6月4日、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアは、東京・渋谷ヒカリエにて「グランツーリスモSPORT」日本発表会を開催した。
今回の発表会では「グランツーリスモ」シリーズプロデューサーの山内一典氏が「グランツーリスモSPORT」の概要や新要素などについて説明する紹介プレゼンテーションと、元F1ドライバーの片山右京さんをはじめとする豪華ゲスト陣によるエキシビションレース対決が行われた。本稿ではこれらのイベントの模様を紹介していく。
紹介プレゼンテーションでは、まず車とコースについての説明が行われた。本作は車、コースのどちらもポリフォニー・デジタルの内製で、歴代シリーズ作のデータをすべて作り直した史上最高レベルのクオリティになっているという。
登場する車はプロトタイプを中心とした「GR.1」、FIA(国際自動車連盟)のGT3規定の車を中心とした「GR.3」、市販車ベースの「N-Series」などにクラス分けされていて、リアルなマシンとファンタジーのレースカーの両方を楽しむことができる。収録車種は全140台で、いずれも内装・外装とも作り直した「スーパープレミアムモデル」であると山内氏は自賛した。
コースはローンチの時点で19ロケーション27レイアウトを収録。ハーフマイルのオーバルトラックと東京の首都高速をモチーフにした「東京エクスプレス」が新たに登場するほか、ブランズハッチ、ウィロースプリングス、ニュルブルクリンクといったおなじみのコースもクオリティアップがはかられているという。また、久々となるダートトラックコースも収録されているとのことだ。
続いて、「グランツーリスモSPORT」のフィーチャー要素の紹介が行われた。山内氏は本作で「グランツーリスモ1」以来の大きなイノベーションをレースゲームの世界で起こしたいと改めて意気込みを表明。「レースゲームの新しいスタンダードを作ろう」を合言葉に制作していると強い言葉で語った。それでは各要素についてそれぞれ紹介していこう。
キャンペーンモード
オフラインの初心者向けのモードで、アクセルやブレーキの踏み方、ハンドルの切り方といった初歩の初歩から学べる「ビギナースクール」、各サーキットの攻略法をセクターごとに学べる「サーキットエクスペリエンス」、さまざまな目標をクリアしていく「ミッションチャレンジ」、スポーツマンシップやトラック上でのマナーを学べる「レーシングエチケット」の4つのメニューを楽しめる。
ローンチ時に収録されるイベント数は117個で、「ビギナーズスクール」が10個、「サーキットエクスペリエンス」が35個、「ミッションチャレンジ」が62個、「レーシングエチケット」が10個となっている。
山内氏がこのモードに力を入れたのは「レースゲームが先鋭化しすぎている」と感じているからで、これまでも一貫して初めてレースゲームを遊ぶ人や車を運転したことがない人のためにこのシリーズを作ってきたが、今回は特にその思いが強かったと述べた。
ブランドセントラル
これまで「カーディーラー」と呼ばれていたモード。本作ではショウルーム仕立てとなっていて、自動車メーカーが制作した高品質の広告ビデオを見ることができるようになっている。
山内氏は「少年が車やブランドに出会う瞬間」をゲームの中でも体験できるようにしたいというのが「グランツーリスモ」制作の動機のひとつだったと述べ、このモードも単なるゲームに必要な車を手に入れる場所ではなく、車やブランドに出会える場所としたいという思いから新たにデザインし直したのだと語った。
また、車の歴史が見られる「ミュージアム」もこのモードに収録。本作では同時代の主な出来事も見られるようになっていて、同じ時代に自動車以外でどのようなことが起きていたのか知ることができる。
スポーツモード
「スポーツモード」はFIAと「グランツーリスモ」が主催する2種類のチャンピオンシップで構成されている。
ひとつは国別対抗戦の「ネーションズカップ」で国の代表同士がレースで争う、言わば「車のワールドカップのようなもの」だという。もうひとつは自動車メーカーの代表同士が争う「マニュファクチャラーファンカップ」。本作ではプレイ開始時に自分がどの自動車メーカーを支持するのか選択できるようになっていて、プレイヤー自身が代表するメーカーを選んで参戦することができる。なお、支持するメーカーは6ヶ月程度で変更できるようにするとのことだ。
このモードは子供からお年寄りまで誰でも参加できるもので、年齢や地域別など細かくランキングを分けて、多くのウィナーが生まれるようにすると山内氏はコメント。世界最速のただひとりのプレイヤーを探すというだけではなく、いろいろな国のいろいろなレベルの人が小さな達成感を得られる仕組みにしたいと抱負を述べた。
また、このモードでは年に1度ワールドファイナルという世界戦の決勝を行い、ウィナーとなったプレイヤーはFIAのセレモニーに招待。現実のモータースポーツのチャンピオンと同じように表彰されるとのことだ。
FIAとのタイアップでもうひとつ注目すべきなのが「FIA-グランツーリスモ・デジタルライセンス」。これは、ゲーム内で一定の条件をクリアすれば、本物のFIAオフィシャルのライセンスが手に入るというもので、すでにイギリスや中国など22カ国が参加を表明している。山内氏も手応えを感じているようで「(参加国は)年々増えていくでしょう」と将来の展望に自信を見せた。
ワールドファイナルに進むためのレギュレーションも発表された。「ネーションズカップ」「マニュファクチャラーファンカップ」のどちらも世界を「南北アメリカ」「EU・ミッドイースト」「アジア・オセアニア」の3つのディビジョンに分けて毎週末にレースを実施。「ネーションズカップ」はシーズン終了時、それぞれの地域のトップランカーによるディヴィジョンファイナルをリアルイベントで行い、勝ち上がったプレイヤー・チームがFIAワールドファイナルに進出する。
