セガゲームスが、iOS/Android向けにサービスを行なっている「ファンタシースターオンライン2 es」(以下「PSO2es」)。1周年アニバーサリー大型アップデートについて、「PSO2」シリーズプロデューサーの酒井智史氏と「PSO2es」ディレクターの陳智政氏に話を聞いた。
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「PSO2es」は、PC/PS Vita向けにサービスを行なっている「ファンタシースターオンライン2」(以下「PSO2」)と世界観を共有しているオンラインRPG。
画面をタッチするだけでターゲットを攻撃するというスマートフォン向けのシンプルなバトルシステムが採用されており、一見簡単に見えるがフォトンアーツが発動できる“チップ”をエネミーの属性にあわせて変更することで、奥深い戦闘を楽しむことが可能だ。また、「PSO2es」を「PSO2」と連動させることで、クラスの経験値を獲得することや、マグの育成ができる。
そんな「PSO2es」のAndroid版の正式サービス1周年を迎え、4月2日より1周年記念スペシャルクエストなどが開催している。ここでは、4月下旬に実施予定の新ストーリーモードやマイショップ連動機能などが追加される1周年アニバーサリー大型アップデートを中心に、、「PSO2」シリーズプロデューサーの酒井智史氏と「PSO2es」ディレクターの陳智政氏にインタビューを行ったのでその内容をお届けしよう。
ユーザーに支えられて1周年!
――Android版が1周年を迎えましたが、「PSO2es」の状況と率直な感想を教えてください。
酒井氏:目標としていた“境界を超えるRPG”というコンセプトをこの1年間でしっかりと体現することができたので良かったです。ただ、サービスインしてから6月にDDoS攻撃を受けて1ヶ月間サービスが停止したり、通信負荷でラグが発生してしまったりと、ユーザーの皆さんにはご迷惑を掛けてしまう結果となりました。
最近では、緊急クエストの報酬アイテムなどでも連動要素が徐々に強まり、通信負荷についても解決ができつつあります。1周年アニバーサリーアップデートに向って連動要素も用意しているのでユーザーの皆さんに楽しんでもらえると思っています。
陳氏:セガゲームスのなかでもあまりやったことのない、複数のプラットフォームでの遊びを考えるというところに、チャレンジしがいがあったと思っています。また、先日放送されたニコ生「PSO2放送局#30」やアークスキャラバン仙台の会場では多くのユーザーの皆さんに声援をもらうことができ、本当にたくさんのユーザーに支えられてきたことを実感いたしました。
――4月1日より1周年アニバーサリーイベントを実施していますが、手応えはどうでしょうか?
陳氏:イベント実施後のログイン数も非常に良く、通常時に比べて、約2倍以上ユーザーが新たに「PSO2es」を始めていただいています。また、復帰ユーザーにも多く戻ってきてもらえたので、非常に手応えを感じています。同じクエスト報酬アイテムが「PSO2es」と「PSO2」それぞれのプラットフォームで入手できるという新しい試みも好評頂いています。
酒井氏:「PSO2es」と「PSO2」の連動は、まだあまり知られていない部分があるということを感じました。今回の連動イベントを開催したことで、理解してくれたユーザーも多いかと思います。
――「PSO2」をプレイせず「PSO2es」のみで遊んでいるユーザーはどの程度いるのでしょうか?
陳氏:数字的に言いますと1割から2割のユーザーが「PSO2es」のみで遊んでいますね。
酒井氏:僕らはもっと増えて欲しいと思っています(笑)。
ユーザーがレアエネミーチップを確実に入手できるような仕組み作り
――OP(オペレーションポイント)という行動力制とボーナススクラッチを導入した理由は?
陳氏:これまでは緊急クエストに行くときに行動力を消費していましたが、それだと、どうしても通常クエストと緊急クエストのどちらかにしか行けなくなってしまうので、なんとかしたかったというのがありました。
最近の例ですとセラフィの1周年記念クエストではスペシャルクエストと緊急クエストの両方が同期間に開催されていますが、こういった複数のコンテンツをしっかりと遊べるような形にしたかったです。
また、行動力はレベルアップをすることで回復していくというのも要因の1つです。レベルが低いプレイヤーはすぐにレベルアップをするので何回でもクエストに挑戦することができますが、レベルが高いプレイヤーはなかなかレベルも上がらないので制限が掛かっていました。プレイする時の条件を統一したかったということもあり、OPを実装することにしました。
ボーナススクラッチは、以前の緊急クエストでは入手できるレアなエネミーチップのドロップが運次第になっていたので、ユーザーがプレイすれば確実に入手できるような仕組みとして実装しました。
OPとボーナススクラッチはユーザーから非常に好評をいただき、イベントの参加者もかなり増えました。
――変異体エネミーを登場させた理由は?
