バンダイナムコゲームスより発売中のPS3用ソフト「アイドルマスター ワンフォーオール」で、9月25日にダウンロードコンテンツとして配信されたスペシャルゲスト・横山奈緒を演じる渡部優衣さんへのインタビューをお届けする。
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「アイドルマスター ワンフォーオール」では発売以降、毎月ダウンロードコンテンツを配信中だ。今回は、9月25日にスペシャルゲストとして配信された「アイドルマスター ミリオンライブ!(以下、ミリオンライブ!)」のキャラクター、横山奈緒役を演じる渡部優衣さんにお話を伺うことができた。
渡部優衣さんは奈緒と同じ大阪出身。モデルのようなスタイルの美女が、口を開けば阪神タイガースをこよなく愛するコッテコテの大阪人というギャップも大きな魅力だ。阪神タイガースの打順を考えるのが好きなほどの阪神ファンで、姉妹作品「アイドルマスター シンデレラガールズ」に出演し、こちらは熱狂的ヤクルトファンとして知られる松嵜麗さんとの「燕!」「阪神!」と呼び合う丁々発止のやりとりはアイマス名物のひとつとなっている。
そんな渡部さんが声優になるまでや、奈緒や周囲への感謝、出演したライブについてなど幅広く、たっぷりとお話を伺った。少したっぷりすぎたかもしれないので、じっくりと楽しんでほしい。
歌とテニスが大好きなスポーツ万能少女!
――今回はゲーム「ワンフォーオール」DLCに登場する横山奈緒と、演じる渡部さんについて伺っていきたいと思います。
渡部さん:あ、ゆきんこのやつ読みました! Twitterで流れてきて、これだよなと思いながら楽しく読みました。「ときメモ」のやつ! 私、なんか「シンデレラガールズ」側の芸人枠に入ってたし!
――それです! 今回も自由な感じでなんでもお話頂ければ! 声優になる前の渡部さんはどんな子でしたか?
渡部さん:基本的には明るい子でした。明るい子で、人前に立ったりすることが好きでした。2歳とか3歳ぐらいの頃から、おばあちゃんの行きつけのスナックで、おばあちゃんの好きな演歌を歌っていたりしたんです。あとは地域のカラオケ大会で歌ってみたり。小学校の頃はSPEEDさんやモーニング娘。さんが流行っていたので、友達と振りをコピーして、子ども会で披露したりしていました。
――モーニング娘。だとどの世代ですか?
渡部さん:その前から好きでしたけど、一番憧れたのは後藤真希ちゃんです。大好きで、ブロマイドとか集めていました。駄菓子屋さんで封筒に入ってるブロマイドくじを集めたり、SPEEDさんのプリクラサイズのシールを集めてシール帳に貼ったりしてました。
――スポーツではテニスに打ちこんでいたんですよね。
渡部さん:テニスはすごいやってました。中高は硬式テニス部でした。小学校時代は野球やソフトボールをやっていて、元々はそちらがやりたかったんですが、中学ではソフトボール部とかがなかったんです。それで「打つ」つながりでテニスを始めたんです。私身体は固いんですけど、わりと運動神経はいい方なんです。それから性格が負けず嫌いなこともあってか、気がついたら賞状をもらったりして。
――北大阪の大会で優勝したんですよね。
渡部さん:しましたしました。親にテニススクールにも通わせてもらって、中学の時は部のキャプテンもしていました。
――部長としては厳しい先輩? 優しい先輩?
渡部さん:厳しすぎず…かな。ちょっと頼りなかったんじゃないかと思います(笑)。スポーツ自体が大好きで、水泳でも大会でいい成績だったりしました。スポーツ馬鹿です!
――スポーツ万能で歌が大好き、アイマスに出会うためにあるような素質ですね!
渡部さん:そうですか? 嬉しいです…(笑)。でも音楽の成績はあんまりよくなかったですね。リコーダーとかが下手くそで、指がちゃんと動いてくれなくて…今でも楽譜は読めないです。
――そんなテニス少女がブレイクした作品がアニメ「てーきゅう」というのは運命のような、そうでもないような。
渡部さん:そうなんです、全然テニスしないんですよね(笑)。でも私がテニスをやっていた頃って、「テニスの王子様」が大人気で、女の子がみんな憧れてテニスをやっていたんです。男子も学年の3分の1ぐらいがテニス部で、振り落とすために外周をひたすら走らせたりしてました。そんな中私は「テニスの王子様」じゃなく「てーきゅう」に行ってしまったんですけどね!
