9月18日まで幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2016」。Wargamingのステージで発表された各種コラボについて担当者に聞いた。
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「東京ゲームショウ2016」の初日となる9月15日にWargamingブースで行われた「Wargaming.net新情報発表ステージ」。同社CEOのビクター・キスリー氏によりさまざまなコラボレーションが発表された。
ここでは、「World of Tanks Blitz(WoT Blitz)」を担当するオザン・コチョール氏とアレキサンダー・デジョルジョ氏、「World of Warships(WoS)」を担当する柳沼恒史氏と畑井翔氏、さらにWargaming.net League(WGL)といった同社のeSports事業を統括するモハメド・ファダル氏に話を聞くことができた。
初のゲーム間コラボが発表された「World of Tanks Blitz」
「WoT Blitz」については、オザン・コチョール氏とアレキサンダー・デジョルジョ氏から話を聞くことができた。
何といっても気になるのは、セガゲームスの「戦場のヴァルキュリア」とのコラボだ。同社で他のゲーム会社とコラボレーションするのは初めてとのこと。「戦場のヴァルキュリア」に登場する戦車・エーデルワイスと重戦車・ネームレスが本作に登場する本コラボだが、Wargaming側からアプローチして実現したそうだ。2016年2月に発売された「戦場のヴァルキュリア リマスター」を見た際に、すごく良い戦車だと感じ、ヴァルキュリアチームに打診したところ、自分たちと同じように戦車に愛情をもったメンバーばかりで、スムーズに話が進んだのだという。
世界中のプレイヤーが楽しめる本コラボはすでに実施中で、ユーザーからも良い反応を得られているそうだ。さらに、「東京ゲームショウ2016」の会場にも実物が展示されていた「ガールズ&パンツァー」のスキンも販売中だ。
「東京ゲームショウ2016」のステージでは、メカデザイナーとのコラボも発表された。この企画は、さまざまなアーティストのモデルが存在するギターと似たような展開を目指しているそうで、第一弾の大河原邦男氏につづき、世界中のクリエイターにデザインを依頼していきたいのだという。将来は、戦艦のデザインも行いたいと意気込みを語ってくれた。
PC版の登場でクロスプラットフォーム化が行われている本作。もともとはスマートフォン専用アプリとして開発された本作だが、「World of Tanks」のXbox版を開発した経緯もあり、本作でもPCに対応しようと動き出したのだという。
PC版のリリース当初は、スマートフォンのプレイヤーがPCへ流れてしまうのではないかと懸念もしていたそうだが、そのようなこともなく、どちらのプラットフォームも活況とのこと。
また、リリース時はPCとスマートフォン、それぞれ別にマッチングさせていたのだが、現在はプラットフォームに関係なくマッチさせるよう変更したという。その状態でもプレイヤーは全く違和感を感じずにプレイしており、「WoT Blitz」の操作が良くできていることの表れだと説明してくれた。
「ハイスクール・フリート」とのコラボ内容が気になる「World of Warships」
アニメ「ハイスクール・フリート」とのコラボレーションを発表した「WoS」については、柳沼恒史氏と畑井翔氏が説明してくれた。
アニメ「蒼き鋼のアルペジオ」とのコラボレーションを1年間やってきて、ユーザーが求めているものがはっきりと見えてきたこのタイミングで今回のコラボを行うことになったのだという。
具体的にどのようなコラボを行うのかは決まっていないそうだが、細かい設定がされている「ハイスクール・フリート」の旗やエンブレムを実装し、反応次第では港の追加なども考えているという。
まだ開発チームと調整していている段階ではあるが、原作で起きたことをシナリオとして追体験できるようなモードを導入するアイデアもあるそうだ。このシナリオモードについては、今回のコラボが決定する前から考えていたそうで、今後何らかの形で実装される可能性もありそうだ。
さらに、日本ツリーの駆逐艦が分岐することも明らかとなった。サービス開始当初は人気だった日本の駆逐艦だが、ロシアやプレミアム艦が登場したことにより、優位性が薄れ、使用率が下がっていたのだという。
今回の分岐では従来通りの隠蔽型タイプに加え、砲を強化してロシア艦とも撃ち合えるタイプが追加されることになる。日本の駆逐艦らしさを残しつつ、遊んでもらえるような形にしたいのだという。
10月中旬以降には、イギリスの巡洋艦も追加される。巡洋艦というよりは、大きな駆逐艦といったタイプでバランス調整が難航しているそうだ。現状では、巡洋艦と撃ち負けてしまったり、隠蔽が駆逐艦と巡洋艦の中間あたりに設定されているため、見つかったときの対処がしづらいなどの問題がある。これらについては、装甲やスピード、旋回性能のバランスなどで調整し実装日を迎えたいとしていた。
eSports事業を統括するモハメド・ファダル氏にインタビュー
インタビューに応じてくれたモハメド・ファダル氏は、eSports事業を統括する人物だ。東京ゲームショウに訪れたのは初めてという同氏に日本市場の印象や今後のeSportsについてお話を伺った。
――eSportsに関して、日本市場をどのように見ていますか?
