千葉・幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2015。「World of Tanks」PS4版や「World of Warships」について、WargamingのCEOのVictor Kislyi氏や開発陣にインタビューを行った。
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Wargaming CEOのVictor Kislyi氏にインタビュー
「World of Tanks(WoT)」PS4版の発表や「World of Warships(WoWs)」の全世界での正式サービス開始など、発表が盛り沢山だったWargaming。同社の取り組みについて、CEOのVictor Kislyi氏に聞いた。
――「WoWs」の正式サービスが全世界で開始されましたが、現在の心境をお聞かせ下さい。
Victor氏:とても長いプロジェクトで3年かかりました。オープンβの段階で可能な限り完璧に近いかたちでサービスを提供できるよう調整しました。そして、東京ゲームショウが正式サービスを発表する場としてふさわしいと思い選びました。ゲームを見てもわかるように日本の艦船がメインとして取り扱っており、とても重要な要素になっています。
5年前に「WoT」を公開した時に特別な気持ちがありましたが、今回の発表でも同じ気持ちになりました。私個人は、「WoT」が公開されて以来プレイしており、ほとんどの戦車の開発は完了しています。そして今、「WoWs」で一からスタートし、艦船を集めていくのが非常に楽しみです。
――「ガールズ&パンツァー」や「蒼き鋼のアルペジオ」とのコラボレーションについて手応えはいかがでしょうか?
Victor氏:素晴らしいコラボレーションですし、良い関係性を築けていると思います。2年前に日本のオフィスを開設し、いろんな方とコンタクトを取りましたが、すぐにアニメとのコラボレーションが浮かび、我々のゲームとの共通点を知ることができました。バンダイビジュアルが制作している「ガールズ&パンツァー」の劇場版には、さまざまな面で協力していますし、劇場版のMODも作っています。
先日発表した「WoT」PS4版でも「ガールズ&パンツァー」のテーマや、ゲーム内への実装も考えています。「ガールズ&パンツァー」に関しては、グローバルでの契約を結び、アジア地域だけでなく全ての地域で「ガールズ&パンツァー」のコンテンツを楽しむことができるようになります。
――「WoT」PS4版のリリース時期は?
Victor氏:正確な日程はお伝えできませんが、ベータテストは年内に行いたいと思っています。PS4版ではシェア機能やPS Vitaでのリモートプレイも行えるようにする予定です。
――PS Vita版の開発予定は?
Victor氏:我々のプロジェクトは、1つのタイトルに集中して行うので、今のところ予定はありません。今まで発表してきたタイトルは、長い時間とお金をかけて作ってきたものです。何よりも多くのプロジェクトを動かしてしまうと高い品質の維持が難しくなってしまいます。
大事なのは、ゲームを作って終わりではなく、プレイヤーに楽しんでもらえるよう常に新しいコンテンツを開発していくことです。サービスの開始から5年が経った「WoT」では、すでに60回のアップデートを行いました。今後もこれらのアップデートを止めることなく、PS4も他のプラットフォームでも同じです。
――PC、モバイル、Xbox、PS4ときましたが、次は……?
Victor氏:今はPS4版をリリースして、それから次のリリースを考えたいと思います。
――オリジナルデザインのPS4本体の計画は?
Victor氏:良いアイデアですね。マウスやヘッドセットなどのメーカーとも協力していますので、検討したいです。ソニー・コンピュータエンタテインメントと話してみます(笑)。
――PS VRへの対応は?
Victor氏:PS VRはとても興味深いもので、私たちも情報を追っています。しかし、新しいテクノロジーなので、今は市場が大きくありません。私たちのような基本無料のゲームをリリースしている企業は、大きな市場に対してゲームをリリースし利益を生みますが、まだその段階ではありません。
――すでに社内での研究はされているのでしょうか?
Victor氏:もちろんです。社内では常に新しい技術を研究しており、Oculus Riftの開発キットを使うようなこともしました。PS VRにも興味があるので、新しいものが出る度に研究はしますが、実際にゲームになるとしてもしばらく先になると思います。
――新作「Master of Orion」の続報はありますか?
