ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアより好評発売中の、PS Vita用ソフト「フリーダムウォーズ」。8月1日には、インターネットを経由したマルチプレイや「敵地侵攻ボランティア」が追加されたアップデート「ver1.10」を配信。併せて「第2次47都市国家対戦」もスタートし、ますますの盛り上がりを見せている。
今回はソニー・コンピュータエンタテインメント プロデューサーの吉澤純一氏、ディンプス ディレクターの塚本高史氏、シフト ゲームデザイナーの保井俊之氏の3名にアップデートにおける手ごたえをはじめ、今後予定されている対人戦への意気込みやアドバイスなどを伺った。
なお、ディンプスの大阪本社にいる塚本氏とはPS Vitaを経由した「Skype」によるビデオチャットでインタビューを実施。非常に簡単な操作で手軽に音声/ビデオチャットを楽しめるので、PS Vitaユーザーはぜひ「Skype」アプリをダウンロードしてみてほしい。
――第1弾アップデートが実装されましたが、現在の率直なご感想や手ごたえをお聞かせください。
吉澤氏:アップデート自体に感想というよりも、発売日を迎えた後もずっとアップデートを目指してきたので「やっと公開できたな」という感じですね。もちろんスタッフ一同、発売日はすごく盛り上がりましたが、その喜びも一時だけで翌日にはアップデートの話をしていました。
今回やっと第1弾アップデートを皆さんにお届けできたので、今はまさに「次のアップデートをどうしていこうか」「これを入れたい」といった話し合いを進めています。
保井氏:「やっと出せた」というのが正直な所感ですね。とくに嬉しかったのは遊びの幅が増えたことで、ユーザーの皆さんによって都市国家対戦をさらに激化させるような事件が起きたことです。こうした動きこそまさに実現したかったので、それをお届けできたのが1番嬉しいですね。
塚本氏:アップデートできてよかったな、というのが率直なところです。やりたいことがあって、それをユーザーの皆さんにどうお届けしようかと吉澤さんや保井さんとはスケジュールなども含めずっと話をしていました。
今回アップデートの実装により、これから新たに仕掛けられるプロモーションもたくさんあると思うのでユーザーの皆さんに期待していただきたいです。
――新たに登場した「敵地侵攻ボランティア」は、他のPTの順位に直接関与できて非常に面白い試みだと思います。現在はどのような方向性がみられるのでしょうか?
保井氏:最初は1個上のPTを狙うとか、東京PTを狙うという動きもあったんですけど、結果としてはユーザーの皆さんが形として見えるものに挑戦していましたよね。具体的には「最下位のPTをゼロにすると何が起きるのか」という部分です。
ユーザーの皆さんの意思を大事にしたいというのが根底にありますから、「何が起きるんだろう」と遊んでくれた結果をふまえて「これからどんな事件が起きるんだろう」というワクワク感を楽しんでほしいです。こうした部分もやっとお届けできたな、という感じですね。
塚本氏:新たに敵地侵攻という遊びが付け加えられて、どのようにGDPPを稼いで自分のランキングを上げていくのか、協力して特定PTの順位を下げるのか、ユーザーの皆さんがどんな楽しみ方をするのかが垣間見えたように思います。
PT同士が常に戦っているというのが都市国家対戦の魅力の1つであり、「フリーダムウォーズ」という世界の現状ですよね。ついこの間も最下位だった山梨PTが総攻撃を受けてましたけれど、「隣のPTと一緒にあのPTを攻撃しようぜ!」というのはゲームの中でも実際に起きています。こうした動きがまた「天罰」にも繋がっていくと思いますし、ユーザーの皆さんにも実際に体験してみてほしいところですね。
――「敵地侵攻ボランティア」では個人ランキングも発表され、上位ユーザーの所属するPTへの報酬も始まりましたが今後は個人を対象とした報酬もあるのでしょうか?
