダウンロード専用ソフトとして、2012年12月20日に発売となる「箱! -OPEN ME-」。9月13日よりプレイステーション オフィシャルカタログから入手できる体験版を配信、「東京ゲームショウ2012」にもプレイアブル出展された奇妙奇天烈な新作は、PS3「TOKYO JUNGLE」を手がけた「PlayStation C.A.M.P!」が開発を担当している。
発売直前の12月19日に東京・秋葉原「ツインボックスアキハバラ」(会場も箱つながり)にて開催されたイベント「ハコンファレンス」では、完成したばかりのゲーム内容を紹介する新プロモーションムービーの公開や、クリエイター陣による本作のテーマ、コンセプトの紹介、今後のDLC情報も明らかにされたぞ。
クリエイタートークセッション「ここだけの深いィ話。」
本作の開発を手がけたゲームディレクターの「松田 太郎」氏は、1995年にSCEJが開催したオーディション「ゲームやろうぜ!」の流れをくみ、2008年に再始動、「PlayStation C.A.M.P!(=Creator Audition Mash up Project)」と名称を変更し、次世代のクリエイターを発掘・育成するプロジェクトの合格者の一人であり、PS3オンライン専用タイトル「ゴミ箱 -GOMIBAKO-」を手がけたクリエイターである。
さらに、JAPANスタジオからプロデューサー「猿渡 晴義」氏、アソシエイトプロデューサー「五十嵐 藍葵」氏も登壇、松田氏とともに実機デモプレイやスライドでたっぷりと本作の魅力を語ってもらったのでそのレポートをお届けしよう。クリエイター陣の衣装は本作を作った「匠」をイメージしているとのことだ。
登壇者
ゲームディレクター「松田 太郎」氏
JAPANスタジオエクスターナルデベロップメント部 プロデューサー「猿渡 晴義」氏
JAPANスタジオエクスターナルデベロップメント部 アソシエイトプロデューサー「五十嵐 藍葵」氏
「ゴミ箱」からゴミを取って「箱」に
――なぜ今回は「箱」なんでしょうか?
松田氏:前回手がけた「ゴミ箱 -GOMIBAKO-」から「ゴミ」を取って「箱」になった、というわけです。レベルが上がった感じですね(笑)。
――本作を手がけた際のテーマやコンセプトを教えてください。
松田氏:僕らは企画段階から「4つの大きな大切なこと」を守って制作に取り掛かっています。まず1つは「世界中の何処にでもあるもの」です。ゴミ箱もそうですが「箱」というのは我々が生活している中に必ずあるものです。そういった当たり前にあるものを企画の中心に置き、それをふくらましていく作業をします。
――なるほど、箱はどこにでもありますからね。続いては?
松田氏:2つ目は「インタラクションが直感的」ということです。「ゴミはゴミ箱に捨てる」「箱は開ける」といった人間の欲求や本能の直球的なところに、ダイレクトにインタラクションと届くように開発しました。
――「山があったら登りたい」に近いものがありますね。そして次は?
松田氏:3つ目は「自分の親父でもできるもの」です。実はこれが最重要課題だと思っています。どんな企画を立てても、自分の親や子供など近い人間に説明しても、理解できなかったりうまく遊べなかったらまったく意味がないと思っています。「説明して納得してもらう」というのが我々のハードルになっていると思います。
――では、最後の4つ目は?
松田氏:4つ目??あれ…ちょっと忘れてしまいました(笑)。
――テーマとコンセプトをまとめると、世界中に「箱」が存在し、そして人はみな「箱」を開ける、ということですね。
ここがポイント!「究極の箱開けゲー」
続いてJAPANスタジオエクスターナルデベロップメント部 アソシエイトプロデューサー「五十嵐 藍葵」氏が「究極の箱開けゲー」と称する本作の実機を使ったデモプレイを実施。
PS Vitaの背面カメラを使い、ARマーカーを読み込むとさまざまな「箱」が出現し、これをいろいろな操作をして「開ける」ことがすべての目標となる。まずはシングルプレイでチュートリアルを兼ねた箱を開けることに。本作では一度マーカーを読み込んでしまえば、マーカーの位置を大きくズラさなければぐるぐると箱の周りの見渡すこともでき、近づいたり離れたりも自由。チュートリアルでは基本操作を学ぶことができる。
ここがポイント!「千差万別の箱が50種類以上登場!」
本作に登場する箱には素材や大きさ、ギミックなど多種多様なものが登場する。続いてデモプレイに登場したのは「スライスボックス」。無骨な素材の箱だ。指で箱を触ると表示される黄色のエフェクトは「ただ箱を触っている」、赤のエフェクトは「その部分で何かアクションができる」という意味だ。
