2022年のPSO2の世界で巻き起こる物語とは？舞台「ファンタシースターオンライン2－ON STAGE－」について酒井智史氏と木村裕也氏に話を聞いてきた

――舞台「ファンタシースターオンライン2－ON STAGE－」が立ち上がった経緯をお聞かせください。

酒井氏：来年（2015年）で「ファンタシースターオンライン（以下、PSO）」が発売されて15週年を迎えるので、それを機にもっとファンタシースターシリーズを広げていきたいと思っていました。そんな時、サクラ大戦歌謡ショウをやっている中山から「舞台はどうですか？」と言われたんです。

正直なところ、PSOと舞台って離れていると思っていたので、少し戸惑いはあったんですよ。でも、PSOは挑戦を続けてきたシリーズなので、舞台化という挑戦をするのも良いかもな思いました。加えて、舞台って特殊な表現を受け入れられる部分があるので、ゲームとは違う新しいPSOを見せられるんじないかと考え、乗らさせていただいたという感じですね。

木村氏：15週年の企画を色々と考えているなかで、その一つとして、舞台化も良いかもなって感じはありましたね。2.5次元という言葉が生まれつつある昨今ですし、PSOの新たな挑戦として、ぜひやってみようと。ただ、舞台化が15週年一発目の企画になるとは思いませんでしたけどね（笑）。一発目でこれだけインパクトのあることをやれたという意味では、かなり面白いんじゃないかと思います。

――本舞台のストーリーを話せる範囲で教えてください。

酒井氏：完全オリジナルストーリーになります。舞台は2022年。PSO2が10週年を迎えていて、今とは違うインターフェースでPSO2がプレイできるという設定です。そんななか、PSO2のユーザーである主人公の男の子が、仲間とPSO2をプレイしている時に事件に巻き込まれてしまい、オンラインとオフラインを行き来しながら事件を解決していくという物語です。

木村氏：話のメインはあくまで現実世界であり、日常風景を描いています。その中にPSO2があるという設定なので、基本は現代劇なんですよ。

酒井氏：舞台を観ていただける方に、オンラインゲームの面白さが伝わればいいなって思ってるんですよ。せっかく舞台化するのであれば、そういう作りにしたほうがPSOらしさが出せるんじゃないかと。

――キャストさんの役どころについてもお聞かせいただけますか？

酒井氏：プレイヤーを演じる人と、オンライン上でプレイヤーが使っているキャラクターを演じる人は、別の役者さんなんです。なのでプレイヤーとキャラクターで性格が違ったりしますし、そのギャップの面白さはオンラインゲームならではですよね。オンラインゲームをプレイした方なら、「あるある！」と共感できる部分もあると思います。

――チャットはどのように表現されているんですか？

木村氏：イメージとしては自分の精神ごとダイブしているので、声で会話をしている感じですね。新しいハードが出て、そういうことが初めて出来るようになったという。それが当たり前になっているというよりは、これからはこういう事ができるようになったんだっていう導入から入っていきます。今まで通りのインターフェースで遊んでいる人も残っているので、吹き出しが出たりもしますよ。

――エネミーはどういった形で登場するんですか？

酒井氏：エネミーは基本的に、ゲームの映像をキャプチャして出す予定です。舞台とゲームのギャップはあまり出さないようにしたいですね。ただ、普段ゲームをプレイしている映像とは違ったり感じで入れる予定なので、プレイしている方には新鮮かもしれないですね。

――舞台版で登場する種族を教えていただけますか？

木村氏：ヒューマン、ニューマン、デューマンは出ます。残念ながらキャストは、表現の問題で限界があったので、そこはちょっと頑張れませんでした（笑）。ただファンタシースターの衣装ってSF寄りで特徴があるので、他の舞台にはない個性があると思います。衣装はゲームのものに準拠しているので、ぜひ注目してほしいですね。

――PSO2というと装備品も特徴的ですが、装備品はどのような形で表現されるのですか？

酒井氏：アクションがあるので、硬い素材だけではなく、柔らかい素材もミックスしながら作っています。結構面白い感じになっていると思いますよ。

――お二人はスーパーバイザーとして参加されていますが、舞台にはどれくらい関わっているんですか？

木村氏：いただいた脚本に関しては、僕と酒井で意見を出して、「ここはこういう流れのほうがいいです」、「こういうのがオンラインゲームの面白いところなんで」、「エネミーや武器はこういうのが良いです」といった感じで、シチュエーション的な提案はかなりさせていただきました。シナリオも最終稿まで手を入れています。

――BGMはゲームのものが使われているんですか？

酒井氏：そうですね。基本的にBGMはゲームのものを使用しています。あとオリジナルの歌も用意していまして、とある、ファンタシースターに関わりのある方に作っていただきました。詳細はまだ内緒ですけど（笑）。

――舞台化を発表した際、ユーザーさんから色々な反応があったかと思いますが、そのあたりはいかがですか？

酒井氏：「誰得なんだ？」っていう意見はありましたね（一同爆笑）。でもやはり、「どういう話になるのか」、「何を舞台化するの？」って反応が多かったですね。物語は僕が先ほど説明した感じになるので「あ、そういうことね」って、分かってもらえたかなと。

――舞台って、行ったことない人はなかなか行きにくい部分もあると思うんですけど、そういう人に向けて「ここは注目してほしい」というアピールはありますか？

木村氏：確かに、舞台を観たことがない方もいらっしゃると思うんですけど、舞台って、ゲームやアニメが好きな方なら絶対に楽しめるメディアだと思います。「これは、こういう形の話の見せ方だな」と感じられるので、これをきっかけに観劇デビューしていただけたら嬉しいですね。

――酒井さんが「舞台に出なさい」と言われたら、どんな役をやりたいですか？

酒井氏：実は最初、プロットに「ゲーム開発者」って役があったんですよ。PSO2を開発している人ですね。まあ「やだなこれ！」と思って止めてもらったんですけど（笑）。

――それでは最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。

木村氏：PSO2は感謝祭やドラマCDなど、ゲーム以外の展開もどんどんやっていきたいなと思っていて、その中の一つが舞台になります。色んなメディアを含めて、全てをPSO2のコンテンツとして楽しんでいただきたいと思っています。楽しみにしていて下さい。よろしくお願いいたします。

酒井氏：PSOには、これからどんどん新しい人に入っていただいて、新しいメディアとして広げていきたいと思っています。舞台版を機にオンラインゲームに興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいですし、逆に、舞台を観たことがない方に、舞台の面白さに気付いほしいとも思っています。PSO2をプレイしている方には、結構笑いどころがあるので、ぜひ楽しみにしていてほしいですね。今回の企画は15周年の第一弾で、これから第二弾、第三弾と続いていきます。もっともっとPSOの世界を広げていきたいと思ってますので、これからの展開に期待していて下さい。