ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2016年8月25日に発売するPS4用ソフト「No Man’s Sky」のプレイレポートを掲載! 1つとして同じ惑星が無い、膨大な規模の宇宙を旅するSFアクション・アドベンチャーの真髄を見よ。

目次
  1. おいっ! 見ろっ! 知らない惑星があるぞっ!
  2. 水しかない惑星で、津波に襲われるのは危険かもしれない
  3. 本棚の裏側は、ときどき覗いておきたい

夜空の大宇宙を旅して、誰も見つけたことのない星々を巡る――。そんな銀河のページを手探りしていくかのような体験ができるのが、今回紹介するSFアクション・アドベンチャー「No Man's Sky」である。

“18,446,744,073,709,551,616個”という、指折り数えられぬほどの惑星が生成された宇宙では、未知との遭遇を楽しんだり、惑星の住人たちと取引したり、冷たい宇宙で身を守る術を模索したり、ときには相容れぬ敵対者たちと衝突したりと、壮大な体験がプレイヤーを待ち構えている。

米国のインディーズゲーム会社・Hello Gamesに所属する、わずか数名の開発者たちの手からスタートしたゲーム制作。小さなチャレンジの精神から生まれた、大きなコンセプトの魅力には、今現在、世界中のゲーマーの関心が一挙に集められているといっても過言ではない。

というわけで今回は、我々の相棒となる小型宇宙船へと乗り込み、日本国内における先行探検者の1人となって、この世界で見たこと、感じたこと、味わったことを、ここに記していくことにした。これがオープンスペースワールドの第一人者の役目というやつだろう。

※開発中のゲームデータを使用しているため、製品版と内容が異なる場合がございます。

おいっ! 見ろっ! 知らない惑星があるぞっ!

ゲームをはじめると、目の前には見知らぬ風景と、真っ赤な宇宙船の姿が。本作にはストーリーなどはないものの、察するところ、どうやら未知の惑星に不時着でもしたのだろう。船の各部が故障を訴えていることが見て取れる。

未知の大地で一歩を踏みしめるよりも先に、まずはオプション画面を開く。

ここで操作方法をチェック。私は説明書を読んでからゲームをはじめるタイプである。

準備よし。当面は画面右下に表示されているアナウンスを頼りに、せっせと目標をこなしていこう。まずは船の修理に必要な資源を集めていくらしい。フィールド上にはさまざまな姿形のオブジェクトが存在しており、それらには炭素や鉄といった“元素”の名称が付けられている。

資源は大きく分類して、炭素・プルトニウム・タミウム9などの「アイソトープ資源」、鉄・亜鉛・チタニウムなどの「オキシド資源」に分かれており、その入手方法は攻撃して壊すこと。近接・射撃で削ったり、バラバラにすることで、アイテムとして確保することができる。一部の希少な鉱石などは穏便に採取していくが、基本的にはほぼ攻撃対象である。

ここでは鉄が欲しいので攻撃を試みているが、イメージ通りとても固い。

マインビームという初期武器で射撃をしていると、ビームの残量が減ってきた。どこで補充するのかを探っていたら、装備状況などを見るメニュー画面にて、「資源をチャージすることで回復」できることが分かった。どうやら本作の資源は一つのリソースにして、「回復」「修理」「作成」「換金」などのさまざまな用途が求められるらしい。

原則的に、各所で求められる資源は単一的ではなく、「銅がいいんだ」「プラチナを持ってこい」「反物質じゃないとダメ」など、無数に存在する資源がピンポイントで要求される。とはいっても、希少資源やアイテム作成が必要なものでもかぎりはフィールド上にゴロゴロと転がっているので、荷物の所持容量と相談しつつ、適度に確保しておこう。

まあ、この荷物の所持容量こそが、プレイヤーの心を悩ませてくる本作きってのジレンマなんだけども――。あと、本作では“突っ立ってているだけでも死に近づく”ゲームシステムなため、危険防衛システムおよび生命維持システムの残量管理を忘れてはならない。この辺りは小まめな補充が必要になるので、人によっては面倒に感じるかもしれない。

