セガゲームスから2016年10月27日に発売を予定しているニンテンドー3DS用ソフト「ソニックトゥーン ファイアー&アイス」。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズの最新作でもある本作を、発売に先駆けてプレイする機会を得たので、インプレッションをお届けする。

全世界から高い支持を集める、セガを代表する人気アクションゲーム「ソニック」シリーズ。その25周年を記念する形で開始された「ソニックトゥーン」は、海外で放送され高い人気を博しているTVアニメ「ソニックトゥーン」(英語名は「Sonic Boom」)の世界観をベースとしつつ、本家とは一味違う新しい「ソニック」ブランドとして生み出された新シリーズだ。

さまざまな展開が行われている「ソニック」だが、膨大な歴史とタイトル数を誇るシリーズだけに、途中から手を出すのをためらわれている読者の方も多いのではないかと思う。そこで今回は、同じようにこれまでプレイする機会を逃していたシリーズ初心者目線でのインプレッションをお届けしていく。

「ソニック」シリーズはほぼ初体験の筆者。今回は本作のディレクターを務める、
セガゲームスの中島玄雅氏(写真右)からの説明を受けながらプレイすることができた。

初心者はステージクリア、熟練プレイヤーはより早いタイムを狙う、それぞれの腕前に応じた目標で快適プレイ

まず本作のストーリーから説明していくと、世界を襲う異常気象の謎を解決するため、ソニックとその仲間たちは島々を冒険しながらその原因を探っていく……というのが主な流れ。ソニックたちを待ち受けるのは、「D-フェクト」と呼ばれる謎のロボットで、シリーズを通じた敵であるDr.エッグマンも登場する。

「ソニックトゥーン」シリーズとしての前作にあたる「太古の秘宝」と「アイランドアドベンチャー」とはストーリー的な繋がりは一切なく、本作からすんなりと入れるようになっている。基本的なストーリー進行はゲーム中のモデルを使ったムービーで進行するようになっており、テキストベースだった前作と比較すると、よりストーリーに入り込みやすくなった。

「ソニック」シリーズといえば、2スクロールから3Dアクション、果てはスポーツやレースなどさまざまなジャンルのタイトルが存在しているが、本作はその中でももっとも代表的な2Dスクロールアクションだ。一般的な2Dスクロールアクションと「ソニック」シリーズの違いとして、ステージ中に落ちているリングを1個でも拾っておけば、敵にぶつかったりダメージを受けてもゲームオーバーにならないこと(ステージのギミックや落下などで、リングをもっていても即死してしまうことはある)が挙げられる。

「ソニック」シリーズというと、とにかくゲームスピードが早く、難しそうなイメージを持たれている人もいるかもしれないが、ダメージを受けるとリングがその場にばら撒かれ、それを素早く回収すればすぐに1ミス分の保険を持たせられるため、実はアクションゲームが苦手なプレイヤーにも優しい。加えて本作には残機という概念が存在しておらず、何度失敗してもゲームオーバーになることはないので、初心者でも安心の作りとなっている。

そして「ソニック」のもうひとつの特徴とも言えるのが、抜きん出たスピード感と爽快感。他の2Dスクロールアクションと比較すると、とにかくダッシュしている時間が長く、ステージもそれを生かしたジェットコースターのような作りになっている。本作では通常の「ダッシュ」、「ブーストダッシュ」、「スピンダッシュ」と3段階の速度のダッシュが設定されており、自分の腕前に合ったスピードで攻略することが可能。ステージには目標クリアタイムが設定されており、その時間内にゴールすればさまざまなご褒美も用意されている。

とはいえ、基本的にはステージに制限時間は設定されていないので、慣れない内は自分のペースでのんびりとプレイするのがオススメだ。その時の自分に適した速度を選ぶことで、実質プレイヤー側が、自分の意思で難易度を調整できるというのも、大きな魅力だと感じられた。

道中を阻む敵を倒す動作も非常にスムーズで、ジャンプ中にBボタンを入力するだけで、自動でロックオンした敵を倒せる「ホーミングアタック」と呼ばれる攻撃を行ってくれる。このホーミングアタックは連続で使用することができ、空中で敵を次々と倒しながら、スピードを緩めることなく進んでいく様は非常に爽快。

実は前作では、スピード感よりもギミックの謎解きや隠されたアイテムを見つけ出す「探索」の要素が色濃く出ていたのだが、本作における「探索」はやり込み要素に近い位置づけとなり、従来の「ソニック」シリーズに近い形式で、一直線にゴールを目指すこともできるようになったという。

