イチオシのギャルゲーを大ボリュームで紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。第27回はプロトタイプより2014年10月9日に発売されたPS Vita/PSP用ソフト「FLOWERS」の魅力をお届け!

目次
  1. 物語
  2. 舞台
  3. 登場人物
  4. プレイインプレッションをお届け!

三度の飯よりギャルゲーが大好きな私が己の煩悩の赴くまま旬のイチオシゲームを紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。今回はプロトタイプさんより2014年10月9日に発売された「FLOWERS」を紹介しますよ!

本作は、PCゲームブランドとして数々のミステリィアドベンチャーゲームを世に送り出してきた「Innocent Grey」が、「少女同士の恋と友情」をテーマに、全年齢対象のPC用アドベンチャーゲームとして発売した同名タイトルのコンシューマ移植版となります。

もともと気になっていたもののスケジュールの都合で紹介は難しいかなと当初は思っていたのですが、10月よりTVアニメが放送されている「グリザイアの果実」(PSP版発売のタイミングで本企画でも紹介しています)を観ていた際に、CMで「FLOWERS」の映像と、霜月はるかさんが歌う主題歌「FLOWERS」を聴いた瞬間、この雰囲気はなんとしてもお伝えしたいと思い、発売後のタイミングにも関わらず、こうして紹介することと相成りました。

いわゆる“百合ゲー”という題材となると、第3回で紹介した「白衣性恋愛症候群」まで遡ることとなるのですが、実際にプレイしてみた感覚としてはまた違う印象が得られた作品でした。それがどういった点に現れているのか、登場キャラクターなどの基本情報をおさらいした上で、プレイインプレッションとしてお伝えしていきたいと思います!

物語

高い塀と森に囲まれたミッションスクール、聖アングレカム学院。美しい少女たちが集う閉ざされた学院に、心に傷を持つ少女、白羽蘇芳が入学する。とある事情から内にこもり家族以外の者と触れ合ったことのない彼女は、擬似的に“友人”を作らせ学院での全てを共にさせる“アミティエ”と呼ばれる試みを行う学院に惹かれたのだ。

学院からあてがわれた仮初めの友、彼女らへ向けられる仄かな恋心。緩やかに流れる学院生活の中で起こる、学院生徒の不自然な消失……。少女たちは学院の中で何を見、何を掴むのだろうか──。

舞台

聖アングレカム学院

三年制のミッション系女学院。一、二、三年生ともに一クラス23名ずつの69名が在籍する。一クラスに一人、クラス委員(級長)が設けられクラスを取りまとめる。尚、生徒会に準ずるものとして、“ニカイアの会”という生徒会組織があり、一、二年生から優秀な生徒が選ばれる(三年生は引き継ぎ終了とし、ニカイアの会は卒業する)。

ニカイアの会の生徒は学院で行われる年間行事を取りまとめるのが主な活動。代表的なものは“聖母祭”だが、他にも“新入生オリエンテーション”“健康診断”“フィールドワーク(遠足)”“宗教講演会”“合唱会”“礼拝”などを教師と共に執り行う。

アミティエ制度

未来を担う女性の育成を目指し、実践的なコミュニケーション能力習得の為に作られた教育システム。入学時に面接、筆記試験が行われ強制的にその者にもっとも適したアミティエ(疑似友人)をあてがわれるというもの。

これは全寮制という性格上、学院側から親しい者を作らせ生活に馴染ませるという理由と、卒業時に広くコミュニケーションが取れる人物を育てるという二つの理由からである。

昨年までは“アミティエ”は二人一組であったが、今年度から三人一組となった。

登場人物

白羽 蘇芳(しらはね すおう) CV:名塚佳織

無口で心配性で小心者──。しかし、群を抜く美人のためか言葉数が少ないのはクールだからとなり、小心者ゆえ人の輪に入れないことは、自立した確固たる個性を持つ少女だと勘違いされてしまう。

学院に入るまでは家族間の事情から祖父と暮らし、学校も通信教育で行っていたため人付き合いが苦手。しかし“人”が嫌いなのでなく、友人を作りたいと思う気持ちは人一倍ある。

