YouTubeで2015年10月10日より世界同時配信！スタッフやキャスト陣が集結した「モンスターストライク」アニメ制作発表会をレポート

5月12日にアニメ化が発表された「モンスターストライク」（以下、モンスト）。本日のアニメ制作発表会にて、初めてその全容が明らかになった。

アニメ版モンストは、従来の30分間のテレビアニメではなく、7分間アニメとしてYouTubeにて2015年10月10日より配信。さらに、アプリとの連動も実施される。そして、メインキャストには声優の小林裕介さん、福島潤さん、Lynnさんが起用されることも発表された。

ここでは、テレビではなくYouTubeを選んだ理由やスマホアプリとの連動について語られたトーク、参加クリエイターたちがそのコンセプトを語ったセッション、そしてキャスト紹介が実施された発表会の様子をお届けする。

YouTubeを選んだ理由

発表会では、俳優の金子昇さんがストーリーテラーとしてステージに登場。金子さんの進行で、ミクシィ取締役・「モンスターストライク」プロデューサーの木村弘毅氏がアニメ化プロジェクトを語った。

木村氏は自分の少年時代を思い起こしながら、みんなが同じアニメを見ていたことが貴重なコミュニケーション体験だったと振り返る。しかし、今の子どもたちには勉強や他の趣味など、時間の使い方は多様だ。そんな時代にみんなで見られるアニメとして、時間や場所を選ばないYouTubeでの配信を選択した。

またアプリとの連動については、例えばアニメで主人公たちがあるボスを倒したら、すぐにアプリ内でそのボスが降臨するというような、アプリでアニメの追体験ができる施策も考えているという。

さて、モンストといえば多彩なコラボが特徴のひとつ。アニメでもコラボをするのかという金子さんの質問に木村氏は、アプリでのコラボをアニメでも実施したり、画風をコラボ先に似せたりして遊びを入れられたらと語る。同時に、「ちょっと動いているのもあるかもしれない」と含みを持たせた。

ここで、グーグル執行役員・YouTubeパートナーシップ日本代表の水野有平氏が登壇。水野氏は木村氏と固い握手を交わすと、モンストのアニメ化について印象を述べた。

YouTubeを選択したことについては、率直に「新しい」と感じたという。テレビとYouTubeの大きな違いは、スマホ・タブレットといういつでもどこでも見られるプラットフォームを通じて、人々が触れ合えることだ。YouTubeはユーザーの半分以上がスマホ・タブレットで見ており、また世界中に動画を楽しむ人がいる。そこに向けてのチャレンジという印象を、水野氏は持ったそうだ。

見慣れた光景を出すことへのこだわり

続いて、本日公開となったPVが上映されたのち、マックスむらいさんとHIKAKINさんが登場。木村氏とともに早速、PVを見た感想を語り合った。

むらいさんはPVのクオリティに目を丸くし、楽しみが増えたと一言。見慣れた渋谷の街にモンスターが出てくるシーンは震えるほどと興奮状態だ。

実際、モンストの世界を現実化する上で、見慣れた光景を出すという演出にはかなりこだわっているそうだ。さらに、本作はYouTube用のミニアニメではなく、テレビアニメと同等のものをYouTubeで配信するという考えのもと、バトルもテレビアニメに遜色ないクオリティで描くと木村氏は語った。

HIKAKINさんは、モンストアニメ化の報を知って、最初は想像できなかったという。しかし実際にPVを見て、スマホを持ってリアルなモンスターを動かすシーンに「そうきたか」と感嘆していた。

1話7分という長さについても、YouTuberとして活躍するむらいさんとHIKAKINさんは「見やすい」と太鼓判。木村氏も、アニメの中に仕掛けや遊びも用意しているので何回でも見てほしいと話した。

そして、気になる2人の出演に関して話を振られた木村氏は、出るとしたらファンが喜べるような形にしたいと回答。むらいさんは、出るなら一緒に戦いたいと最後までワクワクした様子で話していた。

7分アニメの作り方

ここからは、モンストアニメに関わるクリエイター陣によるセッションだ。

最初に登場したのは、ストーリー・プロジェクト構成を務めるイシイジロウ氏。イシイ氏は、モンストのターゲットである中学生男子にリーチさせるためにYouTube配信を選んだ点に、本作の可能性を感じたという。

ストーリー・プロジェクト構成を引き受けたイシイ氏は、このアニメを実現・成功させる上で必要な条件を考えた。すなわち、中学生にしっかり刺さるキャラクターデザイン、7分アニメとスマホとの連動を実現できる制作現場、そして脚本家の加藤陽一氏の参加である。

イシイ氏の希望は叶い、加藤氏は本作にシリーズ構成・脚本として参加。さらにキャラクターデザイン原案に岩元辰郎氏、プロデューサーにウルトラスーパーピクチャーズの平澤直氏、そして監督に市川量也氏というスタッフが集結した。発表会では実際にこの5人が登壇し、提示されたテーマについてクロストークを展開した。

