角川ゲームスより2016年6月16日に発売となるPS4/PS Vita用ソフト「√Letter ルートレター」。“角川ゲームミステリー”第1弾となる本作のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. 徐々に氷解していく謎。級友たちの心に秘められた「本音」
  2. 一周のみのクリアでは真相には辿りつけない?幾重にも交差する物語の謎

「√Letter ルートレター(以下、ルートレター)」は、角川ゲームスが「角川ゲームミステリー」と銘打ち展開する大型プロジェクトの第1弾タイトルだ。本プロジェクトは、地方の文化や歴史を土台に展開する人間ドラマがテーマとなっており、本作「ルートレター」は、島根県を舞台にしたミステリーアドベンチャーとして制作されたもの。現地取材を何度も重ねているため、ゲーム中には実在するスポットが多数登場することに加え、方言や習慣など、現地の人々の生活をリアルに描いていることも特徴だ。

企画/キャラクターデザイナーに箕星太朗氏、シナリオライターに藤ダリオ氏、製作総指揮/プロデューサーに安田善巳氏、ヒロイン・文野亜弥役に、これまで数々の名ヒロインを演じてきた声優の日髙のり子さんを起用するなど、豪華なスタッフ・キャストも話題になっている。

本稿では、そんな「ルートレター」のプレイレポートをお届けする。本作の概要に加え、筆者が実際にプレイして感じたことを書き綴っているので、以前から気になっていたという方は、ぜひ一読してほしい。

プレイヤーとなる主人公は、高校時代、島根に住む少女「文野亜弥」と手紙のやり取りをしていた。しかし、高校時代を最後に、突然彼女からの手紙が途絶えてしまう。いったいどうしたのか。

ずっと心に引っかかっていたが、それから15年後、なんと、送られていなかったと思われていた亜弥からの最後の手紙が見つかる。そこには、「私は人を殺してしまいました。罪を償わなければなりません。これでお別れです。さようなら」という衝撃の一文が。一体彼女に何が起きたのか。「人を殺してしまいました」とはどういうことなのか。居てもたってもいられなくなった主人公は、亜弥を探すため、単身、島根へと赴く。

……以上が導入ストーリーだ。箕星氏の描く可愛らしいキャラクターを見て、さぞやほんわかした内容だろうと勝手な想像をしていた筆者は、ミステリー色の強い展開にまず驚く。発表会の時点である程度の情報は明かされていたが、実際にプレイしてみると、やはり本作の土台は「ミステリー」なのだと強く感じた次第だ。

衝撃の一文に動揺を隠せない主人公
ドラマ性を感じさせるオープニングムービー

徐々に氷解していく謎。級友たちの心に秘められた「本音」

ゲームシステムは大きく分けて、「手紙パート」「探索パート」「追及パート」の3つに分かれている。順番に紹介しよう。

手紙パートとは高校時代の亜弥との文通を再現するパートで、返信部分が選択肢となっているのが特徴だ。返信の内容によって亜弥の好感度が変化、ひいては物語の結末に大きな影響を及ぼす。的はずれな返答ばかりしていると、思わぬ結末を迎えてしまうこともあるので注意が必要だ。

なお、亜弥からの手紙は全てボイス付きとなっている。イメージ的には、アニメや映画などで馴染みのある、手紙を書いた本人が読み上げるという演出に近いだろうか。そこに、「返信」という形でプレイヤーが介入することによって、ゲームとしてのインタラクティブ性を表現。彼女と本当に文通しているかのよな感覚を覚える。この辺りは、演出の妙だろう。

続いては、探索パートだ。これは読んで字のごとく、島根の街を探索して、亜弥の手がかりを探すという内容。「移動」「聞く」「調べる」「考える」などのコマンド選択に加え、虫眼鏡のカーソルで気になる部分を調べるなど、オーソドックスなアドベンチャーゲームの体裁となっている。

そこで活きてくるのが、島根県庁協力のもと行われているという、40箇所のスポット取材、および、2000枚を超える写真資料から厳選した再現ロケーションだ。松江城や穴道湖など、島根の名所を再現したグラフィックは一見の価値ありで、プレイしていると島根に行きたくなってくるほど。先述したように街の人々との交流部分もきちんと描かれており、方言で語りかけてくるおばちゃんとの会話なども妙にリアル。メインキャラクターはもちろんだが、サブキャラクター1人1人にもきちんと個性をもたせている点は、かなりの評価ポイントだ。

その辺りの徹底ぶりは、地方の文化や歴史を土台にしている本作ならではのこだわりと言っていいのかもしれない。

島根県の名所を再現したグラフィックは一見の価値あり。本作をプレイすれば、きっと島根に行きたくなるかも!?