――「テニスの王子様」はあまり女性声優枠ないですからね。
渡部さん:そうなんです。でも「テニスの王子様」とかそのあたりから声優という職業を知って、興味を持ちました。アニメソングは元々好きで、「残酷な天使のテーゼ」とか「ゲキテイ」とか「ムーンライト伝説」、それから「幽遊白書」の曲だったりは大好きでした。
小さい頃からアニメや漫画に影響されやすかったんです。漫画のキャラクターの真似をしてみたりする小学生で、100円ショップでおこづかいでヘアマスカラを買って、髪の毛に赤メッシュを入れてみたり。
気がついたらアニメのエンドロールでキャストさんの名前を目で追いかけるようになっていて、「あ、このキャラとこのキャラは同じ声優さんなんだ、この声優さんすごい!」と思い始めたんです。その頃ラジオも聴き始めて、収録の裏話を聞いたり、歌も聴いたりして、声優さんすごい! 私もなりたい! と思い始めたんです。
――憧れた声優さんはいますか?
渡部さん:水樹奈々さんですね! ラジオ番組の「水樹奈々 スマイルギャング」とかも私第一回から聴いてるんです。
――関西だと文化放送系の番組を聴くのって大変じゃないですか?
渡部さん:ラジオで文化放送を探すと、すごい韓国語放送が流れるんですよ。それでもちょっと1mmぐらい動かすとすっとクリアに聴ける瞬間があって。あと天候によっても変わるんですが。もちろんラジオ大阪やラジオ関西のアニラジも聴いていて、プラス文化放送を必死に合わせて聴いていた感じです。
そうやって番組を聴いている時に水樹奈々さんの曲が流れているのを聴いて、すごく歌が上手い方がいるなぁ…と思ったら声優さんだったんです。声優さんの雑誌を読んだりするとみんなすっごくかわいくて、憧れが膨らんでいきました。
阪神嫌いなキャラは本人NG!?
――なるほど! 通常この流れからは声優への道を伺うのですが、やはりファンの皆さんが知りたいであろう阪神タイガースとの出会いについても伺いたいと思います。
渡部さん:出ました! 最近どこに行っても聞かれるんです(笑)。私家族が野球一家で、母親もソフトボールをやっていて中学時代は全国大会に行っているぐらい上手なんです。野球一家ということもあって私も弟も野球をやって、ソフトボールをやってという感じで。当時は甲子園球場と、大阪ドームに行く機会が多かったんです。
なのでタイガースとバファローズを見る機会が多かったんですが、当時新庄選手が好きになってしまったんです。私が小学校の頃の新庄選手は本当にスターで! それで阪神が大好きになりました。かっこいい、新庄のお嫁さんになりたいと思ってました(笑)。新庄選手がメジャーリーグに行ってからは桧山選手が好きになって、昨シーズン引退されるまでずっと大好きでした。去年引退した時はもう、涙涙でしたね。涙が止まらない。
――阪神は最近調子悪いですね。9月は鬼門というか。
渡部さん:中日に3タテされましたからね…ほんとくやしくて!
――これから巨人と広島、上位との3連戦が続きます。
渡部さん:巨人とですよ…! 甲子園なので、なんとか勝ってもらいたいです! でもちょっと厳しいかな、とも思います。
――今の正直な、阪神のペナントでの順位はどれぐらいだと思いますか?
渡部さん:…3位か4位。ほんと4位に落ちるんじゃないかとハラハラしました。なんとか3位に入って、クライマックスシリーズでこう、滑りこんでほしいですね!
――ペナント順位と言えば、今年は非常につらい思いをしている人がアイマス関係でいらっしゃいます。
渡部さん:燕さんですね! 出ました(諸星きらり役の松嵜)麗ちゃま! 先日「一番くじラジオ」という沼倉さんの番組に2人でゲスト出演させて頂いたんですが、アイマスのラジオなのに野球の話になって。
――パーソナリティがついていけてなかったですよね。
渡部さん:そうなんです。でもすっごい沼倉さんも楽しんでくれました。この2人見てるのが楽しいって(笑)。ぬーぬーが引いてはいけないトークテーマ「巨人」を引いてしまってからのテンションはおかしかったですねー! この2人会わせたらどこでも野球ラジオになることがわかりました。
――番組以外でも松嵜さんと野球の話をしたりするんですか?