主人公はモンスターではないのか？

本作の主人公はモンストのプレイヤーの男の子だ。モンスターだけの世界でアニメを作ると小さくなってしまうので、その外側を舞台にしたという。

この点に関しては、一番はじめに監督と脚本の間で合意したそうだ。3,000万人を超える、老若男女さまざまユーザーがいる作品で気軽に見てもらうには、主人公の立ち位置が見やすいほうがいいと加藤氏は考えたそうだ。

また、キャラクターを召喚するアニメにはそのためのグッズが付きものだが、今の小中学生が憧れるアイテムはスマホ。スマホに特別なアプリが入ってモンスターが召喚されるという、小中学生の夢を描いていることもポイントだとイシイ氏は述べた。

YouTube用7分アニメの作り方

加藤氏は、7分アニメ用のシナリオを作る上で、30分アニメとはまったく別のやり方にトライした。

7分ごとに一定の満足を与えるには、まずは笑いを提供すること。そして詳しくは言えないそうだが、イシイ氏が構成したストーリーをわかりやすく表現するためのメソッドも施されているようだ。そのシナリオを見て市川氏は、笑いからシリアスまで振り幅が広く、密度の濃い作品だという印象を受けたと話した。

これについては平澤氏も、時間が短くなることとドラマが薄くなることは必ずしも比例しないと語る。漫画週刊誌をアニメ化する上では、おおよそ3週分から4週分が1話になるが、漫画は1週分できちんと笑わせたり、感動させていることを思い起こしたという。

また、スマホから大画面テレビまでさまざまなサイズの機器で再生されることを踏まえての画面作りも行われているそうだ。

アプリ版モンスターストライクとの関わり

アニメとアプリの完全連動を謳うモンストであるが、本当に完全連動させるには、オリジナルでアプリを作らないと難しいとイシイ氏は考えていた。しかし現場はまったくの逆で、アニメで必要なことはどんどんゲームにも取り入れようとしているそうだ。実際、シナリオ会議にはアニメチームとゲームチームの両方が参加しているとのこと。

また、平澤氏は、異業種とアニメが関わる際に大事なのは時間感覚だと持論を展開。かなり短い時間で一緒にものを作る新しい時間感覚が必要で、なるべく新しいものに柔軟に対応できる、フットワークの軽いチームを作りたいと述べた。

モンスターのデザインについて

プレイヤーの一人ひとりがこだわりや愛着を持っているであろうモンスターたち。現在、それを損なわないようにデザインを進めている最中だ。

岩元氏は、現実世界にモンスターが現れるので、新しいタッチで日常世界を描きながら、そこにモンスターを当てはめる感覚だと語る。しかし、丸く可愛さもあるモンストのモンスターデザインをアニメに落とし込むプロセスでは「結構揉めた」そうだ。

今でも正解を求めているくらいだと岩元氏は口にするが、その解のひとつが、PVにも登場したバハムートだ。この他のモンスターが、モンストの可愛さ、デザインの完成度を活かした上でどうアニメに落とし込まれているか、ぜひ楽しみにしていよう。

3DS版「モンスターストライク」

アニメ化と同時に発表された3DS版モンストは、スマホを持っていない子どもでも、モンストを楽しんでもらいたいと開発が進められている。また、同作ではアニメのストーリーが展開されるとのこと。先が気になる人は、こちらを購入して先取りしてみるのもありだろう。

なおゲームでも、原画はすべて岩元氏が担当している。

オーディション裏話も飛び出したキャスト発表

最後に、キャストとして出演する焔レン役・小林裕介さん、オラゴン役・福島潤さん、ヒロイン役のLynnさんが壇上にあがった。

小林さんはとにかくドキドキしていて、1話が終わるまではこのドキドキは抜けなさそうとコメント。PVでも最初と最後で髪の色や顔立ちが異なったり、レンは秘密がある子だと話した。

福島さんは、こういう世界に息を吹き込めることにワクワクドキドキしており、自由に飛び回りながらオラゴンのコミカルさや可愛さを表現し、「小林くんの手となり足となっていく」と意気込みを語った。

まだ名前も顔も明かされていないヒロイン役のLynnさんは、「私が出てないのが悔しいくらい」とまずPVの印象を一言。演じるキャラクターはモンストが大好きな女の子だが、Lynnさんも朝4時までプレイしてしまうほどハマっており、その大好きな気持ちをキャラクターにも込めたいと話した。ヒロインの詳細は、8月2日に実施されるモンストフェスティバルで公開される。

ちなみにアニメのオーディションはグループごとに分かれた掛け合い形式で行われたそうだが、その時のグループがまさにこの小林さん、福島さん、Lynnさんの3人だったという。小林さんは、福島さんのみんなを引っ張っていく芝居についていった結果、3人がここにいると語った。

実績あるクリエイターが参加し、気鋭のスタッフやキャストが勢揃いしたアニメ版モンスト。さまざまな工夫や新しいスタイルの楽しみ方が盛り込まれている本作が、ユーザーや視聴者たちにどんな体験をもたらしてくれるのか、10月10日を楽しみにしていよう。