千葉・幕張メッセにて9月15日より開催中の「東京ゲームショウ2016」。会場で「龍が如く6 命の詩。」プロデューサー横山昌義氏にインタビューを実施た。

「東京ゲームショウ2016」のセガブースでは、12月8日に発売が予定されているアクションアドベンチャー「龍が如く6 命の詩。」の展示が行われており、先日発表されて大きな話題を呼んだ、遥の息子とされている赤ん坊・ハルトの存在などの最新情報が詰まったシアターと、一足先に尾道と神室町の街を自由に歩くことができる試遊コーナーの2つを体験できる。

発売まで3ヶ月を切り、開発が佳境に入る多忙なこの時期に、プロデューサーを務める横山昌義氏から、たっぷりと話を聞く機会を得ることができた。試遊から判明した新たな内容も含め、「6」に関する気になるアレコレを直撃したインタビューの模様をお届けしていく。

「6」の開発期間は約2年。一人の人間として桐生と遥を生み出したからこそ、絶対に避けられないテーマが描かれる。

――僕自身もシアターを拝見させてもらったのですが、とにかく情報量が凄かったです。思えば桐生一馬の物語が完結することに始まり、遥が行方不明となって重症を負っていること、そして今回発表されたハルトの存在と、3回に分けて衝撃を受けました。

横山氏:やはり我々としては、ユーザーの方にインパクトを与えないといけないという意識は毎回もっていますから、情報の公開の順序も気をつけています。昨年のTGSで、ビートたけしさんの出演を発表させていただきましたが、実はもうあの時点でたけしさんの収録は全て終わっていて、遥の息子が登場することはおろか脚本も完成していましたから。今回の発表でようやく色々とお話しができるようになったので、気が楽になったくらいです。

――そうなのですか!? では、「6」は完全に「極」と並行した形で開発を?

横山氏:それどころか、「極」の方が開発が始まったのは遅かったくらいです。特に「6」は新しいドラゴンエンジンを作るところから始まっているので、足掛け2年くらいは掛かりましたね。

――つくづく思いますが、この規模の大作で2年の開発期間が長いと言えてしまうのは、「龍が如く」ならではですよね。

横山氏:そうですね(笑)。ウチは一度本格的に始まったら半年後には出しちゃってるようなタイトルですから。「5」の時にも、「OF THE END」と並行して僕が作業を進めているということはあったのですが、今回は今までにないくらい時間をかけて作っています。

――多くのユーザーの反応をみても、あのプロモーション展開は非常に効果的だったと思いました。僕自身もそうなのですが、遥の息子という情報を知ったとき、「ウチの遥になんてことを!」と、桐生とユーザーの気持ちがシンクロしたんじゃないかと。

横山氏:僕が社内用の企画書を見せた時、チーム内からもまったく同じような反応がありました。同時に桐生役の黒田(崇矢)さんの収録も行っていたんですが、その時はまだ脚本が全て上がりきっていなかったので、収録ごとに続きが非常に気になられていたみたいで。父親が誰かということについて、「こいつだったら許せない、あいつなら許せる」みたいなことを黒田さんが話していたのが面白かったです(笑)。

――スタッフとキャスト陣も、完全にユーザーと反応が一致していますね(笑)。

横山氏:実際にとても反響をいただいていて。中にはネガティヴな意見ももちろんありますが、こちらとしては興味をもってくれたこと自体がありがたいです。ただ、インパクトを与えたいからと奇をてらったわけではなく、今回発表させていただいた要素こそが「6」の物語の骨子であり、軸はずっとそこにあるんです。桐生一馬の最終章は澤村遥の存在抜きには描けませんし、「龍が如く」シリーズというのは、桐生と遥の物語だったといっても過言ではありませんから、「6」でその二人を主軸に据えるというのは最初から決めていました。

