双葉社は、鈴屋二代目氏の新書「あなたはなぜパズドラにハマったのかソーシャルゲーム開発者が明かす舞台裏」を、8月20日に出版した。

本書は、ソーシャルゲームの現役開発者の目線から、業界事情を事例を交えて紹介している業界本だ。

本書では、ソーシャルゲーム業界の常識が一般社会における非常識として紹介されており、「ソーシャルゲームへの課金」「お金の消費の仕方」「20代男性の8割は恋人がいない」など、刺激的なワードも盛りだくさん。

また、IT知識のない読者でも分かるよう内容は“ゆるく”書かれているとのことなので、業界の仕掛けや内実などが気になる人は、ぜひ詳細にチェックしてみてはいかがだろう。

概要

  • 1割のユーザーしか課金していない
  • しかも1%のユーザーが売上の半分を支えている
  • ユーザーの動向は全て運営側によって数値管理されている
  • キャバクラ嬢、配送業、夜勤勤務の医者など終業時間が不規則な職業の人がハマる
  • 1年の中で最も売上を上げる日が1月1日である
  • ガチャでレア度の高いアイテムが出る確率は、0.5%程度である(3万円使って1回出る程度)
  • 継続率、課金率、課金単価、LTV…運営側は、ユーザーの動向を数値で管理している

Android、iOS向けのアプリで、トップセールス50位内に入っているソーシャルゲームは、月に1億円以上の売上が想定される。これだけ売り上げても月に1度でもお金を使うユーザーは、遊んでいるユーザー全体の1割程度しかいない。インターネットリサーチ「Qzoo」の調査では、「ソーシャルゲームに課金したことがある」と答えた人は、全体では12.5%。課金率の高い20代男性で24.6%だった。さらに「ソーシャルゲームに1万円以上使ったことがある」のは、20代男性が最も高く、12.3%であり、20代がソーシャルゲームの売上に貢献していることがわかる。

著者は、これまでデートやレジャーなどの余暇に使われていた20代のお金が、今はスマートフォンのソーシャルゲームに流れているのではないかと推測している。これまで使い道のない余暇の消費はパチンコであったが、今の20代にはそれがソーシャルゲームになったのだと考えている。

明治安田生活福祉研究所が7月に発表した「結婚」をテーマにした調査では、「恋人がいる」と回答した20代男性は22%しかおらず、しかも「交際経験がない」と答えた20代男性は40%だった。多くの20代が、休日にデートに出かけるわけでもなく家に引きこもり、まったりと余暇を過ごしているのではないか。家で休日を過ごす彼らの手の平にはスマートフォンがあり、その画面にはソーシャルゲームが映し出されているだろう。彼らの余った時間と使い道のない小遣いが、ソーシャルゲームに消費されている。

そんなソーシャルゲームの人気について、課金に導く仕掛け、ケイタイ電話向けゲームの進化など、ITの知識のない読者にも分かるようにゆるく書かれた本が、「あなたはなぜパズドラにハマったのかソーシャルゲームの作り手が明かす舞台裏」である。思わず課金した経験のあるソーシャルゲームユーザーなら、改めて気付かされる点もいくつかあるのではないだろうか。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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