タイトーは、8月20日に東京・渋谷のアップルストア表参道でダライアス30周年記念「Apple Storeイベント」を開催した。今回はその模様をお届けする。

シリーズ第1作目が1986年にアーケードに登場してから、今年で30周年となる横スクロールシューティングゲーム「ダライアス」。今回開催されたイベントは、その生誕記念のひとつとして「ダライアスバースト セカンドプロローグ(以下、ダライアスバーストSP)」開発陣によるトークセッションと、同社のサウンド開発部門ZUNTATAによるミニライブが行われた。

日本に3つの台風が迫り、残念ながら雨の中のイベントと開催となってしまったこの日のイベント。アップルストア表参道1Fの約半分に当たるスペースに、多くの来場者たちが詰めかけていた。

まずはピラミッドの開発ディレクターである柏木准一氏とプロデューサーの大島司氏、タイトーの針谷真氏が登壇。「iPhoneとApple TVで広がるゲーム体験」をテーマに、トークセッションが行われた。

柏木准一氏 大島司氏 針谷真氏

初めて見たときの印象は水族館みたいなゲームだった

――まず自己紹介をお願いします!

柏木氏:PSP版から始まって、最新の「クロニクルセイバーズ」までの開発ディレクターをやらせていただいています。今回の「ダライアスバーストSP」に関しては、ディレクターとともに開発プロデューサーもやらせていただきました。

大島氏:「ダライアスバーストSP」のプロデューサーの大島です。元々スマートフォンの部署にいまして、プロデューサーとしてピラミッドさんや社内の調整をしていました。

針谷氏:アーケードゲームの「ダライアスバースト アナザークロニクル」のプロデューサーをしていました。今年になって、家庭用の「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」のディレクターをやらせていただきました。

――1986年にシリーズ第1作の「ダライアス」が発売されました。当時の皆さんは、本作とどのように関わられていましたか?

柏木氏:一番最初に「ダライアス」を見たときは、高校生の頃でした。実家が静岡であまりゲームセンターなどはなくボーリング場だったんですが、そこに見たことも無い巨大なモノがあったんです。当時はみんな(ゲーム機に)並んで、100円玉を縦に積んで遊んでいましたね。

大島氏:ちょうど高校3年のころに、今で言うJAEPOや東京ゲームショウに当たるようなショウに行って、そこで初めて発表があったんです。3画面のものすごい筐体で、ボディソニックがついて。1画面分ぐらいの巨大な魚が出てきて。その時に思ったのは、水族館みたいだなと(笑)。当時タイトーの作品には、コミカルなキャラクターが出てくるという印象がありました。「ダライアス」みたいなゲームはなくて、それが本気でものすごい筐体で出てきたので、かなりショックを受けました。

針谷氏:私も最初に見たときは高校生の頃でした。自転車で30分ぐらい行ったところにゲームセンターがあって。印象的だったのは、ボディソニックがゲームセンター全体が揺れているみたいな音響のデカさだったところです。

――2009年に「ダライアスバースト」が登場しますが、ここからピラミッドさんが開発に携わられているんですよね?

柏木氏:元々タイトーの青木さんがスタートさせたいという話を前に聞いていて、ずっと前から企画書を作っていたみたいなんです。僕が見せてもらったのはバージョン3ぐらいで、それからしばらく経ってからスタートすることになりました。このご時世にシューティングをやらせてくださいというのは、ものすごく勇気が入り大変なことだったみたいです。

いつ作れるかわからないんですよ、といった話もありつつ、半信半疑だったんですがスタートすることになりました。「ダライアス」にはみんな思い出があって、僕らは“思い出補正”に勝たなければいけませんでした。そこをどう打ち勝つのかというのを課題にして、作った作品でした。

大島氏:メカデザインも思い出補正に勝たなければいけないといったところで、ガンダムなどで活躍されていた海老川さんや柳瀬さんにお願いしました。元々シーラカンスは1作目の1面の最初のボスとして出てきたものなので、どういう風にリファインすればいいのだろうというのをみんなで話し合いながら、こういう形にしていきました。

針谷氏:聞けば、海老川さんも「ダライアス」好きというお話でしたね?