――そこは最初からブレていない部分だと。

横山氏:遥というキャラクターには、自分の娘に対するものであったり、綺麗なままの存在でいて欲しいとか、皆さんがそれぞれに違った思い入れを持たれていると思います。ただ、僕たちは桐生一馬も澤村遥も架空のキャラクターというより、一人の人間として描いてきたつもりです。人間が人生の中で恋愛をして子供をもうけるという流れはごく自然なことですよね。そうした人生の中で起こりうるであろうことは、当然ゲームの中でも正しく描かなければいけないだろうと。「龍が如く」ですから、ああした刺激的な内容にはなってしまっていますが(笑)。

もし人気が出たからというだけの理由で、そのキャラクターの人生を捻じ曲げてしまうということがあるなら、それは逃げだとも思うんですよね。本当に遥の息子なのかどうかは別の問題ですが、「6」ではそこをしっかりと向き合って描きたいと思っています。

11年という時間を積み重ねたからこそできた、「老い」への表現

――PS4に対応した「維新」のあたりから既にグラフィックはかなり綺麗になっていましたが、アップになった時に人間の肌の質感が、これまでとまったく違うのがよく分かりました。特に中年男性独特の油の浮いた感じの再現が凄かったです。

横山氏:今までの「龍が如く」のグラフィックの進化というのは、化粧に近かったんですね。「見参」や「3」の時に作ったものをベースに、作品を重ねるごとに質感を増すように手を加えていっていたのですが、「6」ではそれらを全て壊して作り直しています。そこからPS3時代で得られた、こういう風にすればおじさんや女性がリアルに見えるというアプローチや、その時々の反省点を省みて一から作った結果として、あの質感を生むことができるようになりました。

個人的に大きく変わったと感じているのが、今回であればビートたけしさんをモデルにした広瀬であるとか、実在の人間をモデルにしたキャラクターと桐生が並んだ時の違和感がなくなったんです。従来は、実在の人間と架空のキャラクターが並ぶとどうしても作り物っぽさが出てしまっていたのですが、それを完全になくすことができたかなと。もちろんPS4の性能が素晴らしいのもありますけど、一から作り直すことにトライできたということがシリーズとして大きかったと思います。

――他にもグラフィックの優れたゲームはありますが、「龍が如く」に出てくるのはそうしたゲームでは珍しい普通の日本のおじさん達なので、親近感みたいなものを感じられたのが面白かったです。

横山氏:最近になって、ようやく僕たちにしか作れないものができつつあるのかなと。このままCGが発展していくと「実写でいいじゃん」という話になってくるので、ゲームならではのすごい部分があるべきだとも思っていて。例えばビートたけしさんが現実にはできないような動きやアクションを広瀬がやる形で、ゲームでしかできないたけしさんの演技というものが表現できたら、これは最高ですよね。そういう理想に「6」は一歩近づけたのかなという実感があります。

――シアターの映像を見ていると、実際の年齢を考えるとまだまだ若々しいのですが、さすがの桐生もちょっと老けてきたなと感じられたのですが、やはりあれは意図的に?

横山氏:もちろんそうです。彼はヒーローなので普通の人間とは少し違う部分もありますが、それでももう48歳ですから。自然な老け方って、とにかく白髪とか皺を増やしておけばいいという簡単なものではなくて。台詞回しや動きなど、そのキャラクターの全ての要素をトータル的に見て初めて伝わってくる部分だと思うので、そこを感じてもらえたなら嬉しいですね。何しろこれに関しては、まだ僕たち自身もどうすればそう見えるかという答えが出せているわけではないので。

――曖昧な表現になりますが、ぱっと見の印象はさほど今までと変わってないんですけど、ふとした瞬間に「あっ、老けたな」というのが伝わってきたと言いますか……。

横山氏:まさにそれが僕たちの表現したかったことで、もしそれが伝わったのであれば大成功ですね。思うに、桐生を演じている黒田さんやモーションチャプチャーをやっている三元(雅芸氏)、僕たちスタッフ一同も同じように歳をとっているという実体験も、プラスに働いているのかなと。これまでの11年もの間、同じチームとしてここまで年齢を重ねてこられたというのは、すごく幸せなことだったとも思います。

――「龍が如く」チームとして重ねた年月が全て乗っかったことで、あの桐生が表現できたということですね。その桐生はゲーム業界全体を見渡してもかなり人気のある男性キャラクターだと思うのですが、その物語を終えるとなるとかなりチーム内での意見も分かれたのでは?