Victor氏:開発は順調です。公開当初は限られた言語への対応でしたが、今回、日本語ローカライズを行うことが決定しました。現在、コレクターズ・エディションの販売も予定しており、過去の作品やサウンドトラックなどが詰め込まれています。
――最後にPS4版を待つプレイヤーにメッセージをお願いします。
Victor氏:私たちは「WoT」PS4版をPSNアカウントを持っている人へ無料で提供し、PS Plusメンバーの方には特別な特典も用意しました。ゲームだけでなくアニメのファンの方にも楽しんで頂けるように「ガールズ&パンツァー」関連の特典を用意したり、今後PC版のような取り組みもしていきたいと思います。楽しみに待っていて下さい。
――ありがとうございました。
いよいよ正式サービスが開始した「World of Warships」
全世界での正式サービスが9月19日にスタートした「World of Warships」の今後のアップデートについて、プロデューサー 柳沼恒史氏とグローバルディレクター Ivan Moroz氏に話を聞くことができた。
オープンβテストでは、同時接続者が世界で13万人に達し、日本も大きなシェアを占めているという。
正式サービス開始にあわせて導入したランク戦では、自身のスキルを客観的に見ることが可能になっており、内部テストの時点では「何連勝したよ」といった話も聞かれ非常に好評だったという。
正式サービス前には、日本語のIMEにも対応し、日本語でのチャット入力が可能になったほか、今は英語のみのボイスに日本語のボイスが追加されることも決定しており、海戦っぽい熱のこもったボイスになるようだ。
会場でも出展されていた「蒼き鋼のアルペジオ」とのコラボ迷彩に関しては、迷彩を適用しても性能や隠蔽性が変わることはないが、今後性能が変わる可能性もあるという。ボイスはイオナのみだが、今後はそれ以外のキャラクターのボイスも追加される可能性もあるそうなので楽しみにしていよう。これらの迷彩とボイスは連動していないが、今後は艦長としてキャラクターを登場させる計画もあるとのことで、こちらも楽しみだ。
また、今は港のデザインが固定となっているが、日本の横須賀港をはじめ世界各国の港から選択できるようになる。そのほか、天候が変わる機能も追加予定で、雨や霧などの天候で隠蔽性が変化するそうなので、ますます戦略の幅が広がりそうだ。
さらに、ドイツとソビエトのツリーが実装されることも明らかとなった。そのほか、「攻撃せよ!」「撤退せよ!」といった音声入りのコマンド機能の実装も予定されており、海外の人とも簡単にコミュニケーションが取れるようになる。
2016年以降の計画としては、船の違いをもっと出せるように、カスタマイズ機能を強化するという。今のところ、船のモージュール、消耗品、乗組員のスキル、迷彩を増やすことを計画しているという。
「WoT」のようなコンソール機への対応予定については、PC版をロンチしたばかりなので、PC版の開発に注力していくとしつつも、十分に可能性があるとの回答を得られた。
最後に2人からコメントをもらったので紹介しよう。「無事にリリースを迎えることができましたが、テストフェーズの際に、たくさんのプレイヤーの皆さんに参加いただき、多くのフィードバックを頂きました。ありがとうございました。(柳沼氏)」「やっとリリースすることができました。これから日本のプレイヤーの皆さんに楽しんで頂けるように開発を頑張っていきます。(Ivan氏)」
いよいよ日本のツリーが実装!「World of Tanks Blitz」
「World of Tanks Blitz(WoT Blitz)」のプロデューサーを務めるOzan Kocoglu氏にお話を伺った。「WoT Blitz」は、「WoT」の戦車戦をスマートフォンで気軽に楽しめるように作られたiOS/Android向けアプリだ。サービスを開始して1年3ヶ月ほど経過したWoT Blitzだが、非常に成功しているとOzan氏は振り返る。
そんな本作では9月28日から10月25日までの期間、豪華賞品を賭けてアジア・ヨーロッパ・北アメリカ・ロシア/CIS地域のプレイヤーが戦うグローバルイベント「Rise of Continents」が開催される。このイベントは、同じサーバーで直接戦うわけではなく、戦闘数や撃破数、獲得経験値といった数値により割り振られるポイントを競うもので、プレイヤーは普段遊んでいるような感覚で参加することができる。
オーディオメーカー「ゼンハイザー」がグローバルスポンサーになっており、さまざまな豪華賞品が用意されいているそうだ。アジア地域ではバックアップスポンサーも追加されており、本イベントのサブイベント的な催しも行われる。後日詳細が発表されるそうなので楽しみにしていよう。このようにサーバーを超えて競うイベントは、同社のタイトルでは初めての試みで本イベントは新しい取り組みだという。
また、初の日本車両となる中戦車「Type 3 Chi-Nu Kai “Shinobi”」が9月17日より登場しており、ニンジャをモチーフにしたカラーリングが特徴だ。あわせて紹介されたのが日本のツリー実装だ。画面では13両の車両が確認でき、12月の実装を予定しているという。Ozan氏は、「日本の戦車を使って、今まで以上に本作を楽しんで欲しい」と日本のプレイヤーに向けてコメントしていた。
「WoT」では史実で登場する戦車をリアルに再現することを目的としていたため、このようなカラーリングの戦車を見かけることはなかったのだが、Ozan氏は「このようなカラーリングを通してWoTとの差別化を図りたい」と説明。本作ではコアな層だけではなく、ライトユーザーにも楽しんでもらえるようなコンテンツを提供していきたいと意気込みを語っていた。10月には「WoT」ではありえないような戦車も登場、10月の有名なイベントにあわせたものらしいとのことなので、正式発表を楽しみに待とう。そのほか、年内にはコラボも予定しているとのことだ。