タイトルを聞くと「ガキの使いやあらへんで!優勝を取って帰らなあかん!」と無駄に力んでしまうことでおなじみ(?)の「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会 ~オールスタースペシャル~」のインプレッションをお届けします。
くにおくんというと、世代によって印象深いタイトルが違うようです。
くにおくんが最初に登場したのは1986年で、アーケードゲームの「熱血硬派くにおくん」でした。1987年にはファミコン版の「熱血硬派くにおくん」が発売され、アーケード版の「熱血高校ドッジボール部」、1988年発売のファミコン版「熱血高校ドッジボール部」と、活躍の場を増やしていきます。ボクは個人的にはくにおくんというとこの辺りのタイトルの印象が強いです。ドスや拳銃のインパクトもすごかったですし……。
一方、1989年に登場した「ダウンタウン熱血物語」とそれ以降のデフォルメキャラ&マルチプレイタイプのゲームは、当時の小学生にとっては代表的な対戦ゲームで、友達の家でワイワイ楽しんだ人たちにとってはファミコンのマストアイテムだったようです。
そのマルチプレイ主体で対戦要素満載のゲームとしてファミコン版「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会」やゲームボーイ版「ダウンタウン熱血行進曲 どこでも大運動会」があります。
ファミコン版「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会」は一人でプレイするとステージセレクトがなかったので、ボクは「夢見町クロスカントリー」で勝てなくて、なかなか次の競技で遊べなかったんですよ。やっと進めても「障害部屋競争」でゲームオーバーになることもあり、最後の「勝ち抜き格闘大会」まではなかなかたどり着けませんでした。
そんな悲しい気分を吹っ飛ばすために、先日発売されたプレイステーション3版「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会 ~オールスタースペシャル~」のサンプルロムをGamer編集部からお借りしましたので、早速プレイを始めてみます。
ゲームを起動すると「なめんなよ!」のセリフが鳴り響くタイトル画面。しばらく待っているとデモではあの軽快なBGMが流れてきます。最近ではお笑い芸人・流れ星のちゅうえいさんの持ちネタ・天秤ちゃんで耳にすることも多いクシコス・ポストが流れてくると、「夢見町クロスカントリー」で負け続けた忌まわしい過去が思い出されてしまうため、さっさとデモを切り上げます。
再びタイトルに戻り、メニューを開くと「SINGLE PLAY」「FREE PLAY」「ONLINE BATTLE」「CREATE」「OPTION」の5つのモードが並んでいます。
「FREE PLAY」を選べばファミコンの時と同じようなテイストでゲームをプレイでき、「ONLINE BATTLE」を選んでマッチングが成功すればどこかの誰かと一緒に対戦を楽しめますが、最初は選べるチームが少ししかありません。
必然的に「SINGLE PLAY」をプレイすることになります。しかし、普通にプレイするとファミコンの時と同様苦戦しそうなので、難易度は「やさしい」を選んでおきます。
「SINGLE PLAY」は、オリジナルのキャラクターを作り、熱血高校の1年生として大運動会の優勝を目指すストーリーモードです。難易度は「やさしい」「普通」「難しい」の3段階から選べるため、「やさしい」を選択。キャラクターの名前を入力し、髪のパーツ、髪の色、顔のパーツ、肌の色を決めると、簡単にオリジナルのキャラクターを作ることができます。髪や顔のパーツはゲーム内のキャラクターと重複することがあるかもしれないけど、肌の色を青とか緑とかピンクとかいろいろな色に設定することができるため、どのキャラクターよりも目立つキャラクターを作ることができます。顔や髪の範囲の問題でロンゲのキャラクターは作れませんけど、際立ったキャラクターが作れるのでOKとしておきましょう。とりあえず「さけかん」というキャラクターを作ってゲームを進めましょう。
「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会」といえば、冷峰学園前生徒会長の「やまだ」の悪巧みから起こった「ダウンタウン熱血物語」の事件が解決した後、新しい生徒会長の「とうどう」が全生徒会長の不祥事を詫びて高校生らしく共に汗を流すために高校対抗の運動会を企画するけど、実は……という内容でしたけど、今作ではそのシナリオ部分が充実した内容になっていて、ストーリーがかなり厚めになっています。
