スクウェア・エニックスが8月27日に開催したアーケードゲーム「ディシディア ファイナルファンタジー」の公式全国大会2016の模様をレポート!
アーケードゲーム「ディシディア ファイナルファンタジー」初のオフィシャルイベントとなった今回の公式全国大会2016。ここでは全国数多のプレイヤーたちがしのぎを削った全国決勝トーナメントと、最新情報盛りだくさんのスペシャルセッションが行われた。
会場となった舞浜アンフィシアターには当日、ディシディアにちなんだファンアイテムが一面に飾られていたほか、AC「ディシディア ファイナルファンタジー」の試遊台に加え、AC「シアトリズム ファイナルファンタジー オールスターカーニバル」の試遊台も設置されており、行列を成すほどの大盛況っぷりが伺えた。
全国決勝トーナメント、栄光の行方は?
FFシリーズのコンポーザーを多く務める石元丈晴氏のバンド「The Death March」によるオープニングアクトを皮切りに、いよいよ全国大会がスタート。
総合司会に荒川涼子さん、ブンブン丸さん、大会委員長にプロデューサー・間一氏、決勝トーナメント解説/コメンテーターにディレクター・鯨岡武生氏、運営担当・水野雄貴氏が迎えられ、全16エリアの計122店舗から勝ち上がった強豪16チームが、初代王者の栄光をかけて頂上決戦に臨んだ。
今回の大会では、7月にリリースされたばかりの追加キャラクター「カイン」の姿がチラホラと見られた。短期間で多くのプレイヤーたちが立ち回りを仕上げてきたようだ。
また、ほぼすべてのチームがシューターロールに「ティナ」を採用しており、メテオがバンバンと降り注ぐ、ド派手な展開が続いていく。召喚獣に関しても、HPゲージが上昇するアレキサンダーが大人気。これが昨今の対戦環境+大会用の戦術か。
なお、本稿では主に準決勝以降の対戦模様を紹介していくが、準決勝に勝ち上がったチームはいずれも2タテで準決勝進出を決めていたこともあって、どのチームが勝つのかまったく予想できない状況であったことも、ここに記しておこう。
準決勝第1試合
準決勝第1試合は、中国・四国代表その1「スマブラガチ勢」vs北陸・甲信越代表「彩の国」。
1ラウンド目は、スマブラガチ勢・如月セツナ選手(ティナ)のメテオが相手チームにガッツリと刺さり、HP有利で事を進めていく。しかし、致死となるブレイブを堅実に作り上げ、HP攻撃を的確に通した彩の国がリザルトポイントで勝ち、TIME UPで1本を先取。
2ラウンド目は、早いテンポで前線を荒らすスマブラガチ勢・ザナルカンドエイブス二軍球拾い選手(ティーダ)がスパイラルカットで大暴れ。彩の国もHPリジェネを堅実に使い切り、ゲージ状況を五部にまで持っていったが、一撃で勝敗が分かってしまうギリギリの状況を制したのはスマブラガチ勢。これで1:1。
続く最終ラウンドは、両チーム1落ち同士で迎えた中盤戦。スマブラガチ勢は若干のHP不利を背負っていたため、あまり強くは出られない状況。さらに彩の国によって“順落ちの形”を作られてしまう。召喚を通したものの勝機を掴めなかったスマブラガチ勢は、最後に彩の国・えりおb選手(スコール)にラフディバイドを通され、決勝にコマを進めるのは彩の国となった。
準決勝第2試合
準決勝第2試合は、東京代表その2「(活)すとりうむ」vs千葉代表「@rumblePlaza」。両チームともに何度も直接試合を繰り返してきたいわゆる身内同士であるが、本大会で勝ち続けていくうえでは避けられない対戦相手として、常に意識していたという。
1ラウンド目は、開幕の激しい当たり合いから一転、静かな状況が続く。そして召喚ゲージがほぼ五部であったため、互いが互いの召喚を邪魔しあう展開に発展した。どちらが先に召喚獣を呼ぶのかに注目が集まったその時、均衡を破ったのは@rumblePlaza。相手の1落ちを確認してからしっかりとシヴァを通し、戦況を有利にする。
さらに、@rumblePlaza・ライカルJr選手(スコール)がTIME UP間近でファインプレイ。相手2人に方追いされながらも、相手チームの分断を図ってからテレポで逃げきり、致命傷にも匹敵する時間稼ぎに成功。初戦は@rumblePlazaが制す結果となった。
2ラウンド目は、アレクサンドリア城下町のマップの狭さにより、常に激しい乱戦が展開する。(活)すとりうむ・Goma選手(ティーダ)がティーダらしく、縦横無尽に暴れ回り、ブレイブの有利を獲得。HP不利を背負わされ、辛い状況に見えた@rumblePlazaだが、拮抗していた試合を勝ち取ったのはまたもや@rumblePlaza。
