なんだかんだ言って、元祖も本家も前作の「妖怪ウォッチ」なのではないかと思ってしまうことでおなじみ(?)の「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」のインプレッションをお届けします。

元祖にする? それとも、本家?

それは日々頭の中で鳴り響いていた言葉。どちらにしたいか答えが出ないと予約ができないため、すっかり予約の時期を逃してしまい、気が付けば7月10日の発売日。いつもゲームを買っている某家電量販店に行くと当日分の販売はなく、予約をしてもいつ購入できるかわからない状況。他の店でもソフトを見つけることができません。そのため、発売後なのに「元祖にする? それとも、本家?」という言葉が頭の中で響き続けます。

ついにロゴの幻が見えるようになってしまいました。早めに「元祖」と「本家」のどっちにするか決めておかないと、いざ購入するときに困ってしまいます。ここはソフトがなくても入手できる情報から、違いを判断しないといけません。

「元祖」は黒主体のパッケージで、Zメダルは「ジバニャン メダル ニャイーン」が同梱されています。オロチ、のっぺら坊、U.S.O.、激ドラゴン、ムカムカデといった妖怪は「元祖」でしかともだちになれなくて、土蜘蛛という妖怪が元祖軍大将として登場するようですね。

「本家」は金主体のパッケージで、Zメダルは「ジバニャン メダル コマニャチ」が同梱されていて、キュウビ、ヒライ神、雷蔵、一つ目小僧、りもこんかくしといった妖怪は「本家」でしかともだちになれなくて、大ガマという妖怪が本家軍大将として登場するようです。

んっ? 「元祖軍」と「本家軍」ですと?? ということは、妖怪たちが「元祖軍」と「本家軍」に分かれて戦っているということですか?? どうやら一部のクエストは「元祖」か「本家」の片方にしか登場しなく、そのクエストをクリアしないと手に入らないレアアイテムもあるようで、これはますます「元祖」にするか「本家」にするかを決められなくなってしまいます。

そんな悩みの尽きない状態で1週間ほど経過した後の7月17日、ちょっとした嗅覚を持ってゲームショップを回ってみたところ、無事「妖怪ウォッチ2」を発見することができたので、2度見した上でパッケージをつかんでレジに駆け込みました。

決められない時は、両方買うに限りますね。一緒に「更新データの受け取り方」の紙も2枚もらいました。

ゲームを購入したらすぐに遊びたいのですが、最初にやるべきことがあります。それは、どの本体でプレイするか決めることです。3DS本体を1台だけ所有している人はその本体を利用すればいいのですが、2台以上持っている人はどの本体を使用するか決めておきましょう。ゲームを始めた後で使用する本体を変えると、妖怪ガシャの回数やイベントの調整が入り、最長48時間のペナルティが発生してしまうので注意しましょう。

それともう一つ。更新データがあるため、パッケージ版を購入して自宅にWi-Fi環境がない方は最寄りのWi-Fi環境のあるゲームショップでデータの更新をすることをお薦めします。

というわけで、データを更新するのですが、更新中にパッケージの中身を確認しましょう。ジバニャンメダルが入っていることはすでにわかっていますが、それ以外にカードダスのカードも入っているんですよ。

「元祖」はコマさんとオロチ、「本家」はジバニャンとキュウビのカードが入っているので、ニヤニヤしながら眺めていましょう。ニヤニヤしているうちにデータの更新が終了します。

ちなみに、ダウンロード版の場合はメダルもカードダスも貰えない代わりに、「元祖」だとロボニャンF型、「本家」だとセーラーニャンが手に入る購入特典があるので、購入がこれからの方は悩むだけ悩むといいですよ。個人的にはパッケージ版の1択ですが。

さて、ゲームを起動すると、「元祖」と「本家」では主題歌が違います。「元祖」は「祭り囃子でゲラゲラポー」、「本家」は「初恋峠でゲラゲラポー」。どちらもノリのいい曲なので、ゲームを始める前に3回くらい繰り返して聴きましょう。

ゲームを始めると最初に決めるのは主人公の性別。男の子を選ぶと天野ケータくん、女の子を選ぶと木霊フミカちゃんを演じることになりますが、名前を変えることができるので、例えばボクがプレイする場合は天野「さけかん」くんか木霊「さけかん」ちゃんになります。

前作から登場している妖怪として、主人公に常に付きまとっている妖怪執事のウィスパーは、今作でも相変わらず天然ボケを見せてくれますし、前作ではそれほどべったりでもなかったはずの地縛霊妖怪のジバニャンは今作では主人公にべったりと付いてきてくれるキャラクターとして登場します。

ついでなので、よく出て来る登場人物に付いて紹介しましょう。ガキ大将的な存在のクマやお金持ちの家の子どものカンチはクラスメイトで、男の子でプレイしていればここに木霊フミカちゃん、女の子でプレイしていれば天野ケータくんが加わり、この3人がよく登場するクラスメイト達ということになります。

