ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアが2014年10月9日に発売するPS4用ソフト「DRIVECLUB」。本稿では次世代ソーシャル・レーシングゲームと謳われる本作のゲーム内容を紹介していくぞ。
目次
「DRIVECLUB」は、メルセデス・ベンツ、フェラーリ、マクラーレンといった、世界に名立たる高級メーカーのスポーツカーを操作し、PS4によって美しく描き出された世界中のコースを疾走する次世代ソーシャル・レーシングゲーム。
本作はそのジャンル名の通り、「ソーシャル」「レーシングゲーム」という2つの核で構成されたタイトルであり、スマートフォンゲームをプレイするような手軽さ・気軽さと、直観的な操作で楽しめる本格レーシングが組み合わされていることで、サクサクと1レースをこなしながら、止められない止まらないでついついレベルを上げてしまう、家庭用版ソーシャルゲームとも言えるべきテンポのいいシステムに仕上げられている。
また、ソーシャルと名を打つからこそのコミュニティ要素にも力が入っており、フレンド/他ユーザーとオンラインマルチプレイを楽しむことはもちろん、オリジナルクラブで一緒にがんばったり、他のクラブとしのぎを削り合ったり、自身の記録を全国のユーザーに挑戦状として叩きつけるなど、いずれのコンテンツも高い水準で気楽に遊べるようになっている点が特徴だ。
正統派レーシングの挙動&突発性対戦イベントが肝!
レースゲームとしては、無駄に複雑な操作はなく、外連味溢れた挙動をするわけでもない、いわば正統派ともいえる直観的な制動を御していく。車もコースもリアリティの高いタイプとなっているが、それゆえにド派手なコーナリングや鋭角を突くステアリングなどは如何せん作用しないので、アクセルの開け閉め、的確なスピード維持、コーナリングの進入ラインといった、レースゲームの胆をしっかりと守っていくことが勝敗、ひいてはラップタイムの鍵を握る。
最初に手慣らしするであろうCPU群も、コーナリング時に綺麗に並んでラインをなぞることが多かったりと、紳士的であり、効率的な姿を見せてくれる。アウトからのオーバーテイクでゴソっと抜くこともプレイヤーによってはできるのだろうが、基本的には速度×コーナーの作り=「無茶です」の図式になるため、マシンの制動&コースの作りをしっかりと把握するのが最初の1歩であろう。
とも言うと、反射神経が然したる重要さを担わないとする見方もあるが、本作はリアリティであるがゆえにコースによっては道幅が大変狭くなっている。そのため、明らかに最高速度でコーナーに侵入し、たまたまコース上にいた他車に当たってしまい、こちらだけ上手く曲がることができたとすれば…、つまり、そういう日もあるのだ。このようなゲームならではのレーシング技術は、対戦環境を揺るがすためのアプローチとしては、有ってしかるべきものなのかもしれない。
なお、本作のレース中の醍醐味の一つに、「フェイスオフ」と呼ばれるシステムがある。これは全レースで発生する、“他のユーザーの短距離区間の記録と競い合う対戦イベント”だ。内容は「ある一定区間の速度を超えろ」であったり、「コーナーラインを規定通りなぞれ」であったりと、コースによってさまざま。競うべき記録はランダム(おそらく)であるため、多彩なユーザーたちの記録に対し、レース中にアプローチ仕掛けていくこととなる。
計55種類にも及ぶ高級スポーツカーが目白押し!