リザルトポイントで“27P差で勝利”するという、まさに攻撃1発分くらいしかないこの差。こういうときに出るのは決して水物の馬力ではなく、これまでの積み重ねである。両チームともに限界まで力を見せてくれた、白熱の一戦であった。
決勝戦
決勝戦は、「彩の国」vs「@rumblePlaza」。もはやどちらが勝つのかなんて、想像もつかない。
1ラウンド目は、序盤のちょっとしたきっかけからブレイブ有利を勝ち取った@rumblePlazaが優勢に。彩の国はブレイブも召喚ゲージを思うように貯められない苦しい状況が続き、結果的に序盤の趨勢のままに@rumblePlazaの優位を許してしまう。
試合を動かしたのは、絶望的な状況をしのぎきった彩の国・そうえんP選手(ライトニング)。相手3人に追い立てられた絶望的な状況のとき、巧みな回避によってノーダメージで切り抜け、味方2人の召喚時間を稼ぎ切った。そうえんP選手はその直後の致命的な場面をアレキサンダーの攻撃で助けられており、機運に恵まれているというほかない。
そこから残り10秒までに戦力ゲージを五部までもっていった彩の国。しかし、最終的に勝利したのは終始優勢であった@rumblePlaza。非常に劇的な展開であった。
2ラウンド目は、彩の国・2代目いんげん選手(オニオンナイト)が奮闘。賢者でブレイブを回収し、忍者に転職してからのフルバーストでプレッシャーを放っていく。が、試合中盤になると@rumblePlazaの攻勢が彩の国にクリーンヒット。手痛い2落ちとなった。試合は残り1分。召喚を残し、ラストキルを手にするだけの状況を作り上げた@rumblePlazaは本日最後の攻め時だ。
しかし、彩の国の底力は凄まじく、残り30秒で相手チームから2キルをもぎ取り、戦況をタイに持ち込む。だが、本日最後のラストヒットを決めたのは、@rumblePlaza・よしきちゃま!選手。本大会を象徴するティナのメテオを決めきり、@rumblePlazaを優勝へと導いた。
この後の表彰式では、大会参加者すべてに特別賞号が与えられることが発表されたほか、優勝した@rumblePlazaにはさらなる特別賞号として、彼らだけしか持ち得ない称号「天極に刻む先駆の撃」が授与。間氏は「自分と同じゲームをやっているとは思えない動き」と口にしていたが、まさにその通り。憧れるに相応しい激闘の数々であった。
スペシャルセッションでは最新情報がドドンと発表!
イベント第2部となるスペシャルセッションでは、壇上にプロデューサー・間一朗氏、ディレクター・鯨岡武生氏に加え、「FINAL FANTASY」シリーズのクリエイティブプロデューサー・野村哲也氏が“天の声”として参加。さらに声優陣からは諏訪部順一さん、ティナ・ブランフォード役・福井裕佳梨さん、モーグリ役・諸星すみれさんが姿を見せ、ステージに華を添えていた。
ここで最初に発表されたのは、AC「シアトリズム ファイナルファンタジー オールスターカーニバル」の稼働日。来月9月27日より全国アミューズメント施設にて、順次稼働されることが明かされた。
また、「ディシディア ファイナルファンタジー」との共同キャンペーンとして、「キャラクターNESiCAストラップ」がプレゼントされることも決定。詳細については追って発表するとのことだが、このキャラクターストラップは“ストラップ部分にNESiCA情報”が組み込まれているため、既存のカード媒体とはすこし違う身に着け方が楽しめそうだ。
続いてはAC「ディシディア ファイナルファンタジー」の最新情報。まずは新規コンテンツとして実装される「神々の闘争」について。これはいわゆるコンクエスト形式の期間限定キャンペーンとなり、全プレイヤーが2つの陣営の内いずれかを選択し、両陣営でポイントを競い合っていく。現状では毎月1~2週間ほどのスパンでの実施が予定されている。
神々の闘争では基本的に、自身の陣営vs相手の陣営でのマッチングとなり、功績を上げることでここでしか手に入らないアイコン、BGM、称号が獲得できる。参加人数の少ない陣営ほど報酬獲得のボーダーラインが下がるという性質上、人数比も一方的にならないことだろう。
さらに、報酬の中には新キャラクター先行解放権も用意されるのだとか。これについて鯨岡氏は「先行解放権については“しっかりとした報酬が欲しい”ということで決めましたが、その期間は正式配信に対して約1~2週間ほどと考えています」とコメントする。
加えて、「本作はあくまでバトルメインのコンテンツなので、プレイヤーの皆さんにあまり無駄な操作をさせてはいけないと思い、シンプルなシステムという部分に着地させました。難しいことはないので、普段の全国対戦の延長線上として楽しんでください」と述べていた。
