エイシスは9月30日、神奈川のイオンシネマみなとみらいにおいて、同社が運営する「DLsite.com」の20周年を記念した発表会「DLsite.NEXT」を開催した。

エイシスが二次元コンテンツのダウンロードサイトとして、20年にわたって展開してきた「DLsite.com」。同サービスの20年を振り返りつつ、新たに始まるサービスや今後の展開をお披露目する場として、本発表会が行われることとなった。

まずはエイシス 取締役 藤井純氏が登壇し、これまでの歩みとして「へべれけ事件」をはじめとした3大トピックスを、司会進行の中倉隆道さん、民安ともえさんとともに当時を振り返るように紹介。全てが事件と題したように20年間は試行錯誤の連続だったようだが、今年に入ってからはTVアニメも放送された「ワガママハイスペック」とタイアップしたCMも展開。そして、会場では同作の主題歌を歌う大島はるなさんによるミニライブも行われた。

藤井純氏 中倉隆道さん、民安ともえさん
大島はるなさん
市川孝一氏

続いては、コミックマーケット準備会 共同代表の市川孝一氏が挨拶。インターネット上での事業を20年にわたって展開してきたDLsite.comへのお祝いを述べつつ、同人即売会に関わる立場として、今後も相互に手を取り合いながらコンテンツを世界に広げていきたいと抱負を語った。

南将貴氏

次に国内最大級のダウンロードサイトとして成長したDLsite.comに関する直近の取り組みと、今後のサービス展開について、エイシス 事業統括本部 ディレクター 南将貴氏が紹介。まずは昨今のスマートフォン普及を受けて、スマートフォンからのアクセスが右肩上がりになっていることに言及。2015年から2016年にかけてはセッションがおよそ25%ほど伸びているという。それを受けて、ファイルのダウンロードや解凍が必要なく、ブラウザ上ですぐ楽しめるスマートフォンアプリ「DLsite play」が提供されている。

ただし、同サービスはゲームには非対応ということもあり、ゲーム側のアプローチとしては、1クリックでダウンロード、インストールが可能なWindows/Mac用クライアントアプリ「DLsite Playnest」を今冬に提供予定。こちらでは、自動バージョンアップ、新着情報の通知もあるなど、ゲームを遊ぶだけに留まらないサポートが用意される。

また、昨今のゲーム業界における大きなトピックのひとつであるVR(バーチャルリアリティ)についても、ニコニコ超会議2016でスマートフォン向けの無料VRアプリ「なごみの耳かきVR」の体験会を催したり、2016年8月からは海外のVRを制作する「ImagineVR」と業務提携を行っている。

そして今後のDLsiteのビジョンとして示したのが、「もっと楽しく」「もっと便利に」するということ。そのためのコンセプトとして「買った後も楽しめる」を掲げ、WebCMとともにみんなで作る二次元情報サイト「DLチャンネル」を発表した。

ここで、WebCMのキャラクターとして起用された、イラストレーターの岸田メルさんが登壇。CM撮影は雨模様の中、一日がかりで行われたということだが、カメラが回る時だけ太陽が出たり、台本が用意されていなかったことからさまざまなシーンで岸田さんがアドリブで対応したことなどが紹介される。

またCMの見どころとして、岸田さんがオタク風、サブカル風、チャラ男風の三変化を見せている点にも言及。ちなみに上記のCMでは使われていないものの、夜のバーカウンターでスランプになっている姿も撮影したそうで、そちらは下記のショートバージョンにて紹介しているので、併せてチェックしてみてはいかがだろうか。

CMを見ると分かる通り、「DLチャンネル」は二次元コンテンツを楽しむためのコミュニティサイトとして、3つのチャンネルを軸に展開していく。

まずはDLsite.com内で扱う作品を網羅したデータベースとなる“アンテナチャンネル”。アンテナに登録された作品はユーザーが自由に編集でき、同時に動画も登録することができる。