渡部さん:します! しますします! LINEとかで調子いいね悪いねとか。今神宮にいるよーなんて飛んできていいなーとか。「シンデレラガールズ」が舞浜でライブをやった時も私メンバーとそれぞれLINEやってたんですけど、麗ちゃまとはギリギリまで野球の話をしてました(笑)。
――実は今度、新しくユッキこと姫川友紀役で杜野さんが加わったんですが…。
渡部さん:まこさん。ベイスターズファンなんですよね。
――なんです。でもユッキは巨人っぽい感じのキャッツが好きという設定で、☆の球団をちょっとdisってたりするんです(笑)。
渡部さん:私はそこは魂は渡せない感じです! でも同じ野球ファンとして本当に気の毒だと思います…! キツい! 私にとっては一番キツい仕事だから涙ながらに収録ですし、そもそも受けないですね、本人NGです! でも野球好き声優さんがいっぱいいるのは嬉しいので、野球ラジオとかぜひやってみたいですね!
――そんな渡部さんについてですが、前回の五十嵐さんから「ゆい㌧はシンデレラと同じお笑いの匂いがする…」との言葉がありました。
渡部さん:そうなんです。この間もゆきんこと会ってその話をしたんですけど、私が「シンデレラはステージに立っている時はアイドルだよね」って言ったら「喧嘩売ってんの? ゆい㌧はこっち側でしょ」って言われて、そっかぁってなりました(笑)。
2月のSSAのライブで、シンデレラのメンバーとはすごく仲良くなったんです。「シンデレラガールズ」は私と同年代で共演したことがある子も多かったので、気がついたらシンデレラ組とも仲良くなってました。
SSAの本番の時、765プロ、ミリオン、シンデレラってお水のペットボトルが分けてあったんです。私のペットボトルないなぁって思ってたら、麗ちゃまが「ちょっと阪神こっち来て」って言われて、見に行ったら私のボトルはシンデレラのところにあったんです(笑)。スタッフさんに勘違いされるぐらいシンデレラと仲良くなってたんです。あ、もちろんミリオンの子たちともめちゃめちゃ仲いいですよ! それで私、自分でお水をミリオンコーナーに置いたんですが、次見たら何故かシンデレラとミリオンの間の線の上に置かれてました(笑)。
――それぐらい区別なく仲良くなれるのはいいですよね。
渡部さん:ありがたいことにいろんな方と仲良くさせてもらっています。シンデレラによくスカウトされてるんです(笑)。
声優の夢を諦めなかった高校時代
――少し話を戻して、渡部さんが実際に声優を目指すまでを伺いたいと思います。
渡部さん:高校から通える声優さんの学校が幾つかあったので、そこに行きたいと親にお願いしていたんです。でも親が反対していて、そこには行けなかったんです。テニスに打ち込んでいる内に進路を考えないといけない時期になって、周りのみんなは進学を考えていて。私は進路面談でも声優になりたいと言い続けていたんですが、親や先生は「また夢見がちなことを…」という感じだったんです。
でも私は本気で声優になりたいと思っていたので本当に悔しくて、私が憧れている声優さんという職業を馬鹿にされているようで嫌だったんです。遊びなんかじゃないんだ、皆さんプライドを持って職業としてやってらっしゃるんだと反発して、すごく荒れました。勉強も嫌になって、アニメばっかり見てました。あまりいい子ではなかったですね…子供なりの、大人への反抗ですね。自分で専門学校の体験入学に行ったりしていました。
――自分でできる努力を続けたんですね。
渡部さん:そうですね、その頃費用のためにアルバイトを始めました。それで貯めたお金で、雑誌の「ボイスニュータイプ」さんの声優オーディションを受けたんです。東京と、そこからさらにバスで移動するようなオーディションだったので、初めてのお給料をそれに使いました。そこで今の事務所の「JTB賞」を頂いたんです。どやって感じでした!
それで、親にも本気なことは伝わったみたいです。私子供が大好きなので、できれば体育の先生になる勉強をしながら声優を目指したいと思ってました。でもお父さんに、「お前は声優と教師どちらになりたいんだ」と聞かれて、声優になりたいって答えたら、「両方中途半端になるぐらいなら一番やりたいことをやりなさい」って言われたんです。それで、反対なのは変わらないから、学費や上京資金は一切協力しない。それでもやりたいなら声優を目指しなさいって言われたんです。それでわかった、私は声優を目指すよ! って答えました。
――でもご両親の協力がないと、上京も大変ですよね?
渡部さん:本当は高校を出てすぐ上京したかったんですが、やっぱりお金がなかったのでひたすらアルバイトをしました。3つバイトをかけもちしてたんですが、2回倒れましたね。睡眠時間1時間とか2時間の日もあって。過労だと思うんですけど…お父さんが病院に連れて行ってくれて、2回目は生まれて初めて救急車にも乗りました。
――それだけ頑張ったのが報われてよかったですね…!
渡部さん:そうなんです! 一年間アルバイトを頑張って、上京資金もたまったので、19の春に上京して今の事務所の養成所に入りました。
――時期的に考えて、JTBさんだと講師に緒方恵美さんがいた頃ですか?