柏木氏:海老川さんはゲーマーで、「ダライアス」の仕事だったら安くても頑張りますと(笑)。そのくらい本当に好きで、パッケージもお願いしたんですがどれも好きな人が描いたデザインに仕上がっていました。

――柳瀬さんはどうでした?

柏木氏:「ダライアスバースト」を作ったときに、一番最初にデザインされたのが「MUD WHEEL」です。最初のPSP版では裏面がなかったんです。アーケード版ではポリゴンが出せるようになったので裏面を作りました。

針谷氏:柳瀬さんのほうは動きものが多いというか、変形ものが多い印象がありますね。

柏木氏:そうですね。柳瀬さんもやっぱりゲームが大好きで、特に「サイバリオン」が好きだったらしく、「DARK HELIOS」の(デザインを依頼した)ときは、すごいハッピーみたいなことをおっしゃっていましたね。割と細かい設定やギミックが多かったのですが、ポリゴンなど技術的な都合で実現出来なかったところもありました。

伝説の「やっと売り物になるレベルのものが出来ましたね」と言われた約20年ぶりの専用筐体

――2010年に、「ダライアスバースト アナザークロニクル」が約20年ぶりに専用筐体としてアーケードに復活しました。こちらは針谷さんがプロデューサーとしてご担当された作品ですよね?

針谷氏:20年ぶりの専用筐体と言うことで、初代から思い入れのあるゲームにまさか自分が関わることができるとは思いませんでした。特徴としては、画面をふたつ繋げています。元はPSP版の「ダライアスバースト」なので、それを2画面対応にしてボディソニックを仕込んでいます。今でもゲームセンターで稼働していますので、遊んでいただけたらなと思います。

柏木氏:この開発は大変でしたね。最初に2画面で4人プレイができるプロトタイプを作りましょうという話があり、それでプレゼンしました。最初は半信半疑だったんですが、段ボールで作った筐体を見せられて、正直驚きました。アーケードのシューティングゲームとしては、最終的にかなりの台数を作ることになるなど、驚きの連続でしたね。

PSP版があったんですが、すごく短い期間でロケテストをやるという話があり、コンシューマーと違ってアーケードの開発はハードなんだなと思いました(笑)。元々PSP版で作っていたものを2画面に対応させるという話でしたが……率直な意見を言ってくださいといわれ、面白く無いとかつまんないとか、結構ぼろくそに言われて(笑)。

針谷氏:その節は、失礼しました(笑)。

柏木氏:最終的に頑張って面白くなったんですけど、その時に伝説の「やっと売り物になるレベルのものが出来ましたね」っていわれてですね(会場爆笑)。結構ひどいな、と思ったんですけど。

針谷氏:大変申し訳ございません(笑)。

柏木氏:でも、そのくらいみんな真剣に作っていました。ロケテストに間に合わなかったクロニクルモードというのがあって、筐体の値段から計算していって5000面必要ですと言われました。5000面のステージなんて作れないしというところで、針谷さんが現実的で上の方に掛け合ってくださって、3000面でいいですと(会場爆笑)。2000面負けていただいたという。その甲斐があって、ゲームセンターで長く遊ばれるものになったので、良かったんじゃないかなと思っています。

――ボディソニックの機構が図面が無く、1から作ったんですよね?

針谷氏:開発しているときもZUNTATAの部屋に、ボディソニックの試作機みたいなものがありました。鳴らすと、他の部屋にいる人たちが「地震か?」みたいな話になって(笑)。ここの部屋から出ていてみたいな感じになりました。そこら辺は苦労していたと思います。

柏木氏:あの筐体、ボリュームをマックスにするとあり得ない音が鳴るんですよ。マックスにすると音が割れるという話になり、怒りの電話が掛かってくるんです。

針谷氏:開発時も出て行けと言われてから覚えてないんですが、調整するときは専用の隔離部屋みたいなのがありまして。冷房も無いところで頑張っていた記憶があります。

アサルトは面白く調整しようとするたびに難しくなっていった!?

――2012年にiPhone向けにリリースされた「ダライアスバーストSP」は、大島さんがご担当された作品ですよね?