横山氏:いや、そうでもなかったですね。「6」は最初から桐生の最終章として作り始めたわけではなかったのですが、制作が進んで脚本や座組みが決まっていく内に、自然とチームの全員が「これって最終章だよな」ということを感じるようになったんです。そうした全体の合意ができていくような流れの中で、最終章として銘打つことを決めました。

――今でも、なかなか信じられないというファンも多いのではないと思うのですが。

横山氏:僕ら自身も歳をとりますし、どんなものにもいつか終わりというのは来ます。僕自身、壊れない器やグラスってあまり大事にできなくて、壊れるからこそ価値が生まれるんじゃないかと思っているんです。

それに僕たちはまだゲームを作れますから、また新しいものを生み出していけばいいんですよ。わざわざ新しく作ったドラゴンエンジンを、これで終わりにしていいのかという話にもなりますし(笑)。だから僕の中で、桐生一馬の物語に区切りを付けることに対する恐れというのは一切ないですね。

――桐生の物語が終わっても、「龍が如く」シリーズとして、続けていくつもりはまだまだあると。

横山氏:それが「龍が如く」シリーズのままかどうかまでは分かりませんけどね。……というのも、こうして東京ゲームショウにいる今がまさに「6」の開発が佳境を迎えている瞬間でして、まだ未来を想像できる段階にまで来てないんですよ。今の僕らにとって何より大事なのは、未来より目の前の明日ですから(笑)。先のことは考えず、今はとにかく目の前の「6」を完成させることに全力を費やしています。

アドベンチャーパートでは、従来になかった臨場感や、その土地ならではの新体験を追求

――その「6」では、シリーズの名物とも言える、凄まじい数のミニゲームが収録されますよね。

横山氏:実際に数えたわけではないですが、単純なミニゲームの数やステージのボリュームだけでいえば「5」の方が多いと思います。ただ、今回は数やボリュームとは違ったアプローチを考えていて、実は歓楽街じゃない街を舞台にするのは「6」が初めてなんですよ。これまでは、ゲームセンターなどの神室町にあるプレイスポットの大半は他の都市でも遊べましたが、尾道であれば草野球や素潜りであるとか、全てその地域の特性にあったものに変えて、まったく違う体験ができるようにしています。そういう面でも、今までから一歩踏み出せたのかなと。

――試遊で尾道を歩いていて感じたのは、街そのものがさらに細かくなりましたよね。ゲームをプレイしていて、見える建物や通れそうな道に入れない時って結構ストレスが溜まると思うのですが、それがほぼなくなったと言いますか。

横山氏:アドベンチャーっていう言葉は、本来探検や冒険を意味するんですよね。それを正しく体験させたいというのを常に思っていて、「ここ入れる(登れる)のかな?」という冒険をちゃんとやってみたかったんです。

今までは、アドベンチャーといってもマップに表示された目的地に向かってただ走るという時間が大半だったと思います。今回のアドベンチャーパートはレバーを深く倒しても走らなくなり、操作の基本が徒歩になったという大変更を加えています。とはいえ、×ボタンを押すことでダッシュはできるし、おそらく多くの時間はダッシュで移動することにはなると思うのですが、走っている時は街の風景をまじまじと見るということはしませんよね。

今回はちょっとその意識を変えてもらって、たまにはゆっくりと街を歩きながら、「あそこで何か騒ぎが起きているな」「あそこの路地入れるのかな」という冒険をしてもらえれば嬉しいです。

――今回から導入される主観視点も、その用途として使うと楽しそうですね。

横山氏:今までは桐生一馬という男の生きざまを客観的に見てもらうという意味で、俗にいうTPS視点に固定していたのですが、そろそろ自分自身が桐生一馬となるという要素があってもいいのかなと。

実は最初は主観視点を入れるということは想定していなかったのですが、主観で見ても大丈夫だと思えるクオリティの街並みが本作になってようやく完成したので、導入に踏み切れました。アドベンチャーパートは全体として、街の臨場感をより感じられるような設計に作り替えています。

――今回は神室町と尾道の2つが舞台となりますが、どちらかというと尾道の方がメインとなるのでしょうか?