渡部さん:そうです。レッスンを見てもらいました。
――「幽遊白書」や「新世紀エヴァンゲリオン」が好きだったならドキドキしたのでは?
渡部さん:最初はテンション上がるなぁって思ったんですけど、初めてお会いした時にもう、オーラが違ったんです。緒方さんに最初にお会いした時は、正直私自分じゃ声優にはなれないなって思いました。圧倒されて、私ってなんて未熟なんだろうって…。周りのみんなも結構落ちこんでたりいたんですけど、私負けず嫌いなので。負けないぞ、あきらめないぞ、なんのためにここに来たんだ! と頑張ることができました。
――その先に今の活躍があるんですね。「ミリオンライブ!」に出会う前、アイマスは知っていましたか?
渡部さん:ゲームセンターにあるイメージでした! あとはニコニコ動画さんやyoutubeさんで、よく踊ってる映像とかがおすすめ画像に出てきて、アイドルを育てるゲームなんだと思ってました。でも私は前回の五十嵐さんとは違って、ゲームがすごく苦手なんです。みんながびっくりするぐらいへったくそで、子供でもできるゲームでも下手くそなんです。でも私が高校生ぐらいの頃から、アイマスは話題だったので、まさか自分が関わることになるなんて全く思ってなかったです。
オーディション当日に出会った横山奈緒
――オーディションを受けた時のことを教えて下さい。
渡部さん:事務所からオーディションの話が来て、「えー、本当ですか、あの『アイドルマスター』ですかー!」という感じでした。最初はキャラクターが15人くらいかな? 載っている表の中から受けるオーディションだったんです。
私はりえしょんが演じている松田亜利沙ちゃんを受けました。その時にディレクターの石原さんから「大阪弁しゃべれるんだよね?」と聞かれて、その場で渡されたのが横山奈緒ちゃんの原稿だったんです。しばらく準備の時間を頂いてから演技をして、それから歌の指定課題で「Do-Dai」を歌いました。
――手応えはどうでしたか?
渡部さん:感触はありました! オーディションってあまりその場では反応がないことが多いんですが、奈緒ちゃんの時はすごく審査の方々のリアクションが大きかったんです。それで内心、私受かるかもしれない! と思ってました(笑)。石原さんに「いやー、良かったっすわー」って言われて、私あまりオーディションでそんな風に言われた経験がなかったので、少し期待していいのかな、と思いました。
でもその時は石原さんがどんな方かわからなかったので、ひょっとしたらみんなに良かったって言ってらっしゃるのかもしれないし(笑)、やっぱりあのアイマスはすごい作品という意識があったので、決まるまでは半信半疑でした。でも後日決まったよって連絡が来て、「ふわーーーーっ!!」ってなりました。めちゃめちゃ嬉しかったです。アニメのアイマスも見ていたので、本当に夢みたいでした。
――アニメの「アイドルマスター」をファンとして見ていて、いいなと思ったキャラクターとかはいましたか?
渡部さん:私、響ちゃんがすごく好きで! かわいいじゃないですか。動物に愛される人にわるい人はいないと思ってるので。響ちゃんのしゃべり方も大好きで、元気が出るじゃないですか。感情表現がすごく豊かで。嬉しい時は嬉しい、悲しい時は悲しい、怒る時は怒る。楽しい時はすっごい楽しむ! そこがかわいくて響ちゃんがすごく大好きでした。
――オーディションを受ける時からアイマスが歌って踊るコンテンツなことは認識していましたか?
渡部さん:はい、友達でもアイマスが大好きな子がいて、横浜アリーナのライブがすごく素敵だったとか、チケットがなかなか取れなくて、とか聞いていたので。その子に「アイマス声優に早くなってよ!」とか言われていたのが本当になったので、早く言いたくてたまりませんでした。発表されたら、その子もすごく喜んでくれました。
――「ミリオンライブ!」だと、そこから収録までは早かったんじゃないですか?
渡部さん:早かったですね。覚えているのが、初めての収録の時に私が体調を崩してしまったんです。私初めて収録する時とかって、緊張しすぎて体調崩すことがよくあるんですね。前日まですごく調子が良かったのに、喉の調子がよくなかったんですね。現場に行ったら、やっぱりそこを指摘されて。私体調が悪いことはあっても収録を飛ばしたことはなかったんですが、やっぱり場所が喉なので、初めての収録は無しになってしまったんです。
それがもうショックで…。自分のプロ意識の低さが悔しくて悔しくて。私が謝っていたら、石原さんが「声優さんも人間だから。先輩たちだって何度も飛ばしてるから」って言ってくれたんです。忙しい中責めることもなく励ましてくださって、なんて優しい人なんだろうと思いました。頑張ろうって。その時はなんとか我慢したんですが、石原さんたちがスタジオのブースに戻られてから、マネージャーさんと2人になってから大号泣したんです。
でも、そこに石原さんが戻って来られて「あっ…」って(笑)。「なんで泣いてんねん、泣かんでいいわ!」って言ってくださってまた謝りながら、この作品絶対成功させよう。頑張ろうって思いました。石原さんはミリオンの中だとみんなのお父さんみたいな感じです(笑)。
――悔しい思いをしての仕切りなおした収録はどうでしたか?
