「貢献」なくして「褒賞」なし―ある咎人が語る「フリーダムウォーズ」～第0次47都市国家対戦「βテスト事変」～

6月5日

第0次47都市国家対戦「βテスト事変」の前哨戦が始まった。東京PTが1位となり、順調に収容咎人数を増やしている。開始直後は愛知PTが2位に躍り出ていたが、まもなく神奈川PTに追い抜かれてしまった。さらに大阪PT、埼玉PT、千葉PT、兵庫PT、北海道PT、福岡PT、静岡PT、長野PTで上位10位を争うといった様子だ。

6月7日23時頃の都市国家序列。	東京PTがトップを独走する。
2位の神奈川PTが東京PTを追う。	3位の愛知PTも負けていない。
収容咎人数の少なさで異彩を放つ鳥取PT。	22位の沖縄PTと比べ、半分以下の人数。

6月11日

上位に大きな変化がないまま、東京PTの収容咎人数が1000を超えた。2位以下のPTにおける収容咎人数は200～500台であり、その数は圧倒的。だが、これだけの人数差がありながら、資源の納品で向上していくGDPP（国内総生産ポイント）が明らかに人数と比例していない。ボランティアを怠っている咎人がいるのだろうか。

一方、収容咎人数が27と全PTで最も少ないにも関わらず21位につけているのが鳥取PTだ。訓練された戦闘民族の末裔という噂は本当だったらしい。同じく24位の佐賀PTも収容咎人数は30と少なく、この2つのPTは1人あたりのGDPPが桁違いとなっている。

6月11日22時頃の都市国家序列。	東京PTの収容咎人数が1000を超えた。

6月14日

一般的な咎人にも参加許可が下りてから2日。やはり東京PTの収容咎人数は膨れ上がる一方で、5000を突破。2位以下も1500～3000前後と、ますます参加人数の増加が進んでいる。2位の神奈川PTは人数・GDPPを共に安定させているが、これまで3位を守っていた愛知PTが大阪PTに追い抜かれてしまった。しかし3位～6位までのは70万ほどの差しかなく、いつ逆転が起こっても不思議ではない。とくに5位の埼玉PT、6位の千葉PTによる攻防戦には他のPTにはない激しさを感じる。

6月14日2時頃の都市国家序列。大阪PTが3位に浮上。

6月15日

「貢献促進運動」の終了まで残りわずか。もはや不動の東京PT、神奈川PTを除き、愛知PTが再び3位に浮上。4位の大阪PT、5位の埼玉PTとの差は40万以下という熾烈な3位争いが繰り広げられる中、6位の千葉PTも5位に食い込む勢いを見せている。

もちろん上位だけでなく、褒賞の出る10、15、20、25、30、35、40、45位前後のPTの争いも非常に激しい。15位につける茨城PTに宮城PTが約8000の差まで詰め寄るも、13位の長野PT、14位の群馬PTとの差も1万ほど。あまり貢献しすぎても一気に順位を上げてしまう危険性がある。もはや心理戦の領域だ。

同じく20位を狙う岐阜PT・20位の福島PT・21位の沖縄PT、25位を目指す三重PT・青森PT・鳥取PT。最も乱戦していたのは30位を争奪する奈良PT・佐賀PT・岩手PT・秋田PT・山形PTで、35位を山口PT・鹿児島PT・長崎PTが争う。40位は大分と香川の一騎打ちといったところで、45位は徳島PT、和歌山PT、福井PTで競い合っていた。

6月15日23時半頃の都市国家序列。かなり混戦している。

6月16日

終了直後の都市国家序列は混乱を極めた。なお噂では、終了直前に持てる資源を全て費やそうと考えた咎人が多すぎて順位を跳ね上げてしまったPTや、一部で「6月16日11時」という誤報が流れたためタイミングを逃した咎人の絶叫が響いたPTもあったという。

6月16日0時半頃の都市国家序列。追い込みが感じられる。

6月17日

フラタニティにより貢献運動の結果リストが公表された。褒賞はフィールドを高速滑空可能な戦闘用アイテム「スラスターボード」だという。

褒賞の対象は、事前に告知されていた順位に該当する東京・神奈川・愛知・埼玉・大阪・静岡・茨城・福島・鳥取・佐賀・鹿児島・大分・徳島といった計13のPT。さらにPT1人あたりの貢献度が高かったPTも特別褒賞の対象となったため、千葉PTも加わることとなる。

結果として圧倒的な収容咎人数を誇った東京PTは他の追随を許さず、1位を独走し続けた。とはいえ、1人あたりのGDPPは全PTの中でも最低レベル。こんな上辺だけの貢献にわざわざ「天罰」を起こすほど「天獄」も愚かではない。フラタニティは「数週間～数ヶ月の沈黙の後、全域に渡る大規模な天罰が来る」と予想している。

6月19日

特別褒賞の配給数が決定した。配給数は最大100個とし、それを「一人当たりのGDPPランキングの順位」で割るという形となったため、1人あたりの貢献度が高かった鳥取PTや佐賀PT、千葉PTなどが比較的多く割り当てられている。

これにより1人あたりの貢献度の低さが目立った東京PTは、総GDPPでは1位だったものの配給数は2個に留まった。東京PTで多大な貢献を行った咎人としては、納得のいかない結果だろう。しかし「とりあえず上位のPTに所属すれば、貢献せずに褒賞を手に入れられる」など甘い考えが通用しないと多くの咎人に知らしめたはずだ。さらに今回は所属している咎人全員に配布という形になったが、今後もこのような措置が取られる保障はない。

また今回の結果を受け、1人あたりの貢献度が高いPTへの転属を考えている咎人も少なくないはずだ。だがこの世界では「働かざるもの食うべからず」、そして我々咎人は常に「監視されている」ことを忘れてはならない。我々に残された、数少ない「選択する自由」をよく考えるべきだろう。

最終的な総GDPPによる順位と褒賞の配布数が決定。