コンピュータエンターテインメント協会およびCEDEC運営委員会は、2016年8月24日よりパシフィコ横浜にて開催するコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス「CEDEC 2016」について、「CEDEC AWARDS 2016」の特別賞および著述賞を発表した。
「CEDEC AWARDS」は、コンピュータエンターテインメント開発の進歩へ顕著な功績のあった技術にフォーカスし、技術面から開発者の功績を称えるもの。
コンピュータエンターテインメント開発全般に貢献した人物を表彰する「特別賞」には、ビデオゲームの黎明期に「川中島の合戦」を生み出し、現在も続く「信長の野望」「三國志」シリーズなど、ゲームの世界に歴史シミュレーションを根付かせた襟川陽一氏(コーエーテクモホールディングス代表取締役社長)に決定した。
同氏は「シブサワ・コウ」の名前で、ゲームプロデューサーとして今もなお歴史を題材にしたゲームを中心に制作を続ける一方、経営者としてもゲーム業界とゲーム学術の発展にも尽力している。
また、著述賞にはコンピュータ・グラフィック(CG)技術を基本から応用まで幅広く取り扱うボーンデジタル発行の専門雑誌「CGWORLD」編集部に決定。「CGWORLD」は実際の制作現場でのアーティスト、エンジニアへのインタビューシリーズなど、多彩な視点による記事で構成され、雑誌メディアとしてプロに限らず、幅広い読者へ向けて最新のCG技術を認知・普及させることに長きに渡り貢献していることが、授賞理由となった。
なお、CEDEC AWARDS優秀賞はいずれも斬新な技術でコンピュータエンターテインメントに新風を吹き込んだ功績を評するもので、昨年のCEDEC受講者アンケートで高評価を得た講演者と、CEDEC 2016のセッションを選定するプログラムワーキンググループの各分野のプロデューサーとで組織する「CEDEC AWARDS 2016ノミネーション委員会」が、「エンジニアリング」「ビジュアル・アーツ」「ゲームデザイン」「サウンド」の4部門で計22のグループまたは個人を「優秀賞授賞者」(最優秀賞ノミネート)を選考している。
これら各部門の優秀賞の中から、CEDEC 2016受講者、講演者およびCEDEC運営委員会の投票により、栄えある各部門の最優秀賞授賞者各1組が決定され、CEDEC 2016会期2日目の8月25日(木)17時50分より、CEDEC 2016会場内で発表・授賞式が行われる。優秀賞授賞者(最優秀賞授賞ノミネート)の詳細およびCEDEC AWARDSの実施概要は、CEDEC 2016公式サイト(http://cedec.cesa.or.jp/2016/event/awards.html)に目を通しておこう。
特別賞
襟川陽一氏(えりかわ よういち)
コーエーテクモホールディングス代表取締役社長
授賞理由
ビデオゲームの黎明期に「川中島の合戦」を生み出し、現在も続く「信長の野望」、「三國志」シリーズなどにより歴史シミュレーションを根付かせた。
ゲームプロデューサー「シブサワ・コウ」として今もなお歴史を題材にしたゲームを中心に制作を続ける一方、経営者としてゲーム業界とゲーム学術の発展にも尽力している。
著述賞
「CGWORLD」編集部
発行:ボーンデジタル
授賞理由
CGWORLDは、コンピュータ・グラフィック(CG)技術を基本から応用まで広く取り扱い、実際の制作現場でのアーティスト、エンジニアへのインタビューシリーズ等多彩な視点による記事で構成され、雑誌メディアとしてプロに限らず幅広い読者へ向けて最新のCG技術を認知、普及させることに、長きに渡り貢献している。
CEDEC AWARDS 2016 優秀賞授賞者(最優秀賞ノミネート)一覧(敬称略)
エンジニアリング部門
※昨年までのネットワーク部門はエンジニアリング部門と統合しました。
ネットワークゲーム開発の低コスト化を実現
「Photon Realtime」開発チーム(GMOクラウド)
業界全体のグラフィックスの向上に貢献
NVIDIA GameWorks(NVIDIA Corporation)
既存ゲームのクラウド配信普及への挑戦
Ubitus GameCloud開発チーム(Ubitus)
Unityにおいてビジュアルノベルゲーム作成の民主化に大きく貢献
時村 良平氏(マッドネスラボ)
2Dアニメーションの制作におけるデファクトスタンダード
「OPTPiX SpriteStudio」開発チーム(Web Technology Corp.)
チャットとツールをつなぐことで開発を加速させるChatOps文化の促進
「ChatWork」開発チーム(ChatWork)
オーサリングツールとして長らく業界に貢献
「Adobe Flash」開発チーム(Adobe)
ビジュアル・アーツ部門
ゲームをより楽しく演出するイカすビジュアルデザイン
「スプラトゥーン」開発チーム(任天堂)
高速プリレンダリングワークフローが開く新たな境地
「THE GIFT」制作チーム(マーザ・アニメーションプラネット)
3Dゲーム開発民主化の立役者
「Unity Technologies Japan」開発チーム(Unity Technologies Japan)
孤高のイラストレーションアニメーション
「オーディンスフィア レイヴスラシル」開発チーム(アトラス)
説得力の在るファンタジーの世界観を再現
「The Witcher 3:Wild Hunt」開発チーム(CD PROJEKT RED)
ゲームデザイン部門
日本人になじむMOBA・FPSの提案
「スプラトゥーン」開発チーム(任天堂)
虚構の世界に浸るVR
「サマーレッスン」開発チーム(バンダイナムコエンターテインメント)
AIエージェントの未来が見える
女子高生AI「りんな」(日本マイクロソフト)
誰もが楽しめるUGC
「スーパーマリオメーカー」開発チーム(任天堂)
プレイ時にカードとデータを生成する、デジタルカードのリアルアナログカード化
艦これアーケード(「艦これ」運営鎮守府/セガ・インタラクティブ)
サウンド部門
独自の音楽制作アプローチに加え、「シオカラーズ」ライブという新しいかたちのメディアミックス展開を実現
「スプラトゥーン」開発チーム(任天堂)
ゲームサウンドのクオリティアップのための積極的な活動実績
祖堅 正慶氏(スクウェア・エニックス)
自然で違和感のないヴァーチャルリアリティサウンドと視覚、触覚との高度なインタラクションの実現
「VR ZONE Project iCan」サウンド開発チーム(バンダイナムコスタジオ)
ミュージック・シーンのみならず、効果音ツールの分野も切り開いたバーチャルシンセ
「Native Instruments Massive」開発チーム(NATIVE INSTRUMENTS)
「勇者ヤマダくん」における個性的なトータルサウンドデザイン
杉山 圭一氏(スタジオカリーブ)