セガは本日2月22日、PS4/PS3用ソフト「龍が如く 維新!」が発売を迎えたことを記念して、発売記念抽選会およびサイン会実施店舗を実施した。
「龍が如く 維新!」は、龍が如くスタジオが手がけるアクションアドベンチャーゲーム「龍が如く」シリーズの最新作。今作では、激動の時代を生きた土佐藩郷士・坂本龍馬を主人公に、今まで誰も見たことがない新たな幕末史が描かれる。
本日の発売記念抽選会は、東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の5都市にて行われ、オリジナルも麻雀牌やTシャツなどの景品が用意されていた。サイン会は東京のビックカメラ有楽町店とヨドバシカメラ マルチメディアAkibaに限られていたが、ヨドバシカメラでのサイン会前には、シリーズの総合監督である名越稔洋氏、今作でプロデューサーを務めた横山昌義氏に、発売を迎えての感想などを聞くことができた。
名越監督と横山プロデューサーへのショートインタビュー
――まずは発売日を迎えた感想をお聞かせください。
横山氏:朝からネットで発売の様子などをチェックしていましたが、PS4の発売と重なったこともあり、ゲーム業界自体が盛り上がっており、たくさんのニュースがありました。その中で「龍が如く 維新!」のキーワードを見ると、やっぱりこの日に間に合ってよかったなという気持ちがあります。あとは意外と皆さん、いつもよりも黙々とプレイされているのかな、という気がします。ゲームを作っている立場としては、中身に対する反応が気になりますので、明日以降、その点についても見守らせていただこうかなと。
名越氏:カウントダウンイベントにも出させていただき、盛り上がっているなか、皆さんが手に取れる日が来たことにホッとしています。少しずつ売り切れているお店があるという話も聞いています。PS4との結びつきが強いですが、PS3版も売れてほしい気持ちもあります。
セガはハードメーカーでしたので、ローンチのタイミングでゲームが出るというのも、変な意味ではなく複雑な気持ちもあったりしますね。僕は過去に任天堂さんとローンチにゲームを供給することはありましたが、実はソニーさんのゲーム機にローンチでゲームを供給するのは初めてで、また少し違う印象もありました。恐らく今一番注目を集めているゲームハードだと思いますし、そのハードに一番乗りできたことは誇りに思いますし、嬉しいです。
――今日の体験会やサイン会の様子を見て、ユーザーの熱量はいかがでしょうか。
名越氏:ユーザーさんからの熱量みたいなものは毎回同じですごくありがたいですね。やっぱり冬なので外が寒いじゃないですか。イベントに行くのが面倒だと思われてもおかしくない中で、いつもと変わらない数の方に来ていただいているのも嬉しく思っています。
横山氏:PS4本体もゲームも発売された日なので、朝購入してずっと家でプレイされるのかなと思ったら、夕方の時間帯でもたくさんの方に来ていただいて嬉しいですね。家で暖かくして楽しんでほしいと思う反面、こちらも勇気をいただけるのでありがたい気持ちでいっぱいです。
――ユーザーの反応と言えば、PS Vitaの無料アプリはいかがでしたか。
横山氏:手応えはすごく感じています。皆さん下準備としてお金を貯めたり、武器を貯めたりした状態で、気持ちを高ぶらせてゲームを始めてもらっていると思います。実際に今日も別の会場でサイン会をさせていただいたときも、PS Vitaのアプリをかなりやり込んでいるという声がたくさんいただけました。
名越氏:まだ「龍が如く」をプレイしたことがない方に接触の機会を増やしたいと思い、結構大盤振る舞いな内容で出し、ダウンロード数もかなり伸びています。シリーズに初めて触る方がどれだけいるのかドキドキしていますが、遊んで楽しんでいただければ満足なので、評判が良くて喜んでいます。
――今作はPS4のローンチであったり、PS Vitaの無料アプリ展開などもありましたが、一番のチャレンジだったと思うことは何でしょうか。
横山氏:「龍が如く 維新!」そのものがチャレンジでしたね。スピンオフ作品はいくつか作ってきましたが、やっぱり坂本龍馬という主人公で、幕末を舞台にしたものを、「龍が如く」の名前を背負って作る。それ自体が勇気のいることでしたが、ゲームシステムとして面白いものを提供できた自信はあります。1年前下した決断そのものが、チャレンジだったんだろうなと思います。