渡部さん:気持ちだけは300倍、1万倍ぐらいの気持ちを持って臨みました! でも最初私が受けたオーディションの時とはちょっとキャラクターの感じが変わっていて、最初は京都っぽいはんなりした感じだったんですよ。そういうイメージで行ったら「もっとめっちゃ元気で!」というディレクションで、だんだん今のちょっとあほな、明るくてボケもツッコミもやる大阪の子、奈緒ちゃんができあがっていきました。最初はあまりにも大阪弁がナチュラルすぎるって言われてしまったんです。
――僕も関西出身なんですが、奈緒は大阪弁よりもっとかわいい奈緒弁、ゆい㌧弁という感じですよね。
渡部さん:実際の大阪弁って、あんなにかわいくなってもっとキツイ感じですよね。奈緒ちゃんを聞いて大阪の女の子に憧れている人は気をつけてください! あんなにかわいいしゃべり方をする大阪の女の子は、現実にはいません(笑)。夢を壊してすいません、でも耳をすますとみんな大阪のおばちゃんみたいな話し方をしてます。現場でも「こんなかわいい大阪の子いないですけどいいですか?」「ええねんアイドルだから!」という感じで「わかりましたー!」と(笑)。
――歌の方の収録はどうでしたか?
渡部さん:最初に「Thank you!」を収録したんです。緊張しました! 「元気に、歌っていて楽しくてしょうがないのを表現してください」と言われたので、もう歌うのが楽しい、踊るのが楽しい、ステージに立っているのがたのし~~~! わーたのし~! というのを表現しようと思って歌って、自分自身もわっきゃわっきゃと楽しんでしまいました。私は決して歌がうまくはないんですが、なんとか奈緒ちゃんらしく歌えたんじゃないかと思います。今聴くと、やっぱり緊張してますけどね~(笑)。探り探りなんですよね。
――「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」の収録についても聞かせてください。
渡部さん:最初にタイトルを教えてもらって、「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」って聞いた時は事務所のみんなできょとーんとして、ぶっとんでるねーって話してました。でも実際の楽曲を聴いてみたらもう楽しくって、うーわっしょーいなんて言っちゃって。レコーディングの時もすごく楽しくて、手や体を動かしながらノリノリで歌っちゃいました。奈緒ちゃんはわいわい盛り上げる担当なんですね。
――盛り上げ担当であると同時に、ボケもツッコミもできる子ですよね。
渡部さん:そうなんです。ミリオンの仲間といるときはツッコミ担当ですけど、対プロデューサーだと結構ボケるんですよね。そこも大阪人らしいと思うんです、相手によってボケもツッコミもいける感じは。
――ツッコミ不在のイベントだと、奈緒と横山さんがいてほしいなと思うことがあります(笑)。
渡部さん:ミリオンはボケボケさんと不思議ちゃんが多いですからね、みんなそこがかわいいんですけど!
歌い踊る奈緒の姿に思わず涙!
――というところで、「ワンフォーオール」。横山奈緒のDLC「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」動画を見て頂きたいと思います。
渡部さん:おおお! 見れちゃうのかー、マジかー、嬉しい! すごいよー、うわー! 私やっている人を見るのが好きなので、アイマスは動画とかで見てたんです…(動画がスタートすると、無言になって画面に見入る)………なんか泣けてきちゃった…すごい。えー。すごーい…。うぉあー、かわいい! ありがとうございます!!(拍手)
――改めて感想をお願いします。
渡部さん:すごい、かわいい…!! 奈緒ちゃんが歌って踊ってる!
――思わず泣きそうになったのは、どういう心境?
渡部さん:「アイドルマスター」って、元々は“ここ”じゃないですか! そこに自分が演じた奈緒ちゃんがいて、ほんとだーって思って……。これ、「アイドルマスター」だって思うともう本当に嬉しくて、本当にありがとうございます! えー!? すごい嬉しい! 夢みたい! すいません、嬉しくて泣いちゃった(笑)。私、子供いないけど、子供みたいじゃないですか。ずっと奈緒ちゃんのこと考えて、育てて。そうやって一緒に来たキャラクターが踊っている姿、嬉しいですね。奈緒ちゃんと出会えてよかったなって思いました。奈緒ちゃんありがとう!