プレイヤー自身はカスタマイズした新キャラクターを用いて、熱血高校の一員として戦うことになります。
とは言っても、まずはメンバー入りしなければなりません。そのため、早速熱血高校の仲間たちと「夢見町クロスカントリー」で勝負をします。
「夢見町クロスカントリー」は、夢見町を一周してゴールを目指す競技ですが、民家に突っ込み、屋根の上を走り、下水道を泳ぐようなハチャメチャな競技。複数のマップが連なったコースに対して、それぞれのマップのゴールに素早く入ればポイントが入り、最終的な順位も大事になってくるため、マップごとに緊張を持ってプレイすることになります。
プレイヤーキャラクターは現時点で何一つ成長していない素のデータの為、めちゃくちゃ弱いです。しかし、1位を取らないと成長できないので、姑息な手段を使ってでも1位を目指します。そうなると、やるべきことは相手を失格に追い込むこと。このゲームでは、競技中に殴り合うことは公認されていて、体力が0になるとその選手が失格になるため、自分の体力が0にならないように気を付けながらライバルを一人ずつ減らしていくことがかなり有効なのです。
さて、レーススタート。ファミコン版だとスタートの号令前にちょっと前に出てひじ打ちを食らわすような技ができましたけど、今作の場合、フライングの概念がなく、スタートの号令とともに全員一斉にスタート。ちょっとした変化に戸惑うものの、レースが始まってみると、意外とCOMの選手の動きが鈍い。もしかしたら難易度を「やさしい」にしたからかもしれませんけど、簡単にライバルに追い付けるのであれば、殴り合いをしながらのレース展開に持ち込んでいきましょう。
マップごとにゴールにたどり着くのが早いとポイントが入りますけど、ライバルを殴ってもポイントが入るので、自分がやられていなければ攻撃を繰り返すことはかなり有効。ライバルを一人失格に追い込むと、最後にマップのゴールにたどり着いても次のマップに移った時に3番目にスタートできるようになるので、今度は2位のライバルを殴っていき、ひとりずつライバルたちを闇に葬っていきます。熱血とは相反する行動のような気がしますけど、これからの冷峰学園との戦いを考えるとある程度冷結な作戦も必要です。
どうにかライバル3人を失格にして1位でゴールをすると、選抜メンバー入りをすることができました。さて、ここからが勝負です。
ちなみに、競技が一通り終わると、対戦したライバルたちの顔や髪、必殺技といったデータが手に入り、「CREATE」モードでキャラクターを作るときに部品として使えるようになり、戦ったライバルチームは「FREE PLAY」や「ONLINE BATTLE」で使用できるようになります。そして、ライバルが持っている必殺技の中から2つまで自分の必殺技として設定できるようになります。
続いて、練習試合。熱血高校に対して冷峰元生徒会、冷峰四天王、冷峰運動部の3チームが勝負を挑んできました。あっ、同じ学校からいくつものチームが参加していいんだ、などと思ってみましたけれど、冷峰学園のことだからどんなことをやって来るかわかりません。これくらいのことは全然レギュラーな事なのでしょう。
男の子たちに交じって女の子の選手が何人か参加しています。女の子を殴ってもいいのかな?などと、かつて「熱血硬派くにおくん」でみすずと殴り合った日々のことをすっかり忘れていますけど、実際にゲームが始まると発言自体を忘れて殴りまくっていました。ごめんなさい。
ここで行われる競技はファミコン版と同じ「夢見町クロスカントリー」「障害部屋競争」「棒の上の玉割り競争」「勝ち抜き格闘大会」の4種類。但し、ファミコン版だとライバルが殴り合いよりもレースに夢中の印象だったのですが、今回はライバルの中に必ず攻撃をしてくる人がいて、それなりにバトルが白熱します。
「棒の上の玉割り競争」では2つのチームにわかれて戦うのに、一緒に戦っているはずのチームのヤツから殴られていて、わけわからぬ展開になるも、「勝ち抜き格闘大会」ではライバルたちが次々と勝手に落下していき、気が付けばどうにか勝てていました。
「CREATE」で使えるパーツが増えていく中で、女の子キャラの髪や顔がゲットできなかったのが気になりましたけど、ライバルチームが3チームあるといろいろと使えるようになるモノがあり過ぎてかなり圧倒されます。
続いて特訓モードが発生し、好きなだけ4種類の競技を練習してもいい状況になりましたけど、競技をしてもレベルアップをしないようなので、パスして次へ。
ついに予選第1回戦。運動会の会場に爆弾が仕掛けられているという状況の中、熱血高校チームは明暗高校チーム、秋葉学院チーム、千里台高校チームとの対戦に挑みます。
