セガゲームスより6月23日に配信となるPS4ダウンロードタイトル「初音ミク Project DIVA Future Tone」。AM2研が手掛けるProject DIVAシリーズの統括プロデューサーの大崎誠氏、そして本作のプロデューサー兼ディレクターの豊田勝氏によるプレゼンを通じて、その魅力について紹介していく。

目次
  1. 「初音ミク Project DIVA Arcade」の永久保存版がコンセプト
  2. 髪型カスタマイズ機能などシリーズ初の要素が満載!初心者、上級者それぞれにフォーカスしたモードも
  3. シリーズ初のキーコンフィグ搭載など遊びやすさも追求
  4. 発売の経緯や制作のこだわり、本作の収録内容についてインタビュー

「初音ミク Project DIVA Arcade」の永久保存版がコンセプト

まずは「初音ミク Project DIVA Future Tone」(以下、本作)の製品構成について触れておこう。

本作は無料でDLできる本体アプリケーション「Prelude」、Project DIVA3作とF、F 2ndの2作の計5作品を中心にまとめた楽曲パックで127曲を収録した「Future Sound」、Project DIVA Arcade(以下、Arcade)、「Project mirai」シリーズ3作の計4作品を中心にまとめた楽曲パックで95曲を収録した「Colorful Tone」の3つで構成されている。

「Prelude」については遊べる楽曲が「Weekender Girl」<Music by 八王子P Lyrics by kz>と「1/6 -out of the gravity-」<Music & Lyrics by ぼーかりおどP(noa)>の2曲ということもあって、体験版のような捉え方をしてしまうかもしれないが、あくまでも無料で遊べる製品として提供される。それが何を指すのかといえば、本製品内でモジュールやカスタマイズアイテムが収録されており、トロフィー機能やランキングにも対応しているということ。ゲームを構成する要素そのものが、無料で配信されると考えていいだろう。

その上で、「Future Sound」「Colorful Tone」の2製品をダウンロードコンテンツという形態で配信(各3,900円(税抜))することにより、本作では2007年以降の初音ミクシーンを凝縮した楽曲を220曲以上収録、まさに初音ミクの歴史を網羅するほどのボリュームとなっている。また300着以上のモジュールも収録されており、これらが合計7,800円(税抜)でプレイできるというのは、抜群のコストパフォーマンスといえる。

また、後ほどのインタビューでもお伝えする本作を発売しようとした理由にもつながるのだが、本作ではおよそ100万人のユーザーがプレイしている「初音ミク Project DIVA Arcade」の価値である、ゲーム性や楽曲、そして60fpsで表現される美麗グラフィックという要素を収録することで、永久保存版としてかたちに残したいという思いがあったそうだ。

髪型カスタマイズ機能などシリーズ初の要素が満載!初心者、上級者それぞれにフォーカスしたモードも

本作では解像度1080pのフルHDで、60fpsとシリーズ最高峰のグラフィックを実現(「Arcade」は720p)。また先述の通り220曲以上の楽曲で、かつ5種類の難易度(※一部の楽曲を除く)が用意されており、さらにモジュールを300着以上収録するなど、ボリュームも満載だ。

そういった見た目にもわかりやすいところだけでなく、本作ではカスタマイズ機能もパワーアップ。これまでモジュールごとに固定だった髪型も、同じキャラクターであれば個別に切り替え可能になった。大崎氏によると、これは「Project mirai」シリーズで展開した“服だけチェンジ”がユーザーから受け入れられたことが理由としてあるそう。

また、ゲーム内では初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカ、KAITO、MEIKOと最大6人が参加する曲も用意されているが、従来は3人までしかカスタマイズできなかったものを、6人全員がカスタマイズできるように。全員をミクにしてみたり、衣装のイメージを統一したりと遊びの幅も広がりそうだ。