同じ作品が好きな人同士でコミュニティを形成して盛り上がる“トークチャンネル”は、いわゆる投稿掲示板の形式を取っているが、トークを作成する際にテーマとなる作品を指定できることから、ダイレクトに作品に興味を持っている人同士で語り合うことができる。また、コメントの際にはテキストだけでなく、画像を貼り付けることができるのも特徴だ。

そしてまとめチャンネルは、あらゆる情報を組み合わせてオリジナル記事を作成できるキュレーションサービスとなっている。上記のサービスも含めて投稿・編集するにはDLsite.comの会員情報が必要になるということだが、閲覧に関しては会員以外も可能ということなので、気になるタイトルを覗いてみるといったこともできそうだ。

なお、DLチャンネルは本発表会での情報をもってすでにオープンしている。気になる人は以下よりチェックしてみてはいかがだろうか。

DLチャンネル
http://ch.dlsite.com/

山口修氏

続いては、エイシス 企画営業部 マネージャーの山口修氏より、Dlsite.comが取り組んでいるPCゲームの販売・配信事業に関する説明が行われた。

同社では、2016年6月よりWindows向けのDRMシステム「playDRM」が提供されている。これはユーザーにかかる負担を最小限にするとともに、全自動化されたシステムによるプロテクト、そしてあらゆるファイルを暗号化することによって、作品のライセンスを守るための仕組みだ。

PCゲームにおけるライセンス管理はかねてから課題のひとつとして挙げられるが、このシステムの導入によってエイシスが新たなPCゲームの展開として提示したのが、ゲームをレンタルしてプレイするという選択肢、つまりPCゲームのレンタル販売事業の立ち上げだ。

これはプレイできる日数をPlayDRMを介して制限することでレンタルを可能にするというもので、その分だけ低価格で提供できるというメリットがある。また、最初にレンタルをした後、気になった作品については差額を払えば買い切り版にアップグレードできるとともに、データ販売となることから返却手続きも必要ない。

松岡達哉氏

この取り組みはDLsite.com内だけでなく、同じゲオグループに属するゲオが全国に展開するゲオショップでも行われる。こちらに関しては、ゲオ メディア運営部 マネージャーの松岡達哉氏が登壇し、今回の取り組みについて説明した。

北海道から沖縄まで店舗を展開し、会員数1600万人・店舗数1200店舗を誇るゲオショップ。今回の取り組みに関しては初期展開は数十店舗、その後店舗数を順次拡大していくということだが、郊外にも多数店舗を展開していることから、これまでPCゲームに触れていないユーザーにも遊んでもらいたいという狙いがあるという。

ちなみに店舗での販売方法は、ダウンロードカードを販売するという形式をとるという。カードは支払い完了時に有効化されるということで在庫や盗難のリスクがなく、購入者側も返却の必要がないことがメリットとして挙げられる。なお、レンタル期間と価格設定にについては、タイトルごとに固定とし、価格についてはワンコインでレンタルできるようにしたいという。

今回、レンタル販売のパートナーブランドとして発表されたのは大半が成人向けタイトルを扱うブランドではあるものの、今後については特に垣根を設けず全年齢向けも含めてラインアップを強化していくとのこと。開催後に行われた質疑応答でもその点についていくつか質問をしてみたが、全年齢向けのタイトルに関しては、アニメ化された作品であればそのBlu-ray/DVDのところに配置するなど、状況に応じたゾーニングを意識しているようだ。

PCのレンタル販売の提供については、DLsite.com、ゲオショップ共に来春を予定しているという。現状ではレンタル期間の設定、ダウンロードカードの規格など、まだまだ提供に向けた準備段階といったところだが、先述のDLsite playnestと紐付け、ゲオショップでレンタルしたユーザーも簡単に製品版を購入できるようにするなど、DLsite.comの次の一手という意味で非常に狙いの感じられる発表内容だった。

発表会を盛り上げるべく、民安さん、榊原ゆいさんによるミニライブも行われた。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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