ここでの対戦は、「障害部屋競争」×2、「棒の上の玉割り競争」、「夢見町クロスカントリー」、「勝ち抜き格闘大会」×2という競技順。熱血高校チームは意外とチーム力があるので、(というか、難易度「やさしい」だからですが)あっさりと勝利。しかし、対戦が終わった後、爆弾で一人負傷。次の勝負では補欠が入れ替わりでチームに入り、確実にチーム力が低下することになりました。
予選2回戦は先の爆弾事件のせいで2チームでの対戦になり、熱血高校チームVS花園高校の熱い戦いが始まります。あれっ? 4チームないと対戦が成り立たないのでは、と思うでしょ? 実はこの対戦では、各競技に1チーム2人ずつ出場させることになるのです。
行う競技は「夢見町クロスカントリー」「障害部屋競争」「棒の上の玉割り競争」「勝ち抜き格闘大会」×3という順番。出場させる選手を1人選んだら、COMが操作するキャラクターはCOMが勝手に選んでしまうため、競技に合わせて適性のあるキャラクターが選ばれるかどうかはわからなかったりします。温存しようとしていたキャラクターをCOMが選んでしまうと、せっかくのキャラクターの体力が減ってしまうのでは?と思ったのですが、どうやら「勝ち抜き格闘大会」以外で減った体力は次の競争には回復しているようで、一安心といったところ。
同じチーム同士の場合は殴れないような設定になっているため、「棒の上の玉割り競争」と「勝ち抜き格闘大会」では心置きなく攻撃をしまくれます。更に、「勝ち抜き格闘大会」では同じチームが2人残るとその時点で2人とも1位になるため、「勝ち抜き格闘大会」が3試合もあるのは勝負をする上でかなり重要なポイントとなります。
続いて、女の子の差し入れのドリンクを飲むことで、チームのある人が腹を下して欠場。遂に熱血高校チームは5人になってしまい、なぜかプレイヤーキャラクターがキャプテンになってしまいました。
本戦1回戦では、競技に出場した選手は失格(体力0)になるまで選手変更ができないし、失格になるとその後の競技には参加できないという特殊ルール。キャプテンと副キャプテンには特別なポイントが付くようで、若干ながらプレイヤーキャラクターは強化されているようですが、それでも成長途中のキャラクターゆえに弱さはぬぐえません。
熱血高校チームの対戦相手は、服部学園チーム、影村学園チーム、恐山商業高校チームの3校。競技は「夢見町クロスカントリー」「棒の上の玉割り競争」「障害部屋競争」×2、「勝ち抜き格闘大会」×2の順に行われます。
しかし、プレイしていて何かおかしいと思ってしまいました。「夢見町クロスカントリー」や「障害部屋競争」のコースが明らかに違うし、「棒の上の玉割り競争」では棒が一つしかなかったんですよ。もしかして、毎回コースやマップが変わっていたりしました?? どうやら、コースマップは対戦ごとに違うようなので、マップを見た瞬間にどう戦えばいいか判断できないと不利な展開になりそうです。
今回のルールは特殊ルールの為、失格になるタイミングを見極めながら戦う必要があります。遊んでみた感じだと、普通に勝ちを狙うよりは、ライバルたちを殴りまくって失格に追い込み、プレイヤーが操作するキャラクターの体力が減って来た時は、どこかで捨てる試合を見つけるようなやり方がよさそうです。
本戦2回戦では、熱血高校チームは、各校連合チーム、死愚魔高校チーム、百合ヶ丘女子チームとの戦いになりますが、死愚魔高校チームと百合ヶ丘女子チームが結託して熱血高校チームを潰してくる構図になります。
競技は「勝ち抜き格闘大会」×2、「棒の上の玉割り競争」×2、「夢見町クロスカントリー」×2、「障害部屋競争」×2の順に行われ、まともに殴り合いに応じるとかなりの確率でやられてしまうため、できるだけ逃げるようなスタイルでの試合展開。「障害部屋競争」で落ちると一発失格の仕掛けがあるのに唖然とするも、どうにか勝利。
いろいろと変則的な戦いをするものの、かろうじて勝利を収めて来た「さけかん」率いる熱血高校チームですが、最大のピンチがやってきました。ここで場外乱闘が発生して、「りゅういち」と「りゅうじ」が率いる冷峰学園軍団が襲ってきました。
画面には敵が7人いて、こちらは2人での戦い。3分間逃げ切るか敵を全滅させると勝利という勝利条件がありますが、敵は倒すと次の敵が出てきて、何人倒せばいいかわかりません。一方、味方はというと、45秒と1分30秒にそれぞれ一人ずつ仲間が参加してきて、最終的に4人で戦うことになりますが、敵は常に画面に7人いるため、囲まれるととにかくひどい目にあいます。結局、30回以上ここのバトルを繰り返したのですが、残り0秒でやられる悔しい思いをしつつ、結局1回も勝てず、続きはいずれまた、となった次第。
さて、反省会!