横山氏:舞台の広さだけでいうと神室町の方が広いですし、プレイスポットも豊富です。ただ、話の流れの上でのホームは尾道になるので、神室町には時々出かけていくような感覚になります。ストーリーの比率でいうと半々くらいだと思いますが、その人のプレイスタイルによって、どちらに滞在する時間が長くなるかは変わってくるかもしれないですね。

――スマホを使って自撮りができるようになる新システムは、非常に楽しそうでした。

横山氏:2016年という時代を感じさせる要素として、スマートフォンは入れたいなというのは最初から決めていたんです。ソニーさんとはウォークマンでコラボさせていただいた時の縁もあったので、そこからXperiaの開発チームと話し合い、発表されたばかりの新機種を登場させることにしました。そうなるとカメラもXperiaのウリですから、やはりあった方がいいだろうと。

バトルやカットシーンの最中は無理ですが、戦闘に入る直前の敵が近づいてきている時など、ほぼいつでも撮影できるので、かなり自由度は高いです。カメラに気づくと、街の通行人がポーズを撮ったり写りにきてくれることもあるので、ユーザーさんによっては奇跡の一枚を撮ることができると思います。

――それは面白い! ユーザーの間でもかなり盛り上がりそうな気がします。「龍が如く」は基本的に一人用のタイトルですが、そうしたソーシャル要素を意識されることもあるのでしょうか?

横山氏:積極的にユーザー同士で競わせたりしたいというわけではないのですが、僕らのプロジェクトはリアルタイムでやっている意味が大きいので、時代が求めることにはなるべく答えていきたいなと思っています。今回発表した、自分の組を作る「クランクリエイター」もその一つですね。

――そのクランクリエイターは、かなり力が入っているようでした。「維新」の時に自分の隊を作るのがすごく楽しかったのですが、ああしたイメージなのでしょうか?

横山氏:いえ、「維新」のものとはまったく別のゲームです。組の組織構成という形で幹部のデッキを組んでいき、組が成長していくと最初は1人だった若頭補佐が3人になったり、幹部を増やせるようになります。全体的な組織図ができたら、RTS的な戦闘となる他の組織と大規模な抗争に挑んでいくという流れです。告知させていただいた新日本プロレスのレスラーさん達が登場するメインストーリーも含めてかなりのボリュームとなっているのですが、それが一通り終わったら、今度は他のプレイヤーさんとも戦ってもらえる……というような流れを想定しています。

――組のメンバーの中には、見覚えのあるキャラクター達の姿もありましたが……?

横山氏:少し映像では出していましたが、そのあたりはまだ詳しくお話できないので、続報をお待ちください(笑)。

動けるヒートアクションとして生み出された、「アルティメットヒートモード」

――バトルパートについても教えてください。個人的に、操作性はそこまで変わってないのですが、キャラクターの動きが滑らかになって、すごく触り心地が良くなっていたような印象を受けました。

横山氏:あれも最初はすごく違和感があったんです。実は今までの「龍が如く」では、戦闘に関わるキャラクターモデルの身長は170~200cmの4種類しか存在していなくて、攻撃はその4種類の内どれかということを判定し、それに合わせたモーションを繰り出していただけだったんですよ。「6」ではきちんとそれぞれの設定に応じた大きさになっており、例えばパンチなら、対象のキャラクターの顎の位置に向かって、距離が遠ければ腕を伸ばしたりといった調整を加えたモーションで、正しく繰り出されます。