なお、個人的には本作の開発を手掛けている早矢仕氏が足を運んでいたことから、「ディシディアに“やわらかエンジン”は搭載しないんですか?」という話題に発展していたことが興味深い。成否に関しては深く探れないのが残念だが、なんとも夢のある話ではないですか。今後の“間氏と早矢仕氏の定例会議”の動向に注目したい。
さらに「じゃあ、どのキャラクターが先行解放されるの?」という疑問に向け、9月の新規参戦キャラクターとして、「ファイナルファンタジー零式」の「エース」が参戦することが発表。
エースは、さまざまな魔法を封じ込めたカードを操るキャラクターで、引くカードによって異なる効果が発揮できるという、ランダム性の強い性能を有していた。それがディシディア内でどのように調整されるのか、今から期待が高まるところだ。
なお、ゲーム内のイラストは野村氏の描き下ろしが使われており、モデリングに関しても現在追い込み段階にあるという。
続いては、ディシディアの関連アプリとして、iOS/Android「ディシディア ファイナルファンタジー オペラオムニア」の存在が明らかにされた。
本作は「ディシディア ファイナルファンタジー」と世界観を同じくするスマートフォンアプリで、二柱の神々の元に集う、歴代FFキャラクターたちの物語が描かれていく。バトルはブレイブ攻撃・HP攻撃といったディシディアならではのシステムを、従来のFFシリーズのコマンドバトルに落とし込んでいるという。
なお、配信時期は2016年内で、現在はLINEアカウントを通して事前登録が実施されている。従来作品ではボイスがなかったキャラクターも含め、全キャラクターにボイスが付くというので、そのキャスティングも注目どころだろう。
「ディシディア ファイナルファンタジー」今後のロードマップ
ここからは「ディシディア ファイナルファンタジー」の今後の予定として、12月に迎える1周年に向けた、さまざまな施策が発表された。新規コンテンツに関しては上述したとおりだが、ここで最も会場内を沸かせたのはステージ「エデン」の復活の報だ。
エデンはサービス稼働当初に公開されていた既存マップだが、その“障害物が一切ない、狭い空間でのガチンコバトル”という性質上、当時は混戦・乱戦・大逆転が飛び交ってしまい、ほどなく公開が停止されていたマップである。リニューアル後のエデンは従来の性質を残しつつも、大幅に広くなったことで、皆がより納得しやすいマップになっていることが伺えた。
さらに、11月には新キャラクター&ご当地称号が実装されることも発表。新キャラクターについてはその先まで内々で決まっているらしいが、来場者&ニコ生視聴者からは「ワッカか!?」「ついにワッカ!?」と熱烈なコールが飛び交う。一つでも特徴を言うとバレてしまうキャラクターということでヒントはなかったが、ボールは持っていないらしい。残念、ワッカは次に期待しよう。
もう一方のご当地称号は、“47都道府県の称号を野村氏がすべて描き下ろし!”というまさかの企画で、配信後は各都道府県ごとで一定回数プレイすると獲得できる称号になるという。なお、会場では「(野村氏)47都道府県? 1時間で書けるよ」という思いからはじまった制作風景が公開されたが、いわく全然間に合わなかったらしく、一旦仕切り直しに。以後の制作風景は改めて動画で公開していくとしていた。
イベントの最後には鯨岡氏より、「ゲームを作っていると、あるとき作品が開発の手から離れ、ユーザーのものになっていく瞬間があります。『ディシディア ファイナルファンタジー』に関しては、それが今日だったと思っています。また、プレイヤーの皆さんにもっとお返しができないかと思い、ギルキャンペーンをやることになりました(8月28日より実施中)。これからもぜひ、『ディシディア ファイナルファンタジー』をよろしくお願いします」と述べられた。
続いて間氏からは「まだ稼働開始から1年も経っていなかったのに、こんなに多くのお客様にゲームを楽しんでもらえて、本当にありがたく思っています。アップデートは毎月密度が濃いもので、僕らもギリギリで進めていますが、すべて絶対に間に合わせていきます。これからもベストは尽くしていくと約束します」と意思表明が下された。
1周年に向けてさまざまな施策が予定されている「ディシディア ファイナルファンタジー」。また、AC「シアトリズム ファイナルファンタジー オールスターカーニバル」も、iOS/Android「ディシディア ファイナルファンタジー オペラオムニア」も見逃せない展開となることは間違いないので、ディシディアが先導する新たなFFのスタイルに期待していきたい。