――ダンスの印象はどうでしたか?
渡部さん:私が今踊っているのとは全然違いましたね。
――第1回のインタビューで登場した麻倉ももさんは、中野の1stライブで「ワンフォーオール」のダンスを取り入れたそうです。
渡部さん:トライしたいです! 全部これで踊ってみたいです! やりたいです! でも相当激しくてジャンプとかしてましたね。でも、プロデューサーさんがこの映像見たら、きっとこのダンスも見てみたいと思うと思うんです。素敵な振り付けなので、私も踊ってみたいと思いました。
中野サンプラザでの1stライブ直前は涙のスランプに
――振りの話が出ましたので、ライブの話に移りましょうか。中野はとても感動的なライブでした。
渡部さん:中野、ヤバかったですか(笑)? でも私は本番前のほうがヤバかったです! 私実は、ステージで人前に出るというのがすごく苦手なんです。ビビリなんです。人前で歌うのが怖いというか、苦手ですね。
――子供の頃は人前で歌うの、大好きだったんですよね。
渡部さん:そうなんです。だったんですけど、人生いろいろ歩むうちにステージの怖さを感じてしまった時期があって。今はステージに実際に立つとすごく楽しいんですけど、それまではかなり怖いし、緊張してしまうんですね。あとは中野の一週間ぐらい前に、かなりのブランクに入ってしまったんです。今までできていたことが全然できなくなってしまって。
――……スランプ的な?
渡部さん:そう、スランプ! やぁ、間違っちゃった、はずかしー(笑) もう、きゃー! ごめんなさいスランプでした。歌詞が飛んじゃったり、ダンスを忘れちゃったりして。これはやばいなとずっと思ってました。ライブ前日、事務所のスタジオを借りてずっと練習していたんですが、どの曲も完璧には一回も踊れなかったんです。しかも最後のリハーサルが一番駄目で、今まで全然大丈夫だった「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」の歌詞までごっそり抜けてしまったりして。涙が止まらなかったですね…。
なんとか涙をこらえて、楽屋に入ってわーっと泣いたらそこにはるにゃん(山崎はるかさん)がいて(笑)。「ゆい㌧どうしたのー?」って声かけてくれて。私心配かけたくないから人前で泣かないようにこらえていたのに、よりによってセンターで一番プレッシャーが大変なはるにゃんに見せちゃって…。でも涙止まらなかったです。
そしたらはるにゃんやみんなが集まってきてくれて、「ゆい㌧大丈夫!」ってみんなが励ましてくれるんです。そこに先生が来てくれて、練習しよって言ってくれたので、最後まで泣きながら練習しました。先生や石原さんが「できるよ、ステージを楽しめばいいんだよ」と言ってくれたのをすごく思います。それでも震えながらステージを待っていて、「Thank you!」の最初の片足で決めるポーズもふらついちゃったぐらいで。
――実際にステージが始まったらどうでしたか?
渡部さん:プロデューサーさんがわーって言ってくれたら、なんだか吹っ切れちゃいました。涙を拭っているところにプロデューサーさんの声が幕の向こうで響いてきて、幕が開いてきれいな景色が見えて。その瞬間、「たーのしー!」って気持ちがあふれてきたんです。
なんじゃこれ、めっちゃ楽しいやん、プロデューサーさんヤッホーってなっちゃって(笑)。「Thank you!」をやって、そこまではわーたのしーたのしーだったんですけど…「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」のソロの前になると、また底の方に落ちちゃうんです。緊張で手汗が激しくて、ずっとタオルを持ってました。
――そしてステージが始まると…?
渡部さん:またたーのしーーー! ってなりました(笑)。楽しくて楽しくて。それで、あんなにできなかったのに、覚えている限りでは振りも間違わなかったんです。でも楽しすぎていつもの5倍以上のフルパワーで踊ってしまい、実はライブビューイングのカメラが追いつかなかったらしいです(笑)。
ステージに立つと、奈緒ちゃんが降臨してくれるんです。渡部優衣ではきっと駄目だけど、私には奈緒ちゃんがついてるので。自分は奈緒だと思ってやると、めっちゃ楽しめるんです。終わったら今度は汗だくで、だらっだらになりながら楽しかった、と言っちゃいました。そこからはようやく吹っ切れて、楽しさだけを感じられたと思います。楽しすぎて、それまでの涙はなんだったのか、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
――初日は田所さんが出演できなくなって。
渡部さん:それだけがとっても残念で、ころあずの分も頑張ろうと思っていました。ころあずが出られないよって聞いた時はうちでばーっと泣いちゃいました。それで頑張ろうと思いすぎたのが空回りしちゃったのかもしれませんね。でも終わってみたら、楽しいという印象しかないです!