ファダル氏:日本はとてもユニークだと思います。アメリカであれば対人戦や他のプレイヤーへの対抗心を持っていますが、日本では対CPUやタイムアタックといった、個人同士ではないゲームそのもので競う傾向にあります。他の国とは少しベクトルが違い、とても興味深い市場です。
アジアのeSportsが盛んな国としては韓国が代表的ですが、ストリートファイターと行った日本のタイトルも使用されているので、歴史は日本のほうがあるのではないかと考えています。
――東京ゲームショウを訪れてみていかがですか?
ファダル氏:先日は、gamescomに行ってきました。今回はじめて東京ゲームショウに来たことで、ようやく各ゲームショウの違いを知ることができました。ブースも良くできているし、熱心な方にたくさん来場頂きました。みなさんに楽しんで頂けるのがとても嬉しいです。
――日本で大規模なeSports大会を開催する可能性は?
ファダル氏:5年前であれば難しかったでしょう。しかし、スマートフォンの普及で「WoT Blitz」のユーザーがとても増えていますし、日本であればコンソールも浸透しているので可能性は高いと思います。
小規模なものではありますが、昨年もバトルイベント「Pacific Rumble」を開催しました。最終的には日本で大規模な大会を行いたいと考えています。
――具体的な計画はありますか?
ファダル氏:今は土台作りの段階です。すでにヨーロッパやロシアでは土台ができているので、大きなイベントを行うことが可能です。日本やアジアでは土台を作る段階のため、今はより多くのトーナメントを開き、より多くの方に参加いただくことで興味を持ってもらおうと考えています。そのためのトーナメントを行う計画はすでにありますよ。
――コンソール版などの登場でゲームパッドで遊ぶ方が増えています。ゲームパッドでも、マウスとキーボードでプレイする人に勝てますか?
ファダル氏:私個人としては、ゲームはマウスとキーボードでプレイするものだと思っているので、「マウスとキーボードならゲームパッドに勝てて当たり前だよ」といった気持ちがあります(笑)。しかし、若い人たちはスマートフォンやコンソール機に触れて育っています。大会でも、「WoT Blitz」であればタッチで早く正確に射撃をしたり、ゲームパッドでもマウスやキーボードと同じような操作を行う人を見るようになりました。そのような光景を見ていると勝つこともあると思っています。
――今回、アニメのコラボが発表されましたがどのように感じられましたか?
ファダル氏:個人的にはすばらしいコラボだと思っています。私もアニメが大好きで、マジンガーZやグレンダイザーを見て育ちました。Wargamingはただのゲーム会社ではなく、ゲームを作って提供するだけではなく、それを使って多くの人を楽しませることをメインに考えています。アニメとのコラボレーションはゲームとは違ったアプローチでのプレイヤーを喜ばせることができると思います。私たちとしては素晴らしいステップだと考えています。
Wargamingはグローバル企業なので、各地にオフィスがあり、プレイヤーも世界中にいます。ヨーロッパでも、ロシア・フランス・イギリスとさまざまな国があり、それぞれの国に適したことを行っています。アニメは日本という国のために行っているコラボレーションです。
――ありがとうございました。