フリューより発売中のPS Vita用ソフト「Caligula -カリギュラ-」。発売以降も話題を呼んでいる同作の魅力を、乙女ゲーム好きライターの目線で紹介していく。

フリューから6月23日に発売したPS Vita用ソフト「Caligula -カリギュラ-」。シナリオは里見直氏、サウンドは増子津可燦氏、開発はアクリアが担当し、インターネットを中心に活躍する9人のサウンドコンポーザー起用でも話題を呼んだ完全新作の学園ジュブナイルRPGだ。

この独特な世界背景に欠かせない要素の一つが、キャラクターデザインを担当したおぐち氏のイラスト。バーチャルアイドル「μ(ミュウ)」や主人公たち「帰宅部」、敵対する「オスティナートの楽士」など、他のゲームとは一味違った趣向で描かれた多くのキャラクターが本作の世界を彩っている。

そこで今回は、乙女ゲームをこよなく愛する筆者がメインキャラクターの中でもイケメンたちにスポットを当て、彼らに秘められたさまざまな魅力についてご紹介していこう。なお、本稿で取り上げているキャラクターの印象はあくまでも筆者の主観によるものなので、あらかじめご了承いただきたい。

理想の世界「メビウス」から現実への帰還を目指す物語

さて、まずは本作のメインストーリーやシステムについて簡単に触れておこう。舞台は、自我の芽生えたバーチャルアイドル「μ(ミュウ)」が現実世界に苦悩する人々を救うために創り上げた仮想世界「メビウス」。メビウスに誘われた人々は辛い現実を忘れ、自身の思い描く「理想の自分」として終わらない時間を過ごしていた。

しかし、幸か不幸か「ここは現実ではない」と気付いてしまったのが主人公たちだ。彼らは元の世界へと帰るべく「帰宅部」を結成。そのため、メビウスを維持する「オスティナートの楽士」は世界の秩序を乱す帰宅部を反逆者とみなし、互いの目的のために争うこととなる。

多種多様なスキルを駆使し、未来を予測しながら戦うコマンドバトルはもちろん、500人以上の生徒とのコミュニケーション、メッセンジャーアプリ「WIRE」でのチャット交流など、ユニークなシステムも本作の面白さが現れた部分。発売直後からアップデートが実施され、バトルが苦手な人でもスムーズにストーリーを楽しめる「ビギナーモード」の搭載やユーザビリティの向上も行われている。乙女ゲームのようなアドベンチャーを主体に遊ぶプレイヤーでも十分に楽しめるのでご安心あれ。

メビウスからの脱出を図る「帰宅部」に隠された「本当の姿」とは

なかでも注目したいのは、帰宅部のメンバーの秘密に迫る「キャラクターエピソード」だ。一見、可愛い女の子やイケメン揃いの帰宅部だが、彼らもメビウスへと招かれた一人。一度は逃げ出した現実へ再び戻ろうとする個人的な事情はメインストーリーでは深く語られないため、どうしても知りたければこちらから「心の闇」へと踏み込んでいかなくてはならない。乙女ゲームで例えるなら、攻略キャラクターの個別ルートに近いだろう。

そんなイケメンたちがひた隠しにする本性とは一体なんなのだろうか。筆者も最初は単純な好奇心で、どんどんキャラクターと交流を重ねていったのだが…その内容は現代病理をモチーフにしており、プレイヤーによってはあまりのリアリティに言葉を失うかもしれないし、思い描いていたキャラクターとのギャップに「見なければよかった」と後悔するかもしれない。まさに本作のタイトルにもなっている“見てはいけないものほど見たくなる、してはいけないものほどしたくなる”という意味を持つ「カリギュラ効果」を最も体現したのが、このキャラクターエピソードといえるだろう。

実際、筆者自身も後ろ暗い歴史を抉られたり、しばらく重苦しい気持ちになったり、とにかく涙が止まらなかったり、却って愛が強まったりと抱いた感情はさまざまだが、どれも体験してみて激しく心を揺さぶられたのは間違いない。「こんなところは普通見せないだろうな、すごいな」とひたすら感心してしまうくらいにキャラクターの本性に踏み込めるのも「Caligula -カリギュラ-」の持ち味だ。

帰宅部のイケメンたちに隠された“危うい”魅力

主人公(CV:沢城千春)

それでは、帰宅部のイケメンたちについてご紹介していこう。まずは、プレイヤーの分身ともなる主人公だ。ビジュアルこそ涼しげなイケメン男子高校生だが、メビウスでは理想の自分で描かれるため本来の年齢や性別は見た目通りとは限らない。メビウスに来ることになった現実世界のトラウマをはじめ、背景を自分の好きなように想像できるのもポイントだ。自分自身の辛い出来事を投影してもいいし、「この主人公ならこういうトラウマを背負ってそう」と設定しても楽しめる。敵と戦うため、自身の内面を色濃く反映した異能の力「カタルシスエフェクト」は二丁の拳銃で、細かな装飾もやたらと格好いい。

外見的には少し着崩した制服や花モチーフのループタイ、ちらりと見える真っ赤な靴下などオシャレなイメージも垣間見える主人公。メインストーリーでは帰宅部の部長としてしっかりとメンバーを引っ張り、バトル中に聞こえるボイスや選択肢のセリフも頼りがいのある落ち着いた印象のものが多く感じられた。一方、キャラクターエピソードでの選択肢には大分ユニークなものも用意されていて、どれを選ぶかによって主人公像は大きく変わるだろう。

佐竹笙悟(CV:武内駿輔)

佐竹笙悟は帰宅部の前部長で、達観した態度や落ち着いた言動から周囲には兄貴分として頼られている。いわゆる正統派イケメンではないものの、クセの強が際立つビジュアルに渋い低音ボイスがマッチし、じっくりと噛みしめたくなるような奥深い味わいのあるキャラクターだ。