まず、一番大事なことは、プレイヤーキャラクターを育てること。プレイヤーキャラクターは1位になると能力がアップしていくので、勝てそうな競技で積極的に使っていきましょう。最初の方は先輩たちが強すぎるため、どうしても勝つために先輩を使ってしまいたくなりますが、そうすると最終的には場外乱闘で苦戦することになるため、早目にプレイヤーキャラクターを育てないといけないのです。
プレイヤーキャラクターは必殺技を設定できますが、この必殺技をどれにするかも勝利をもぎ取るうえで大事になります。例えば、格闘系の競技を先輩たちに任せるとしたら、プレイヤーキャラクターにはレース系で有利になるような必殺技を持たせるとよいです。個人的に気に入った技は、人間ドリルと魚雷泳法。人間ドリルがあると、周辺のライバルを蹴散らした上で前に出ることができるので、一石二鳥な展開になります。魚雷泳法は「夢見町クロスカントリー」でしか使用できないですけど、水の中で確実にポイントを稼ぐためにはかなり有効になります。また、熱血高校チームだと「ななせ」が持っているスライディングも全体的に使い勝手がよかったのでプレイヤーキャラクターにも使わせてみたいと思いました。
プレイヤーキャラクターを育てることを重視しつつ、それ以外の競技については、当たり前すぎることですけど、できるだけ特性のあったキャラクターを割り当てることを心がけましょう。適当にキャラクターを選ぶのではなく、しっかりと取扱説明書に書かれているパラメータを見て使用するキャラクターを決めるべきです。「棒の上の玉割り競争」でパンチが弱い人を使っちゃだめですよ。「勝ち抜き格闘大会」では得意な必殺技を持っている人を使っていきましょう。
ファミコン版に比べると、しっかりとしたストーリーがあり、使えるキャラクターが100人以上に増え、成長要素があり、各競技もどちらかというとドタバタと殴り合いをすることが大事になるような作りになった「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会~オールスタースペシャル~」。かつてファミコン版で熱く戦った人たちにとっては、ジャンプが2つのボタンの同時押しではなくて1ボタンに割り当てられているところなどいろいろな変化に対応するのに時間が掛かるかもしれませんけど、当時負け続けたボクみたいな人にとっては勝てるチャンスがある作りになっていることを確信できました。
とりあえず一人で「SINGLE PLAY」をしつつ、いずれは友達を呼んでの「FREE PLAY」や、世界中のライバルたちとの「ONLINE BATTLE」を楽しめる作り。「CREATE」でキャラクターを作ったり、コース設計をしたりもできるので、かなり長く遊べるゲームにまとまっていますよ。
ボクは再び場外乱闘で負けないように、これで体作りから始めようかと思います。
嘘ですけどね。あっ、そっか。場外乱闘では味方をおとりにして逃げ回っていると……(3分経過)……無事クリアできました。さて、続きをプレイしますか。
プロフィール
酒缶(さけかん)/ゲームコレクター
1万本以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。ゲーム関係者へのインタビューをまとめた電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション」を展開中。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」など多数。価格コムでは、ゲームソフトとAndroidアプリのプロフェッショナルレビュアーを担当している。
■公式サイト「酒缶のゲーム通信」
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http://twitter.com/sakekangame■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション1」
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