コーエーテクモゲームスは本日9月17日、東京ゲームショウ2015にて完全新規タイトル「仁王」の紹介ステージを実施。本稿では、10年を経て発売決定にこぎつけた道のりと、初公開となったプレイ映像の様子をレポートしていく。
2005年にタイトル発表、ならびにTeam NINJAによる制作が明らかにされていた「仁王」が、10年という長きに渡る時間を経て、先日の「SCEJA Press Conference 2015」にて満を持しての発売発表と相成った。
本ステージには「三國志」シリーズでお馴染み、ゼネラルプロデューサーのシブサワ・コウ氏、プロデューサーに「戦国無双」シリーズの鯉沼久史氏、ディレクターに「ニンジャガ」シリーズの早矢仕洋介氏と、同社の名だたるクリエイター陣が一同に会し、今回の発売決定に至るまでの苦節10年、そして実機プレイの映像が明かされることに。
本作は“ダーク戦国アクションRPG”と題し、妖怪たちが蠢く和風戦国世界を舞台に、難易度の高いミッションに挑む、達成感を大事にしたアクションRPGとして制作されている。そのコンセプトはいわゆる“死にゲー”だ。
主人公は、戦国時代の日本に辿り着いた金髪碧眼の侍「ウィリアム」。彼を主軸に展開する骨太なオリジナルストーリーと、多彩な剣術を駆使する壮絶な戦いが描かれるとのことだ。
壇上ではまず、シブサワ・コウ氏にここに至るまでの道のりが尋ねられた。10年前にPS3のローンチタイトルとして発表された「仁王」は当初、RPGタイトルとして想定され、αバージョンを作っては試しの試行錯誤で形にされたのだが、シブサワ・コウ氏の考える“面白さ”に届かなかったことから、一度仕切りなおしを迎えた。
そこから20010年まではスタイルをガラリと変え、アクションに定評のある制作チーム・Team NINJAを迎えて、本格アクションゲームとしての開発に注力された。がしかし、制作が進むに連れ「これ、NINJA GAIDENだよね」という出来栄えになってきたことから、ここでも改めて仕切りなおしされることに。
そして3度めの正直となる今回は、シブサワ・コウ氏、早矢仕氏に加え、新たに鯉沼氏が合流し、名実ともにコーエーテクモゲームスの総力を挙げての一大タイトルとして、一昨年から本格的に始動。「仁王」についてシブサワ・コウ氏は、「『仁王』はコーエーとテクモの経営統合が生んだ一つの成果となります」とし、両者の強みがしっかりと融合することを示唆してくれた。
次は鯉沼市に、ゲームの世界観や設定はブレていないのかという質問が。それについて氏は、「ゲーム内容に大幅な変更があったのはシブサワ・コウの前述したとおりだが、一番最初から“金髪碧眼の侍が戦国時代を駆け抜ける”という部分は変わっていない」とのことで、実際昔のハードディスクをサルベージして出てきた資料を確認してみても、それほど変わってはいなかったという。
そのため、今回の「仁王」における主な変更点は、「アクションになったこと」「日本古来の妖怪が出ること」の2点であるとした。
続いても鯉沼市に、PS4オンリーでのリリースについて、その理由が尋ねられた。先日のSCEJA Press Conference 2015でも“PS4独占”の文字が印象的であったのは記憶に新しいが、これについて氏は「PS2のハードローンチでは『決戦』を送り出し、紆余曲折がなければPS3の時は『仁王』を送り出していました」と述べる。
そこから繋げて、「これにはハードローンチの時、新しい体験ができるゲームのリリースを目指してきた経緯があります。今回はローンチではないものの、“PS4だからできるゲームを作る”という思いで制作しているので、コーエーテクモゲームスのゲーム会社としての信念を感じ取って欲しい」と熱いコメントが飛び出す。
最後、ゲーム内容について早矢仕氏は、本作は「サムライと言ったら殺陣」の考えを元に、静と動を感じ取ってもらうため、“戦国死にゲー”の形に落とし込んだという。同時発表された「討鬼伝2」と共に、どのようなゲームに仕上がるのかに期待がかかる。
実機プレイ映像が初公開!
