角川ゲームスが3月27日に発売したPS Vita用ソフト「ゴールデンタイム Vivid Memories」。原作やアニメに勝るとも劣らない、騒乱のキャンパスライフを体験できる本作のプレイレポートをお届けしよう。
「ゴールデンタイム Vivid Memories」は、「とらドラ!」などで知られる竹宮ゆゆこ氏が手がけた電撃文庫「ゴールデンタイム」を題材にした、キャンパスライフアドベンチャーゲーム。ゲーム版「とらドラ!」のメインシナリオライターが再集結して制作される本作には、竹宮ゆゆこ氏完全監修によるオリジナルストーリーが収録。そのため、原作はもちろん、3月まで放送されていたアニメからファンになったという人にもぜひ注目してもらいたい作品だ。
かくいう筆者も、原作を1巻から読み続け、在りし日の大学生活に思いを馳せていた人間の1人。今回のゲームも早速体験し、充実のキャンパスライフを味わったので、その内容を紹介していこうと思う。
履修登録に飲み会に…憧れのキャンパスライフがここにある?!
上述の通り、竹宮ゆゆこ氏監修のオリジナルストーリーが展開する本作。アニメと同キャストによるフルボイスを堪能できるほか、約20種類におよぶマルチエンディング形式になっており、原作やアニメを存分に満喫した人でもさらに楽しめる。また、原作小説「ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル」に登場した愛可と秋も登場する。こちらはアニメに登場していないキャラクターなので、ぜひ注目してもらいたいポイントだ。
ゲームの流れは、プレイヤーが主人公・多田万里となり、さまざまなキャラクターとのイベントを通して恋愛や友情を育んでいくというもの。物語の舞台である福来大学 市ヶ谷キャンパスを俯瞰で見たマップで、会話を進めたいキャラクターを選択することでさまざまなイベントに発展していく。ここでは気になるキャラクターに積極的に絡んでいけばいいのだが、何気ない選択によってルートが決まってしまうことも。誰と仲良くなるかは慎重に考えていこう。
ちなみにメニュー画面では、各キャラクターに設定された親密度がひと目で分かるようになっている。言うまでもなく、親密度はストーリーの進展を決める重要な要素なので、現時点で誰と仲がいいのか、しっかりとチェックしておくといい。相関図にはかわいらしいSDキャラが用いられており、親密度に応じて距離感や会話相手などが変動する。大きなイベントが発生したあとには「キャラ劇」が再生されることもあるので、こちらもぜひ確認してもらいたい。
同じくメニュー画面にはフローチャートも用意されており、各シナリオの進行具合をいつでも確認できる。ストーリーの大きな分かれ道にはヒントも書かれているので、どこでどんな行動を起こすべきかがとても分かりやすかった。
キャラクターとの仲をさらに深めるためのシステムは多数用意されている本作だが、その中でも要注目なのが居酒屋で発生する「GatheringTopicsイベント(GTイベント)」だ。これは居酒屋でワイワイと楽しみながら場を盛り上げるという、大学生には必須な能力が問われるイベントで、プレイヤーは矢継ぎ早に展開される会話の中で、数多くの「キーワード」をストックして、話題として投入していく。
果たしてどのキーワードが場を盛り上げるのか。その判断はプレイヤーの直感に委ねられるが、一連の会話をしっかり聞いていれば、盛り上がるか、それとも盛り下がるかを見極めることもできるはず。ストックできるキーワードは最大3つまでと限られているので、同じキーワードをいくつも揃えるのではなく、できるだけ多くの選択肢を確保するようにしたい。一度ストックしたキーワードを忘れたいときは、キーワードが書かれた付箋をタッチ操作で剥がすといい。しかし、どのキーワードが盛り上がるか分からない場面もあるかと思う。そんなときは画面上の特定のアイテムをタッチすることで、キーワードとは違った話題を引き出すこともが可能だ。
物語の要所で登場する履修登録も、本作を語るうえでは欠かせないシステムのひとつ。どの講義を履修するかによって、イベントの進行も大きく変わってくる。意外なキャラクターが意外な講義を受けているときもあれば、目当てのキャラクターと同じ講義をなかなか受けられず、一人で講義を受けることも…。友達とのスケジュールがなかなか合わない感じも、現実の大学と似ているように感じた。
同じ講義を受けることになったキャラクターとは、もちろん会話イベントが発生する。ひとつひとつは何気ない会話だが、積み重なって親密度が上がっていくので侮らないほうがいい。
親密度を上げるという意味では、変化する表情を見ながら会話を繰り返していく「ツーショット会話」も見逃せない要素だ。原則的にツーショット会話では、はじめに6種類ある話題の中からひとつを選択。その後さらに3種類の会話内容の中から話したいものを選び、相手に投げかける。適切な内容を選べば会話が弾むが、空気が読めない会話内容を選択してしまうと、相手は機嫌を損ねてしまう。そうなった場合は、直後に出てくる吹き出しが表示されている間に○ボタンを連打することでフォローすることも可能だ。ただし、このときのフォローの内容によっては、余計に機嫌を悪くしてしまうこともあるので注意しよう。
クリア後も楽しめる充実の内容
原作やアニメと同様にハイテンションな会話が満載の本作だが、ふとしたところに大学時代を思い起こさせる仕掛けが用意されている点も特徴のひとつ。大学生活を体験した人にとっては、懐かしさすら感じる内容に仕上がっている。また、本稿の冒頭で軽く触れた愛可と秋以外にも、NANA先輩やさおちゃん&しーちゃんの茶道部コンビなど、あらゆるキャラクターにスポットが当たっているのも魅力だ。
余談だが、本編とは別に最初から3種類のミニゲームをプレイできるようになっている。その内容は、茶道部員たちと戦いが繰り広げられるディフェンスゲーム「SadouDefender」、二次元くんの脳内嫁・VJが活躍するノンストップアクションゲーム「VJスラッシュ(脳内戦姫ノ剣閃)」、女性キャラの着せ替えも楽しめる「着せ替えバブル」と本編とはまったく異なる内容になっている。しかしいずれも作品の世界観が活かされているので、本編と合わせて堪能してもらいたい。