【TGS 2015】フルリメイク版の試遊レポートも！「この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO」ステージをレポート

ついに発売日と対応ハードが決定！

ステージには、「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」のプロデューサーを務めるMAGES.の浅田誠氏が登壇。初公開となるPVが流れ、発売日が2016年2月18日であることと、PS4/PS Vitaで発売されることが発表された。

一人目のゲストは、サウンドクリエーターのヨナオケイシ（与猶啓至）氏

ステージには、「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO（以下「YU-NO」）」でコンポーザーを務めるヨナオケイシ氏も登壇。

ヨナオ氏はPC版からセガサターンに「YU-NO」を移植することになったときに、当時FM音源で作られていた音楽データをCD音源に変えるためのサウンドクリエイターとして参加していた。また、セガサターン版の時にOPテーマを変えた際、そのOP曲の作曲も担当している。

浅田氏曰く、もともとPC版「YU-NO」の作曲家をしているのは浅田氏とヨナオ氏共通の知人である故・梅本竜氏なのだが、フルリメイクにあたって音楽の方向性を考えたときに梅本氏の音楽を継げるのはヨナオ氏しかいないと感じたそうだ。そして実際にヨナオ氏から楽曲をもらったときに、やはりヨナオ氏は梅本氏の音楽の心を解ってくれているとしみじみ感じたという。

今回のサウンド制作について、ヨナオ氏は「原曲では音量の変化という独特の手法が使われていて、普段の自分の作曲手法とは違ったため最後の最後までがんばって、原曲の雰囲気に近づけるようにした」と語った。「YU-NO」では80曲近くもあるそうだが、頭から最後まで軽くアレンジをした後、更にアレンジをしなおし、最後にブラッシュアップのためのアレンジを重ねて作ったのだという。

「絶対の自信作です！」とヨナオ氏自身も熱く語る今回の「YU-NO」の音楽に、ぜひ期待をしたい。

二組目のゲストは、主人公有馬たくや役の林勇さんと、武田絵里子役の小林ゆうさん

次にステージに登場したのは、主人公の有馬たくや役を演じる林勇さんと、武田絵里子役を演じる小林ゆうさん。

シナリオの量がとにかく膨大で、主人公の林さんには一ヶ月半～二ヶ月近くかけて現在も音声の収録をしてもらっているそうだ。

そして何故か唐突に始まる“自身が演じるキャラクターの似顔絵を公開”コーナー。ゲストの名前を見れば、何故このようなコーナーが突然出てきたのか、おおよその読者は察しがつくところだろう。

林さんから見た有馬たくやは、憎まれ役なところだったりつっけんどんなところもあるが、実は愛情深く、出会う女性のピンチを助けてあげたり正義感が強く、温かい一面がある、いわゆるツンデレキャラ。誤解されやすいけれど、実はすごいいい人なんだな、と演じながら感じたそうだ。

なお「YU-NO」は20年前の作品で今よりも規制が緩かった時代の作品ということもあり、林さんが喋るセリフの中にはかなり際どいセリフもあるそうだ。だが、極力シナリオを変えたくないという浅田氏の想いもあり、林さんにはぐいぐいと言ってもらっているという。

小林さんの武田絵里子の似顔絵には、会場も大爆笑の渦に巻き込まれた。小林さんからみた武田絵里子は、とても素敵な女性で、姉御肌。赴任してきて2ヶ月弱の有馬の担任なのだが、ベテラン教師の風格を漂わせていて、どんな服も着こなせるナイスバディな人、という印象のようだ。

なお、有馬はすごいモテる役だが、林さん曰く「人生であんなにモテることはないですね、幸せです！」と満面の笑みを浮かべていた。

最後に、林さんは「リメイクで、これまでよりも更にパワーアップした『YU-NO』を見せられると思います。僕も一生懸命声をあてて作品を盛り上げていこうと思いますので、よろしくお願いします」とその意気込みを語った。

小林さんは「新しく生まれ変わる『YU-NO』という作品の中に私も加えてもらえて嬉しいです。今、まさに絵里子として収録真っただ中ですが、とにかく面白いです！よろしくおねがいします」とファンに向けて熱いメッセージを送った。

