千葉・幕張メッセにて9月15日より開催中の「東京ゲームショウ2016」。9月17日にスクウェア・エニックスのブースで行われた、「NieR:Automata」のステージの模様をレポートする。
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ステージにはスクウェア・エニックスのプロデューサー・齋藤陽介氏が登壇し、まず今回のTGS 2016にて公開された新作PVの上映からスタートした。
ついに被り物ではなく音声のみでの出演となったヨコオタロウ氏曰く、エミールやデボル、ポポルといった前作からのキャラクターも出てはいるものの、前作の要素はほぼないという。前作を知っていればクスリとできる程度で、「NieR:Automata」のためにわざわざ前作からやり直す必要はまったくない、と断言。
「前作を知らなくても遊べます、と言いながら結局前作知らないと楽しめないのか、というゲームに自分自身苦しめられたので、そういうゲームは作りません」「それでもどうしても気になるひとはプレイ動画でも見ておいてください」と、いつものヨコオ節で会場を笑わせた。
石川さんの声には一目惚れ、9Sの声は難航
続いてステージには、2B役の声優・石川由依さんと、9S役の花江夏樹さんが登場した。
2Bは冷静なキャラクターで、ヨコオ氏曰く「石川さんの声を聞いた瞬間、この人がやってくれないならもうこのゲーム作らない」と感じたほどに、石川さんの声は2B役にぴったりだったという。
逆に9Sはなかなか理想の声に出会えず、声優を決めるのにとても困ったそうだ。しかし齋藤氏の紹介により花江さんの声を聞いて、ついにヨコオ氏の求める9S像にぴったりな声が見つかったという。
そんな花江さんは、小さいころに「DRAG-ON DRAGOON(以下、DoD)」を遊んだことがあるという。「DoD」には特徴的なキャラクターばかりが出てくるので、自分がやる役も変な人なのだと思い込んでいたそうだ。
だが、花江さんの予想は外れた模様。花江さんによれば「後半のストーリーはすごいことになり、収録では一生分くらい叫びました」ということなので、9Sがひたすら絶叫するような何かがあるようだ。
ヨコオ氏は「ハッピーエンド」であるということを頑なに譲らないが、果たしてそれがどこまで本当なのかは実際にプレイするまでわからないだろう。
その他のキャラクター紹介などもヨコオ氏によって行なわれたものの、ヨコオ節が炸裂しただけのほぼ一言コメントのようになっている。
ヨコオ氏による2Bと9S以外のキャラクター紹介(ほぼ原文)
A2:以下略。
ポッド042:2Bについてくるポッドです。
ポッド153:9Sについてくるポッド。あんまりネタがなくて適当に作りました。ポッドはどちらも前作でいう白の書のような存在です。
アダム:白いシャツの男性キャラクターは女性人気があると聞いて作りました。
イヴ:同じく女性人気を狙って作ったキャラクターですが、狙うと人気が出ないんですよね。
21O/6O:21Oは2Bの支援をします。Oは数字の「ゼロ」ではなく「オー」ですが、これだと210に見えてしまうので失敗したなと思っています。6Oは9Sの支援をします。OはオペレーターのOです。
パスカル:田浦さん(プラチナゲームズのゲームデザイナー・田浦貴久氏)が悠木碧さんが好きで、悠木碧さんを出せというので作りました。
ヨルハ司令官:セクシーとか言われていますが、物語中ではセクシー要素はゼロです。
エミール:生きていました、という報告です。頭だけですが、そこ以外の部分はまだ出せません。
デボル・ポポル:前作をやっていないとだめなのかなと思われそうですが、やっていなくても問題ありません。
???:ネタバレになるので、そういう存在がいるということだけです。
プラチナゲームズの田浦氏も交えての実機プレイ!