普段は気だるそうな雰囲気をまとい、必要以上に他者へ興味を示そうとしないが、現実への執念は帰宅部の中でも異常に映るほど。障害となるものには恐ろしいほどの攻撃性をみせ、全く容赦しない。このアンバランスで複雑な二面性に興味を抱くか、一歩引くかはプレイヤー次第となる。

部長を継がせた主人公への気遣いから始まるキャラクターエピソードは、ある少女の携帯を壊してしまうところから大きく動き出す。笙悟の意外な一面、そして心の奥底に隠された本性を明らかにしていく。カタルシスエフェクトで現れる大きな拳銃、そして両手首にはめられた手錠は一体彼を、何に縛り付けているのか…。

峯沢維弦(CV:梅原裕一郎)

人目を惹く美しい容姿ゆえに、メビウス内で圧倒的な女性人気を誇る峯沢維弦。そのモテっぷりはオスティナートの楽士の一人で、容姿に絶対の自信をもつ「イケP」にもライバル視されているほど。カタルシスエフェクトでは細身の刀剣と、左画面を覆ってしまう仮面が現れるが、むしろ筆者は美しさが際立ったような錯覚すら覚える。

見た目はイケメン中のイケメン、さらにボイスからもにじみ出るイケメンっぷりについ近寄りたくなるが、当初は帰宅部とも関わろうとせず、言葉数も少ない上に他者への興味・関心が全くといっていいほど感じられない。「でもそんなところもクールビューティー!素敵!」と舞い上がりたいところだが、そんな風に感じたプレイヤーほど可及的速やかにWIREでやり取りし、筆者のように膝から崩れ落ちてくれるのを願わずにはいられない。一人で生きることに固執する維弦のキャラクターエピソードも、本性に触れる覚悟が決まったらぜひ最後まで踏み込んでみてほしい。

巴鼓太郎(CV:細谷佳正)

困っている人を放っておけない正義感の強い少年で、明るく陽気ムードメーカーとして帰宅部を盛り上げてくれる巴鼓太郎。一方、当初は突然部長となった主人公に反発し、粗暴な振る舞いがトラブルを巻き起こすといった面も。とはいえ、筆者としてはなかなか本性の見えないメンバーばかりの中で、何だかんだと周囲に上手く丸め込まれたり、つい調子に乗ったりする言動がとても微笑ましく感じられた。

強さにこだわる鼓太郎のカタルシスエフェクトは、大柄な体格をさらに大きくみせる両腕のガントレット。キャラクターエピソードも主人公への対抗心をきっかけに「お悩み解決業」に乗り出すところからスタートするなど、一見すべてが単純そうに思える。だが、こうした言動の裏で見え隠れする微妙な不安定さが気になり、最終的に筆者は「困っている人を放っておけない鼓太郎のほうが放っておけない!」となってしまったので覚悟していただきたい。

響鍵介(CV:蒼井翔太)

響鍵介はオスティナートの楽士「カギP」として帰宅部の前に立ち塞がり、戦いを経て仲間に加わる。外見的には男性キャラクター唯一の「メガネ」であるというアドバンテージは見逃せず、カタルシスエフェクトで出現する大振りの大剣、そして妖精のような羽も大きなポイントだ。

他のメンバーとは少し異なる入部経緯だが、とくに物怖じせず部に溶け込み、皮肉めいた物言いを交えながらマイペースに行動する。表面的には丁寧だがさらりと容赦ない一言を放つ一面も併せ持ち、端的に感想を述べさせていただくなら透明感のあるボイスとシニカルな態度の組み合わせは最高以外の何物でもない。また、立ち位置的にもプレイヤーの目線に近いように思えたため、個人的にはとくに共感できた。カギPとしての戦い、そして楽曲からも彼の本音はかなり伝わってくるが、キャラクターエピソードでは帰宅部に合流した後の複雑な思いについても触れられる。

そして、改めて乙女ゲー好きとしてご紹介しておきたいのは豪華声優陣だ。主人公の沢城千春さんをはじめ、佐竹笙悟は武内駿輔さん、峯沢維弦は梅原裕一郎さん、巴鼓太郎は細谷佳正さん、響鍵介は蒼井翔太さんと、いずれも女性向けコンテンツなどで大きな人気を集める方ばかり。しかし本作の、とくにキャラクターエピソードでは他ではまず耳にしないようなタイプの激しい演技をみることができる。もちろん帰宅部だけでなく、楽士のイケPを演じた斉藤壮馬さん、シャドウナイフを演じた内田雄馬さんらの熱演も必聴だ。

さまざまな形で胸に刺さるストーリーやキャラクター、声優陣の尖った演技を堪能できる「Caligula -カリギュラ-」。普段はRPGを遊ばないというユーザーも、気になるイケメンがいたらぜひプレイしてみてほしい。きっと本作の奥深い楽しさに心を奪われるはずだ。

Caligula -カリギュラ-

フリュー

PSVitaパッケージ

  • 発売日:2016年6月23日
  • 15歳以上対象
Caligula -カリギュラ-

Caligula -カリギュラ-

フリュー

PSVitaダウンロード

  • 発売日:2016年6月23日
  • 15歳以上対象

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(C)FURYU Corporation

※画面は開発中のものです。

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この記事のゲーム情報

Caligula -カリギュラ-

学園ジュブナイルRPG
機種
PSVita
プラットフォーム
パッケージダウンロード
OS
会社
フリュー
シリーズ
Caligula
ジャンル
RPG
公式サイト
公式サイト
  • プリコネR特集
  • セール情報
  • Figgy

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