ガンホー・オンライン・エンターテイメントが配信するiOS/Android用アプリ「サモンズボード」。今回から2回にわたって、プロデューサー・荻原智氏へのインタビューをお届けします。
「新世代ボードゲーム」として配信され、早くも1ヶ月が経過した「サモンズボード」。他のスマートフォンアプリではなかなか見られないゲームシステムとあって、どっぷり遊んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、熱心に遊んでいるユーザーさんの中には「新しい情報がほしい!」「次はどんなモンスターが登場するの?」と、知りたいことも増えている頃合いでしょう。そこで、本作のプロデューサーを務める荻原智氏にインタビューを敢行! 本作を開発することになった経緯から、開発時のエピソード、さらには気になる今後の展開まで、さまざまなことを聞いてきました。
今回の前編では、「サモンズボード」が生まれるまでを、さまざまな裏話を交えて話してもらいました。
「今までない体験」をユーザーさんに感じてもらいたかった
――まず、本作を開発することになった経緯を教えてください。
荻原氏:さまざまなゲームの立ち上げや運営にかかわっていくにつれて、私自身の中にまったく新しい作品に挑戦したいという思いが生まれました。そして、弊社全体として、スマートフォン向けのアプリを作っていく話になったとき、何本か企画を作った中で、「サモンズボード」の開発に着手した形です。
――ボードゲームを題材にしたRPGは珍しいと思いますが、なぜこのジャンルを選んだのでしょうか?
荻原氏:今までにない体験をユーザーさんに与えたいという思いがあり、企画の段階で、たくさんのジャンルを模索しました。
弊社の代表作である「パズル&ドラゴンズ」や「ディバインゲート」などは、瞬間の判断力やプレイヤースキルが要求されるゲームじゃないですか。そこで、かつてコンシューマー向けゲームで体験してきたじっくり考えるタイプの遊び方をスマートフォンで体験してもらいたいと思い、ターン制で戦略を練るボードゲームという発想に至った経緯があります。
――確かに、戦略を練る楽しさは、他のスマートフォンゲームではなかなか見られない部分ですよね。
荻原氏:ええ。このゲームシステムであれば、先ほど言った「今までない体験」をユーザーさんに感じてもらえるのではないかと思っています。
――しかし、じっくり考える楽しさとなると、マス目をもっと広げてもいいかと思うのですが、4×4にしたのは、なにか理由があるのでしょうか?
荻原氏:もちろん最初は、5×5や6×6といったパターンも試しました。しかしマス目が広ければ広いほどゲーム内での思考性は高まるものの、1回のプレイが長くなってしまうデメリットもありました。また、スマートフォンのゲームとして、幅広い層のユーザーさんに触っていただけるよう、思考性と敷居の低さのバランスを考え、4×4に落ち着きました。
実際に触れていただければ、モンスターの移動範囲のバリエーションも相まって、4×4が意外と広く、色々な戦略をとれると感じていただけると思います。もちろん、現在の遊び方だけではなく、もっと幅広い遊び方を楽しめるように、将来的には広いマス目のダンジョンや、正方形ではない十字型などのダンジョンも出せれば…と考えています。
――戦闘のバランス調整でも、苦労はあったのではないでしょうか。
荻原氏:一番の苦労となると4×4というマス目の中で、ダンジョンごとの違いを生み出すことですね。本作は、1ターンで動かせるのは1体だけですが、攻撃は全員が行います。これがバトルの肝になっているのですが、絶妙なバランスに行き着くまでにはかなり時間がかかりました。
実は、この部分でも試行錯誤を繰り返しまして、1ターンで全員動けるバージョン、1体のみが攻撃できるバージョンなど、さまざまな案を試しました。その結果、1度のアクションに対する思考性や、考える楽しさ、コンボを的確に繋げる爽快感などを考えると、今のバランスがベストでした。
――結果的には、あえて動かさないことでコンボが多く繋がるなど、他の作品では見られない戦略が生まれていますよね。
荻原氏:そうですね。敵モンスターの動きを読んで、上手くモンスターを誘導したり、攻撃を受けない配置を目指したりと、いろいろな戦略が試せると思います。
――敵モンスターのAIに関しては、どのような方向性で調整したのですか?
荻原氏:「リーダーモンスターを狙う」であったり、「弱っているモンスターを狙う」であったり、さまざまなパターンを組み込もうとしたのですが、入れれば入れるほど想定した動きとは違ったものになってしまったのです。なので最終的に、「ここに誘い込みたい、こう配置したらここに来るはず、と人が先を読めるような」動きを再現できるよう、あえて機能を絞っています。ですが、今後は多岐にわたるAIを用意したいと考えています。
――多岐にわたるAIですか?
荻原氏:ええ。先ほど話したダンジョンの形に通じますが、ずっと似たパターンのAIと戦っていると、どこかで飽きてしまいますからね。意外性のある動きをしたり、ユーザーさんに驚いてもらえるものを目指していきたいです。
――ガンホーさんには「パズル&ドラゴンズ」という、ある意味では最強のライバルといえる存在がいますよね。「サモンズボード」を開発するうえで、同じメーカーのタイトルを意識することはあったのでしょうか。
荻原氏:もちろん意識はしますよ。これは「パズル&ドラゴンズ」に限らず、「ケリ姫スイーツ」も「ディバインゲート」もそうです。あれだけ多くの人に愛されているコンテンツですし、参考になる部分は本当に多いです。その中で、これらのアプリにはない面白さを追求した結果が、今回の「サモンズボード」でした。
――モンスターのデザインでは、どのような点を意識しましたか?