また、キャラクターについては後の項目でも触れるが、本作の主人公でもある「ソニック」は、空中でジャンプした状態から任意の好きな方向に動けるスキルアクション「エアーダッシュ」を使用できる。操作に慣れたプレイヤーなら、このエアーダッシュとホーミングアタックを組み合わせることで、ほぼ地面に足をつけることなく、瞬く間にステージをクリアしてしまう……といったプレイも可能となっていた。

さらにステージを進めていくと、ソニック達の行く手を阻むエリアのボスと戦うことになるのだが、このボス戦も「ソニックトゥーン」の特徴的な要素の1つ。主に上画面にボス、下画面にソニック達の姿が表示される形式で、ニンテンドー3DSの2画面をフルに使ってのバトルが行われる。

このボス戦では、ステージごとに使用キャラクターが2人に固定されており、敵の攻撃に対し、それぞれのキャラクターの個性を生かして対抗していくことになる。筆者が体験した最初のボス戦はソニックとエミーのコンビで行われ、下画面に向かって繰り出されるボスの攻撃をかわしつつ、ソニックのエアーダッシュやエミーのハンマーで足場を作り、上画面のボスにダメージを与えていく、というような流れになっていた。

ボス戦での操作キャラクターは、それぞれのスキルアクションが必要な場面が来れば自動で切り替わってくれるので、どちらのキャラクターを使うべきか判断がつかないままやられてしまうこともなく、スムーズに勝利を収めることができた。2人のキャラクターと2画面の両方を駆使しながら戦うというのは非常に新鮮で、ゲーム中の良い意味での刺激となってくれそうだ。

そして忘れてはならないのが、本作のもっとも大きな特徴であり、サブタイトルにもなっている「ファイアー」と「アイス」、2つのスタイル。これは異常気象によって発生した次元の裂け目から生じたエネルギーをソニックたちが浴びたことで使用できるようになった力で、その使い方は非常に簡単。

ステージ中にはファイアーの状態で触れることで溶かせる氷のブロックや、アイスで凍らせることで足場にできる水流などのギミックが数多く設置されているが、ソニック達は常にどちらかのスタイルの状態となっており、ギミックに接触するとその効果が発生する。操作方法としては、目の前のギミックに合わせてLまたは、Rボタンを押し、もう片方のスタイルへと切り替えるだけだ。

「ソニック」シリーズのファンとしては、新しい要素が増えることでウリであるスピード感が損なわれてしまうのではと危惧されるかもしれないが、2つのスタイルの切り替えはどんなタイミングでも行える上、切り替えた瞬間に動きが止まるということもない。しかも足場を作るために使われる「アイス」用のギミックは、エアーダッシュを駆使すれば「ファイアー」の状態のまま突破できるものも多く、スピードを重視するプレイヤーにとってもそれほど障害にはならない。

とはいえ、エアーダッシュを過信しすぎると届かない場合もあるので、状況に応じた判断力を求められる場面は増えることになるが、選択肢が増えたことで、タイムを縮めるための試行錯誤がより楽しくなるはずだ。

個性的なスキルアクションを持つ、5人のプレイアブルキャラクター達

また本作には、主人公の「ソニック」を始め、「エミー」、「テイルス」、「ナックルズ」、「スティックス」ら5人のプレイアブルキャラクターが用意されており、下画面に表示されるキャラクターのアイコンをタッチすることで、いつでも操作キャラクターを切り替えることができる。キャラクター達はそれぞれ「スキルアクション」と呼ばれる特徴的なアクションをもっており、使用感がかなり異なっている。

まずは主人公である「ソニック」。こちらは先ほどの項目でも少し触れた、ジャンプした状態から上下左右への直線移動が可能な「エアーダッシュ」に加え、丸まって地面を疾走するお馴染みの技である「スピンダッシュ」といった、スピードに特化したスキルアクションをもつ。全キャラクター中もっとも早い速度で移動することが可能で、基本でありながら使い込めば使い込むほどそれに応えてくれるテクニカルさも併せ持っている。短時間でのクリアを目指すなら、必然的に出番が多くなるはずだ。

本作からプレイアブルキャラクターとなった「エミー」は、ハンマーを振り回して戦う攻撃的な性能のキャラクター。スピードこそソニックに劣るものの、ハンマーからは衝撃波が発生するため攻撃範囲が広く、「ハンマー・スイング」ではジャンプ中にも攻撃判定が発生するので、進路上に敵がいた時でも安心。大きな柱がソニックたちの行く手を阻んできた時もエミーの出番で、「ハンマー・ストンプ」による衝撃波で、柱を動かすことができる。

ソニックの相棒としてもお馴染み「テイルス」は、ブラスターガンによる銃を使ったアクションが特徴。テイルスから直線上に飛ぶレーザーは斜線上の敵を攻撃でき、ブラスターガンを構えている間、その角度を自由に変更することもできるので使い勝手がいい。