資源収集に明け暮れていると、なんか来た。なんだ。敵だっ。襲いかかってきた! 一つ目がチャームポイントの浮遊する小さな機械「センチネル」がこちらを取り囲んだ。警戒するような、値踏みするような厭らしい距離感で、的確に射撃攻撃を仕掛けてくる。しかも、相手は1機だけではない。見かけはザコ敵なのに、倒せば倒すほど追手が増えていく。

SFっぽいビームの応酬に酔っていたところ、帰らぬ者になっていた。後々知ったことだが、このセンチネルは敵対行動を取らないかぎり、基本的には襲ってこないらしい。おそらく、なにかしたのだ。もはや知る由もないが。

ゲームオーバー演出であろう、SFにちなんだ高名な人物からの名言が贈られた。

画面が暗転すると、リポップしたのは「第1世代」の墓前。好奇心は猫を殺すのだ。同じ轍は踏まいと、第2世代の冒険には細心の注意を払う。先代が集めた資源を回収しつつ、テクノロジーやアイテムを作成していくと、ゲーム開始から15分ほどで船の修理の目処が立った。

ちなみに移動アクションは、アナログスティックで移動、×ボタンでジャンプ、×ボタン押しっぱなしでブーストジャンプの計3種。いずれも直観的に操作しやすい。なにより、普通のアクションゲームであれば移動の障害になりそうな高低差もなんのその、斜面だってスムーズに歩くことができる。移動速度を除けば、移動に関するストレスを感じることはない。

いよいよ宇宙船の修理が完了した。「修理しても、燃料がないと動かないよ?」という初心者なら誰もが騙される罠にもめげず、2世代にわたる悲願を達成することができた。

現地で出会い、仲良くなった謎の生命体たち(※素材をあげると友好的になる)に別れを告げ、いざ、星の海へと飛び出そう。

開発陣が滅茶苦茶こだわったのであろう、大気圏を抜けるときにコントローラーが“非常に宇宙モノっぽい感じで振動”する。

ロケットの打ち上げや、ロボットアニメでよく見るガタガタ感が心地よい。

大気圏を抜けると、目の前には新たな惑星の姿が。異なるゲームであれば、ここに映されているのはただの光源であり、何気ないロケーションの一つであっただろう。

だが本作においては、宇宙にチラつく瞬きのすべてが目的地となりえるのだ。

水しかない惑星で、津波に襲われるのは危険かもしれない

宇宙船は通常運転の加速航行、それよりも早いブースト、それよりももっと早いパルスジャンプ、それよりももっともっと早いハイパードライブの4種類が存在し、臨機応変に使い分けることができる。前の2つは常時使用可能で、後の2つは惑星間航行でのみ使用可能だ。

加速飛行だけで何万光年も離れている惑星に行こうとすると、「目的地まであと1:47:28」といったどうしようもない数字が表示されるが、そこでパルスジャンプを使えば、「目的地まで1:02」と大幅に短縮することができる。しかし、各航行方法によって消費する資源が異なっているので、それらの管理にも気を配らねばならない。

宇宙船は惑星および惑星内の地形には衝突できない仕様のため、直角で大気圏へと突入し、地表スレスレまで規格外のスピードで近づいても、安心安全の方向転換を自動でしてくれる。システム上、こういったセーフティがなければ、宇宙空間を亜高速で飛んでいるとき、知らないうちに惑星に衝突し、塵になる可能性すら否めなくなるので仕方ないのであろう。

とはいっても、宇宙空間ではオブジェクトに対する衝突判定が存在し、巨大宇宙船やスペースデブリなどにぶつかると、船体にダメージを受けてしまう。まあ、デブリ衝突時はぶつかって壊したデブリから資源が現れ、それで回復することができるので、結果的にはトントンだが。

さて、ここまでのゲーム進行はまだまだチュートリアル。案内に従いながら、続けて前述していた「ハイパードライブ」の搭載を目指していく。

ハイパードライブはこのほかのアクティブに操作できる航行とは違い、いわゆるファストトラベル的な機能である。消費するリソースは格段に大きくなるが、銀河マップと呼ばれる絵図の中を、ワンボタンでワープすることが可能になる。遠すぎるとダメだけどね。

