コーエーテクモゲームスが4月26日から5月5日にかけて配信した、PS4用ソフト「仁王」α体験版。「戦国死にゲー」を称される本作を早速体験してみたので、その内容をお伝えする。
2005年にタイトルが発表されたものの、その後約10年に渡り沈黙を続けていた「仁王」。昨年の「SCEJA Press Conference 2015」ではついにその詳細が明かされ、同カンファレンスの大きなハイライトとなった。
そして年が変わって2016年、次なる展開として飛び出したのが、4月26日に配信されたα体験版だ。先のカンファレンスでゼネラルプロデューサーのシブサワ・コウ氏が「ザ・戦国死にゲー」と表現していたが、実際にどんな仕上がりになっているかを確かめられるのは、これがはじめてのこととなる。筆者も早速体験してみたので、そこで感じたことを紹介していこう。
一瞬の油断が命取りになるゲームバランス
本作のα体験版は、主人公、ウィリアムが長い航海を経て、黄金の国ジパングにたどり着いたところから始まる。しかし降り立ったその地は、死と怪異に満ちあふれていた。そこからプレイヤーはウィリアムとなり、怪異に立ち向かっていくのだ。
基本的な操作は□ボタンで弱攻撃、△ボタンで強攻撃、L1でガード、×ボタンには回避行動が割り振られている。もちろん他にも特殊なアクションはたくさんあるが、とりあえずこれさえ覚えていれば序盤の敵は問題なかった。逆に、ただ攻撃するだけでなく、回避やガードを織り交ぜなければ1体の敵を倒すのにも苦労する。筆者自身、本作の操作感をつかむまでは苦労した。
また、ゲーム開始直後は装備が充実していないことも、難しさに拍車をかけた。装備品に関しては道中に落ちているアイテムを拾ったり、敵が落としたりするので、それらを回収してはどんな能力かをチェック、自分に合うものを探していく必要がある。同じ名前の武器でも能力が微妙に違ってくるため、新しいアイテムを手に入れたら定期的に確認するクセを付けておくといい…というより、入手できる装備品の数がとにかく多いので、自然と確認するクセもついてくるはずだ。
ちなみに本作に用意された武器は、大きく分けて刀、槍、斧の3種類。当然それぞれでアクションやリーチの長さ、攻撃力は変わってくる。装備品にはすべて耐久値の概念があり、使い続けると能力が下がってしまう。そんなときでも他の武器で対応できるよう、一通りの操作感覚を覚えておくことも攻略のポイントになりそうだ。
こんな具合で装備を徐々に揃えていっても、突然簡単になるわけではない。油断すれば一撃で体力の半分以上を削られるし、複数の敵に囲まれたらその時点で絶体絶命のピンチだ。そのため、一対一の状況を作る努力をすること、欲張って攻撃を与えにいかず、少しずつ地道に頑張ることが大切だ。一対一の状況を作るためには、弓矢や投石などの遠距離攻撃を当てる方法がある。むやみに突っ込むのではなく、冷静に周囲の状況を把握し、どう立ち回るのが最善かを考えることが重要に感じた。
弓矢では敵の頭部を撃ちぬくヘッドショットも可能。これを知っているだけでもかなり楽になる。 |
ゲームを進行すると、各武器のスキルも習得できる。 新たな攻撃方法が生まれる他、与えるダメージを底上げできる項目も。 |
そして何よりも大変なのが気力の管理だ。気力とは、武器を振るったり、走ったりといった特定の行動を行うと消費するステータスで、時間経過とともに回復する。連続で攻撃すると、あっという間にゲージが0になり、すべての操作が効かなくなってしまう。そうなるとプレイヤーには為す術がなく、一方的に相手の攻撃を受けることになるのだ。一応、タイミングよくR1ボタンを押すとゲージが回復する「残心」というシステムもあるが、使いタイミングがなかなか難しい。
プレイヤーは敵との戦いと同時に、気力の残りにも気を使う必要が出てくる。これもまた、「闇雲の攻撃するだけではダメ」という、本作の難しさの一因といえるだろう。とはいえ、気力の存在はプレイヤーにとってメリットとなる面もある。実は敵にも気力は存在し、上手く連続攻撃を誘って気力を削れば、反転攻勢のチャンスとなるからだ。
拠点となる社から分かった本作のシステム
本作には要所ごとに光る社が建っており、これがプレイヤーにとっての拠点となる。社はただの中継ポイントだけでなく、さまざまな機能を持っている。ここからはその機能の数々を振り返り、本作のシステムを読み解いていこうと思う。
まずはなんといっても能力開花だ。これは他のゲームでいうレベルアップを意味するもので、アムリタ(経験値)でプレイヤーの能力を底上げできる。アムリタは、敵を倒すことで手に入るが、一度戦闘不能(落命)になるとすべてを失ってしまう。ただし、すぐに戦闘不能になった地点に戻れば、失った分を再び入手可能だ。
また、先程も書いたとおり膨大な数の装備品が手に入るが、いらない装備品を奉納し、アムリタを受け取ることも可能。能力が低かったり、いらないと感じたら手放して、能力開花の足しにするのもいいだろう。時折、アムリタに加えて回復アイテムがもらえることもあるので、ボス戦前に利用してみるのもあり。
本作にはさまざまな「守護霊」が存在し、これを憑依させることで特殊効果が得られる。そして、守護霊の憑けかえも社で行うことになる。α体験版には禍斗、磯撫、提馬鷲、雷犬の4種類が用意されており、どれも違った魅力を持っている。個人的には敵の位置を教えてれくれる磯撫は非常に心強かったが、どれを選ぶかはもちろんプレイヤーの自由。このあたりにも、人それぞれの個性が出てきそうだ。
同じく「木霊の加護」もプレイヤーの個性が反映されそうなシステムだ。こちらはフィールド上に隠れている木霊を発見すると開放されていくもので、アムリタの入手量アップや、武器ドロップ率のアップなどさまざまな効果がある。今後発売される製品版では、恩恵を強く受ける場面も増えてくるだろう。
ダイヤの原石を感じたα体験版。製品版でのさらなる進化に期待
筆者はひとまず最初のボス「怨霊鬼」を倒すところまでプレイ。ボス撃破でクリア特典の「制覇の証」が手に入ったので、ここが一定の区切りといったところだろうか。
システム面が手探りで覚える必要があったため、最初こそ戸惑ったものの、慣れると非常に快適。敵の隙を見つけて打開すること、複雑に入り組んだフィールドで目的地へ続く道を見つけたときの快感は、1年の中でそう何度も味わえないゲーム体験だ。製品版への期待を高めるには、充分すぎるα体験版といえるだろう。
一方で、公式サイトで製品版の改善・品質向上に向けたアンケートを実施していたことからも分かるとおり、α体験版の意見を元にシステムに変更・改良が施される可能性も考えられる。例えば気力の存在は緊張感のある戦いを演出してくれると筆者は好意的に受け止めたが、その反面爽快感に欠けると思う人もいるだろう。最終的にどんな着地を見せてくれるのか、引き続き注目していきたい。