保井氏:確実にお約束できるという話ではありませんが、全てのデータはゲームの「遊び」に使うべきだと思っています。何かしらの面白い使い方というのは常に考えて、ユーザーの皆さんが楽しめる形で実行していきたいですね。
褒賞については、一時期は武器を作るための素材が欲しいという声が大きかったのですが、今は武器改良を安定化させる素材が欲しいとか、需要も徐々に変わってきているなと感じています。これがいずれ落ち着いたら、例えばデカールとか、トロフィー的なものにスイッチできればいいですね。
都市国家対戦というのは、お互いを武器として争うための場だと思います。なので「参加した証」みたいなものも面白いのかなと。実利ばかりを追求してギスギスした雰囲気になるのは目指すところではないので、皆で「チクショー!やったな!」みたいに、楽しく笑いながら遊べるゲームにしたいと思います。
――「第2次47都市国家対戦」が始まりましたが、これまでに比べて期間がとても長めに設定されていますね。
吉澤氏:第0次、第1弾都市国家対戦は非常に実験的だったんです。「都市国家対戦」というものが初めての試みですから、まず僕らとしてはユーザーさんに慣れてもらうとか、どういう傾向にあるのかというのを実際にやってみて、その活動や流れを第2次、第3次に繋げていこうと思っていたんです。
ただアップデートの内容もそうなんですが、皆さんのゲームに対する習熟度というか、理解して活用して遊ぶという速度がとても早いので、私たちとしては次の遊びを早く提供しなくてはと。「休日促進運動」とか「ゲリラボランティア」という話が出たのも、常にユーザーの皆さんが新しいもの、変化を求めていると感じているからです。
都市国家対戦を深く遊んでもらう、活性化していくという方向に振っていきたいなと思って、全体で見ると1カ月という長めの期間ですが、その中で細かく色々なことが起きていきます。これまでの都市国家対戦とは大きく異なる体験をしてもらうための運営になると思いますし、皆さんにもそれを楽しんでもらえたらいいですね。
保井氏:すでに「同盟」「運動」「天罰」というバリエーションだけでも予定が埋まってしまうような状況ですが、同じルールで遊ぶとユーザーの皆さんもすっかり慣れてしまうと思うんですよ。なので、このタイミングで少しルール変更を入れてみました。
例えば、今回は天罰の発生条件が一部明示化されました。天罰はそもそも突然の襲撃ですから、隠していることに意義があったんです。でも今回はペナルティでもありご褒美にもなりうる天罰を、ユーザーの皆さんが協力して手に入れることが可能となりました。
「今回はこの運動を頑張ろう」「天罰を起こすために活動しよう」「山梨PTはこうなってしまったから、次は違うアクションを起こしてみよう」など、目的が遷移しつつも団結したり、また散り散りになったりという体験をしっかりやりたいなという考えもあります。
塚本氏:今回のインターネットプレイ対応で「こんなに上手い人がいるんだ!」と驚くこともあったでしょうし、例えば同じ所属PT同士で集まったり、周りの人とより一緒に遊びやすくなりましたよね。あまりアクションが得意じゃないプレイヤーも回復役に徹してみるとか、自分だったらどのように参加していくかを考えると、さらに面白さが増すのではないでしょうか。
保井氏:「敵地侵攻許可証」も「天罰ボランティア」も、権利を持っている人が「持ってるよ!使えるよ!」と言えば実行できるので、色んな方が参加しやすくなればいいなという思いがあります。
吉澤氏:インターネットプレイでは、しっかり目的を書き込むとどんどん人が集まってマッチングが成立しやすいですね。こういうのもオンラインプレイの特徴であり、皆さんが求めている部分かなと思います。
――都市国家対戦中のランキングは非常に気になるところですが、転属について何らかの傾向があればお聞かせください。
保井氏:初めのころは人数の多い東京PTや、鳥取PTなど際立った特徴をもつPTへ移動するといった傾向はありました。ただ個人的に感動したのは、先日最下位となった山梨PTへ転属する方が多くみられたんです。
「弱きを助け強きを挫く」のように「山梨PTのために何かしたい!」と実行する方が登場したのはすごいなと思いましたし、非常に嬉しかったです。
――すでに刑期を終えた咎人向けといった新しい衣装やデコレーションアイテムが投入されましたが、今後も何かあるのでしょうか?