本作には、上記に挙げた3社に加え、アストンマーチ、BMW、アウディ、ロータスなど、誰もが聞き覚えのある言わずと知れたメーカーより、計55種類にも及ぶバリエーション豊かなスーパーマシンが収録されている。マシンはそれぞれクラスが分けられており、「スポーツコンパクト」から「ハイパフォーマンス」「スーパー」など、計5種類に分類されている。
また、各車体には「加速」「トップスピード」「操作性」「ドリフト」の4項目が設定されており、それぞれの操作性に差異があるといった具合だ。マシンに細かなカスタマイズを施すことはできないので、プレイヤーたちはある種単一化された数値の中でしのぎを削り合うことができる。
なお、レースにはそれぞれ参加可能なマシンクラスの条件が設定されているため、「強いからこれ使う」といった一択戦法よりも、クラスごとに1車種を選択するくらいの心構えから始めた方が、遊び方のバリエーションもグンと増えるぞ。
レベルアップを楽しむ名声ポイント
ゲーム中、レースで上手く勝利を収めたり、さまざまな条件をクリアすることで「名声ポイント」、俗にいう経験値が獲得できる。レースではお決まりのラップスピードを競うだけでなく、「スリップストリームに入り続ける」「ドリフトを長く決める」「オーバーテイクでごぼう抜き」などを決める度に、画面上部に備わるスコア(下記SS参照)が加算される。一方、レース中に縁石外へとコースアウトをしたり、他のマシンにぶつかると減点されてしまう。そしてレース終了後、獲得スコアがそのまま獲得経験値となるのだ。
上手く走りきるほどに高得点が得られ、1位は取れても車体がベッコンベッコンになっているようであれば減点必至と、ある種のFPS的なリザルトに近い性質を備えている。早さを目指すラップタイムと、綺麗さを目指す名声ポイントを両立していくコンセプトは、実に新鮮味が高いところ。名声ポイントが溜まりきるとドライバーズレベルが上がり、新しいマシンもアンロックされていくぞ。
真ん中上部のスコアが名声ポイント。レースをどう走りきるかで全く違う数値が現れる。 | |
まずは一歩ずつ頑張ろう。そう思いました。 | |
これらドライバーズメダルの獲得条件をこなすことで、多彩なメリットが受けられる。 |
色々な「ドライブ」を楽しめる多様なモード群
本作はお手軽なレースゲーム。ということで、手軽にコースでレースをするために、まずは画面左上に備わる「ドライブ」を選択してみた。ちなみに、ゲーム開始時はチュートリアル風な導入で操作方法が画面上にバァーン!と出るが、逸る気持ちでボタンを押すと、確認する間もなく、そのままレースに突入し、私のように高級車をベッコンベッコン+後部ガラスぐしゃーにしてしまうので、ゲームの開幕を綺麗に飾りたい人は注意しておこう(特にペナルティは無し)。
ドライブで遊べるのは、レース毎の目標をクリアして名声ポイントを溜めていく「ツアー」、CPU車の台数・天候・観衆規模などを自由に設定できる「シングルイベント」、全国のユーザーたちとオンライン対戦が可能な「マルチプレイ」の3種。
メインのキャンペーンモードとも言える「ツアー」では、さまざまな目標を設定されたレースが掲示されており、プレイヤーは各レースごとに順位を競ったり、ドリフトを競ったり、規定値のスピードを計ったりと、複数の達成目標のクリアを目指していく。
目標が3つ用意されていれば、一回のレースで1つ目、2つ目をクリアし、二回目のレースで3つ目をクリアするなど、目標別に狙っていっても記録されるのが嬉しいところ。これらをクリアすると名声ポイントがもらえるほか、画面にクリアした印が記されるので、コンプリートせずにはいられないという人は、1つずつ着実に埋めていく楽しみを見出せるかも?
お次の「シングルイベント」には、各難易度に分かれたCPU車と競い合う「レース」、単独走行で最速を目指す「タイムアタック」、ドリフトテクニックを極める「ドリフト」の3種が搭載されている。ここではCPU相手に自分好みの設定でレースを楽しむことが可能だ。
なお、「レース」では参加マシンの台数・腕前に加え、時刻・天候・経過時間が変えられる。これらを設定することで「早朝から始まったレースも、終盤はナイトレースに」「大量の観客&嵐吹き荒ぶ中でのデッドヒート」「のんびり快晴、1人ドライブ」など、自然環境をセッティングし、レースにバリエーション豊かなストーリーを持たせることが可能だ。朝や夜、雨や雪による環境の変化、それぞれに対応したレース状況の変遷は、ダイナミックに表現される新世代機ならではの美麗さといえるので、百聞よりも一見をオススメしたい。
3つ目の「マルチプレイ」では、ネットワークを介することで、全国のユーザー最大12人によるオンラインマルチ対戦が楽しめる。マルチプレイは画面上にイベント形式で複数のレースが用意されており、その中からレースを選択することとなる。参加レースには開始時間が記されているので、その時間になったらレースが開始される、予約制ともいうべき仕組みが採用されているぞ。
レース開始までシングルプレイで腕を鳴らしたり、ユーザー同士でコミュニケーションを取ったりと、急くことなくプレイできるのが嬉しいところだ。なお、あと1分で始まるレースなどを選択することも可能なので、手早くプレイも十分可能。ただし、レースにはそれぞれレギュレーションが設定されているので、自分が走りたいマシンクラス/コースがある人は、多少の余裕を持つ必要があるかもしれない。
クラブを作ってユーザー同士で協力しよう!