もっともここまでは前回の体験版の時点で出来ていたのですが、そこから違和感をなくしていき、既存の「龍が如く」ユーザーに「同じはずなんだけど、何かが変わっている」ことを感じてもらえるようにするのが、今回までの調整期間でした。例えば同じコマンドでも、距離によって出る技が細かく変わったりするようになったので、「今の動きどうやって出したんだろう?」という新鮮な発見を味わってもらえるようになっていると思います。

――新要素となる「アルティメットヒートモード」ついても教えてください。

横山氏:コンセプトとしては、「動けるヒートアクション」です。今までのヒートアクションというのは、入力を成功させるとカットシーンが挿入され、自分は見ているだけだったのですが、それを変えようと。連打で攻撃できるようになる他にも、原チャとかナナハンとか、普段持てないような大きなものを武器として持てるようになります。ボス戦だと使うタイミングも結構重要で、ただタコ殴りができるというだけではなく、使用することで状況を一変させる可能性も秘めています。

――長年の「龍が如く」ユーザーなら、ある程度は持てるものと持てないオブジェクトの見分けがつくと思うのですが、その常識を壊してくれるかもしれないと。

横山氏:そういうことです。もっとも、ちょっと体験しただけで分かるような要素としては作ってないんですよ。長く触り続けてもらうことでいろいろと新しい発見が生まれていくような、奥深いシステムを目指しています。

――それは楽しみが増えますね。ちなみに今回体験した限りだと、かなりゲージが貯まりやすいように感じたのですが……。

横山氏:いえ、あれは試遊時間内にたくさん体験してもらおうとゲージの溜まり方を調整しているので、実際にはあそこまでは溜まりやすくはないです。あとストーリー中にボスとして戦う南雲も同様に試遊のための調整を加えていまして、本来はもっと手強いです。あの状態は開発の間では「サンドバッグ南雲」と呼ばれています(笑)。

――確かに、あまりにもあっさり倒せたので拍子抜けしました(笑)。東城会はシリーズを重ねるごとにいろいろな目にあっていますが、今回はどのような立ち位置なのでしょうか?

横山氏:桐生たちが刑務所に行っていた空白の2年半の間に、菅井が会長代行のようなポジションに付いていて、その下で総長を務める染谷と、メンバー構成も桐生が知らない人間に交代しています。そんな中で韓国や中国のマフィアが流れてきたことで、東城会の置かれた立場も変わってきていて。今まで神室町は東城会の一強で、本人達としては今でも制圧している気になっているのですが、実情としてはまったく制圧しきれていない……というのが、「6」での状況になります。

――桐生一馬の物語が完結するということは、東城会に関する騒動にも一区切りがつくのでしょうか?

横山氏:ここがポイントなのですが、桐生にとしては東城会のことは割とどうでもいいんですよ。あくまで今回描かれるのは、遥が事故に遭い、桐生がハルトと一緒にその謎や父親を探し出すことを目的とした旅として一貫させています。もちろんその途中に東城会も関わって来て、道すがらに分かっていくことも多いのですが、桐生の目的に関係ない要素は出てきませんし、そうした組織間の抗争がメインとして描かれるわけではないです。

「6」は集大成ではなく、「龍が如く」が刻む新たな一歩!

――とくにPS4の世代になってから、シリーズとしてアジアでの販売が好調という話をよく耳にするのですが、実際に市場の状況が変化しつつあるのでしょうか?

