シリコンスタジオは、モバイル/PC向けの無料ゲームエンジン「Paradox」の新バージョン「1.1.3β」を公開した。

「Paradox」は、「すべてのゲーム開発者に、より早く・より自由にゲームを作れる環境を提供したい」という同社エンジニアの想いから生まれた無料ゲームエンジン。企業でもインディーズでも気軽に利用できるよう、開発言語には開発効率に優れるC#が選択されており、プラットフォーム間でシェーダーを共通化できる先進的なシェーダーシステムも組み込まれている。また、エンジンの深部まで調査できるようソースコードはオープンソースとしても公開されている。

なお本バージョンでは、極めてリアルな映像を表現できる「PBR(Physically Based Rendering<物理ベースレンダリング>)」技術や、迅速で効率的なゲーム開発をサポートするシーンエディターなどの新機能が新たに追加されている。

バージョン 1.1.3βについて

バージョン 1.1.3βには幾つかの新機能が追加されていますが、そのすべては「より早く・より自由に」という思想に基づいています。例えばPBR(Physically Based Rendering)の追加。以前の 3D ゲーム開発でリアルな映像を作るには、試行錯誤を繰り返しながら自然に見える映像をつくり上げていく、という過程が必要でした。

従来からあるこの手法は最終的な映像をつくり上げるまでに非常に多くの時間を費やす必要があるのですが、自然の物理法則に従って描画を行うPBRでは、最初から“自然そのもの”ともいえる品質の映像を作り出すことができます。リアルな映像を効率的に開発できるPBRとシーンエディターを備えた新しい「Paradox」なら、どんなゲームも自由に素早く効率的に開発することが可能です。

レイヤードマテリアルで複雑な質感も表現可能

「Paradox」の先進的なレイヤードマテリアルシステムは、マテリアルの各項目に対して個別にテクスチャを重ねる従来型の手法と異なり、汎用的に作成したマテリアルを各モデルに適用するだけで細かな傷や塗装の剥げなどの複雑な質感を容易に作り出すことができます。

また、マテリアルの状態はゲームプレイ中リアルタイムに変更することが可能です。例えば、ダメージによって塗装が剥がれていく、服が破れて下にある肌が露出する、といった表現もマテリアルを載せることで簡単に実現できます。

工程1:ベースの金属マテリアル 工程2:マテリアルで上から青い塗装を載せる
工程3:「02」のステッカーを載せる 工程4:傷を重ねて塗装の下にある金属を露出
工程5:パーツを光らせることもマテリアルで可能 工程6:パラメーターの調整で質感も簡単に変更

詳細な設定不要で自然なライティングを実現するIBL

IBL(イメージドベースドライティング)とは、背景画像などから自動的に光源を設定して最適な環境光をシミュレートする技術です。例えば背景に設定した写真に街灯や窓がある場合、それらを自動的に光源として認識して最適な光の状態を作り出します。シーンごとに手動で光源を設定する必要が無いため、簡単かつ効率的に自然なシーンを制作することができます。

ポストエフェクトも搭載

「Paradox」には、被写界深度表現やブルームなど基本的なポストエフェクトが標準搭載されています。

Game Studio

「Paradox Game Studio」は、データを柔軟に管理できるアセットエディターと、自由にオブジェクトを配置できるシーンエディターを用意しています。

シーンエディター

ゲームオブジェクトを配置するためのエディターです。ポストエフェクト、スカイボックス(IBL)、スクリプトの設定をここで行います。

アセットエディター

ゲーム内で利用するテクスチャー、マテリアル、3Dモデルデータ、スプライト、サウンド、背景、物理演算、シェーダーを管理します。

Paradoxのライセンスについて

「Paradox」は無料で利用することができます。開発したアプリケーションの商用利用も可能で、ロイヤリティも発生しません。

ライセンスについて
http://paradox3d.net/features/licensing

開発時の動作環境

OS:Windows 7 SP1+、Windows 8+
ハードウェア:Direct3D10以降をサポートするグラフィックボード
対応プラットフォーム:Android、iOS、Windows Phone、Windows Store、Windows Desktop

公式サイト
http://paradox3d.net/

詳細な機能説明はこちら(日本語 PDF)
http://www.siliconstudio.co.jp/middleware/paradox/pdf/paradox_1_1_3_features.pdf

※Android向け開発:XamarinのIndie+のライセンスが必須です。
※iOS向け開発:XamarinのBusiness+のライセンス必須です。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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