また2本の尻尾を振り回して滑空する「ホバリング飛行」によって、他のキャラクターよりもゆっくりした速度で落下する特性をもっているため、空中での操作が非常に簡単になっている。やや時間は掛かるが、ブラスターガンで進路上の敵を前もって倒しておけば、より安全にステージを進められるようになるので、もっとも初心者にオススメしやすいキャラクターだ。

パワーファイターである「ナックルズ」のスキルアクションは、柔らかい地面を掘ることで地中を自在に移動できる「地中移動」。さまざまな地形の中でも地中の操作は特に独特で、地中内に出現した敵は、その周囲を円で囲むように動くことで倒すことができる。

加えて「ダッシュパンチ」と呼ばれる、敵に素早く距離を詰めながらパンチを繰り出すという攻撃ももっており、ジャンプした状態でパンチを繰り出すことで、簡易的なエアーダッシュのような動きをすることも可能。ソニックにもっとも近いスピードをもちながら、特殊なギミックを兼ね備えており、非常にバランスの取れたキャラクターと言えるだろう。

そして「ソニックトゥーン」シリーズのオリジナルキャラクターである「スティックス」。彼女が使用する武器は「ブーメラン」で、スティックスの元を離れると、操作がブーメランへと切り替わり、自在にその軌道を操作できるようになるという、ややトリッキーな性能をもっている。ブーメランを操作している間、スティックス本人は身動きが取れないリスクはあるが、直接触れられないような位置にあるリングを集めたり、純粋に遠くの敵を倒すための武器としても活用できるので、何かと活躍の機会は多いはずだ。

なおゲーム序盤から使用可能なのはソニックとエミーの二人だけだが、ゲームを進めていくことで使用可能なキャラクターが解禁されていく。仲間が揃うまでのステージでも、他の仲間のスキルアクションが必要になるギミックは存在するので、一度クリアしたステージを改めてプレイしていると、新しいルートを発見できることも。固有のスキルアクションが必要な場所では、きちんとそれに対応したアイコンが表示されるようになっているので、先に進めそうにない場合はメンバーが揃ってから再挑戦してみるといい。

「探索」に代表される、やり込み要素は超膨大!互いの速さを競い合う「ボットレース」では対戦も可能

さらに本作のステージ中には、ゴールまでの道のりとしては遠回りとなるサブルートが豊富に用意されており、隠されたさまざまなコレクションアイテムを集めるための「探索」も大きな楽しみとなっている。思わせぶりな分かれ道などの先では、かなりの確率でコレクションアイテムを入手できるので、ついついステージ中をくまなく探したくなる。

またその中には、難易度の高い「チャレンジゾーン」と呼ばれる場所も存在しており、クリアするとコレクションアイテムの一つをゲットすることができる。難易度が高いといっても、複雑なアクション操作が要求されるという理不尽な難しさではなく、ギミックを突破するためのひらめきが重要。1面1面は短めで、失敗した場合も特にリスクはなく、無理そうなら無視して進むこともできるので、シリーズファンにとっての腕試しというだけではなく、初心者でも気軽に挑戦できるような要素となっていた。

ステージで入手可能なラグニウム鉱石は、ミニゲーム「ボットレース」で使用可能なマシンである「ボットレーサー」を開発するのに使用できる。ボットレースでは敵が出現せず、互いのスピードのみを競い、同じコースを3週するレース形式のミニゲームで、他のプレイヤーとローカル通信での対戦ができるのが特徴。それぞれのボットレーサーはキャラクターがモデルとなっており、ソニック・ボットならスピード、テイルス・ボットならジャンプに優れるといったように、異なるパラメーターが設定されている。

当然対戦ではひとつのミスが命取りとなり、いかにショートカットを駆使できるかが鍵になるので、ステージをどれだけやり込んでいるかが重要になるだろう。CPU戦で十分に練習をしたら、是非知り合いとの対戦にチャレンジしてみて欲しい。

またミニゲームはこの「ボットレース」だけではなく、テイルスの開発した潜水艦型のラジコンを操作して水中迷路を進む「シーフォックス」、画面の手前から奥側に向かってトンネル状の3Dコースを進む「次元の裂け目」、懐かしい縦スクロール型シューティングを彷彿とさせる「ホバークラフト」など、豊富なバリエーションが用意されているのも嬉しい。

それらを一通り体験させてもらった中でも筆者のお気に入りは「シーフォックス」で、水中ではラジコンのエネルギーによる制限時間が課せられているのだが、それを意識しすぎるとダメージを受けてゴールまでのエネルギーが足りなくなってしまうという(敵や障害物と接触することでもエネルギーは減少してしまう)、プレイヤーの心理をうまく利用したミニゲームとなっており、通常ステージの息抜きをとして遊ぶのにピッタリだと感じられた。

