ホリが発売中のPS4/PS3対応アーケードスティック「リアルアーケードPro.V4 Silent隼 ミッドナイトブルー」。本稿では静音モデルの特徴をはじめ、歴代シリーズと比較したレバーおよびボタンの操作感についてレポートしていく。

アーケードタイプのゲーム(格闘ゲーム/シューティングゲームなど)を、自宅でアーケード環境そのままにプレイするための心強い味方「アーケードスティック(以下:アケコン)」。これを使用することにより、多くのアーケードゲーマーたちはパッド型コントローラでの操作感の違いに悩まず、全身全霊をもってゲームのプレイに集中することが可能となるのだ。

しかしこのアケコン、残念なことに、ときには諍いの原因になることも。「実家暮らし」「壁の薄い住宅」に住んでいるプレイヤーには心当たりが浮かぶことだろう。そう、ずばり“うるさい”のだ。アケコンというのはゲームセンターでプレイしているときには気付かないものだが、一般の家庭環境で操作すると本人はおろか、家族・隣人にも聞かせてしまうほどの盛大なガチャガチャ音を奏でてしまう。

壁一枚はお手の物! とばかりに飛び越えてくれるその騒音により、住宅環境のアドバンテージを有していない幾多の家ゲーマーたちは、時に肩身を狭くしながら、涙を呑んで過ごしてきたことだろう。だが、そんな時代もようやく終わりを告げる! 家庭用周辺機器に定評のあるあのホリが、いよいよ静音ユニットを組み込んだ「リアルアーケードPro(通称:RAP)」を発売してくれたのだから!

“静音モデル”とはなんぞや?

今回紹介する「リアルアーケードPro.V4 Silent隼 ミッドナイトブルー(以下:RAP V4)」は、Amazon限定で販売されている「リアルアーケードPro.V4 Silent隼」の一般流通版として、2014年12月4日より発売されているカラー違いの同等機。

本製品には、静音ユニットを組み込んだレバー&ボタンをはじめ、スライドスイッチの切り替えひとつでPS4/PS3に対応できたり、プレイ中に誤操作を起こさないようにする「ファイティングモード」、パッド型コントローラーにそなわる方向キー/左右アナログスティックを割り当てられる「方向キー切替機能」、同社お馴染みの「連射機能/連射ホールド機能」が搭載されている。

ここで取り上げるのはもちろん、同社が新規開発した2つの静音ユニットだ。レバーは最大15%の入力荷重をカットしつつ、無接点の光学式スイッチを採用し、約5dBの静音化を果たした「サイレント隼」。ボタンはがたつきを最大60%カットしつつ、衝撃吸収のための緩衝材を採用し、約9dBの静音化を果たした「サイレント玄」。いずれも前述した騒音の課題を一身に担ってくれる、静音化の立役者である。

「部屋の向こうまで」から「部屋の中だけ」に

この静音についてだが、殆どのユーザーは使用後数十分で効果について体感できると思う。筆者は開封時に静音がどんなもんかとボタンをポチった時は「あれ、意外に音が出る…」と感じてしまったが、音を確かめながらの操作、音なんか気にもせず対戦に没頭、そこで我に返った結果、明らかに騒音であったものが物音まで減じられていることに気が付けた。

静音モデルの一番の違いは、アケコンが発する音が響かなくなったこと。従来の機器では「カチャカチャ」「ガチャガチャ」といったプラスチック同士の衝突音が甲高く響いていたのだが、RAP V4の静音ユニットでは「カタカタ」「コロコロ」といった、擬音としても表現しづらいほどのくぐもった感じの音に抑えられている。

ただし、従来製品に比べれば減じられているのだが、レバーユニットに装着されているレバーガイド、ボタン可動部の外枠となるボタンガイドと可動部分の衝突音、打鍵の力加減で響いてしまう反響音、押したボタンが定位置に戻ってくる際の音などは発生してしまうので、無音というには少し遠い。また、“押して操作”する人は静音効果がグンと上がるもの、“弾いて操作”する人は若干の物足りなさを感じてしまうかもしれない。

まあ、RAP V4を枕にして寝ている人を起こさないよう操作するのは困難だろうが、静音モデルに期待する“あれぐらい静音だったらいいなぁ”というイメージを裏切ることはないはず。格闘ゲームの対戦中、アケコンの打鍵音だけでッターン!タッ!タターン!!と「君だけ音ゲーやってるのかな?」という物音を披露してくれる友人に縁がある人も必見だ。

今回は私物をひっぱし出してきました。

レバー&ボタンの使用感をレビュー

静音については期待通りの効果を発揮してくれた「RAP V4」だが、その操作感はいかがなものなのか? どんなスポーツであれ、作業であれ、人間の操作・動作をダイレクトに伝える機器というのは全てが平等に公平に存在しているわけではない。だからこそプロフェッショナルは自分なりのアドバンテージを有するため、自身の力を最大限に発揮するため、戦うための専用機器に細心の注意を払う。アケコンだって例外じゃないのは、言うまでもない。