というヨコオ氏によるキャラクター解説が終わったところで、プラチナゲームズのゲームデザイナーである田浦貴久氏が登場。開口一番に「確かに悠木碧さんは好きですが、悠木碧さんを使えとは言っていません、嘘八百です!(笑)」と述べ、またまた会場を笑わせた。
まずは田浦氏による実機プレイ。これまでにもいくつかのマップをプレイ映像として見せてきた「NieR:Automata」だが、今回も初出しのステージだった。
石油コンビナートのような場所が舞台で、バトルは通常の視点からサイドビューへと切り替わる。サイドビューの時はキャラクターがほぼ点にしか見えないくらいに小さくなり、かろうじて弾道だけが追えるくらいの大きさだったりするが、背景の美しさも見てほしいが故にこのようなマップも組み込んだそうだ。
実機プレイのなかでは2Bが剣を2本背負っていたが、この剣はバトル中にいつでも切り替えることが可能。敵にあわせて随時切り替えて戦うことになる。また、マップの中には即死するようなギミックもあるとのこと。
田浦氏によるデモプレイのあとに、花江さん、石川さんと3人で「タイムアタックモード」でスコアを競うことになったが、花江さんはこの「タイムアタックモード」をプレイするのは3回目なのに対し、石川さんは初心者代表ということでほぼ触らせてもらえていないそう。
そんなハンデを持つ石川さんをサポートするのが「オートモード」。このオートモードは、回避、近接攻撃、銃攻撃を全てオートでこなしてくれるとのことで、移動さえできれば誰でもクリアできるくらいに万能らしい。実際石川さんはほぼ操作していないにも関わらず、タイムアタックモードをクリアすることができた。
オートモードは難易度イージーでしか使用できないが、難易度はゲーム中いつでも変えられるので、ノーマルでプレイしつつ、どうしてもクリアできないボスだけイージーにしてオートモードでクリアすることも可能だ。
オートモード自体も難易度イージーのときに必ず発動するわけではなく、オートでやるか、自分で操作するかは随時切り替えられる。しかも「回避オート」「銃攻撃オート」「近接攻撃オート」など設定項目がいくつかあり、回避だけはオートにまかせて攻撃は自分で操作するといったような遊び方もできる。
石川さんも「全部オートにしちゃうと、逆に自分でも操作してみたくなっちゃうんですよね」と感想を述べていた。
「ニーアは女性ファンも多いので、これくらいのモードもあっていいかと思った」と斎藤氏。プラチナゲームズの作品は難しいという印象があるようだが、実際にはこういった救済措置も取られており、アクションが苦手な女性ファンでもきちんと最後までゲームをクリアできるようになっているとのこと。
アクションでありながらアクションをやらなくてもクリアできる、「いい意味でニーアらしい仕上がり」とも語っていた。また、難易度でストーリーやエンディングが変わることはないそうなので、そこも安心してほしい。
肝心のタイムアタックモードでのバトルは、途中アクシデントに見舞われたものの田浦氏の圧勝、2位が花江さん、3位が石川さんだったが、そもそもとしてオートモードでプレイするよりも自分で操作したほうがスコアが稼げるようになっているそうだ。このモードはどちらかというとよりアクションを楽しみたい人向けなのかもしれない。
このタイムアタックモードでも、短いプレイ時間の間に通常視点からトップビュー、サイドビューなど目まぐるしく視点が変わっていたが、プレイを見ている側からしてもカメラワークなどに画面酔いを感じたりするようなことはなかった。敵へのターゲットロックなどもスムーズに移動するので、ストレスなく敵を次々と斬っていけそうだ。
また、タイムアタックモードで使われている音楽は前作のアレンジ曲となっている。そんな隠し要素がまだまだあるのかも、楽しみのひとつだ。
限定版と体験版、そしてコンサートのBlu-ray発売情報!
田浦氏のタイムアタックモード中に突如ヨコオ氏の代理のマネキンが倒れ、ヨコオ氏が普段被っているエミールヘッドが割れてしまうというハプニングが起こりながらも、ステージは終盤へ(なお、このエミールヘッドはヨコオ氏が自腹で5万円ほどを支払って作成してもらったらしく、大層打ちひしがれていた)。
田浦氏によれば、2017年2月の発売日に向けて全体像はほぼ出来上がっているということだ。今は細かいチューニングなど、ゲームとしての完成度を上げる作業に入っているそう。
最後にまとめてお知らせのコーナーが設けられたが、ここでは重大発表が続出した。
まずは2016年4月16日に東京で開催された「NieR Music Concert & Talk Live 滅ビノシロ再生ノクロ」のBlu-ray化が決定。発売日や価格などの詳細は未定だが、続報を待っていてほしいとのこと。
そして次は、「限定BOX」の情報が飛び出した。「NieR:Automata Black Box Edition」と名付けられたこの限定版には、2Bのフィギュア、・「NieR Music Concert & Talk Live滅ビノシロ再生ノクロ」のライブ音源のCD、小説「ニーア ゲシュタルト/レプリカント」(作:映島巡氏)、アートブックなどが入っている。
価格は25,800円(税込)で、スクウェア・エニックスe-STORE専売、数量限定となっているので、ほしいひとは早めに予約をしておこう。
なお小説は以前に映島氏が短編で書いたものに大幅加筆を加えたものとなっているそうだが、「小説ではOKな表現もゲームだとNGなものもあり、そういう部分は塗りつぶしてあります。こういうのもまたニーアらしくていいかなと」ということだ。完全な状態で読めないのは残念だが、大半が書き下ろしになるという小説にはぜひ期待をしたい。
また前作を遊んでいない人や、随分前に遊んだからストーリーを忘れてしまった、という人にもちょうどいいだろう。
そして更に、「NieR:Automata」の体験版の制作が決定。配信の予定は年末辺りを予定しているそうだが、詳細については続報を待っていてほしいとのこと。
TGSで「NieR:Automata」の試遊を出さなかったのも、数分間だけ体験してもらうよりも家でじっくりどっしり構えて遊んでこそゲームだという齊藤氏のこだわりからだそうで、この体験版で存分に「NieR:Automata」の魅力を感じてほしいとのこと。
現時点で日本では「NieR:Automata」に触れる機会は一度もないため、この体験版がファンが触れられる初めての「NieR:Automata」になる。その配信を、楽しみに待つとしよう。