バンダイナムコゲームスは9月20日、千葉・幕張メッセにて開催中の「東京ゲームショウ2013」において、「『SHORT PEACE』プロジェクト『月極蘭子のいちばん長い日』スペシャルステージ」を開催した。
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出演が予定されていた「武器よさらば」監督のカトキハジメ氏は残念ながら急病のため欠席となったものの、「SHORT PEACE」プロジェクトを立ち上げ、「火要慎(ひのようじん)」の監督も務める大友克洋氏や、5つ目のプロジェクトとなるPS3向けゲーム「月極蘭子のいちばん長い日」の制作を担当する、グラスホッパー・マニュファクチュア 代表取締役社長 須田剛一氏がゲストとして登場した、本ステージの模様をお届けする。
手書きとCGの融合を目指した「火要慎」
まず最初に、「SHORT PEACE」プロジェクトのエグゼクティブプロデューサーを務める浅沼誠氏、大友氏の2人が、7月20日より4本のオムニバス映画として上映された「SHORT PEACE」を振り返ることに。
森田周平氏(「九十九(ツクモ)」監督)、安藤裕章氏(「GAMBO(ガンボ)」監督)、カトキ氏(「武器よさらば」監督)と、大友克洋氏ゆかりのスタッフが並び、バラエティに富んだ作品が作られた「SHORT PIECE」共通のテーマは“日本”。
その中で大友氏が漫画でも描き、そして今回監督を務めた「火要慎」については、もともと江戸時代の話をアニメーションでやりたいという気持ちから制作することになったのだという。
もともと着物や刺青の張り込みといった細かい部分が、普通の劇場作品の長さだと難しい点ということだったが、今回は10分くらいの内容だったため、テストも兼ねてチャレンジすることにしたという。
そして火事が起きそうなところで終わる漫画と異なり、火事が起こるという派手なシーンをアニメーションで表現。大友氏はこれについて、「漫画の続きをやっているような感覚」と話す。
また、本作はCGと手描きの箇所が混在しており、どのようにマッチングさせるかがひとつのテーマだったということで、建物がCGに見えないようにするのが楽しかったと制作当時を語っていた。
浅沼氏は、大友氏が「スチームボーイ」の頃からCGをいち早く取り入れ、また、CGらしく見せない表現を目指していたことを語り、今作ではまさにCGと手描きの見分けがつかないぐらいのクオリティになっていると述べた。
「月極蘭子のいちばん長い日」の主人公は女子高生兼スナイパー
続いては、「SHORT PEACE」5つ目のプロジェクトとなる「月極蘭子のいちばん長い日」について、須田氏とチーフプロデューサーを務めるバンダイナムコゲームス 内山大輔氏が紹介。
これまでに展開してきた4つの映像作品は、日本をテーマに「GAMBO」が16世紀、「九十九」と「火要慎」が18世紀、「武器よさらば」が近未来が舞台となっているが、須田氏は、ゲームのプロジェクトを作ろうと話した時に、足りない部分があると感じたそう。
それを踏まえた上で、「月極蘭子のいちばん長い日」は、現代、渋谷、駐車場といったキーワードをもとに、現代日本を舞台に展開することを紹介。これにより、「SHORT PEACE」を構成する、日本の時代背景がすべて揃うと話した。
内山氏は、ゲームの進行が進んでいる今でも不思議なゲームと感じているそうで、須田氏によると、「源平討魔伝」をリスペクトし、現代風にアレンジしているとのこと。また、開発には「TOKYO JUNGLE」を手がけたクリスピーズの片岡洋平氏が携わっていることも紹介された。
本作の作品性についてだが、本作の主人公・月極蘭子は財閥のお嬢様で、普段は女子高生の女の子だが、夜には家の取り決めによりスナイパーの仕事をしているという設定となっている。メインビジュアルの2人の蘭子は、その表と裏の顔を表現したものとなっているという。
立体駐車場を住まいとしており、MMORPGを遊ぶ部屋があったり、猫部屋があったりと、コンテナがそれぞれ部屋になっているのだとか。
会場では、内山氏が実機をプレイし、それを見ながら須田氏が解説。ハイスピードエフェクトアクションと銘打った本作は、ベースが2D横スクロールアクションで、蘭子をひたすら先に進ませて、後ろから押し寄せるエネミーに食われないようにするのが目的となっている。
須田氏によると、ミクスチャーをイメージしたものとなっているということで、敵を倒しながらコンボをつなげていくと、多彩なエフェクトが発生するなど、爽快感のあるアクションが楽しめる。
もちろん、アクションパートだけではなく、ゲームの前後には神風動画による、いろいろなシチュエーションのムービーが挟まり、ひとつの映像作品としても楽しめるという。
CVは鈴村健一さんと内田真礼さんがすべて担当!
ゲームプレイを紹介した後は、キャラクターボイスを担当する声優について、須田氏から今作では全てのキャラクターを鈴村健一さんと内田真礼さんが担当していることが発表され、2人からのビデオコメントを紹介。
2人からは斬新な設定の本作に対する驚きとともに、鈴村さんは男性キャラクターをたくさん演じることで自身のさまざまな引き出しを出したこと、内田さんは蘭子がいろんな面を持っている女の子であることが語られた。
須田氏は、長時間の収録になったことについて鈴村さんが怒っているのではないかとヒヤヒヤしていたそうだが、現場でも本作について評価してもらえたことで自分たちの自信になったと話していた。
Blu-ray映像+PS3専用ゲームが一枚になって2014年1月16日に登場!
大友氏と浅沼氏が再び登壇した後は、「月極蘭子のいちばん長い日」の発売に向けた新キービジュアルが公開された。大友氏が監修し、メインビジュアルと同様のスタッフで制作された本ビジュアルは、以前のビジュアルとくらべてかなりカラフルなものにしたのだとか。
最後に、「月極蘭子のいちばん長い日」の販売形態について、「SHORT PEACE」の映像4作品とセットで、1枚のBlu-ray Discにまとめた「SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日」として2014年1月16日に発売されることが明かされた。
また、バンダイビジュアルからはビデオグラムとしてBlu-ray2種とDVDが2014年1月16日、コミックス「武器よさらば」が2013年12月25日に発売される。
最後の挨拶では、大友さんが率いる作品の中の最後を飾ることで、「すごく刺激的で浅沼さんからのいいプレゼントだった」(須田氏)、「とんがったゲーム作品として自由に作らせていただいた」(内山氏)とゲーム制作陣が語る一方、大友氏は最初は現在を舞台とした映像も作ることを考えていたそうで、「ゲームが出ることで失われたピースがはまる」と述べる。
そして締めを務めた浅沼氏は、3年、4年前に立ち上がり展開してきた本プロジェクトに留まらず、2020年に開催が決定した東京オリンピックに向け、大友氏を中心とした新たなプロジェクトを展開したいと意気込みを語った。