また非常に恥ずかしがり屋で、小心者の性格もあいまって緊張するとすぐに赤面してしまう。映画や小説を友としていたため、会話の中で映画・小説の台詞を引用する癖がある。

趣味は文学・音楽・映画鑑賞。

匂坂 マユリ(こうさか まゆり) CV:岡本理絵

何事にも前向きで明るく周囲から慕われるクラスの中心人物。表には出さないものの努力家で、一つのことに集中すると驚くほどの成果をあげることも。

学院に入学したのは自分からの希望ではあるが、それはある悩みを抱えていたことから。社交的ではあるが、たとえアミティエであっても悩みを知られないよう気を付けている。

趣味はお菓子作りと絵画鑑賞。

蘇芳のアミティエの一人。

花菱 立花(はなびし りっか) CV:明島ゆうり

生まじめで面倒見がいい穏やかな性格。クラスのお母さん的立場にあるが、ただ優しいだけでなく駄目なことはダメと言える優しくも厳しい母像。その面倒見が良く穏やかな性格から慕われ、クラスの中心人物の匂坂マユリと同程度の影響力を持っている。

入学試験ではトップの成績であり、面倒見もよく行動力もあることから担任から直々にクラス委員長に指名される。本人も期待され、応えられる自分に誇りを持っており率先して役職にいそしむ。

趣味は紅茶の茶葉集め。淹れるのも飲むのも好きでお茶会を主催する。

蘇芳のアミティエの一人。

小御門 ネリネ(こみかど ねりね) CV:西口有香

カトリックの教義に従い善良かつ温和な人の良い好人物。ハーフであり現実離れした美しい容姿を持つことから、自然と壁を作られ接せられることが悩み。甘えたがりの面もあるが、誰にも地を出せないのが現状。

ニカイアの会の副会長であり、会長の八代譲葉とは幼なじみ。一時期、八代譲葉との交際の噂もあったようだが根拠のない噂どまり程度だったよう。

合唱部に在籍しており部長を任せられている。担当はソプラノ。

趣味は怖い話収拾に、食べ歩き。スイーツは底なし。

沙沙貴 苺(ささき いちご) CV:長妻樹里

好奇心旺盛なトラブルメーカー。意図して災いを振りまくのではなく、箱入り娘だったため何も知らないがゆえに誤解と衝突をまねいてしまう。双子の妹とともに寮生活をスタートさせたが学院生活は目新しい物が多くおおむね満足している。

明るい性格であるため周囲ともすぐに打ち解け、クラスメイトとの仲は良好である。特に匂坂マユリと仲が良い。

趣味は流行り物とカエルの置物集め。

沙沙貴 林檎(ささき りんご) CV:長妻樹里

快活な姉とは真逆のおっとりとした性格……と思われるが実は怠け癖がついているだけ。長く付き合っていくうちに変わり者としての性格が見えてくる。

変わり者で物怖じしない性格ゆえかクラスでは高嶺の花となっている蘇芳にも気負わずに話しかけ、すぐに知人程度の付き合いにはなる。お互い本好きという面が惹かれあうのか……。

趣味は読書と怪談話。

八代 譲葉 (やつしろ ゆずりは) CV:瑞沢渓

エキセントリックで行動的。話し方や話題がとびとびになるため変わっているように思われるがそれも彼女の世界。我が強く思われがちだが、組織の長を務めているゆえか周りに目を配り気遣いのできる好人物。言動や行動が芝居がかってはいるものの、ニカイアの会の会長としての立場からある種の威厳として取られている。

学院生徒からの信頼は厚く熱狂的。ニカイアの会の副会長、小御門ネリネとは幼なじみであり、彼女をネリーとあだ名で呼ぶ。

料理部に所属しているも料理下手。趣味はスポーツ観戦と写真。

車椅子の少女 CV:佐倉綾音

人嫌いの変わり者。男性的なしゃべり方をするが、これも人と自分との間に壁を持ちたいがゆえ。基本として一人を好むものの、からかうためなら相手に声を掛けることも。猫のように気まぐれな性格なため掴みどころがない。

通称、車椅子の少女。病気で足が動かせず車椅子にて生活をしている。

趣味は読書と人の弱み探し。

ダリア=バスキア CV:高城みつ

聖アングレカム学院教師兼シスター。穏やかで包容力のある教諭だが、母というよりもおっとりした姉といった風。厳格なカトリック教徒ゆえ宗教がらみではひかないものの、他の事柄ではまま融通を利かせてしまう面も。一年生の担任でありバレエの指導もこなし生徒からの信頼も厚い。

宗教以外に目を向けた方がいいとのことで、最近は学院温室にて自分の名前と同じ花、ダリアを育て、新しい品種を自分の手で作り上げようと生育している。

趣味はバレエとガーデニング。

プレイインプレッションをお届け!