「探索」と「ハイスピードアクション」という2つの要素が融合したことで、同じステージを何度遊んでも飽きがこない作りとなっている本作。「ソニック」シリーズほぼ初体験の筆者が強く感じたのは、ダッシュでスピードを落とさずギミックを突破できた時などに、「俺ってもしかして上手いんじゃないか」と、良い意味でプレイヤーを騙してくれるゲームだということ。ハイスピードでコースを走りぬける爽快感と、頭を使ってギミックを突破した時の達成感は、アクションゲームがあまり得意でない人にこそ体験してもらいたい快感だ。

また2Dスクロールアクションと言うと、何度も失敗しながらコースを覚えてクリアする、昔ながらの「トライ&エラー」が必要になってくるイメージがあるが、「ソニック」ではリングさえ所持していれば失敗にはならないため、純粋により良いタイム、隠されたアイテムを見つけ出すためという、ポジティブな気持ちで気楽に「トライ」に専念できることが、初心者の筆者でも非常に快適にプレイすることができた要因だと感じられた。中島氏によると、もともと本作は「ソニック」シリーズを初体験の人にとっての登竜門的なタイトルとなることを目指して作られた側面もあるのだそうだ。

さらに従来の「ソニック」ファンが楽しめるよう、スピードを突き詰めたプレイも可能になったことで、前作から大幅に間口の広い作品となっている。筆者のようにこれまでプレイする機会を逃していたというプレイヤーも、前作がやや物足りないと感じたコアなシリーズファンも、この機会に新しい「ソニック」の世界を体験してみてはいかがだろうか。

ソニックトゥーン ファイアー&アイス

セガゲームス

3DSダウンロード

  • 発売日:2016年10月27日
  • 全年齢対象

コメントを投稿する

画像一覧

全ての画像を表示(39枚)

(C)SEGA

※画面は開発中のものです。

関連ニュース

関連ニュースをもっと見る

あわせて読みたい

この記事のゲーム情報

機種
3DS
プラットフォーム
パッケージダウンロード
OS
会社
セガゲームス
シリーズ
ソニック
ジャンル
アクションアドベンチャー
公式サイト
公式サイト
  • セール情報
  • Figgy
  • プリコネR特集

人気記事ランキング

定期配信

  • ゲーム発売日・配信日カレンダー
2024-04-15
PERISH
2024-04-16
Grounded
2024-04-16
Harold Halibut
2024-04-16
デイヴ・ザ・ダイバー
2024-04-16
晴空物語 もふもふランド
2024-04-17
HIT : The World
2024-04-17
Sagres
2024-04-18
ARK: Survival Ascended
2024-04-18
BIG SHOTS -ビッグショット-
2024-04-18
EGGコンソール ハイドライドII PC-8801
2024-04-18
Picross -LogiartGrimoire-
2024-04-18
SUNSOFT is Back! レトロゲームセレクション
2024-04-18
UFOロボ グレンダイザー:たとえ我が命つきるとも
2024-04-18
いっき団結
2024-04-18
みんなと街コロ
2024-04-18
ココロシャッフル - Spirit Swap -
2024-04-18
バニーガーデン
2024-04-18
フェイファーム ようこそ精霊の島アゾリアへ
2024-04-18
同級生リメイクCSver
2024-04-18
急げ!運べ!積み込め!
2024-04-18
異世界派遣の係長
2024-04-18
食魂徒 ~百花妖乱~
2024-04-19
SOUL COVENANT
2024-04-19
ウムランギジェネレーション
2024-04-19
ビックリマン・ワンダーコレクション
2024-04-19
ロロパズミクス
2024-04-23
百英雄伝
2024-04-24
ザァオ:ケンゼラの物語
2024-04-24
ニャンダーランド~封印されし女神~
2024-04-25
BEHOLGAR
2024-04-25
Library of Ruina
2024-04-25
SAND LAND
2024-04-25
けもの道☆ガーリッシュスクエア
2024-04-25
わんことあそぼ! めざせドッグトレーナー!
2024-04-25
サガ エメラルド ビヨンド
2024-04-25
ボクらの修学旅行大作戦
2024-04-25
ママにゲーム隠された コレクション
2024-04-25
メガトン級ムサシW
2024-04-25
ヴァガンテ
2024-04-25
重装機兵レイノス2 サターントリビュート
2024-04-25
鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!
2024-04-26
Manor Lords
2024-04-26
Miko in Maguma
2024-04-26
Stellar Blade
2024-04-26
トリガーハート エグゼリカ
2024-04-26
剣と魔法と学園モノ。2G Remaster Edition
2024-04-26
剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition
2024-04-26
妄想凶ザナトリウム
2024-04-26
最恐 -青鬼-
2024-04-28
エルシャダイ・アセンション オブ ザ メタトロン