本作ではリズムゲームの遊びの部分以外でもさまざまな要素を盛り込んでいる。そのひとつが、シリーズ初となるリズムゲーム練習モード「プラクティス」だ。

このモードでは、好きな楽曲の開始時間を指定してそこから練習できるのだが、ワンボタンで何度でもリスタートできるため、まさに曲中の苦手な箇所を重点的にプレイ可能だ。プレイ中にもリスタートポイントを変えられるという優れもので、上手く活用すれば確実に攻略に役立ってくれるだろう。

逆に普通のリズムゲームでは物足りないという人のため、L2・R2の長押しで切り替えられるのが、1本のライフゲージで規定曲の連続クリアを目指す「サバイバルコース」だ。コースごとのテーマに合った楽曲・難易度が選曲されており、それらを全てクリアすれば該当するコースをマスターしたといえる内容とのこと。

ちなみに本モードもオンラインランキングに対応しているそう。コンボが曲をまたいで連続した場合、それらも継続してカウントされるため、いかにコンボを切らずに繋げてスコアを上げていくかが重要になりそうだ。

ただし、先述の髪型カスタマイズとサバイバルコースを楽しむためには、「Future Sound」「Colorful Tone」の両方を購入する必要がある。2つともに購入することで、モードが追加される仕組みだという。

こちらも家庭用版シリーズ初となるオンラインランキングは、3939位までを上限として、全国のプレイヤーとリズムゲームのハイスコアを競えるようになっている。楽曲ごとのハイスコアはもちろん、難易度ごとの平均達成率などのランキングも用意するということで、長期的に遊べるよう設計されているようだ。

また、「Arcade」でも搭載されている写真撮影機能も、本作ならではの仕様として強化されている。PS4であらかじめ用意されているSHARE機能でも撮影可能だが、PV鑑賞中にワンボタンで撮影可能な独自の機能を搭載することで、よりスムーズに撮影が楽しめるように。

狙ったショットを撮影したい場合は一時停止した上で撮影することも可能。さらに、同機能で撮影したフォトをローディング画面の壁紙として設定することもできる。

シリーズ初のキーコンフィグ搭載など遊びやすさも追求

そのほかにも、本作ではユーザーがより快適にプレイを楽しめるような、かゆいところに手が届く機能が用意されている。

まずはこちらもシリーズ初となるキーコンフィグ機能を搭載。特に家庭用版とは同時押しの仕様が異なり、複数のボタンを一度に押す局面もあることから、1ボタンでの同時押し設定ができるのは、嬉しいところ。また、○×△□ボタンと十字キーはもちろんのこと、デフォルトではスライダー操作に対応しているL1/R1/L2/R2ボタンにも割り当てられるので、プレイヤーの好みに合わせたカスタマイズが可能だ。

スライダーに関してはタッチパッドおよびモーションセンサー機能でも操作が可能。豊田氏がモーションセンサー機能での操作を実演してくれたのだが、よりダイナミックな操作感になっており、プレイ映えする印象を持った。

ちなみに、メロディアイコンの表示についても5種類から切り替えることができる。「Arcade」では△□×○のみだったアイコンだが、方向キーを組み合わせた表示も可能。その際は同時押しを意識しやすいような、アイコンの組み合わせになっているとのこと。

さらに、ボタンの同時押しをサポートする機能も搭載。HARD以下の難易度をプレイする際、同時押しのタイミングで対応したボタンを画面上に表示する機能のほか、押すボタンの数があっていれば、ライフが減らなくなる機能もある。ともに設定でON/OFFが可能となっているが、まずはこの機能を使って操作に慣れていくのが良さそうだ。

発売の経緯や制作のこだわり、本作の収録内容についてインタビュー

(左から)豊田勝氏、大崎誠氏

――本作が発売となる経緯についてお聞かせください。

大崎氏:「Arcade」は奇しくも今回の発売日と同日の、2010年6月23日に稼働がスタートし、そこからゲーム内のモデルがライブなどで使われたりして、海外でも認識されていると思います。ただ、アーケードゲームはいつかは運営が止まりますし、壊れたりすると無くなってしまうものです。

プレイした人だけで100万人、映像を見たという人を含めたらもっとたくさんの方が触れられていると思いますが、そうした方に向けて残したかったというのがあり、コンセプトでもある「永久保存版」にはそうした意味があります。

もともと「Arcade」を作ろうと思ったきっかけは、初音ミクシーンのジュークボックスを作りたいということだったのですが、PS4であれば手元に残してもらえるだろうということで、発売することになりました。

――本作で特にこだわられたポイントはありますか?

