バンダイナムコエンターテインメントは、千葉・幕張メッセにて開催中の「東京ゲームショウ2016」において、9月16日に「お客様と一緒に新規IPを育てていく、UGCを活用した新規アニメ&ゲームアプリ」ステージを実施した。

バンダイナムコエンターテインメントが中心となって発足した、UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)を導入し、世の中のクリエイターの才能を発掘・活用しながら、新しくアニメとゲームを立ち上げていく「みんなでゲームをつくろう」プロジェクト。

その第1弾タイトル「Project LayereD」が発表となった本ステージでは、MCとアンタッチャブル柴田英嗣さんによる進行のもと、まずはバンダイナムコエンターテインメント プロジェクト総合プロデューサーの手塚晃司氏が登壇、そのままプロジェクトのビジョンを紹介する映像が公開となった。

(写真右)柴田英嗣さん 手塚晃司氏

続いて、同社のプロジェクトに関わるサイバーコネクトツー 代表取締役社長 松山洋氏、ポリゴン・ピクチュアズ 代表取締役社長 塩田周三氏、ドリコム 代表取締役社長 内藤裕紀氏も加わり、本プロジェクトの概要と展望が語られる。

松山洋氏 塩田周三氏 内藤裕紀氏

「Project LayereD」では、アニメとゲームに関わるいろいろな要素をユーザーから募集、プロによってかたちにして、さらにそこからユーザーの意見をまた盛り込んでいくという。バンダイナムコエンターテインメントをプロジェクトオーナーとして、企画原案をサイバーコネクトツー、アプリ開発をドリコム、アプリ内アニメ制作をポリゴン・ピクチュアズ、楽曲・音響制作をバンダイナムコスタジオ、シナリオをシナリオ工房月光が担当している。

今回のプロジェクトについては、サイバーコネクトツーが10年続くような新しいIPを生み出すべく、20代のスタッフを中心に社内プロジェクトを立ち上げたことに端を発しているという。今の世の中はひとつのコンテンツに留まらず、同時多発的にコンテンツが盛り上がっていく状況であり、そのビジョンに基づいて行動していたところ、同時期にバンダイナムコエンターテインメント側でも同様のことを考えていたことから、一緒に取り組むことで大きなプロジェクトへと発展していった。

「配信アニメとゲーム」というポイントについては、アニメをスマートフォンで見る人が増えていたり、VRが普及していたりと時代が変化する中で、アニメやゲームも新しい作り方をしないといけないと考えていたそう。

プロジェクトを進めてきた3年間で生まれた膨大な資料を整理するためにシナリオ工房月光に参加してもらったり、世界観共有のために関係者向けにプロを起用した漫画を制作したりと力の入れようが見える。また、インターネットならではの平等性という観点から「インターネットの可視化」というテーマについても触れていた。

ここからは「Project LayereD」のタイトルとしての特徴が語られる。本作ではアニメとゲームの融合をテーマのひとつとしており、2037年の渋谷を舞台にアニメとゲーム、それぞれの物語が複雑に絡み合っていく。アニメの主人公の行動によって、ゲームの主人公の周囲が変わっていくといった、双方向に連動するというイメージだ。

このため、各コンテンツの制作も同時進行となるが、そういったプロジェクトこそデジタルで取り組むからこその強みだと話すのはアニメ制作を担当するポリゴン・ピクチュアズの塩田氏。「Project LayereD」においてはゲームとの融合を果たすという狙いもあって、アニメ制作にゲームエンジンであるUnreal Engine4を用いることも明かした。

一方、アプリゲームを手掛けるドリコムの内藤氏は、アニメとゲームの同時展開であること、そして意見を集約してキャラクター作りをしていくことの難しさに触れつつも、非常にチャレンジングでやりがいがあると意欲をみせていた。

「Project LayereD」では、キャラクターデザイン、声優、ボーカリストの3つの要素で一般公開によるオーディションを実施していく。プロ・アマを問わない誰でも参加できるものになっており、キャラクターデザインと声優はアニメ主人公とゲームヒロインを対象に行われる。また、ボーカリストについては主題歌を担当することとなる。

こうした同時並行のコンテンツ制作に対して、柴田さんからは「大丈夫なのか?」というもっともな質問が。これに対して手塚氏は、2017年度中には届けたいと思っていると現状での目標を語った。

さらに「Project LayereD」はオープンIPとしても展開、世界観やキャラクター設定、アニメやゲームのモデルデータを個人であれば誰にでも無償で配布していくという。ライセンス表記のみで二次創作が可能で、個人利用のみならず商用利用も行っていく予定だという。本来こういった素材を作成する場合には膨大な労力がかかっていることからも、「娘を送り出した親のような気分」(塩田氏)とクリエイターとしての胸の内をのぞかせる場面も。

大橋聡雄氏

そしてここで「Project LayereD」プロモーション映像が上映された後、今回アニメの監督を務める大橋氏が登壇し、同作のさらなる設定などが語られた。

本作の世界観は現在話題になっているAR/VR技術がさらに革新され、“LayereD”と呼ばれる技術が取って代わった世界となっている。ちなみに、Layer(レイヤー)には層という意味があり、大文字で表現されている“D”にはデジタルなど、さまざまなイメージが盛り込まれているとか。

また、キービジュアルにも使われ、映像に出てくる少女は大橋氏自身のイメージから生まれたものだという。この少女に関してはデバイスとしてヘッドフォンをつけているが、デバイスの形式は問わないため、デバイスについてもユーザーに考えてもらうビジョンもにじませた。

こうした世界観設定のもと、第1弾として、キャラクターデザイナーのオーデイションが行われる。その特別審査員として参加し、そして最終仕上げをしてくれるのが、さまざまなタイトルで活躍するイラストレーターのredjuice氏だ。

redjuice氏

ステージ上で発表され壇上に姿を現したredjuice氏は、3DCGの勉強をしていた頃、キャラクターコンテストに応募したという過去や、どれだけコンセプトを詰め込めるかというキャラクターデザインのポイントを語った。

なお、キャラクターデザイナーの公募は本日よりスタート。プロ・アマ問わず選ばれた30名には実際に「Project LayereD」のキャラクターデザインを依頼。その後ユーザー参加による選考、投票をし、動画の生配信番組などで選考の模様を伝えながらキャラクターデザイナーを決定していくという。今回のredjuice氏に続き、主題歌ボーカリストにはバンダイナムコスタジオ 椎名豪氏が参加するなど、オーディションごとに特別審査員も参加するようだ。

ちなみに、キャラクターデザイナーに選ばれた人は、次に行われる声優オーディションについてもスタッフの一人として参加できるという。下記サイトより応募が可能となっているので、興味のある人は確認しておくといいだろう。

「~みんなでゲームをつくろう~Project LayereD」公式サイト
http://layered.gametsuku.jp/

最後のコメントでは、三者それぞれの目線からユーザーへと作品作りへの参加を呼びかける姿が印象的だった今回の発表会。ところどころでハードルの高さを感じさせつつも、それを上回るチャレンジへの意欲を感じさせてくれた本プロジェクトの今後に注目したい。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー