「ミュージカル『薄桜鬼』黎明録」が、2015年5月23日の東京公演を皮切りに幕を開けた。公演初日の昼、会場となる東京都渋谷のAiiA Theater Tokyoにて、関係者向けに公開されたゲネプロの様子をお届けする。

目次
  1. 「『薄桜鬼』黎明録」のあらすじ
  2. 新たなキャストによる新しい「薄桜鬼」
  3. 「黎明録」にしか出てこないあのキャラクターも重要な立ち位置に
  4. そして彼らはやがては”新選組”に
  5. ゲネプロ終了後のメインキャスト陣にインタビュー!
  6. 公演概要

「『薄桜鬼』黎明録」のあらすじ

時は幕末。母親を病で亡くし、あてもなく彷徨っていた青年・井吹龍之介は、餓死寸前で倒れていたところを芹沢鴨に拾われた。
小間使いとして芹沢鴨が身を置く“浪士組”での生活をはじめた龍之介は、土方歳三、沖田総司、斎藤一、藤堂平助ら、後に“新選組”として恐れられることになる男たちと出会う。

生い立ちのせいで武士というものに反感を抱く龍之介だが、彼らと共に日々を暮らす中で龍之介は徐々にその在り方に惹かれていくのであった。

「武士」を目指し生きる彼らの夢、想い、信念。激しく揺れ動く時代の中、己の誠を貫くために刀を握る男たち。男たちの覚悟を知り、龍之介は自分が進むべき道を探し求める。

新たなキャストによる新しい「薄桜鬼」

「黎明録」はそもそも本編の「薄桜鬼」より以前の”壬生浪士組”時代の話となっているため、今回の舞台はキャストもこれまでの「薄桜鬼」とほぼ一新し、新たなキャスティングとなっている。これまでの舞台のファンにとっては少し期待よりも不安が大きいかもしれないが、そこはぜひとも大きな期待を胸に抱いて観に行ってほしい。

もちろんこれまでの「ミュージカル『薄桜鬼』」(※以下「薄ミュ」)通り、歌とダンス、そして迫力の殺陣シーンは健在。ステージの序盤から大人数による熱い殺陣とダンスで、観客全員をいきなりステージの世界に引き込んでしまう程だ。

しかし今回はどちらかというと、歌やダンスよりも、演技や舞台をいっぱいに使った大人数での殺陣などのほうにより力をいれている構成になっていると感じた。「黎明」の名に相応しい緩やかな時代の変化を感じるしっとりとした内容には、見入ってしまうだろう。

とはいえ、「ミュージカル『薄桜鬼』」お馴染みの”あの歌”などは今回ももちろん使われている。すぐに覚えられる耳馴染みの良い曲なので、これまで観てきて知っているファンはもちろんのこと、初めての人もぜひ一緒に「ヤイサ!」してこよう。

「黎明録」にしか出てこないあのキャラクターも重要な立ち位置に

主人公の龍之介を拾って“浪士組”に連れていくのは、「黎明録」ならではのキャラクターである芹沢鴨。芹沢は新選組の中では比較的早くに暗殺されることもあり、これまでの「ミュージカル『薄桜鬼』」シリーズには出演してこなかった。

「黎明録」をプレイ済みのファンならば、あの豪胆なキャラクターが舞台でどれほどの位置を占めているのかも重要なファクターだろう。その点はもちろん安心して良い。彼は最初から最後まで物語に絡むことになる重要なキャラクターとして、ストーリーは構成されている。

もちろん龍之介や芹沢以外のキャラクターたちの見せ場もたくさんある。特に龍之介と仲の良い藤堂平助や原田左之助、永倉新八らは、その明るいキャラクターもあって端々で舞台の雰囲気を和らげてくれるムード―メーカーになっている。

そして彼らはやがては”新選組”に

彼らが”壬生浪士組”を経て、やがて”新選組”になっていくまでの物語が「黎明録」だ。若いころの沖田総司のまだ少しあどけなさが見えるジョークや、芹沢の動向に頭を悩まされる土方歳三、無口ながらも土方のためならという芯の強さを演技で魅せる斎藤一といったメインキャラクターたちの若かりし頃ならではの魅力も、存分に感じてほしい。

そして武士を嫌う龍之介が、いったい彼らの中に何を見るのか、新選組が誕生するその瞬間や、「薄桜鬼」のキーである”鬼”は新選組にどう絡むのか、舞台ならではの彼らの生き様に少しでも触れられれば、より一層「黎明録」という作品への愛も深まることと思う。

今作にはヒロインがいないため甘いラブストーリーはないが、男性キャストばかりのステージだからこその熱さが見どころと言えるだろう。友情やプライド、理想と思い描く理想通りにいかないことへの齟齬、男たちならではの心の葛藤が様々なところで感じられる作品となっていた。

ゲネプロ終了後のメインキャスト陣にインタビュー!

ゲネプロ終了後、短い時間ではあったが、メインキャスト陣より本作の見どころや意気込みを聞くことができたので紹介しよう。

写真左から斎藤一役の橋本祥平さん、沖田総司役の荒牧慶彦さん、井吹龍之介役の白又敦さん、
土方歳三役の佐々木喜英さん、芹沢鴨役の窪寺昭さん

白又敦さん(井吹龍之介役):新選組の“エピソードゼロ”をやるところでしょうか。今までも「ミュージカル『薄桜鬼』」は芹沢鴨が暗殺されてしまった後の話でしたが、今回は芹沢の生き様にも注目してほしいです。井吹龍之介というキャラクターがどうそこに関わっていくのかも見てください。今回キャストがずいぶん変わって、お客さんも不安があると思いますが、今までの「ミュージカル『薄桜鬼』」を超えるのではなく、新しい作品を作っていけたらと思います。

佐々木喜英さん(土方歳三役):新選組の“鬼の副長”と呼ばれる土方が、どのようにして鬼になっていったかというエピソードがたくさんあるので、その変化をぜひ見てほしいです。いままで多くの方が演じてきた「薄桜鬼」という作品ですが、先輩方の熱を僕たちが受け継いで、また新しい「ミュージカル『薄桜鬼』」を作っていきたいと思います。何度も劇場に観にきてもらえたらうれしいです。

荒牧慶彦さん(沖田総司役):この「黎明録」で、沖田総司がどう沖田総司になっていったかという過程が垣間見れると思います。今回はキャストが大幅に変わりましたが、今作は新選組が黎明を駆け抜けるという作品ですから、僕たちも新たな薄桜鬼の黎明を駆け抜けていきたいと思います。ぜひ期待して観にきてください。

橋本祥平さん(斎藤一役):先輩たちがここまで大きくしてくれた作品なので、それを大事にしながら僕らなりの「ミュージカル『薄桜鬼』」を作りたいです。僕たちならではの「薄桜鬼」を最後の公演まで全員でがんばっていきたいと思います。新キャストでとても熱い作品に仕上がっております。ぜひこの熱を直接劇場で体感してもらいたいので、劇場にてお待ちしております!

窪寺昭さん(芹沢鴨役):いままでの「ミュージカル『薄桜鬼』」シリーズの中では、比較的静かな作品になったと思います。新選組の浪士が少しずつ集まって、若者たちが覚悟を背負った上での「ヤイサ!」を観ていただけたら、今までのファンの方も、初めてご覧いただく方も、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。キャストが一人も欠けることなく、来ていただいたお客さんが楽しみにしていただいた以上のものを、尽力して届けたいと思います。

公演概要

タイトル:ミュージカル『薄桜鬼』黎明録
原作:オトメイト(アイディアファクトリー・デザインファクトリー)
脚本・演出・作詞:毛利亘宏
音楽:佐橋俊彦
振付:本山新之助
殺陣:六本木康弘
殺陣監修:諸鍛冶裕太

出演(敬称略)

井吹龍之介:白又敦
土方歳三:佐々木喜英
沖田総司:荒牧慶彦
斎藤一:橋本祥平
藤堂平助:小澤廉
原田左之助:東啓介
永倉新八:猪野広樹
山南敬助:輝馬
山崎烝:高崎翔太
近藤勇:井俣太良
芹沢鴨:窪寺昭
雪村綱道:江戸川萬時
新見錦:篠崎功希 他

劇場

東京公演:2015年5月23日(土)~31日(日)AiiA 2.5 Theater Tokyo
京都公演:2015年6月10日(水)~14日(日)京都劇場
※未就学児のご入場はご遠慮願います。

チケット価格

指定席:6,700円(税込)

チケットに関するお問合せ

e+(イープラス)
http://eplus.jp/

主催

ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会(マーベラス、マーブルフィルム)

製作協力

トライストーン・エンタテイメント

協力

一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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