大島氏:この当時スマートフォンでは、ポリゴンを使ったゲームはあまり多くありませんでした。特にシューティングゲームのように、いろんなキャラクターが出てきてたくさんのものが爆発してみたいなゲームは無かったですね。

柏木氏:そうですね。

大島氏:紆余曲折あって、ピラミッドさんからいただいたサンプルがものすごい出来で、PSP版まんまの動きが再現されていました。PSP版の「ダライアスバースト」は大好きだったんですが、ちょっと難しいゲームだと思ったんです。100パーセント楽しむにはちょっと敷居があって、それを超えるともっと楽しいんですけど、なかなかその部分が見えにくいゲームだったんです。スマートフォンでは若干プレイしづらい環境になるので、操作性やPSP版で出来なかった爽快感の部分を、もっと盛り上げたらいいなと思いお願いしました。

柏木氏:やっぱり操作感ですよね。ずっとコントローラーやアーケードのスティックでやってきたものを、スマートフォンというデバイスに変わることで、どう面白く作るのか。タイトーさんの「スペースインベーダー インフィニティジーン」は、すごく指に吸い付くような操作を実現していたんです。我々もそれを目標に作りました。ただ、あれと同じものを作るのはすごく大変で、気持ちいい操作を「ダライアスバーストSP」でどう実現するのかというのが、思い出としては一番多く残っていますね。

大島氏:追加仕様にするときにアサルトにしようと言われたんですが、すごく気持ちいいんですけどちょっと難しくないですかという話をした記憶があります。アサルトは、初心者用の機体にしたいという気持ちが僕の中にありまして。アサルトだったら、手を離してでも1面をクリア出来ちゃうぐらいにしたいとディレクターにいいました(笑)。

ディレクターはゲーマーな人だったので、なかなかそうはならなかったんですが、最後は、バーストがたまっていたら弾を受けたときに自動でボムが出るというようにしました。そこまでやると、1面クリア出来てボスが倒れるシーンが見られて次に行けるという風になったと思います。

針谷氏:アサルトはアーケードから登場したのですが、試作で作ったときは結構強かったんです。調整して行くにつれてどんどん弱くなっていって。個人的には強くしたかったんですけど、いろいろと社内事情とかがありまして。

柏木氏:元々、一般兵士の人たちでも扱いやすくした量産機という設定だったんです。アーケードでも簡単に強いものにしようと作っていったのですが、面白く調整しようとするたびに難しくなっていったんです。最終的に、これ初心者用の機体じゃないよねみたいになっちゃいましたよね(笑)。

針谷氏:なので、「ダライアスバーストSP」ではものすごく強くなっていて、これだよなみたいな(笑)。

――今年、PS4、PS Vita、PC用の「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」が発売されました。

針谷氏:内容的にも1stシリーズの集大成という形になっていますので、プレイしていただけたらと思います。

ここで、今年配信が開始されたApple TV版「ダライアスバーストSP」を、柏木氏がプレイしながらのデモプレイが行われた。これまでタッチパネルでプレイしてたのが、コントローラーで遊べるのが新鮮だったという柏木氏。PSP版の演出が不評だったので、アーケード版に差し替えたなどの裏話も語りながら、時間ぎりぎりまでプレイを続けていた。

ラストはZUNTATAのミニライブでヒートアップ!

約40分のトークショウに続き、会場に訪れたユーザーたちが楽しみにしていたZUNTATAのミニライブがスタート。1曲目の「カンナンシンク」の演奏が終わった後、この日からApple MusicでZUNTATAのすべての楽曲が配信開始になったことも発表された。続いて「座和々」「DADDY MULK」と演奏が続き、この日のイベントは終了となった。

これまでの30年間を凝縮したようなイベントだったが、これからの「ダライアス」の進化にも期待していきたいと思わせる内容であった。

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秋葉原Heyオリジナル「ダライアス扇子」:1名
「ダライアスボールペン」(本体カラーブルー&レッド:2本セット):3名

提供

株式会社タイトー

当選者数

計4名(抽選)

応募期間

2016年8月22日~8月28日

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