今作では重要な役どころのキャラクターとしてケイゾウとデカニャンも登場します。でも、女の子でプレイするとケイゾウの代わりに別のイケメンが登場するかも。

やっとのことでさくらニュータウンに帰ってきました。「妖怪ウォッチ」をすでにプレイしている人にとっては懐かしの場所です。学校も公園も裏山も神社も何もかもがそのまま存在するため、ついつい「ただいま」と言ってしまうところですが、何かがおかしいです。

「妖怪ウォッチ」を未プレイの方は懐かしい感覚はないかもしれませんけど、何も問題ありません。最初は妖怪ウォッチの存在を知らないところからゲームが始まり、ストーリーを進めることで妖怪ウォッチを手に入れることになり、新しい要素が発生するたびにしっかりとした説明が入りますから。

マップ内の移動は歩行、もしくはダッシュですが、ダッシュすると体力を消耗するので、歩行とダッシュを繰り返して移動しましょう。遠くに行くときは電車を使うこともあり、ゲームを進めると自転車が手に入るので、それまではのんびり移動を楽しみましょう。ちなみに前作に引き続き、うんがい鏡を使った瞬間移動は健在です。

前作のメニュー画面にあたる画面は、ようかいパッドとして登場します。ようかいパッドを開くと、「ようかいメダル」や「クエスト」といった項目がすべてアプリとして登録されるようになっています。ゲームを進めていくとどんどんアプリが増えていくので、アプリの位置を入れ替えて、自分なりのようかいパッド画面をカスタマイズできるのもかなり便利です。「バスターズ」アプリが手に入ったらローカルプレイで友達と「妖怪ウォッチバスターズ」で遊べるようになるので、アプリが増えたら常にチェックしないと損をします。

「妖怪ウォッチ」シリーズのゲームのスタイルはRPG。自由に街を走り回って、怪しいところを調べたり、お店で買い物をしたり、街の人たちと話をしながら過ごしていくことになります。

ストーリーを進めるために達成すべきことや街の人に依頼されることをゲーム内ではクエストと呼んでいて、これから行いたいクエストを選んで目的地ナビを指定すると、マップに矢印が表示されて、次にどこに向かえばいいかわかるようになっています。普通にゲームを進めるうえでほとんど迷わないで済むというのは、大変便利な機能です。

ストーリーと同じくらい重要なこととして、妖怪とともだちになることがあります。

妖怪は街の至る所にいるのですが、普通の人には見ることはできません。妖怪ウォッチを手に入れた主人公は妖怪を見ることができるのですが、妖怪たちは見たり見つけたりするだけではともだちになれません。カプセルマシーンの一種である妖怪ガシャで妖怪を手に入れる方法はありますが、基本的にはバトル終了時に妖怪側からともだちになるよう提案してきて、それに同意をすることでともだちになっていきます。

では、どうやってバトルを行うかというと、妖怪を見つけないといけないんですね。街を歩いていて、妖怪ウォッチが反応した周辺を虫めがねで調べていると妖怪を発見することがあります。見つかった妖怪は逃げるので、タッチペンやスライドパッドで虫めがねを動かして妖怪を追いかけ、ゲージが満タンになるとバトルになります。もしくは、妖怪がうろうろしている通りに行って妖怪にぶつかってもバトルになります。

ともだちの妖怪は6人までバトルに登場させることができます。6人を円に配置するため、バトルの時には3人が前衛、3人が後衛という形になります。前衛の3人は自動的に敵に攻撃をして、後衛の3人は休んでいます。元気な妖怪を前衛に回し、ダメージを受けたら後衛に回すようなスタイルのバトルになります。

妖怪たちは妖気を溜めていきます。「わざ」コマンドを選び、妖気の溜まった妖怪を選択すると下画面が切り替わり、「打て!」「なぞれ!」「まわせ!」の指示に従って下画面をタッチやスライドするとゲージが溜まって妖怪がひっさつわざを決めます。

まぁ、この操作自体は前作と同じなのですが、「妖怪ウォッチ2」では「あわせろ!」という指示があり、時計の文字盤と針が表示されて針を光った数字に合わせることになります。

ひっさつわざを決めたいときは素早い操作を決めたいところなので、パターンが増えると適度な混乱をしながら操作を楽しむことができます。

一方、敵の妖怪に憑りつかれてしまった妖怪がいたら、「おはらい」コマンドを選び、憑りつかれてしまった妖怪を選択すると、下画面が切り替わり、「連打!」「こすれ!」「つぶせ!」の指示に従って下画面をタッチやスライドをしてお祓いしてあげます。

まぁ、これも前作と同じ操作なのですが、今作では「斬れ!」という指示が加わっています。

妖怪がチェーンで動けなくなっているので、チェーンを斬って助けてあげるのですが、ただ闇雲にチェーンを斬ってはいけません。よく見るとチェーンの中にヒビの入った部分があるので、きちんと見極めて斬っていきましょう。これでちょっとだけ時間を短縮できます。

「アイテム」コマンドで持っている食べ物を敵の妖怪に使うと、食べ物を与えることができます。

「ねらう」コマンドを実行してピンを刺すと、仲間の妖怪たちに攻撃する敵を認識させることができるのですが、今作ではカーソルを敵の妖怪に合わせるとその妖怪の好きな食べ物が表示されるようになりました。実はこの機能がかなり便利。