ステージの最後にサプライズゲスト、オープニングテーマを歌う佐々木恵梨さん登場！

オープニングテーマ「Recalling」を歌う佐々木さんは、今回作詞も担当している。「YU-NO」の世界観を表現した歌詞にもぜひ注目してみてほしい。

このオープニングテーマは、二週間ほど前に浅田氏が志倉氏にオープニングテーマの動画を見せたところ、志倉氏が「イメージではない」と急遽歌を作り直してしまい、佐々木さんも一週間ほど前に改めて歌い直したという、涙なしには語れない裏話があるそうだ。

なお「YU-NO」は、このステージの直後から、システムの部分だけ少し体験できる試遊版を用意したとのこと。PC版時代からセガサターン版、PC版と、果てなく「YU-NO」を愛する筆者も早速プレイをさせてもらってきたので、試遊レポートをお届けしよう。

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」Vita版の試遊レポート！

説明にあった通り、試遊版はストーリーよりも、PC版の発売当時にかなり高く評価された「A.D.M.S（アダムス）」システムを体験するような感じのものになっていた。写真ではわかりにくいが、画面には「A.D.M.S」の特徴である分岐マップが表示されている。

今回の試遊では、「宝玉セーブ」が行われている場面数か所をプレイすることが出来た。「宝玉セーブ」とは、簡単に説明するならば物語の分岐点につけるチェックマークのようなものだ。

「YU-NO」のフルリメイクにあたってシナリオやシステムなどをほとんど変えていない、という浅田氏の言葉を大前提にするならばの話だが、「YU-NO」の場合主にシナリオを分岐させるのは「そのルートを進めるために必要なアイテムを所持しているか否か」になってくる。

会話による選択肢によってルートが分岐するゲームをプレイしたことがある人ならば、「この選択肢でAルートに進むかBルートに進むか決まる」というところでセーブを残した経験があるはずだ。

だが「YU-NO」の場合、「選択肢が表示されてそこで分岐が決まる」とユーザの視点から明確に解る分岐ではない。そのため、プレイヤーが自身で「ここでストーリーが分岐しそうだ」と思った場所に「宝玉セーブ」というチェックマークをつけておくことになるのだ。

そして「YU-NO」でもう一つ特徴的なのは、主人公有馬たくやが回収したアイテムは、どのルートに移ろうとも所持している、という部分である。

今回の試遊で体験できるのはまさにその一部となり、「宝玉1」ルートで回収したアイテムを「宝玉2」ルートで使用することで、「宝玉2」ルートが先に進めるようになる…といった感じだ。実際に何をどのルートで手に入れてどのルートで使用するかは、試遊で確かめてみてほしい。

フルリメイクにあたって、もっともプレイのしやすさを感じたのは「しらべる」コマンドだ。PC版やセガサターン版の頃は、いわゆる「しらべる」カーソルで画面の中の怪しいと思われる場所をひたすらクリックしていくしかなかった。

どこを調べればいいのかわかりにくい場所については、ミリ単位で調節して画面をクリックしまくることもあったのだが、今作では調べられる場所があらかじめ決まっている。また、画面内にいくつ調べられる場所があるかもわかりやすい。

だが、20年前、当時画期的だった「A.D.M.S」システムも「YU-NO」の魅力のひとつだが、浅田氏も語った通り「YU-NO」はその壮大なストーリーこそが一番の魅力であることは間違いない。今回の試遊ではストーリー部分はまったく知ることができないため、「YU-NO」をまだプレイしたことがない人は今後明かされる情報などにも期待していてほしい。

原作は「EVE burst error」、「DESIRE 背徳の螺旋」、「エクソダスギルティー」など、数々のタイムトラベルものの名作を世に遺した、故・菅野ひろゆき氏。これらのタイトルの名前に少しでも聞き覚えのある人は、ぜひ一度そのストーリーの一端に触れてみてほしい。

90年代、当時停滞気味だったアドベンチャーゲーム界を大きく変えたのは、紛れもなく菅野氏である。筆者も菅野氏をリスペクトする一人として、このフルリメイクには多大な期待を寄せている。その想いと共に、今回の試遊は改めて色々と感慨深いものであったとお伝えしておこう。