「マニュファクチャラーファンカップ」は少し異なっていて、3つのディビジョンでそれぞれメーカー別トップとなったプレイヤー3名でそのメーカーの代表チームを構成。最強の自動車メーカーの座を賭けてワールドファイナルでチーム戦を行うという仕組みで、「3名の代表に各メーカーのワークスドライバーを加えて4名にしても面白いと思います」と山内氏は語っていた。
なお、これらのオンライン対戦の模様はライブブロードキャストを予定していて、中継時にはそれぞれの言語でのライブコメンタリーも付けるとのことだ。
ソーシャル要素
各プレイヤーのコミュニケーションスタイルに合った形で利用できるソーシャル要素を用意したいと山内氏はコメント。今回公開されたのはプロフィール画面とタイムラインの画面で、タイムラインでは自分のフレンドの活動やゲームの進行状況、「GT SPORT」のニュースなどを見ることができる。
また、これらのソーシャル画面はPS4だけでなくスマートフォンやタブレット、Webブラウザでも見ることができるとのことだ。
カラーリングエディター
プレイヤーがマシンを自由にカラーリングできる機能で、自作のデザインをほかのプレイヤーとシェアすることも可能。プレイヤーそれぞれがオリジナルのマシンでドライビングを楽しむことができる。
スケープス
従来のフォトモードを大幅に強化したモードで、山内氏によると「写真そのものの可能性を一変させるテクノロジー」だという。
世界中のさまざまなロケーションの写真と自動車の画像を組み合わせてオリジナルの写真を作れるというものだが、このモードでは露出や絞りを変えたりフォーカスの位置を変えたりと、自在に画像を加工することが可能となっている。
実際に車を撮影する場合、良いロケーションに良い車を運び、さらに良い光となるのを待つ必要があるが、この機能を利用すればそういった制約に縛られることはないというわけだ。さらに、背景が流れるようにして走行中の画像のように見せる機能なども搭載されているので、プロのカメラマン顔負けの写真を作り出すことができる。
収録されるロケーション画像も1000スポット以上と非常に豊富で、「この機能を使って世界中を旅してください」と山内氏はアピールした。
プレゼンテーション後、質疑応答も行われた。「車種はどのくらいの期間での追加を予定していますか?」という質問には、まだ準備中で具体的には話せないとしつつ、「グランツーリスモ5」のときのように1年以上待たせることは絶対にないと明言。「発売後一定の期間が経てば、どんどん出てくると思います」と答えた。
PS VRとの連動についての質問も出された。山内氏はレースモードすべてをVRでも使えるようにしたいと考えているそうで、「なるべく自然な形でVRの体験を『グランツーリスモSPORT』に入れていきたい」とのことなので大いに期待できそうだ。
激闘が展開されたエキシビションレース
豪華ゲスト陣によるエキシビションレースの模様も紹介しておこう。第1レース「大人から子供まで! 世代を超えたバトル!!!」には俳優の中尾明慶さん、タレントのケンドーコバヤシさん、ジュニアカートレース優勝経験者の大村海太(うみた)くん、航紀(こうき)くん兄弟の4人が出場。使用するコースは新コースの「東京エクスプレス」で車種はマツダロードスター、ラップは2周で争われた。
「首都高はいつも走っていて看板の位置も覚えていますよ」と、妙な自信を見せていたケンドーコバヤシさんだったが、なんとスタートダッシュを決めてレースをリード。1週目をトップで通過し、中尾さんと航紀くんが僅差で追うという意外な展開となった。
2周目もコバヤシさんは大人げないブロックでトップを守るが、霞が関トンネルの出口で航紀くんと中尾さんがついにコバヤシさんをパス。トップに立った航紀くんがリードを奪ってそのまま勝利した。
第2レースは「プライドをかけた真剣勝負! レーサーズバトル!!!」で、出場者は「カミカゼ右京」と呼ばれた元F1レーサーの片山右京氏、GTアカデミー卒業生で現役レーシングドライバーのヤン・マーデンボローさん、ロンドン発表会レースでのチャンプである高橋拓也さんと冨林勇佑さんの4人。コースはブランズハッチで車種はGT3規定のGroup.3のマシン、ラップ3周で争われた。
レースのほうは片山氏がスタート直後にまさかのコースオフ。早々に優勝争いから脱落し、残る3名がトップ争いを繰り広げるという展開になった。序盤はホールショットを決めた冨林さんがリードを奪うが、高速コーナーでワイドにふくらんだスキを突いてヤンさんがトップに立つ。
2位に落ちた冨林さんは背後からヤンさんにたびたびプレッシャーをかけるが、ヤンさんはさすがプロドライバーでまったくマシンコントロールを乱さず冷静にトップをキープ。最後まで逆転を許さず、見事に勝利を飾った。
最後に番外編として高橋さん、冨林さんとポリフォニー・デジタルのスタッフ2名による模擬レースが実施された。序盤は冨林さんがトップを走るがタイヤを縁石に取られて失速したため4位に転落。2位で追っていた高橋さんがトップに立った。
高橋さんは僅差でリードを守るが2位、3位のマシンはしっかりと後方に付き、遅れた冨林さんも激しく追撃。ロングストレートで2位のマシンがスリップストリームを利用して高橋さんに並びかけると3位のマシンも2台の間を割ってトップをうかがうという激しいトップ争いが繰り広げられる。
ここで4位を走っていた冨林さんがやはりスリップストリームを使ってアウトから突っ込み、4台がほぼ横一線に並んだ状態のまま最終コーナーに向かうという驚きの展開に。わずかにリードを奪った高橋さんと富林さんがマシンをぶつけ合いながらコーナーに突入するが、最後の最後で高橋さんが前に出てこの激しいレースを制した。
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