大崎氏:今回は3つ合わせると容量が25GBほどになるのですが、昔はそのサイズのダウンロードは許されていなかったので今の時期で良かったなと思います。それだけのボリュームの楽曲を収録するのはもちろん、当然やるのであれば一番きれいなグラフィックにしたかったので。

あと地味なところではあるのですが、セレクター部分もパッと見アーケードと似ていますが、全て描き直しています。僕は洋ゲーマニアなので、ゲームが始まる前の2Dにうるさいんですよ(笑)。そういうところはめちゃくちゃこだわっています。

おまけに、「Future Tone」「Future Sound」「Colorful Tone」それぞれにイメージカラーがあるのですが、各楽曲パックの購入状態に応じ、ゲーム全体のイメージを切り替えることができます。こうした所有欲を満たすようなこだわりがあります。

豊田氏:サウンドテーマも、これまでの「Arcade」で使ってきたものを全て切り替えられるようになっています。こういうこだわりは細かいところも含めてかなり入っています。

大崎氏:今時の作り方ではないのですが、話していく内に仕様が増えていきましたね。

豊田氏:セレクターはもちろんですが、リズムゲーム中の画面を含めて全て作り直しています。同じものをそのまま使ってというのは一切無いです。

大崎氏:デザイナーは悶絶していましたけど、結果としていいものができました。我々はアーケード屋なので、ユーザーの皆さんが繰り返し触るような部分については、こだわっていますね。

豊田氏:操作性の部分も、操作方法しかり、ボタンを押した時のリアクションのタイミングなどはかなりこだわっています。開発初期からボタン配置については話しましたし、配置が決まってからも実際に触ってみて調整や修正の繰り返しです。DUALSHOCK4は無線接続ですが、若干の遅延でもリズムゲーマーにとっては気になる部分だと思うので、今年の3月頃までずっと試行錯誤を繰り返していました。

ほかのシリーズと同様、画面上でのタイミング調整はできますが、ベース部分の遅延対策も入れてあるので、アーケードユーザーが遊んでも違和感はないと思います。

大崎氏:あとコントローラーから音がでたり、震えたりします。「mirai 2」の長押しの音がすごく気持ち良くて、その音の気持ち良さを本作でも再現したかったというのがあります。

――「Prelude」で収録される2曲について、選曲の理由などはあるのでしょうか?

大崎氏:無料のタイトルに楽曲を収録するというのはなかなかお願いできることではない中で、今回の趣旨に賛同いただいたのが八王子Pさんとkzさん、ぼーかりおどPさんでした。また、「Weekender Girl」は「ODDS&ENDS」と並ぶ「初音ミク -Project DIVA- f/F」の書きおろし曲ですし、「1/6 -out of the gravity-」も「mirai 2」に収録されていて、余談ですがライブでも使わせていただいているので、そういった思い入れもありつつ、知名度も含めて選曲しました。

――追加パックの構成の理由についてもお聞かせいただけますか?