名越氏:やっぱりPS4のローンチで出すことですね。「龍が如く」は1年に1本のペースで作ってきましたが、ソニーさんとセガの中で、PS4版のオファーをいついただいて、どの段階で受けると決めたのか。期間に余裕があるわけではなかったので、本当に大丈夫なのか、我々もすぐに決められませんでした。
実を言えば、「龍が如く 維新!」が始まった段階でPS4は選択肢にありませんでした。ある日のタイミングで、PS4で出すという決断をし、その決断が一番の分岐点だったと思います。さらにPS Vitaの無料アプリもありましたので、デバッグの時間も最もかかりました。チャレンジというよりしんどかったので、作ったものがキチンと箱に詰め込まれ、お店に置かれているというのを見ると、スタッフを褒めてあげたいですね。
――「龍が如く 維新!」では、ナンバリングでは死んでしまったキャラクターなども登場します。そうしたキャラを演じるキャストさんとのエピソードで印象に残っているものを教えてください。
横山氏:総じて喜んでもらえましたが、シリーズで柏木修を、本作では井上源三郎を演じた咲野俊介さんは、自分のキャラは死んでしまったものだと思っていて、その中でメインの役になったことに驚かれていました。やっぱり周囲からも、「あの作品に出てたね」と言われるようで、今回再出演していただいたキャストの方は「またやれるんだ!」と、総じてテンションが高かったですね。そうしてキャストの方に喜んでもらえるタイトルになったのはこちらとしてもありがたいですし、キャストの方と一緒に作っている感覚がありました。
名越氏:例えば中村獅童さんは歌舞伎役者ですがテレビドラマをやったりと、新しいものにチャレンジすることが好きなアクターなので、ゲームの仕事も楽しんでいただけたみたいです。自分も楽しかったですし、もう一回やりたいと言ってくれた方とまたできて良かったです。高橋ジョージさんからは、「スピンオフでしか出れないんだよね」なんて。
横山氏:会うたびに言われますね(笑)
名越氏:「本編では殺されちまったからな」って(笑)。すごく名残惜しく言っていただけるので、こちらとしても復活させたい気持ちが生まれてくるんですよ。こういうのもいい関係かなって思います。ファンの方からも、「生き返らせるならあいつも!」といった声をいただいていますので、いつか応えていきたいと思っています。
――横山さんは「龍が如く5 夢、叶えし者」に続いて、プロデューサーを務めるのはシリーズ2作目、PS Vita版を含めると3作です。振り返ってみていかがでしょうか。
横山氏:この1年は長かったですね。年をとると1年が早くなるものだと思っていましたが、1年前の「5」が3~4年前に思えます。それは、1日1日が濃かったからだと思うんですよ。去年の8月18日に新宿で最初のお披露目をしたときも遠い昔のように感じますし…1年前には戻りたくないですね(笑)。ただ、今は素晴らしい1年が過ごせたなと思います。
――名越さんは横山さんを見守る立場としていかがでしたか。
名越氏:横山も逞しくなったと思いますし、ディレクターの阪本も同じです。作品を通じて自信が生まれていくことは一番いいことですし、あとは自信が付いたら調子に乗らないことだけなので(笑)。そうすれば人は成長していくものだと思います。うちのスタッフたちは謙虚なので、しっかりと成長してくれていると信じていますし、次にいい作品を生み出す勉強もしていると思います。
――最後にユーザーの方へメッセージをお願いします。
横山氏:寒いです。なので、家で思いっきりゲームしましょう!我々が作っているのは家庭用ゲームですから、やっぱり家でやるんですよ。家でたくさんやってほしいですし、そう思って作ったゲームシステム、内容になっています。外は寒いですが、家の中では熱くプレイしていただけたらと思います。
名越氏:特に狙っているわけではないのですが、「龍が如く」はわりと寒い時期に出るんですよね。そういうところは、僕らも意識します。遊ぶ環境がいつ頃で、世の中がこうなっていて、ゆえにこういう話で遊んでもらいたい、こういう気持ちになってほしいと考えながら作っています。横山もそういう目線で演出をかけていたり。今日も寒いですが、今回の熱さは現代劇にはない熱さもあると思いますので、最後までプレイしていただければ、また「龍が如く」の魅力がひとつ増えたと、感じていただけると思います。新しい魅力満載なので、ぜひ隅々まで見てもらえたら嬉しいです。
――ありがとうございました。