横山氏:実際に増えてきていて、特に香港・台湾・韓国あたりは独自のファンがついて来てくれています。ただ、だからといって特別意識はしていないです。あくまで僕は、日本人向けに最高のエンターテインメントを作ることが第一で、その出来がよければ、気に入ってくれた海外のファンが付いて来てくれていると考えているので。もしそこを意識して作るなら、「龍が如く」ではないまったく別の内容にするべきなのかなと。ありがたいことに、「龍が如く」には女性ファンの方も多いのですが、僕らは女性向けの要素を意識したことはないんです。それと同じで、下手にこちらが媚びてしまうと終わりだと思っています。

――個人的には海外の街を舞台に、ギャングやマフィアが登場するというシチュエーションの「龍が如く」も見てみたい想いはあるのですが……。

横山氏:確かにそれはそれでアリだと僕も思います。ただそれは、少なくとも「龍が如く6」でやることではないだろうなと。もしやるとしてもスピンオフか、タイトルを変えることになるかは分かりませんが、今の「龍が如く」とはまったく別の形になると思いますね。

――これは「龍が如く」のプロデューサーというよりは、横山さん個人への質問だととっていただいて構わないのですが、近年非常に注目が集まっているVRへは興味を持たれていますか?

横山氏:もちろん個人としては興味ありますよ。ただ、自分が作っているゲームとの相性はあまりよくないですね。今のVRは、ある程度限定された密閉空間を表現するからこその生まれる面白さという側面が強いので……「龍が如く」であれば、ミニゲームの一部とか、神室町を歩いたりであるとか、部分的に面白い使い方はいろいろとあると思うんですが、導入のハードルの高さもありますし、まだちょっとそこまでの状況ではないのかなと。本格的に変わるのは、今より普及が進んでもっと手軽にVRを体験できるようになってからかなと思います。あくまでこれは、個人的な見解ですけどね。

――桐生一馬という男の物語を締めくくる「6」の発売が迫っていますが、現在の心境はいかかでしょうか?

横山氏:これが最後とか感慨深いとか、そういう感覚はあまりないですね。そもそも僕自身、物事に対してやりきったとか達成感とかをあまり感じないタイプなんです。ただ、そうやって後先を考えず目の前のことだけを考えて精一杯やってきたからこそ、ここまで続けられたのかなとも思いますね。もし最初に「11年でこの本数を出します」とか言われていたら誰も付いてこなかったでしょうし、たぶん僕自身泣いてましたよ(笑)。

今の僕は翌日のステージでお客さんの反応がどうなるかということで頭が一杯なくらいで、12月の発売日もまだまだ先だなというのが正直な気持ちなんです。

――それでは最後に「6」の発売を楽しみにするファンの皆様へメッセージをお願いします。

横山氏:シリーズファンの方にとっては絶対楽しい作品になっていると思うので、もう単純にオススメです。きっとファンの方々は今回のストーリーに対して、いろいろなことを感じられることになると思うのですが、ストレートにその感情をぶつけてもらえればいいのかなと。

また海外にはAAAタイトルと呼ばれるオープンワールドの凄い大作がありますが、今回の「龍が如く」は、そことはまた別の領域にきたかなという気もしていて。シリーズとしてもっと長い歴史を持っているものはありますが、11年間同じ舞台を描き続けてきた作品となると、世界中を探してもそうそうないと思うんですよね。一つの街を徹底して深堀りし、その密度を濃くしていく、僕らにしか作れなかった世界がここにはあると思っているので、是非海外のユーザーにも手にとっていただきたいです。

今はとにかく「6」を作り上げないといけないのですが、せっかく作った新エンジンをどう使っていくとかは来年以降に関わってくるでしょうし、これが集大成という意識はまったくないです。むしろ「6」は、「龍が如く」チームにとって始まりの一歩だと僕は思っています。

――本日はありがとうございました。

龍が如く6 命の詩。

セガゲームス

PS4パッケージ

  • 発売日:2016年12月8日
  • 17歳以上対象
龍が如く6 命の詩。

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(C)SEGA

※画面は開発中のものです。

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この記事のゲーム情報

龍が如く6 命の詩。

アクションアドベンチャー
機種
PS4
プラットフォーム
パッケージダウンロード
OS
会社
セガ
シリーズ
龍が如く
ジャンル
アクションアドベンチャー
クリエイター
名越稔洋横山昌義
公式サイト
公式サイト
  • プリコネR特集
  • セール情報
  • Figgy

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