陳氏:「PSO2es」は、アクション要素のあるゲームなので強いエネミーを出したかったのですが、ただそのまま強いエネミーを出すだけだとユーザーの刺激にならないと思ったので、攻撃アクションが違う「タイプC」という変異体エネミーを追加しました。
――新しい緊急クエストエネミーは今後も増えるのでしょうか?
陳氏:そうですね。酒井プロデューサー次第ですかね(笑)。
酒井氏:増やすつもりでいます!
――緊急クエストに実績システム導入の理由は?
陳氏:ボーナススクラッチの実装理由と似ている部分はありますが、条件を満たすことで報酬がもらえるシステムを入れたかったというのがあります。
――実績は今後も増えていく予定ですか?
陳氏:今のものをベースにしつつ、オペレーションスコアなどの項目の上限値を増やしていくつもりです。
――すでに実績がすべて終わっているユーザーはどのぐらいいるのでしょうか?
陳氏:結構いらっしゃいますね(笑)。毎日コツコツやるようなデイリー系の実績もあるため、日々のプレイ目標としていただければと思います
――今後の緊急クエストの展望は?
陳氏:エネミーのバリエーションや、新たな「PSO2es」限定アイテム等の追加を予定しています。
チップのバリエーションを増やしてバトルも進化!?
――今後のクエスト展開はどんなことを予定していますか?
陳氏:クエストに関しては4月下旬に「PSO2es」独自の新たなアークスクエストを実装します。セラフィとコーエン博士との親子関係がどうなっていくのかが見所になっていきますので楽しみにしていてください。
あと、コーエン博士を護衛しているドノヴァンというキャストがいるのですが、このキャラクターがどうやってストーリーに関わってくるのかも見所のひとつです。
――バトルは今後どのような改良を加えていきますか?
陳氏:バトルの遊びやすさやわかりやすさについてまだ改良の余地があると思っているので、まずはそこに手を加えるつもりでいます。あとは、今回の新たな必殺技チップとして「スフィアレイザー」が実装されますが、今後も「PSO2」のフォトンアーツを元とした必殺技チップを定期的に出していきアクションの幅を広げていきたいですね。
――チップの絵柄はどういった基準で決めているのでしょうか?
陳氏:「PSO2」で実施されていたキャラクター総選挙なども意識しています。ユーザーに人気があるキャラクターはチップとしても実装させたいという思いが強くなりますね。
――イラストが描かれているチップのスキルはどういう基準で決めているのでしょうか?
陳氏:なるべくキャラクターのイメージにあうものを割り振るようにはしていますが、バトル要素で新しいものが実装するときには多少調整しています。
――必殺技や法術が描かれているチップの絵柄はどうやって決めているのでしょうか?
陳氏:必殺技や法術のイメージが最もわかりやすい形になるようにしています。そのため、キャラクターの見栄えよりも技の全体像が映るように心がけています。逆にキャラクターのチップに関しては、そのキャラクターの個性や特徴が引き出せるような構図を大事にしています。
――今回新しく実装される「六芒均衡」などのチップは人気があるから実装されたのでしょうか?
陳氏:そうですね(笑)。今回の「六芒均衡」に限らず、「PSO2」のアートワークチームが手掛けたイラストのチップはどれも人気が高く、自分としても魅力的なイラストについてはチップとして登場させたいと思っています。
――チップの所持限界数が250から350になるとアークスキャラバン仙台で発表されて騒がれていましたね。
陳氏:本当はもう少し早くなんとかしたかったのですがやっと実現できました。今後もユーザーの声などをもとにさらなる拡張や対策も検討中です。
スマートフォンでも使いやすいようにマイショップ機能を工夫
――マイショップ機能の概要を教えてください。
陳氏:「PSO2」と同じく検索/購入/出品/取り下げ/売り上げの回収ができます。そのほかにも、スマートフォンならではの検索機能として簡易検索機能と検索履歴機能が追加されています。
酒井氏:もともと「PSO2es」のサービスが開始したときからマイショップは実装したかったのですが、サーバー負荷の問題がありましたし、「PSO2es」ならではの操作性を試行錯誤している間に1年経ってしまいました……。長らくお待たせしましたがやっと実装できます。
陳氏:マイショップの情報を公開したあとから、「『PSO2es』をインストールする!」というユーザーの声も多く頂きました(笑)。また、「PSO2es」をプレイしているユーザーからも「待っていた!」という意見を頂きましたので好評頂けるのではないかと思っています。
酒井氏:「PSO2」でスクラッチが配信されると、「PSO2es」でも連動で同じスクラッチが引けるようになるのですが、外出先でも引いたアイテムをすぐに出品することが出来るので、そちらでも多くのユーザーが使用してくれると思います。
――簡易検索機能と検索履歴機能について教えてください。
陳氏:簡易検索は、武器のカテゴリを選ぶところまでは「PSO2」と同じですが、そこからさらに各武器の単位で検索することが可能です。例えば「武器の名前はわからないけどソード系の★11武器が欲しい!」というときには簡易検索でソード系を選択することで、ソード系の武器種を全て見ることができます。検索履歴機能に関しては検索したことがあるアイテムを指定して呼び出すことができる機能になっています。
マイショップ連動機能サービスは「PSO2」とは別に独自で拡張したサービスになりますので、購入と出品に関しては有料とさせて頂いております。ただ、有料とはいっていますが、ラッピーメダルが多くあれば実質無料で利用することができます。
――電車での移動中に使われそうですね。
陳氏:外に出かけているときでも相場チェックなども簡単に出来ますのでぜひ試して頂ければと思っています。
――マイショップ機能を実装するにあたって気を使った部分はどこですか?