――「Blue Symphony」はかなりカラーが違いましたね。
渡部さん:私は元気系の曲が多いので、かっこいい曲はチャレンジでしたね。しかも一緒に歌うのがMachicoとみっく(伊藤美来さん)という歌うまいコンビで。奈緒ちゃんならどう歌うのかなと考えながら、サウンドプロデューサーの中川さんに奈緒っぽさを相談しながらやりました。基準は、奈緒っぽいかどうかなんです。
――個人的には麻倉さんとの「きゅんっ! ヴァンパイアガール」がすごく良かったです。
渡部さん:ほんとですか? あれは765プロの先輩たちの曲だったのでやっぱり緊張しました。相手はもちょだったので、大天使と大魔王みたいな構図じゃないですか! でももっと遊んでいいよって言っていただいたので、すごく楽しくやれました。
――二日目の雨宮さんとのカラーの違いも楽しかったです。
渡部さん:そうなんです、そこを意図的に変えようと話していて。私はこう、おちゃらけちゃうかわいいヴァンパイアというか。あほの子ヴァンパイア! 天ちゃんはセクシーヴァンパイアなので、両方来てくれた人は楽しんでくれたんじゃないかと思います。私も楽しすぎて、リハーサルでテンション上がっちゃってマイクに肘をごーんってぶつけたんですよ。私楽しくなっちゃってるから「大丈夫!」って言ってたんですけど、よく見たら流血していて爆笑でしたね。ヴァンパイアで自分が流血しちゃったよって。
――麻倉さんも「きゅんパイア」であごをぶつけて赤くなってました。
渡部さん:仲間! 「きゅんっ! ヴァンパイアガール」はちょっと危険な曲ですね~(笑)。楽しくなりすぎるとやっちゃうんです。
――麻倉さんや山崎さんと一緒に練習していての印象とか教えてもらえますか?
渡部さん:みんなかわいいし、ふわふわしてるし天然さんばかりなんですけど、プロフェッショナルだと思います。ストイックでやる時はやるという感じで。ダンスの振りもみんな覚えるのが早くて、覚えが悪い私はよく教えてもらいました。
ジャージなのにセクシーな人を初めて見た
――もうひとつ、さいたまスーパーアリーナで765プロ、「シンデレラガールズ」と共演した「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!! 2014」も大きな経験だったと思います。
渡部さん:あの時も泣いてましたね~。ダンスの先生も大丈夫大丈夫って言ってくれて。先輩たちと一緒に練習したんですけど…優しいんですよね~先輩たち! なんでも教えてくれたり、やるべきところはやるって教えてくれたり。
――ちょっと厳しいことも敢えて言ってくれる先輩っていたりしますか?
渡部さん:釘宮さんとかはちゃんとはっきり言ってくださるからすっごくありがたいんです! ダンスのレッスンの時にみんなの意識がまとまってないと「やるよ!」って声をかけてくれたり、何かわからない顔をしてると声をかけてくれたり。釘宮さんと、一緒に練習した子たちと、カレーを一緒に食べに行ったのがいい思い出です!
――SSAで先輩と一緒に歌った曲だと、たかはし智秋さん、佳村はるかさんと歌った「ラ♥ブ♥リ♥」も印象的です。
渡部さん:練習しているといろんな稽古着を着ている人を見るじゃないですか。私、あんなに稽古着着ていてセクシーな人を初めてみました! 普通にアイマスのTシャツとジャージとかのレッスン着なのに、どこからあのセクシーさが出るのか。私ジャージを着てもセクシーな人初めてです! ほんとに!
でも智秋さんもすっごく優しくて、トークも面白いんです。場を和ませてくださって。そして一緒のダンスを踊ってるのに色気があってセクシー! 私にはないものなので、とっても憧れました。
実は「ラ♥ブ♥リ♥」はなかなか3人で合わせる機会がなくて、他の曲の合間に智秋さんが「今のうちにやらない?」って言ってくださったんです。それで3人でやってみたらてんでバラバラで! 休憩時間に智秋さんがここはこう止めよう、みたいにアドバイスしてくださって。練習したくても私たちから声をかけづらい時に、先輩から言ってくださるのがすごくありがたかったです。智秋さんが「私たちが一番かわいいと思ってやろう!」って言ってくださって、本番前は手を握ってくださって。るるきゃん(佳村さん)と3人で楽しく歌いました。
――大会場での「M@STERPIECE」はどうでしたか?