まず最初に補足しておくと、今回はPS Vita版でのプレイとなったため、スクリーンショット機能で撮影した画面を使い、操作についてもPS Vita版準拠で紹介していきます。その上で遊ぶにあたって操作周りはひと通り確認してみましたが、これに関してはさすがのプロトタイプさんと言いますか、かなり遊びやすかったです。

まずキーコンフィグについてですが、Lボタンで巻き戻し、Rボタンでスキップといったハードに合わせた操作はもちろん、方向キーでの送りと戻しができるなど、プレイヤーの好みに合わせた細かい設定が可能です。タッチ操作についても同様で、利き手や普段使用しているデバイスなどによるクセなどに対応できるよう、左右どちらでも設定ができるようになっています。

そのほかにも左スティック(タッチスクリーンでも可能)による前後の選択肢へのジャンプなど、ほぼ全ての動作がワンアクションでできるように配置されています。意外とありそうでない操作系の充実ぶりに、むしろマニュアルを見ずにどの操作で何ができるんだろうと遊んでたのは秘密です(笑)。

前置きはこれぐらいにして、ゲームの内容について触れていきたいと思います。本作は選択肢を選ぶことでその後の展開が変化するオーソドックスなアドベンチャーゲームとなっていますが、特徴のひとつとしてChapterごとにエピソードが展開するという点が挙げられます。

主人公・蘇芳の視点から物語は描かれるのですが、これまで学校に通っていなかったこともあり、アミティエとなるマユリ、立花との出会いをはじめ、ひとつひとつの出来事が彼女にとって大きな意味を持ちます。そうしたエピソードを断片的にすることなく丁寧に描くことで、彼女自身の感情の機微をダイレクトに感じることができるのが本作の魅力の一つといえるでしょう。

また、蘇芳は基本的に頭の中であれこれと考えてしまうタイプで、そうした特徴をわかりやすく表してくれているのが、時折登場するフキダシです。分かりやすく画面が切り替わることでその文字と、名塚佳織さんが演じられている蘇芳のボイスが染みわたるように伝わり、蘇芳というキャラクターをより掴むことができるのではないかと思います。

もうひとつ、女子校は女子校でもミッションスクールを舞台にしていることが、作品の印象を形づけていると思います。それぞれに口調は異なるものの、テキストの印象以上に話し方には上品さ、というよりは優美さが感じられます。もちろん、バレエや聖書を読む授業がカリキュラムに組み込まれているといったわかりやすい特徴もあり、それらについても用語の説明も含めて丁寧に描かれているので、内容も理解しやすいと思います。

もうひとつ触れておきたいのが、車椅子の少女にまつわるエピソードで登場する謎解きについて。もちろんここでネタばらしをするつもりはありませんが、推理の工程がしっかりと描かれて面白かったので、ぜひゲーム中では楽しんでほしいと思います。ちなみに、間違った選択をしてしまうとそのままゲームオーバーになってしまうシビアなところもさすがでした(私も実際に間違えました)。

これまでに紹介した部分も含めて、一貫して言えるのは蘇芳をはじめとした多彩な少女たちの持つ多感な部分を丁寧に描いていること。私自身、まだ関係が深まっていくところまでは遊べていないのですが、ときに噛み合わない場面がありつつも距離を縮めていくその繊細な歩みをぜひ楽しんでみたいですね。

第27回、いかがだったでしょうか。今回は触れていませんが、小説と映画が好きという蘇芳の会話の中では、聞いたことのある作品名も時折出てきます。知らない人はその作品に触れてみるなど、「FLOWERS」という作品を通して見聞を深めるなんて楽しみ方もありじゃないかなと思ったりしました。

ということで、今回はここまで。次回はいつになるのか正直私も悩みどころではあるのですが、個人的な希望としては年内にもう一作品は紹介したいと思っていますので、期待せずにお待ちください!

FLOWERS

プロトタイプ

PSVitaパッケージ

  • 発売日:2014年10月9日
  • 全年齢対象
FLOWERS

FLOWERS

プロトタイプ

PSVitaダウンロード

  • 発売日:2014年10月9日
  • 全年齢対象
  • PS Storeダウンロード版

FLOWERS

プロトタイプ

PSPパッケージ

  • 発売日:2014年10月9日
  • 全年齢対象
FLOWERS

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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