ここまでソーシャルらしいソーシャル要素を紹介していなかったので、最後の意欲的なコンテンツを紹介する前に、本作の「クラブ」について記しておこう。クラブとはつまり、さまざまなゲームタイトルでコミュニティシステムの一環として取り入れられている、「ギルド」やら「カンパニー」やらのユーザーコミュニティを指す。
クラブは最大6人までで構成され、自身以外のメンバーが活躍することでも、クラブメンバー全員にさまざまな恩恵が与えられる。クラブを作ると、そのクラブ独自のデザインアイテム「クラブバッジ」、マシンカラー「クラブデザイン」を作成できるようになるため、クラブごとの個性をより伸ばし、マシンでアピールすることが可能となる。
また、クラブは最大6人構成なため、クラブvsクラブによる対戦にも対応。マルチプレイの中には「チーム戦」も用意されているので、ユーザー単位のコミュニケーションも特に必要なく、不特定多数のクラブと気軽に対戦できるのだ。これらに加え、本作にはほぼ全てのレースにランキングが備わっていたり、トップメニュー下部に全国のユーザーのアクティビティが掲示されたり、各ユーザーに手軽にアクセスできるため、ユーザー同士が輪を繋げるための手段も豊富に備えられている。
いずれもアクセスまでのロード時間や、それらを表示するストレスなども極力カットされているように思えるため、「そのユーザーがどんなふうに遊んでいるのか」を気軽に手早く確認できる、ユーザー観察な楽しみ方も提示しておきたい。
「俺の記録に勝ってみろ」―意欲的なシステム「チャレンジ」を紹介!
トップメニューの2大コンテンツの対となる「チャレンジ」は、“ソーシャルでありながら1人遊び”という、フワフワした一緒に遊んでる感を楽しめるコンテンツ。ここでは、自身がプレイしたレースの記録を、フレンドや不特定多数のユーザーに挑戦状の如く気楽に叩きつけることができる。
また、公開時にパブリック設定にすることで、公開中のチャレンジとして大きなカテゴリ内に掲示される。どこまで幅広い層に投げかけるかという環境に向けた駆け引き、とも言えなくはないが、実際のところは全然物騒な要素はないので、手始めはまず気軽にアップロードするのがいいだろう。
なお、それらを受け取ったユーザーは、チャレンジを投げてきたユーザーの記録に勝利することで、メダルや名声ポイントなど獲得することができる。レースは記録元の条件がそのまま適用されるが、唯一チャレンジ相手のマシンだけは「ゴースト」として、記録に即したドライビングを見せるため、対戦感覚を味わいたい、最速の壁に挑戦したい、対人戦はちょっと怖い…という人にもオススメだ。
チャレンジには挑戦人数&挑戦者ランキングも同時に表示されているので、皆でワイワイ押しかけて記録を狙うといった、気楽であり、真剣でもある楽しみ方でプレイしてみよう。
次世代ソーシャル・レーシングのあり方とは
本作は、次世代ソーシャル・レーシングの謳い文句通り、手軽さと奥深さ、そして誰でも気楽にプレイできるというソーシャルゲームならではの魅力が中核を成している。“サクサクと1プレイ、故に止まらない”のサイクルが回りに回ると、睡眠時間の管理に迫られることだろう。
しかし、サクサクなプレイ感覚であるがため、やはりストーリー性・ゲーム進行を促す要因などは備わっていない。そのため、名声ポイント稼ぎを指針に入れてプレイをしたり、対人要素のオンライン対戦を楽しむといった遊び方も十分だが、クラブやチャレンジへの興味を持ったり、ソーシャル性を上手く取り入れるなど遊び方を工夫しなければ、据え置きゲームとしては若干、空虚な遊び心地になりがちかもしれない。
リッチなテイスト、ストレスの少ないコミュニティシステムなどが整えられ、“分かりやすく&プレイし易い”スマートフォンゲーム特有の遊び心地を上手く昇華している作りであることは確かなので、各コンテンツを手軽にプレイしたり、幅広いソーシャル性を活かしてコミュニティの輪を広げたりと、各自のプレイスタイルがゲームに厚みをもたらすこととなる。
なお、本作はPS4パッケージ/ダウンロード版に加え、PS Plus加入者向けに「PS Plus エディション」が無料提供される。こちらには厳選された計10車種&11コースが収録されており、全オンライン機能を含むコンテンツを無料で堪能することが可能だ。また、製品版へのアップグレードにも対応しており、何気に普通のダウンロード版で購入するよりも安価なのが見逃せないところ。
昨今は据え置き+ソーシャルゲームという括りも徐々に幅を利かせてきているので、レース好きもソーシャルゲーム好きも、そして新しいゲームの形が気になる人も、とりあえずは色々なゲームに付属していたりするPS Plus無料利用権などを利用して、一度プレイしてみてはいかがだろう。