今回は東京ゲームショウということで、開発現場のPS4で撮影されたプレイ動画がお披露目された。映像では、背中に幾つもの武器を背負うウィリアムの姿があり、そのほか画面には体力、スタミナ、ショートカット登録されているアイテムの存在が確認できる。
中でも一際目立つのが、画面右下に表示されている4つのアイコン。これは「構え」というもので、それぞれ上段、中段、下段といった刀の構えを示している。戦闘中は攻撃に優れる上段、回避・防御に優れる下段など、戦闘スタイルを臨機応変に切り替え、状況に対応していくようだ。
また、武器は2種類をすぐさま切り替えられるようになっており、今回はスタンダードな刀のほかに、リーチや範囲攻撃に優れた槍の一部アクションが披露された。なお、ゲーム中は狭い場所で槍を振るうと壁にぶつかってしまい、思うように攻撃ができないなどの制限もあるようなので、戦う場所と適性を読み解くのも重要そうだ。
そのほか見た感じの操作感としては、挙動はシャキシャキと軽快で、パッと見では非常にハイテンポなアクションを予感させてくれた。
ゲーム内では、本格3DアクションRPG+死にゲーというエッセンスの通り、急に襲い掛かってくる敵、1人に見えたのに近づくと4~5人に囲まれるなど、こういったゲームジャンルの醍醐味ともいえる要素がしっかりと盛り込まれている様子。また、敵は人間だけでなく、PVでも見られたような妖怪、本作でいう「妖鬼(ようき)」が襲い掛かってくる。
妖鬼は当然のことながらモノノ怪らしく、その動きは苛烈でいて強烈。対応を練り上げ、装備を充実し、操作で実践することが攻略に求められる。和風の鬼というデザインでは「討鬼伝」に近しいものの、こちらはもっとおどろおどろしさを感じさせる雰囲気だ。
ちなみに本作における攻撃・ダメージは画面上に数値が表示されるタイプであった。
プレイに目を向けていると、武器の突き刺さった赤い墓標…なのだろうか? フィールド上に「血刀塚(ち の かたなづか)」が表れる。これはほかのプレイヤーがこの場で命を落とした証明であり、オンラインプレイの一端であるとのこと。
そしてこの血刀塚に任意でアクセスすると、“屍狂い”と化した誰かのプレイヤーキャラクターが襲いかかってくる。屍狂いは危険な相手となるが、倒すことで良いアイテムが入手できるチャンスに繋がるようなので、時と場合を見極めて励むのもいいかもしれない。
ゲーム中は敵を倒すことで武具を入手できることがあり、それらは頭、体、腕、足といった部位ごとに装備できるようだ。さらに、敵を倒した際は経験値(資金という側面も?)のようなリソースを確保することができ、それを社という施設で支払うことによりレベルアップを受けられる。
また、特殊な要素の一つに「守護霊」が存在する。主人公のウィリアムは霊を見ることができる特殊な素養の持ち主で、その守護霊の力を武器に宿して、一定時間己を武器を強化できるようだ。守護霊にはさまざまな効果を持つ、多様な種類が存在するようだが、プレイ中に落命(やられると画面上に表示される文字)してしまうとその場に落としてしまうので、回収にも気を回さなければいけない。
最後は、PVで見られた大きな鉄球を振りかざす巨大な妖鬼との戦い。妖鬼は現世とは違う、“常世”の空間に存在するもので、人とは成り立ちからしてさまざまな違いがありそうだ。しかも、その巨体に似合わずアクションは軽快でいて、見るからに破壊力満点。
青白い力をまとう守護霊の力を借りたウィリアムであったが、最後は「あ、これはダメだ」というのが一目で分かってしまうほど、痛そうな拘束攻撃を受けてしまい落命。トライ&エラーでハック&スラッシュを楽しむ、雰囲気満点のゲームであることが存分に伺えた。
いよいよ発売される機会を得た「仁王」は、今後ブラッシュアップを続けていく中で、ユーザーからの意見を聞くために、何らかの形で体験してもらう機会を設けるという。最後はシブサワ・コウ氏より「絶対に発売します!3度めの正直です!」と力強いコメントが発せられ、ステージはお開き。
なお、会場のクローズドシアターでは「仁王」に関する未公開映像も上映されているので、会期中に足を運ぶという人はこちらも確認しておいてはいかがだろう。