そんなハイパードライブを得るまでには、いろいろあった。

誰かは知らないが目の前に飛んでいる何かがいたので思わず撃ち落としたり、無償で技術を教えてくれる異星人とコミュニケーションを取ったり、石のような機械のようなモノリス的な物体から未知の知識を授けてもらったりと、宇宙は深遠なれど慈悲に溢れている。女王がいないかぎりは。

宇宙空間には「宇宙貿易ステーション」と呼ばれる施設が存在する。ここではその名の通り、銀河ネットワークを通じて、資源などのアイテムを売買することができる。

アイテムの売買には「ユニット」と呼ばれる特殊な通貨が必要となる。ユニットは手持ちの資源を売却するほか、新しい惑星や惑星内の特殊なロケーションを見つけ、それを「惑星図書館」に報告(ワンボタンでアップロード)すると、情報の対価として贈られる。

サイクルとして、操作しているだけでも必ず何らかのリソースを消費し、一定タイミングで惑星に降り立ち、必要な資源を収集する必要が出てくるゲームなので、貿易を上手に使って、スムーズにプレイできるよう計算していくことも大切だ。

この辺りのマネージメントができないと、ゲームを遊ぶたびに毎回0から10までのフローチャートをこなさないといけない、面倒なゲームになってしまう。賢い遊び方が長い付き合いの秘訣なのだ。もちろん、地道を積み重ねていくのが楽しみであれば、聞き流してくれていい。

ハイパードライブを入手できれば、もう一人前。後は自由だ。「No Man's Sky」はロマンを与えてくれるが、物語は与えてくれない。

オープンワールドゲーム、あるいはサンドボックスゲームのように、“ゲームを遊ぶ楽しみが見つけられる人”には無限の可能性が提供されるが、そうでない人は早々に目的を見失ってしまう。広すぎるだけの似通ったロケーションで同じことを繰り返す……そんな風な意義しか見出せなくなると、ゲームの求心力が急速に薄れてしまうかもしれない。

これはゲームの悪い点というよりも、ゲームデザインが抱えるデメリットなので、良し悪しでは語れない。「楽しみ方は人それぞれ」とでもいうほかないだろう。

ネガティブな評に続いて、今度は最大の楽しみに触れておこう。本文冒頭で、本作には18,446,744,073,709,551,616個の惑星が登場するといったが、これらの惑星に降り立ったプレイヤーもとい第一発見者には、自身のPSNアカウント名が惑星に紐付けられる権利と、当該惑星を好き勝手に名付けられる命名権が与えられる。

宇宙における情報はネットワークを介し、全プレイヤーに共有されている。ゲーム発売後は、銀河の中心部で腕利きの船長たちが第1発見の栄誉を取り合うことだろうし、かと思えば外宇宙側の一帯がすべて1人のプレイヤーによって開拓されることも起きうる。惑星内活動で秘境を探し当てることに終始する冒険家だって生まれるはずだ。

なお、「惑星の第1発見者」のバリューが魅力的なばかりに、自身のアカウント名を辺り一帯の惑星にズラッと並べる人が出てくるかもしれない。いや、絶対いる。筆者とか。絶対やる。しかし、惑星内の探索を疎かにしていれば、見切り品に付いている値引きラベルのように、有名無実な人だと宇宙中に知れ渡るだろう。惑星の第1発見なんて、消費燃料以外の苦労はないのだから。

このプレイヤー同士が相互的に宇宙の情報を補完していく構図が、本作のネットワークコミュニティの醍醐味といえる。直接的なマルチプレイはないものの、「自身の名を刻む行為」はなんとも甘美なものだ。ゲーマーであればこそ、これを捨て置けるポリシーの持ち主は少ないことだろう。

また、これまでに訪れた惑星の情報やプレイしてきた足跡が徐々に積み重なっていくのも、なんとも言えない充実感を覚えさせてくれる。集団と個人では別々のロードマップが用意されているため、これらを眺めてニヤニヤするのが、最も楽しいのではと考えているくらいだ。