他のギミックを作動させると、手裏剣のような鋭い刃がグルグルまわる中に何やらボタンが4つ。明らかに全部押さないとダメな気はするが…イタッ!!この刃に触れるとダメージを受け、指が負傷してしまったのだ。10回(指10本分)ダメージを受けるとゲームオーバーとなる。
この箱のバリエーションについては、アイデアの段階で200~300種類くらい考えられており、どんどん調整を重ね、今回の約50種類に落ち着いたということだ。そして、次に登場した箱は「カラーボックス」というカラフルな箱が複雑に組み合わさったようなデザイン。ここではレバーをマルチタッチで同時に上げたり、片方の指でレバーを押さえつつ、他のギミックを操作するというちょっと難易度が上がった感触。明日から遊ぶ人のためにこのボックスの解法は記載しないぞ。
ここがポイント!「仲間と協力して箱を開ける!まさにハコミュニケーション」
本作の重要な要素となる「マルチプレイ」も実機デモが披露。五十嵐氏のパートナーとして登場したのは、料理・着付け・乗馬もたしなんでいる「箱!入り娘」。2人で協力して箱を開けるこのモードでは、ARマーカーを一緒に取り込み、1つの箱を声を掛けあいながらギミックを解いていかなければならない。
ちなみに、たった6人で企画立案から制作までを手がけたという松田氏は、本作のことを考えすぎて見るものすべてが「箱」に見えてしまうという「ハコ症候群」に陥っていたと笑っていた。
箱!入り娘と五十嵐氏はマルチプレイで登場した箱を違う視点で見ながら、箱!入り娘の指示に従い、五十嵐氏がボタンを操作、レーザーをうまくギミックに当てながら、せーの!で息を合わせながら…とこの先はぜひ発売後に解いてもらいたいので割愛!
本カンファレンスのみのお楽しみは…!?
デモプレイを一通り披露した後は、今回の発売直前カンファレンスのためにサプライズが用意。スタッフ用とは違った絵柄のTシャツを着た箱!入り娘の背中の模様にカメラを合わせると…なんと箱!入り娘の背中がパックリ割れて中から本作のナビゲーターキャラクター「箱彦」が飛び出したのだ!
ここがポイント!「オンラインでレアな箱が登場」
PS Vitaをオンラインにつないで遊ぶと、突然現れるレアな箱も登場。出現したときだけ時間制限でチャレンジすることが可能。「ザ・ラストサスライボックス」は今までチャレンジしてきた人のポイントが貯まったままさすらっており、「ジャックポッドボックス」はさまざまなプレイヤーがBETしたポイントが貯まっており、開けることができればポイント総取りできる。ポイントを貯めておくと後々いいことがあるらしいぞ。
最新情報:「トロの箱」無料配信決定
今回発表された新情報として、発売日と同日にSCEのキャラクター「トロ」が作った「トロの箱」の無料配信が決定。トロの顔がたくさんあしらわれたこの箱はいったいどうやって開けるのだろうか??
最新情報:追加コンテンツ「家電シリーズ」配信
続いて2013年1月に有料配信を予定している「家電シリーズ」が公開。その名の通り家電をモチーフとした箱となる。ギミックや演出なども凝ったものとなっているようだ。
1月10日:追加DLC第一弾「オーブンボックス」
1月17日:追加DLC第二弾「洗濯箱」
1月24日:追加DLC第三弾「自動移動式掃除箱(仮)」
第16回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門「審査委員会推薦作品」受賞!
開発チームが喜び、ぜひカンファレンスで発表したいと話していたという、松田氏、五十嵐氏は3000作品以上の中からの受賞となり、とても嬉しいと話していた。新しい遊び方で新しい楽しみを提供してきたことが認められたことも喜んでいた。
“箱入り娘”コンパニオンによる試遊体験会
カンファレンスの後は、ダイジェスト版を使っての試遊が実施されたのだが、筆者もさっそく体験。想像していたより箱の作りがリアルで素材の感じも良く表現されていたのに驚き。しかもいろいろな角度でグリグリしても本当に「そこに箱があるかのよう」に楽しめた。シングルプレイではとことん箱のギミックを解いたり、悩んだ末に開けられたときはかなり快感!中から出てくるリワード(報酬)もユニーク?なものばかり。
そして、一番(勝手に)盛り上がったのは2人で協力して箱を開けるマルチプレイ。たまたま一緒のテーブルで遊んでいた他社のライターさんをつかまえ、一緒にプレイ。置かれたARマーカーを中心に大の大人がグルグル。カンファレンスを終えた五十嵐氏も見守る中、ギミックを解くためのキーワードを伝えたり、表現しにくいアイコンを顔の表情で伝えたり…と、ちょっと汗ばんだが夢中になって箱を開けようとする自分に気付いたのだ。苦労して箱を開けたあとは、ぜひゲームをあまりしない友達や家族におすすめして一緒に楽しんでほしい。誰かが必死になって箱を開けようとしている姿もオモシロイのだ。あ~早く他の箱が開けたいッ!