豊田氏:「Future Sound」の楽曲に関しては、我々AM2研のほうで手がけてきた「ドリーミーシアター」というタイトルに収録されていた楽曲がほぼ含まれているので、また買い直すことに抵抗があるお客様もいらっしゃるだろうと。それを踏まえて、これまでに配信された楽曲を集めた「Future Sound」と、据え置き機では新規収録曲になるであろう楽曲を集めた「Colorful Tone」に分けたというのがひとつの理由です。

ただ僕としては、開発を始める前に「Arcade」のユーザーにアンケートを取った際、回答者に10代~20代前半の若い世代が多く含まれていたので、若い世代であれば一月のお小遣いは決まっているだろうということから、2つに分けて価格を安くしたいというのも理由としてあります。

今回はどちらを買っていただいたとしても100曲ぐらいは入っているので、一ヶ月遊ぶには十分だと思います。まずは一方のパックを遊んでいただいて、楽しいと思っていただけるのであれば次の月にもうひとつのパックを買っていただくようなかたちで広げていきたいという思いがあります。

大崎氏:本当だったらもっと高い価格つけますよ(笑)。ただ、先ほどから話している通り、「Arcade」で支持していただけた部分を残したいという思いがあったので、お求めやすい価格にしようと。

豊田氏:本作に関しては、“漢気”で作っている部分はありますね(笑)。

大崎氏:移植しやすそうに見えるかもしれませんが、グラフィックのシステムって「Arcade」と本作では滅茶苦茶違うんですよ。全く同じグラフィックにしようとしたものの、最初は「これ、違わない?」みたいなことが結構あって、両方のPVを並べてその差分をオートで拾うようにして修正していきました。パッと見は「Arcade」と同じ雰囲気ではありますが、根っこは全然違います。同じなのは髪の物理のシステムぐらいですかね。

豊田氏:確かに髪の物理のシステムは一緒ですけど、パラメータも付け直しています。なんといっても今回は髪型のカスタマイズが入っていて、これまではできなかったモジュールとの組み合わせが可能になります。それらのパラメータを(パターンの)数を数えないということと、好きな人がその作業をするということが成り立つ秘訣です(笑)。

大崎氏:「Arcade」は割と出回ったほうではあるのですが、周囲のゲームセンターに置いてないという方がいたと思うんですよ。そういう人たちに初めて届けるという意味でも、今回の価格設定になりました。「かけた手間と価格が果たして合ってるんですか?」と言われたような気もしますが、そこは感謝ということで。普通だったらこんなプロジェクト通りませんよ(笑)。

――追加楽曲などはDLCとしての追加となるのでしょうか?

豊田氏:「Arcade」でも引き続き楽曲を追加していくので、そうした楽曲に関してはDLCでの追加になっていくと思います。

大崎氏:今回の配信時の段階で「アゲアゲアゲイン」からの楽曲からは収録されていませんし、「Arcade」に関しても本作を出したから終わりではなく、今後も楽曲を追加していきます。何回かに分けて、モジュールや楽曲をDLCとして配信されると思います。

豊田氏:時期等はまだお伝えできないのですが、続報にご期待いただければと思います。

――最後にユーザーの方にメッセージをお願いします。

豊田氏:初音ミクや「Project DIVA」シリーズが確立されている中で、今回は新たな試みとして、初めて「Project DIVA」シリーズに触れる方でも十分遊べる内容ですし、上手くなってこの作品の良いところにちゃんと触れられるようにしています。新規ユーザーの方含め、どなたも心配せずに遊んでください。気になったら、まずは「Prelude」を遊んでいただければ全てわかると思います。

大崎氏:自分のPS4に入れていることが愛おしくなるようなタイトルにしたつもりです。ゲームだけでなく、セレクターひとつ見ても飽きさせない、所有欲を満たすものになっていると思いますので、まずは「Prelude」からダウンロードしていただき、触っていただければと思います。期待は裏切りません。やりすぎました(笑)。

――ありがとうございました。

初音ミク Project DIVA Future Tone Prelude

セガ

PS4ダウンロード

  • 発売日:2016年6月23日
  • 15歳以上対象

初音ミク Project DIVA Future Tone Future Sound

セガ

PS4ダウンロード

  • 発売日:2016年6月23日
  • 15歳以上対象
  • 販売終了

初音ミク Project DIVA Future Tone Colorful Tone

セガ

PS4ダウンロード

  • 発売日:2016年6月23日
  • 15歳以上対象
  • 販売終了

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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