ここでは、高級感あふれるメタル仕上げの天板が多くのゲーマーを魅了した初代「リアルアーケードPro.」から始まり、今でも多数の使用者に愛用されていることだろう「リアルアーケードPro.V3 SA(以下:RAP V3)」でRAP道を歩んできた筆者による、RAP V4の使用感を紹介していく。

RAP V4の発売同日にPS4向け格闘ゲームさえ発売されなければ、あと数年はRAP V3を使っていくだろうと思っていた筆者。RAP V3の使い勝手にはいまだ何ら不満もないのだが、家にやってきた子猫(RAP V4)ばかりを可愛がってしまっていたので、この機会に改めて筆者個人としての使用感を比較・検証してみることにした。

注意事項

以降のレバー入力表記は、下記のテンキー準拠で記載します。

レバーを回す

RAP V4のレバーの特長は、回転操作や前後左右に対する急制動のレスポンスに特段優れているということ。全8方向に対してびっくりするほどスムーズに回せるレバーは、RAP V3がシャキシャキとすれば、RAP V4はヌルヌルである。しかし、標準のレバーガイドが正方形型に設置されているため、レバーを外側に沿って回すと四角形になっているため、斜め方向に若干の引っ掛かりを覚える。こちらは何らかの形で対応しておきたい。

外形やストロークは従来のユニットとそう大きく違いがないので、対戦格闘、アクション、シューティングと使用するジャンルは問わずに済む。同時に、レバー慣れしていないプレイヤーでも至って扱いやすく、ぐるぐる回しているだけでも気持ちいい操作が楽しめるはずだ。

なお、筆者の様にレバー操作が多少なりとも雑な人は、レバーが柔らか過ぎるがゆえ、手元が暴れ易くなることも。格闘ゲームを例にすると、基本操作やキャラクターの立ち回りは変わらず機敏にこなせるのだが、236236、6412346、2141236といった特定のコマンドがスムーズに入力できないケースがちらほら(個人的にです)。原因を調べてみると、4 or 6方向で止めるべきコマンドを、思わず7 or 9方向まで入れてしまっていることが分かった。

あえて理由をこじつけるならば、メカニカルロスの少ないレバーがかつてないほどスムーズに動作するため、慣れていないプレイヤーは手元に届くはずの反動が少な過ぎることで、思わず暴れてしまうのだろう。コマンド入力の猶予が短いタイプのゲームでは、より顕著にそれを感じることとなった。

まあこれついては武器に転じれば強力な「滑らかさ」となりうるので、手元の感覚を馴染ませ(多少は克服しました!)、レバーガイドの変更なども考慮しながら、機器側に合わせていく努力次第といえる。2369などのジャンプキャンセルを利用する操作では、利便性が高いことだし。

手前の傾斜が手首にフィットするんです。

レバーを倒す

RAP V4のレバーはニュートラルから8方向に向けて倒す際、RAP V3に比べると“薄絹一枚を挟んでいる重さ”を感じてしまう。この静音ユニットがもたらす重さは、操作に対しての障害とまではいかないのだが、22や66といった二重入力、6>N>9や4>N>7といった空中ダッシュの簡易入力時に、数瞬の重さを感じてしまう。かつ、RAP V3では手元でレバーに一定の荷重をかけていくと「カチッ」と手応えがし、入力判定がスタートするのだが、RAP V4にその境目が用意されていないので、この手応えについても確認しておく方が良いだろう。

一方、レバーをニュートラル位置に戻すときの反発力は、力強く瞬発力も高い。ニュートラルを経由する操作で上手く扱えれば、RAP V4ならではの武器にもなりうる。また、弾くように手放してもレバーが暴れ辛く、正位置にガッシリと固定されやすいのも嬉しい点だ。

なお、レバーについてはいずれも格闘ゲーム畑でぬくぬくしている筆者の観点であるので、何がメリットになるかはプレイヤーならびにジャンルでそれぞれ。8方向をひっきりなしに動かす3次元的操作が売りのアクション、ダウンロードタイトルに多い往年のベルトスクロール、ニュートラルを定位置としてレバーをずらしていくシューティング、レスポンスよく左右に動かしたいパズルなどでは、上述した特性は移り変わっていく。

倒すときは一定の重さがあり、戻すときは素早い反動があり、回すときは殆ど反動がないというスタンダードを突き詰めたスタイルなため、「初心者の扱いやすさ」と「上級者が求めるピーキーさ」がうまく共存している。筆者としては、レバーのポテンシャルの高さこそが、RAP V4の一番の魅力だと考えているが、いかがだろう。