「追及パート」は、探索パートで探しだした亜弥の級友と思われる人物を特定した際に発動する。亜弥は手紙で「メガネ」、「サル」、「デブ」、「ビッチ」、「チビ」、「親友」、「ガリ」というニックネームを用いて友達とのエピソードを綴っており、彼(彼女)らならば、亜弥のことを知っているだろうと考えた主人公が接触を試みるのだ。しかし彼らは、何故かしらばっくれてばかりで、亜弥のことを頑なに語ろうとしない。そこで主人公は、証拠や証言を提示を通じて自分の気持ちを伝え、彼らの心を開こうとする。

上記の部分をゲームシステムとして落とし込んだのが「追及パート」であり、本作の見せ場とも言えるものだ。

証拠や証言を突き付け、徐々に本音を引き出していく流れは非常にテンポが良く、爽快さすら感じさせる。ただ、間違った証言や証拠を突きつけるとゲージが減少してしまい、ゲージが0になると、追及パートの最初からやり直しとなってしまう。テキストをスキップできたり、つきつける証拠や証言自体は変わらないので同じものを選べば良いため、そこまで手痛いペナルティではないが、そうは言っても、やはり緊張感は禁じ得ない。

ただ、「考える」コマンドを選ぶとヒントを提示してくれたり、キャラクターのセリフなどからも、ある程度読めてくるものもあるので、難易度自体はそこまで高くないというのが筆者の考えだ。そのため、ペナルティの存在が難易度を引き上げているのではなく、ゲームを面白くするためのスパイスと捉えるのが適切なのかもしれない。

なお、追及モードのクライマックスで発動する「マックスモード」では、自分の気持ちをぶつけて、級友たちの本音を引き出すことになる。ここで適切なセリフを選ぶことによって、キャラクターの「素顔」をさらけ出させるのだが、選ぶタイミングがややシビアなセリフもあるので、注意してセリフを選ばなければならない。見事級友の心を開くことに成功すると、15年前に閉ざされていた亜弥との思い出が、ムービーシーンと共に蘇るのだ。級友によって難易度が異なるので、苦労して心を開かせた時の達成感は相当なもの。級友と亜弥との回想エピソードは心温まるものが多く、見ているとホッコリしてしまう。「自分もこんな高校生活を送りたかったなあ」と思ってしまった。

一周のみのクリアでは真相には辿りつけない?幾重にも交差する物語の謎

本作の一番の見どころはなんだろう。色々あるだろうが、筆者はやはり、人間ドラマの部分に強く胸を打たれた。「ルートレター」のメインキャラクターたちは、過去の出来事にトラウマを持っている。そして、そのことを、15年経った今でも引きずっている。プレイヤーの一番の目的は亜弥を探しだすことだが、彼らの心を束縛から解き放つことでもあるのだ。

ちなみに筆者個人の感想としては、「親友」とのエピソードが印象深い。亜弥と親友との高校時代の思い出は、絵に描いたような微笑ましい友情だ。しかしそれだけに、過去に起こってしまった事件の悲しさに、やりきれない思いを感じる。追及パートを終えたあとの「親友」の告白は、悲しく切ない。筆者はプレイした後、しばらく色々と考えこんでしまった。

ここ最近プレイした中では、1、2を争うほど重いストーリーではあるものの、先の展開が気になって仕方ないと思わせるだけの深みもあるので、シナリオ重視のゲームが好きだという方はぜひプレイしてほしい。

ちなみに本作はある程度周回プレイを前提にしている部分もあり、一周クリアしただけでは全貌が見えてこない。クリアするとルートが追加されるため、二周三周とプレイして、ぜひとも過去に起こった出来事の真相を突き止めてほしい。筆者がプレイした際は、一周クリアするのにだいたい5~6時間くらいかかっている。ただ、二周目以降はスキップしても差し支えない部分も当然あると思われるので、長すぎず短すぎない丁度よいバランスでトゥルーエンディングを迎えることができるのではないだろうか。

√Letter ルートレター

角川ゲームス

PS4パッケージ

  • 発売日:2016年6月16日
  • 15歳以上対象
√Letter ルートレター

√Letter ルートレター

角川ゲームス

PSVitaパッケージ

  • 発売日:2016年6月16日
  • 15歳以上対象
√Letter ルートレター

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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