渡部さん:映画を見る前から「M@STERPIECE」の振り付けは練習していたんですが、自分でも映画を見て大号泣しちゃって。映画を見た後の最初のレッスンで、「M@STERPIECE」を踊った時は勝手に思い出して大号泣しちゃいました。あとは「やんなきゃ!」とすごく思いました。なんていい曲なんだろう。
ステージは一体感があって、みんながひとつになった感じがすごくありました。私は大阪からライブを見に来たりしてたし、去年のアニサマも見ていたので、まさかその半年後にさいたまスーパーアリーナのステージに立つなんて夢みたいでした。
――最初にステージに出た時はどんな感じでした?
渡部さん:真っ白でした! 最初みんなで手を振りながらわーっと出て行く感じなのに、私は「はー…?」ってなってて、ぽっかーんっとなって自分の立ち位置に歩いて行ったので、映像を見るとその顔が残っているかもしれません(笑)。サイリウムの海で、今まで見た中で一番きれいな景色でした。
――最後にBD発売が目前の劇場版について伺います。「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ」の収録はどうでしたか?
渡部さん:緊張の連続でした! 当時はまだ声優を初めてそれほど経験がなかったので、まさかアイマスのアニメに出られるとは思ってなかったし、今まで応援してきた方たちがどう受け止めてくれるのか、怖い気持ちもありました。先輩たちが作り上げてきた中に入るのも最初は怖かったです。奈緒ちゃんの台詞に「ほんまに765プロの人たちや」というのがあるんですが、アフレコ現場に入った時は本当に一緒の気持ちでした。ふわーって。
――演じる立場的にも作品にシンクロする感じだった。
渡部さん:そうなんです。お昼に食べたお弁当がなかなか消化されなくてずっと胃が痛かったです。ずーっと胃がキリキリして、あったかいもの飲んでもだめで。でも収録自体は、先輩たちが緊張している私たちに気を使って声をかけてくださって。みんなで差し入れのたこ焼きを食べたりとかしながら、すごく和やかな雰囲気でやりました。
――完成した映像を見た感想は?
渡部さん:最初試写会で見て、劇場でも見ました。泣きましたね~。一番泣いたのはやっぱり最後の「M@STERPIECE」ですね。始まったところでもううるっとは来ていましたけど。見る前は奈緒ちゃんが出たら泣くのかなと思っていたんですけど、初めて見た時は自分がちゃんとしゃべれているかが不安で見ているこっちが緊張しちゃったんです。内心ちょくちょく反省しながら見ていたので、自分の登場シーンは実は冷静に見ていました(笑)。
でも「M@STERPIECE」はやっぱり駄目でした。曲は前から聴いていたのに、映画だとこうも違うのかと思って、涙腺崩壊でした~。律子さんにコサージュを一緒だよって渡すあたりからぐぐぐっと来ていて、曲が始まってばーっと滝ができて、ヒックヒック泣いてました。
アイマスっていろいろな夢を叶えてくれている作品で、いろいろな人に出会えて、奈緒ちゃんありがとうって思いました。アイマスの映画も好評で、親も地元でも見てくれました。これから「Video M@ster」版の舞台挨拶もある(9月19日に新宿バルト9で実施)ので、わいわいやってこようと思います! 見に行った方、どうでしたか(笑)? 劇場版って細かいところまで情報が詰まっているので、Blu-rayで話しているキャラクター以外の表情も擦り切れるまでチェックしてください!
――締めくくりの前に、「ワンフォーオール」DLCの横山奈緒ちゃんのおすすめポイントを教えて下さい。
渡部さん:「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」は本当に楽しい曲で、ついつい身体が乗っちゃうような曲なんですけど、「ワンフォーオール」ではさらに振り付けがすごくなって、元気もパワーアップしています! 衣装にも是非注目してほしいですね~! 皆さん「ワンフォーオール」バージョンの振りも是非覚えて、プロデューサーさんも奈緒ちゃんと一緒に踊ってほしいと思います! あ、でもあの衣装は私ちょっと着れないのであしからず。おへそはもうちょっとこう、頑張ってからにしてください(笑)。その分振り付けを頑張りたいと思います! 本当に嬉しいです!
――最後にメッセージをお願いします。
渡部さん:こうして「ワンフォーオール」にゲストとして登場できるのも、プロデューサーさんの応援のおかげだと思います。奈緒ちゃんの勢いはまだまだ止まりません、止まらせません! なのでこれからもプロデュース、よろしくお願いします!
「アイドルマスター ワンフォーオール」公式サイト
http://ofa.idolmaster.jp/
渡部優衣オフィシャルTwitter
ID:@yuichupunch