バトルでともだちになってほしい妖怪が出てきたら、「ねらう」コマンドで好きな食べ物を確認してから「アイテム」コマンドで食べ物を与えると、その妖怪がともだちになってくれる可能性が高くなります。

かといって、好物を与えたところで必ずともだちになってくれるわけではないんですけどね。

バトル以外でも妖怪とともだちになれることがあります。妖怪同士、もしくは妖怪とアイテムの合成で新しい妖怪が誕生することがあります。バトルで戦ってレベルを上げることで進化する妖怪もいますし、「メダルこうかん」アプリを使って「元祖」と「本家」で交換することでともだちになる妖怪もいます。

当然ながら、前作との連動もあります。おおもり神社の近くにいる「なぞのおじさん」に話しかけると前作のふしぎなレンズで撮った写真を催促されます。ゲーム中に「なぞのおじさん」に出会ったら、すぐにセーブして一度プレイをやめて、今使っている3DSに前作を入れましょう。

ふしぎなレンズで焦らずしっかりと写真を撮ったら、「妖怪ウォッチ2」に戻って来ましょう。連動しているというと、早目に前作をプレイしてふしぎなレンズで写真を撮っておこうと思ってしまいますが、写真を保存してから2時間以内にあやしいおじさんに話しかけないと無効なので、「妖怪ウォッチ2」をプレイする前に前作で写真を撮っておかなくて大丈夫です。

あやしいおじさんに貰った超エラベールコインを使っておおもり山の妖怪ガシャを回してみると、「ブチニャン」「(チョウネクタイ)ツチノコ」「(がまぐちポーチ付)コマさん」の3妖怪からもらえる妖怪を選べるので、選ぶ悩みは尽きません。

どうやら、連動してすぐに手に入れられる妖怪は1体だけど、残りの2体もどこかで手に入るらしいので、あまり悩み過ぎずに1体を選び、今後のレベルファイブさんの発表を楽しみに待つのが正しい選択のようです。

チョーシ堂も健在で、ストーリーに応じて妖怪ウォッチを強化してもらう必要があり、ランクが上がらないと進めないところが存在します。

また、今作では現代以外に60年前の世界が存在するため、前作よりもマップも大きくなっています。60年前の世界には古典妖怪が多数登場します。

妖怪の数は相当多いので、かなり頑張ってもなかなか大辞典が埋まりません。当然ながら、ストーリーをクリアしただけでは、大辞典は埋まり切りません。

今回は妖怪に頑張ってもらう要素があります。マップの特定の場所を虫めがねで見ると「ナゾのたてふだ」が見つかります。この「ナゾのたてふだ」を見るとクイズになっていて、正しい妖怪を解答すると妖怪サークルが発生します。更に、その妖怪をともだちにして妖怪サークルに連れてくると、特別な効果を発揮することがあるので、「ナゾのたてふだ」を見つけたら妖怪に対する知識を存分に発揮しましょう。

収集要素という意味では、虫あみを使った昆虫集め、釣竿を使った魚集めもできますし、「妖怪スポット」アプリの情報を元にマップ上の妖怪を探すこともできますし、電車に乗れるようになったらスタンプラリーも楽しめるので、かなり充実しています。

目的ナビのおかげで常にどこに行けばいいのかマップに表示しながらプレイをできるため、ストーリーの進行で迷うことがほとんどなくなり、バトル中に妖怪の好物がわかるようになり、全体的に前作よりも遊びやすくなったけれど、それでも登場する膨大な妖怪を全部ともだちにするのはかなり困難で、「妖怪ウォッチ2」はバージョンアップしても厳しさを忘れない素敵なゲームになっていました。

最近、甥っ子に「『妖怪ウォッチ』持ってる?」と聞かれることが多いのですが、これからは「『妖怪ウォッチ2』持ってる?」と聞かれるようになるのかと思います。でも、今後も“妖怪の仕業”で「持ってないよ」と答えてしまう日々が続くことでしょう。大人だって妖怪のともだちづくりを続けてもいいですよね。

妖怪ウォッチ2 元祖

レベルファイブ

3DSダウンロード

  • 発売日:2014年7月10日
  • 全年齢対象
  • ニンテンドーeショップ ダウンロード版

妖怪ウォッチ2 本家

レベルファイブ

3DSダウンロード

  • 発売日:2014年7月10日
  • 全年齢対象
  • ニンテンドーeショップ ダウンロード版

プロフィール

酒缶(さけかん)/ゲームコレクター

1万本以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。ゲーム関係者へのインタビューをまとめた電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション」を展開中。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」など多数。価格コムでは、ゲームソフトとAndroidアプリのプロフェッショナルレビュアーを担当している。

■公式サイト「酒缶のゲーム通信」
http://www.sakekan.com/

■twitterアカウント
http://twitter.com/sakekangame

■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション1」
http://www.amazon.co.jp/dp/B008GYU7B4/

■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション2」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00CJ320S6/

■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション3」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00DI3T160/

■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション4」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00IXLHLVE/

■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション5」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00KA6CZWU/

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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