フロム・ソフトウェアが2014年3月13日に発売したPS3/Xbox 360用ソフト「DARK SOULSII」。本作のディレクターを務める谷村唯氏へメールインタビューを敢行したので、その内容を一問一答形式で紹介する。

「DARK SOULSII」は、ダンジョン探索の緊張感、敵と遭遇したときの恐怖、新しい発見による喜びなど、RPGが本来持っている根本的な面白さ、そして高い達成感につながるゲームデザインを徹底して追求したアクションRPG。2011年に発売された前作「DARK SOULS」は、全世界で150万本を超えるヒットを記録するとともに、国内外でさまざまな賞を受賞。名実ともに、フロム・ソフトウェアを代表する作品へと成長した。

そして、約2年半の時を経て発売される本作では、退廃的な雰囲気漂うダークファンタジーの世界観はそのままに、駆け引きを重視した剣戟バトル、緩やかにプレイを共有する独自のネットワークシステムなどの新たな挑戦も見せる意欲作だ。

今回、本作のディレクターを務める谷村唯氏にメールでのインタビューを敢行。「DARK SOULS」シリーズの核となる部分とは何か、そしてプレイの幅を広げるための難しさとは何か。興味深い回答が得られたので、ぜひ読み進めて欲しい。

――本作の開発に至るまでの経緯を教えてください。

前作でユーザーさんから支持をいただいた、という部分も当然ありますが、同時に前作ではさまざまな反省点も残りました。フロム・ソフトウェアとしては、それを課題として見据えてより良いものを作りたいという意識から、自然に続編の話が立ち上がったような形です。

――前作「DARK SOULS」との最大の違いはどこにあると考えていますか?一方、前作から受け継いだものはなにかありますか?

「DARK SOULS」というタイトルは「困難を克服した達成感」「他のユーザーとのゆるい繋がり」といったコンセプトが明確で、尖っていたからこそ支持されたゲームだと考えています。そういう意味では、違いを作り出すというよりは「DARK SOULS」の核となる部分をより磨こう、という意識で開発に当たりました。その中でも、今回のテーマとして意識したのは「より自由に」「だけどより厳しく」というものです。プレイヤーに当たられる選択の幅が広く、だけどその選択には責任が伴う、といったデザインを意識しました。

――今回から開発体制が変わりましたが、新しいチームで「DARK SOULS」という大作を作ることにプレッシャーは感じませんでしたか?

ないと言うと嘘になりますが、重圧を感じすぎても良い結果は生まないですし、途中からはあまり気にせずにやるようになりました。今回の開発スタッフもフロム・ソフトウェアのスピリットを持っているスタッフなので、不安に思うことはありませんでした。宮崎(「DARK SOULS」ディレクター兼プロデューサー・宮崎英高氏)をはじめとする前任のスタッフがサポートしてくれたことも大きいかと思います。

――本作はVGA、E3など海外でも大々的に取り上げられてきましたが、現在のところ、海外のファンからはどのような反響があるのでしょうか?

情報が少なかった頃は「今回は簡単にするつもりじゃないだろうな?」みたいな、不安交じりの質問をたくさんされました。注目度が上がったタイトルは、大抵は間口を広げていく傾向にあるからだと思います。まったくそんなつもりはなかったのですが(笑)。

実際、E3などでプレイアブルを出展した時は「この歯ごたえがダークソウルだ!安心した!」という声が聞かれた時は嬉しかったですね。達成感という体験が強く求められているのだな、ということはひしひしと感じました。

――PS4やXbox Oneなど、次世代機での開発を見送ったことにはなにか理由があるのでしょうか?

次世代機で作っていたら、皆さんの手元に届けられるのが少なくとも1年以上は後になるだろう…ということから、開発に慣れたハードで早く遊べるように作る方を重視しました。さすがに4年とかは待ってくれないだろう…という危機感もありました。

――ストーリー、キャラクターなどに、前作とのつながりはあるのでしょうか?また本作で注目してもらいたいキャラクターはいますか?