最後に、こんなエピソードを一つ。

調子に乗って、宇宙船でドッグファイトをしていたところ、あえなく撃墜された。復元ポイント(※)に戻されると、相棒の宇宙船「らさまま S36」が大破していた。ちなみに、日本語版で設定されているさまざまな名称は、ひらがな・カタカタ・英数字を混ぜた乱数的な表記で生成されているようなのだが、気がつくと愛着が湧いている不思議。

仕方なしに、現地の突発イベントを徒歩で追っていたところ、救難信号の位置に乗り捨てられた宇宙船の姿が。その名は「やなごや S87」。意味はわからない。その形状も筒というか、小ぶりなロケットランチャーのようである。しかし、性能は良さそう。じゅるり。

※本作は基本オートセーブだが、特殊な設備にアクセスする、宇宙船を乗り降りするなどで復元ポイントが作成され、ゲームオーバー時や任意の操作で、一つ前の復元ポイントでリポップする死亡時に関しては、所持品の一部を死亡地点で回収せねばならず、2世代前、つまりアイテムを回収する前にもう一度死亡すると、所持品が消失してしまう。ただし、ゲームバランス的にも言うほどシビアではないので、ご安心を。

本作では、プレイヤーキャラクター、船、マルチツール(武器や工具の保管先)の3つのアイテムケースがあり、それらを違うものに変えることができる。簡単にいうと、「3種類あるバッグのそれぞれの容量を増やすため、違うバッグを探す」ということだ。なぜ容量を求めるのかは、実際にプレイするとすぐ分かる。ゲーム中、最も欲しいものだからね。

アイテムケースを見つけると、既存のケースの中身を移しつつ、そのままそっくり中身を頂戴することができるので、状況によっては新たなテクノロジーを入手しながら、丸儲けも可能だ。今回の場合は、相手の宇宙船もそもそも故障しているので、本文序盤でやっていた修理からはじめねばならないが、できれば“即時修理できる状態で交換”するのが望ましい。

船が故障すると一時的に宇宙に出られず、貿易もできなくなるので、修理に対する労力が増してしまう。ゲーム購入を検討している人は頭の片隅で覚えておいてほしい。とはいっても、このゲームにおいてはいわゆる“詰む”ことはない。一歩ずつ着実に進んでいけば、すぐに道は開けるのです。

本棚の裏側は、ときどき覗いておきたい

今回は発売前ということで、PSNネットワークに繋げられないことが幸いした。でなければ発売前にもかかわらず、煌めく星々の半分に私のアカウント名が記されていたであろう。「No Man's Sky」のオンライン環境における星々はいまだ誰にも手付かずなので、安心してほしい。

それに18,446,744,073,709,551,616個だ。視線だけで桁を数えられる人もいないくらいの膨大な数だ。実情がどうなるのかは予測できないが、仮に第1発見者になることだけを目指すユーザー層が世界中に湧き、そんな彼らが発売1ヶ月にわたってマーキング作業に専念したとしても、完遂よりも先に根気が折れるだろうことは想像に難くない。

それでも、本作の遊び方は自由である。一つの惑星を隅々まで巡ってさまざまな発見を楽しむのもいい。多彩な惑星のロケーションを眺めてはインスピレーションを膨らませるのもいい。あるいは宇宙船でのみ活動したり、果ては宇宙空間でのみの活動家も出てくるかもしれない。未知の異星人、未知の生命体、未知の言語の発見に勤しむのも一興だ。

幸い、ゲームに本筋はなくとも、ゲームの楽しみを加速させてくれるイベントごとは、目まぐるしくまでに降りかかってくる。こういうゲームを延々と遊び続ける自信がない人も、一年、いや1ヶ月遊び続けろとは言わない。1週間で遊び尽くす勢いで、「No Man's Sky」の宇宙史の興亡に自身の名を刻んでみるのはいかがだろう。

最後に、一部のSF著名人たちからのアドバイスを紹介しておく。ついでに筆者からも、創作世界の偉人より、思わず感銘を受けてしまうこと請け合いの名言をここに記しておく。宇宙では「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応」すればよいのだ。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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