レバーおよびボタンの配置は「ビュウリックス配置」。

ボタンを押す/離す

ボタンは押す力も戻る反動も少な目。ボタンの可動部分とガイド(外枠)の間に若干の隙間があるが、ボタンがブレたり、がたついたりはないものとして捉えていい。レバーとの距離感が近いアーケード筐体に近似した設計はままに、優等生な仕上がりをみせてくれる。

なお、ボタンを押す or 放すときのストロークの反動が薄いことは、おそらく好みが分かれる点だろう。筆者の所感でいえば、「柔らかくタッチするように入力する人」には最良の形であり、「ボタンの打鍵音でリズムを図る人」などはネックになるかも。テンポ良くボタンを入力する場面に出くわした際、プレイヤーは「画面上の動作やガイド」はもちろん、「身体的なフィードバック(音や反動)」も判断材料にするからだ。これらのフィードバックはそれ単体で状況を判断しきることがなくとも、“これらを含めての判断”することが非常に多い。

確かに、完全無音なアケコンが世に誕生したら感動するだろうが、そんなアケコンではプレイを補助する身体的情報が圧倒的に不足してしまうことだろう。RAP V4の目指す静音モデルのあり方というのは、プレイに必要な音や反動といったフィードバックをしっかりと拾いつつも、無駄な音は極力削っていく“しのぎの道”なのかもしれない。

究極の家庭用アケコンへの第一歩

RAP V4では“静音の恩恵”を享受しながらも、高品質にまとめられたアーケードスティックが体感できた。レバー初心者が扱うのであれば、使用時にでてくる不満点はプレイの上達とともに解消されていき、いつしか最良のパートナーとなりえることだろう。

一方で、既存のアケコン製品に慣れている人は、扱いやすさと同時にレバーのピーキーさ加減を感じとってしまうので、手元の癖がポテンシャルの高さに振り回されてしまう可能性も。また、静音という機能も純粋な戦闘用機器に必要なものであるかといえば、現時点ではプレイ環境に対する一種のアプローチでしかないので、操作感の向上といった副次的な効能を寄与するようになるのは、もう一つ先のステージなのかもしれない。

…などと少しネガティブ気味になってしまったものの、家庭で扱うためのアケコンとしてはベストの道を歩み始めているのは明白だ。アケコンならではのガチャガチャ感というのは、傍目で見て、聞いていたら家庭内に発生するゲーマーの騒音でしかない。アケコンの操作音が運命の出会いに繋がったという事例でもあるならばやる気の一つも出すところだが、全力でゲームをプレイするのであれば、家族であれ他人であれ、騒音はエチケットとして考慮しておきたい点である。

また、研鑚の先にどうしても合わないと感じるのであれば、レバーやボタンを取り換えるというのも一つの手だ。コントローラーを敗北の理由にするよりも、RAP V4だから勝てたと言えることの方がモチベーションとしてはより良い。

なお、同社によると本製品は「諸般事情で生産終了」になるとのことで、もし店頭で見かけた際は早めに確保しておくのが良さそうだ。さらに、こちらは静音モデルではないものの、2月13日には薄型新形状+低重心設計を追求したとする現行のフラッグシップモデル「リアルアーケードPro.V 隼 for PlayStation4/PlayStation3」が発売されるので、PS4向けのタイトルラインナップもボチボチ揃い始めている昨今だからこそ、次世代型のアーケードスティックに乗り換えてみてはいかがだろう。

製品概要

品名:リアルアーケードPro.V4 Silent隼 ミッドナイトブルー
対応:PlayStation4/PlayStation3
発売:2014年12月4日
価格:18,144円(税込)
品番:PS4-028
JAN:4961818023819

主な仕様

全長×奥行×高さ:約430mm×約230mm×約125mm(スティックレバー含)
質量:約2,200g
接続:USBケーブル接続(ケーブル長/約3m)
レバー:弊社製 新規開発“SILENT隼”レバーユニット
ボタン:弊社製 新規開発“SILENT玄”ボタンユニット(○,×,△,□,L1,L2,R1,R2)、弊社製 HORIボタン(OPTIONS)

※本品はステレオヘッドホン/マイク端子、ライトバー/タッチパッド機能、振動機能およびモーションセンサー機能には対応しておりません。
※記載されている機能以外は搭載しておりません。
※一部のPlayStation4およびPlayStation3規格ソフトウェアではお使いいただけない場合があります。
※本品はPlayStation2、PlayStationおよびPS oneにはご使用になれません。
※本品はPlayStation2規格のソフトウェアでの動作保証は致しません。
※本品はワイヤレスコントローラーではありません。

製品紹介ページ
http://www.hori.jp/products/ps4/ps4_rap_silent_mb/

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