塚本氏:具体的にどうこうというのは全く言えませんが…お楽しみにという感じでお願いします(笑)。
――今後のアップデートで導入となる対人戦(PVP)についてお聞かせいただければと思います。プレイヤー4人とアクセサリ4人に対し、さらにプレイヤー4人とアクセサリ4人という2チームでの8対8という、非常に大掛かりなコンテンツとなりそうですね。
塚本氏:そうですね。今までは協力して敵咎人のAIと戦ってきましたが、次に予定している内容は人と対戦することになりますので、これまで使っていた武器やアイテム、荊の使い方も対人戦ならではの戦い方をすることになると思います。16人分のキャラクターについて、それぞれが設定したデカールや装備などのデザインがどんなステージでもきちんと表示されつつ、良い感じで遊べるように調整している真っ最中です。
例えば都市国家対戦と絡ませるとしたらどうしようとか、対戦のルールなどについても今まさに詰めているところですね。
吉澤氏:早くデモをお見せしたいですね。開発の段階で大阪と東京を繋いで遊んでいるのですが、大阪が非常に強いんですよ(笑)
塚本氏:背後に射撃部隊がいるので、強力に援護してくれます(笑)。
――射撃部隊とは怖いですね(笑)。対人戦に向けて、ユーザーへアドバイスがあればお願いします。
塚本氏:例えば対咎人、対アクセサリの装備を整えるというのも1つの手段ですが、役割に分かれてもらうのが1番良いんじゃないかなと思います。攻めるのが得意な人は攻める、不慣れな人は無理に前線に出なくても後方からのサポートなど、色々な形で活躍できるシーンがありますから。
吉澤氏:「フリーダムウォーズ」には装備、荊、戦闘アイテムとボランティアに持っていけるものが色々あります。インターネットプレイだと4人全員の荊が捕縛性なんてこともあるんですけど、そこで治療性、防壁性をどうしていくか、使い方をこまめに相談するだけでもチームの特色が出てくると思います。
それに塚本さんが言ったように、協力プレイでは後方支援がすごく大事なんですよ。荊を伸ばせば倒れている咎人やアクセサリを瞬時に回復させられるじゃないですか。1人が後ろに下がって、倒れた瞬間にすぐ助け起こしてあげて、乱戦中に手榴弾を1つ投げるだけでも戦局は有利に働くんです。
協力プレイだと大きなアブダクター、1つの対象を軸に展開することが多いんですけど、対戦では相手が4人いて、アクセサリも4体ですから、その分シチュエーションが目まぐるしく変化していきます。ですから、チームの連携や作戦がすごく大事になると思いますよ。
保井氏:まずは仲間同士で助け合う心を前提に楽しく遊んでほしいと思います。とはいえ、やはり強い方は強いでしょうから、あまり慣れてない方へのアドバイスとしては装備を固めるのはもちろん、爆発物といった攻撃範囲の広いものがサポート面でも色々と役に立つと思います。人の集まっているところに爆発物を投げ込むのは1つの手法になるでしょうし、地雷の設置など、立ち回りを色々と考えてみてほしいですね。
――対人戦に加え、今後導入される「イデオロギー戦」とはどのようなものになるのでしょうか?
保井氏:イデオロギーとは「主義・主張」を意味する言葉だと思いますが、「自分の好きなもののために戦う」というのが本作で透徹しているテーマなんです。所属PTのために戦うのは、住んでいる場所への愛郷心からという感じですね。
こうした愛郷心だけでなく、例えば武器を強化するのが好きな人、誰かを守ったり救ったりするために戦うのが好きな人もいると思います。または名誉というのもあると思うんですが、この「名誉のために戦う」というのがイデオロギー戦のイメージです。「フリーダムウォーズ」の中にもさまざまなイデオロギーを持った組織や人物が登場していますが、ユーザーの皆さんが乗りやすい方向でお届けできればと思います。
吉澤氏:“イデオロギー戦”の内容を気にされている方もたくさんいらっしゃると思います。そういった興味を持ったり期待をしてくださって本当にうれしいです。
“イデオロギー戦”は、都市国家対戦、対戦(PvP)に続く第3の対戦方法です。都市国家対戦はグループに分かれて非同期で順位を競う遊び、対戦(PvP)は直接ユーザー同士が勝敗を決する遊びです。『フリーダムウォーズ』は自由をテーマにしていますが、対戦の仕方に選択肢があり、自由にその対戦方法を選んでいただきたいと思っています。そういった意味でも“イデオロギー戦”は、これまでの戦い方と違う方法を導入しようと思っていますので楽しみにして頂けると嬉しいです。
――最後に、ユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。
塚本氏:まずは「フリーダムウォーズ」をプレイして下さってありがとうございます。アップデートによるさまざまな調整で、これから始める方もより遊びやすくなったのでないでしょうか。今後もたくさんのご意見をいただきつつ、インターネットプレイだったり、その次の対人戦でもどのようにすればより楽しく遊べるのか、競い合えるのかを考えていますので、楽しみにしていただければと思います。これからもよろしくお願いいたします。
保井氏:今回のアップデートで楽しみ方が増えたのをお見せできたので、ここを次のアップデートまでしっかりと運営していきたいですね。そして今回1番嬉しかったドラマは、他PTのユーザーが最下位の山梨PTに転属すること自体は想定の一つではあったんですけど、本当にそれが起きるかというのは分かりませんでした。でも実際に「山梨また頑張れ!」と力になってくれる人が出て、こうした盛り上がりが次に繋がっていく戦いの1つなのかなと感じています。
次のアップデートは、全てのユーザーが「一致団結」するような、大きな事件が起きたらいいなと考えながら設計しています。ぜひ楽しみにしていてください。
吉澤氏:「フリーダムウォーズ」を発売させていただいて、本当にたくさんの方に遊んでいただけてすごく感謝しています。今回の大型アップデートで目指していた遊びの1つ、インターネットプレイをお届けできて、都市国家対戦も第2ステージに入ったんじゃないかなと感じています。
この第2ステージを皆さんに遊んでいただいて、その間に私たちは次のアップデート「対戦」をお届けできるよう頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
――ありがとうございました。