荻原氏:デザインに関しては、どうしてもユーザーさんごとの好き嫌いが別れてしまう部分です。「パズル&ドラゴンズ」のようなかわいいイラストが好きな方もいれば、「ディバインゲート」のようなスタイリッシュなイメージを好む方もいます。なので私としては、あえてひとつの方向性に縛らないことを意識しています。なるべく多くの人に触れて欲しいのは当然のことですし、極力カジュアルなイメージを持ってもらえるようにしました。
あと、戦闘中に表示されるデフォルメキャラにも注力しました。本作ではイラストがそのままバトルで表示されず、デフォルメされた小さいキャラクターが戦います。小さいデフォルメキャラでもしっかりとアニメーションとして動き、なおかつかわいらしさも表現できるようにしました。
――専用のデフォルメキャラも作るとなると、他のアプリとは違った苦労がありそうですね。
荻原氏:担当のスタッフからは泣きが入りました(笑)。しかし、このデフォルメキャラがかわいいという反響もいただいていますし、力を入れて正解でしたね。
――ちなみに、荻原さんが個人的に気に入っているモンスターはいますか?
荻原氏:最近追加したばかりですが、狐のような姿をした「リンカ」というモンスターはかわいくて好きですね。ユーザーさんの反響を見てみると、先日開催した「光と闇のフーガ」に登場した「光ノルン」「闇ノルン」の評判がいいみたいです。人型の大きいモンスターを実装したのは「光と闇のフーガ」が初めてだったので、インパクトの大きさが手伝ったのかもしれません。
――一方で、これから始める初心者の方も大勢いると思います。そういったユーザーへ向けて、なにかアドバイスはありますか?
荻原氏:本作では4体のモンスターでパーティを編成したとき、逆L字型でダンジョン攻略がスタートします。そのため、逆L字の角に来るモンスターは、斜め方向に移動できるとスムーズに攻撃へ移れます。また、上2体のモンスターは前方へ自由に移動できると、ボス戦ですぐにコンボを組めるので試してもらいたいです。
また、バトルではいかに多くのコンボを組むかが重要なので、極力1体のモンスターを集中的に攻撃することをおすすめします。早めに敵の数を減らせば、自身のパーティがコンボを受ける危険性も低くなりますからね。
――今のお話にもありましたが、そもそもなぜ逆L字の配置にしようと考えたのでしょうか?
荻原氏:最初は敵味方どちらも縦1列で並べていたんです。しかし4×4のボードですと、お互いに1回ずつ行動するだけで敵と味方が隣接してしまいます。それだと戦略性が薄まりますし、どうしても斜めに動かす意識が弱まるデメリットもありました。
逆L字型に配置すると、それだけで斜めに対する意識も強くなり、縦1列とは違ったモンスターの使い方もできるということで採用しました。
――ボスモンスターと戦う際、配置がリセットされるのも戦略面では面白い仕掛けですよね。
荻原氏:モンスターを動かした状態のままボスモンスターと戦うのも、それはそれで面白い面があると思います。ですが、例えばあらかじめボスにアクティブスキルを当てやすくする初期配置にしておくなど、配置がリセットされることで別の戦略性も生まれると考えています。
また、意外と気がついていないユーザーさんも多いのですが、ボスの周囲にある矢印で、次にどんなスキルを使用してくるかが分かるんですよ。なので、初期配置から動き方までをしっかり計算すれば、受けるダメージを最小限にすることも可能です。
――ボスモンスターとの戦いでは、普段とは違った戦い方もできるのですね。
荻原氏:強いボスと対戦するときは、レベルを上げることももちろん重要ですが、時には相手の動きを観察することで突破口が見つかるかもしれません。
――ストーリーなど、作品内では明かされていない設定はあるのでしょうか?
荻原氏:ゲームのスタート画面に出てくる、フードを被った人物は「サモンズボーダー」という、黒き霧の出現に伴う世界の異変に際して異世界から召喚されてきた存在です。基本的に伏せているのですが、もしかしたら今後のイベントで、このようなストーリーを匂わせる展開があるかもしれませんね。
――この人物が誰なのか気になっている人も多かったと思いますが、しっかりとした設定があったのですね。
荻原氏:この人物がいるだけで物語を想像する余地が生まれますし、これまでの弊社のスマートフォンゲームにはなかった楽しみになっていると思います。
インタビューの後編では、ユーザーのみなさんからの声を元にしたアップデートや、今後登場予定の新モンスター、新コンテンツの情報が明らかになります。Gamer限定のモンスターイラストも公開予定なので、楽しみにお待ちください!
最後に、3月13日のメンテナンスに関して、プロデューサーの荻原氏より追加の掲載依頼がありましたので、こちらもあわせて紹介します。
3月13日(木)に実施したアップデートメンテナンス時の不具合修正に伴い、度重なるメンテナンス延長のため、長期間に渡りゲームをプレイすることができない状況となり、ユーザの皆様にはご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
今後はこのようなことがないよう、今まで以上に気を引き締めて開発、運営を行って参りますので、今後とも『サモンズボード』をよろしくお願いいたします。
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※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。
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