世界観的な繋がりはあります。ですが、前作の世界が存在していたことを誰も正確には知らない…というほど時代が遠く隔たっているので、直接的に同じキャラが登場することはありません。前作との共通項は、直接確かめたり発見したりしながら楽しんで欲しいです。どのキャラが気に入ってもらえるかは、実際に遊ぶユーザーさんにお任せするしかないですが、今回も色々なキャラに細かいネタを仕込んでいるので、色々試して欲しいです。

――二刀流など新たなモーションが多数追加されていますが、アクション面でのこだわりがあれば教えてください。

生死の分け目が非常にシビアなゲームではあるので、強い一体感は意識しています。そうでないと、死んだ時に「自分のせいだから、もう一度やってみよう」と思ってもらえませんので。

――対戦・協力プレイの仕様も大幅に変わっていますが、おすすめの遊び方はありますか?

道中にいるこの強い敵だけ倒したい…という場合は「小さな白いサインろう石」がおすすめです。協力プレイは大体、スタートから終わりまで一緒にプレイするか、ボス戦だけ協力するというスタイルが多いのですが、「小さな白いサインろう石」は数分のプレイでマルチプレイが解散になるため、ここだけ手伝って欲しい、というような軽い協力を望んでいる時に最適です。ぜひ気軽に使って欲しいですね。

――シリーズの特徴である難しさを表現する上で、意識した点、注意した点はありますか?

基本的な話にはなるのですが「自分のせいで死んだ」という感覚を持ってもらうことが、何度もトライしてもらう上で大切なことだと思います。そのためには、テクニックや注意力や慎重さがあれば切り抜けられるようにすることが必要です。たとえば、落とし穴一つ作るにしても「見た目は全く気づかない落とし穴」を作るのではなく、「見たらすぐに落とし穴とわかる仕掛け」を作る方がいいのです。

前者だとただの意地悪にしかなりませんが、後者に引っかかった場合は「なんでこんなものに引っかかったんだろう…」と思って、再チャレンジしてくれるからです。こういう感覚をうまく持ってもらえるように作るところが、腕の見せ所だと思います。

――エスト瓶が1本から始まったり、死ぬごとに最大HPが減ったりと、前作以上に難しくなった部分もあるかと思います。これらはどのような狙いで調整したのでしょうか?

いたずらに難しくしようとしたわけでなく「プレイの幅を広げる」「発見をちりばめる」「目標はシンプルに」といったようなことを突き詰めた結果です。たとえばエスト瓶は+1ずつ上がっていきますが、そのためにはあるアイテムを地道に集めていく必要があります。ですが、最初は数が足りないので、薬草などの他の消費剤と併用しながらうまくマネージメントをしていく必要があります。

最大HPの低下も同じようなもので、亡者から生者になるには「人の像」というアイテムが必要ですが、これをいつのタイミングで使うか、どこまで粘るか、といった部分をうまく考えて欲しい、という意図があります。冒険におけるやりくりの楽しみや選択の幅を広げる、という部分を意識しています。

――さまざまな死に方があると思いますが、注目してもらいたい死に方はありますか?

それこそ色々あるのですが…一個挙げるとすると「油に濡れる→その状態で火をつけられると体が燃え盛る」というような「あわせ技」的な死に方があったりします。そうならないようにうまく切り抜けていただきたいです。

――全体のボリューム(マップの広さなど)は、前作と比較してどれほどの規模になっていますか?

大体1.2倍くらいになっていると思いますが、テストプレイした人からは「いやいやそんなことはない、1.5倍くらいはある」と言われたりもします。この辺は、どれだけ詰まる箇所があったかによって体感的なボリューム感も変わっているのではないかと思います。

――本作に触れて心が折れそうになっているプレイヤーに向けて、メッセージがあればお願いします。

本作は「難しいゲーム」と形容されることが多いのですが、決していたずらに難しくしようとしているのではなく「達成感の高いゲーム」を目指して作っています。そういう意味では、他のプレイヤーに協力してもらうことも含め、工夫をすれば必ずクリアできるような作りにしているつもりです。クリアした時の達成感はお約束しますので、ぜひ最後までプレイしてください。

DARK SOULS II

フロム・ソフトウェア

PS3パッケージ

  • 発売日:2014年3月13日
  • 17歳以上対象
DARK SOULS II

DARK SOULS II

フロム・ソフトウェア

Xbox360パッケージ

  • 発売日:2014年3月13日
  • 17歳以上対象
DARK SOULS II

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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