陳氏:スマートフォンは画面が小さく、煩雑な操作に向いていないので、ユーザーがなるべく入力を少なくして多くのものが検索できるように工夫しています。
――マイショップ検索がプレミアムユーザーしか利用できない理由を教えてください。
陳氏:「PSO2」はプレミアムユーザーしか出品できないので、それと同じ基準にしたかったというのがあります。
――非プレミアムユーザーでも一部は使えるようになるのですか?
陳氏:まずはプレミアムユーザーに先行して購入と出品を解放して、後日購入のみ非プレミアムユーザーでもできるようになります。
酒井氏:サーバー負荷が心配なので、先行でプレミアムユーザーだけ使用できるようにさせて頂きました。検索自体はプレミアムユーザー、非プレミアムユーザーに関係なく使うことが可能です。
今後もスマートフォンならではの操作性を追加して連動要素を実装
――今後、どんなチップを登場させる予定ですか?
陳氏:今後も、必殺技チップについては定期的に出していきたいと思っています。必殺技以外のチップについても使い方や組み合わせによって、ダメージを上昇させることができるものを入れていき、ユーザーの遊び方やバリエーションに差が付けられるようなチップを導入して行きたいと考えています。
――チップは今後どれだけ入れたいというビジョンはありますか?
陳氏:あまり数を気にしたことはなかったのですが、「PSO2」が続く限り「PSO2es」も続けていって、チップもバリエーションが増やせていけたらと思っています。
「PSO2es」でキャラクターが映っているチップの絵を見て、それが気になって「PSO2」をはじめるというユーザーもいるので、「PSO2」の世界観やキャラクターの魅力をチップを通して引き出したいです。
酒井氏:イラストのチップの人気が高いので、独自のイラストも考えていきたいと思っています。
――これからの「PSO2」との連動要素はどんなものを予定していますか?
陳氏:今回4月下旬にマイショップを実装することがユーザーから好評だということもあり、今後も連動できるものに関しては、随時ユーザーの声を聞きながら実装していきたいと思っています。
マイショップもそうなのですが、ただ同じ機能を実装するだけでなく、スマートフォンならではの要素も盛り込んでいきたいですね。
――すでに次の連動要素などは検討されていますか?
陳氏:詳細までは話せませんが検討していますね。それは今後の発表をお待ちして頂ければと思います(笑)。
――ユーザーにどんなものを連動して欲しいとよく言われますか?
陳氏:今一番多いのは倉庫機能です。「PSO2」をプレイしているときには冒険に集中したいというユーザーが多く、外で倉庫整理をしたいということのようです。
連動とは少し掛け離れてしまうかも知れませんが、まだ「PSO2」に出てくるマップやボスが「PSO2es」に登場していないエネミーについても登場が望まれていますので、そちらも検討中です。
――最後にユーザーに向けて一言お願い致します。
陳氏:1周年を迎えられたのは支えてくれたユーザーのおかげだと思っています。その声援に負けないくらい連動要素や「PSO2es」ならではの独自コンテンツを充実させていきたいと思っているのでよろしくお願い致します。
酒井氏:「PSO2」シリーズとして「PSO2es」を運営してきましたが、独自ゲームとしても面白いものになっていますし、連動するサポートアイテムとしても良いものになっています。
「PSO2」をプレイしている人にはたくさん連動して欲しいと思っていますし、スマホゲームとしてもほかにはない楽しさが集まっていますので、興味が沸いた方は触れて頂けるとうれしいです。