あらゆる要素が詰め込まれた「フリーワールドシステム」を体感！「サガ スカーレット グレイス」最新バージョンをプレイ

「サガ スカーレット グレイス」は、ゲームデザイン＆シナリオをシリーズの生みの親である河津秋敏氏、サウンドは伊藤賢治氏、イラストレーションは小林智美氏が担当し、本作独自とシリーズならではの魅力を備えた唯一無二のRPGとして制作が進められている。

今回は「東京ゲームショウ2016」のステージからさらにクオリティアップした、最新バージョンのプレイインプレッションをお届けしよう。

プレイヤーごとに自由な展開を楽しめる「フリーワールドシステム」

「サガ」シリーズといえば、プレイヤーによって全く異なるストーリーを楽しめる自由度の高さが魅力。本作でその中心となるのが立場も思想も異なる個性豊かな4人の主人公で、今から誰を選ぶか迷いに迷っているファンも多いことだろう。

筆者は主人公の1人「ウルピナ」でプレイをスタート。かつて世界を襲った神「ファイアブリンガー」と戦い、瓦解した「帝国」の四将軍家の筆頭と謳われた剣将軍ユラニウス家の娘だ。周囲からは「姫」と呼ばれて愛されており、当主である父や跡継ぎの兄、そして家のために力を尽くそうとしている様子が伺えた。そんな中、ウルピナの暮らすシルミウムが突然悲劇に襲われたことで環境が一変。RPGの王道ともいえる展開で幕開けするので、幅広いプレイヤーが入り込みやすそうだ。

本作では、従来の「フリーシナリオシステム」が「フリーワールドシステム」へと進化。フィールドにダンジョンやバトル、シナリオイベントといった要素がすべて詰め込まれていて、オブジェクトに触れるとバトルやイベントが発生。周囲の状況に一つひとつ対応していくか、バトルなども無視してひたすら目的地を目指すかはプレイヤー次第となる。行動や選択によって物語が大きく揺れ動くので、序盤から「こっちを選んだけど次は違う選択をしてみたいな」と2周目以降のプレイが頭を過ってしまうほど気になる展開が目白押しだ。

ちなみにフィールドの移動では、街道のように整備された場所だとスピードが上がる。ちょっとした演出だが、細部に至るまでのこだわりを感じた瞬間だ。パーティメンバーも最初から主人公のごく身内で構成されているので心細さもなく、編成画面で垣間見えるちょっとした個性にもクスッとせずにはいられなかった。

タイムラインの把握と「連撃」が戦況を左右する奥深いバトル

「サガ スカーレット グレイス」で気になるポイントといえば、新たに「タイムライン」が導入された戦略性の高いバトル。タイムラインには敵・味方の行動順が表示されていて、敵が使用できる技も事前に確認でき、パーティ内で画面中央付近にある「☆マーク＝BP（ブレイブポイント）」を共有しながら技・術を使って攻撃を繰り出していく。

「最初から行動順や敵が使ってくる技が分かるなんて、簡単すぎるのでは？」と思う往年のファンも少なくないだろうが、決してボタンを連打するだけで勝てるようなシステムではない。どういった戦略で敵勢力を叩いていくかよく考えながら進めないと、あっという間にピンチに陥ってしまうので注意。先を読みながら行動するシミュレーションのような手ごたえも感じられるだろう。

ここでカギとなるのが「連撃」だ。具体的にいうと、タイムライン上で味方と味方の間にいる敵を狙って倒し、それが消えて味方同士がガチッとくっつくと画面に大きく「連撃発生」と表示され、追加攻撃が発生するというシステムだ。最初は試行錯誤するかもしれないが、一度やり方が分かってしまえばそう難しい仕組みではないので安心してほしい。連撃はダメージを与えるだけでなく、なんといっても次のターンの消費BPが下がるというメリットが非常に大きい。ここで見た目にも派手で強力な技を繰り出し、一気に決着をつけたいところ。

ただし、戦闘で注意したいのは「敵も連撃を行ってくる」という点だ。味方が倒され、敵が繋がると敵の連撃によリこちらが崩されてしまい、一瞬でピンチに陥ってしまう。また、味方が敵に注意を引き付けられ、思うように狙った相手を攻撃できないといった場面もあった。筆者もあっという間に全滅寸前まで追い込まれたこともあったが、こちらも連撃を繰り出して劣勢を逆転できた瞬間は思わず歓声を上げたくなったほど。敵の行動順を遅らせる「バンプ」という効果を持つ技、自身の攻撃タイミングをずらせるといった技もあるので、いかに敵の連撃を防ぎ、味方が連撃を決められる状況を作るかが勝利に大きく関わるだろう。

また、バトルに突入する前には「EASY」「NORMAL」「HARD」といった難易度や連戦数、報酬などを確認できる。強い敵を相手にするほど「閃き」で新たな技を会得しやすく報酬も多いといったプラス面もあるので、歯ごたえのあるバトルを楽しみたいプレイヤーはどんどん「HARD」に挑戦してみてほしい。もちろん「EASY」であれば、あまりバトルが得意ではないRPG初心者でも十分に遊べるバランスだ。

このほかにも、バトルには戦闘を優位に進めるうえで欠かせない「陣形」をはじめ、さまざまな要素が満載。一戦一戦をじっくりと戦っていく必要があり、細かな解説は戦闘準備画面などから「TIPS」であらかじめ読んでおくといいだろう。

やり応えはバッチリ！ますます期待の高まる「サガ スカーレット グレイス」

最後に「東京ゲームショウ2016」のステージイベントを取材した筆者の視点で、改めて感じた部分についてまとめておこう。まず、すでに発表されている通りロード時間はかなり改善されている。また、当然だが映像として見ている時間と戦略を練りながら挑むという合間の時間は体感として全く異なる。単純にボタンを連打するようなバトルではなく情報をもとに考えながら戦うということもあり、プレイ中に大きく気になることはなかった。だからといって延々バトルを行わないといけないわけではなく、主人公や選んだ選択肢による部分もあるだろうが、バトルを避けながらストーリーをどんどん進められそうな感触もある。プレイヤーの状態やその時の進行具合などに合わせてやり込めそうだ。

「フリーワールドシステム」についても、例えば迷路のようなダンジョンマップはないが、「立ちはだかる敵を倒して新たな地へ進む」「強敵を倒した後に発生する派手なイベント」などはもちろん楽しめるし、よくある「メンバーを入れ替えながらパーティ全体の消耗を抑えて進む」といった行動は、シリーズでお馴染みの「LP」により常に意識して行うことになる。特定の要素を排除したのではなくすべてが融合しており、どちらかといえばオープンワールドのRPGに近いかもしれない。それらを自由なプレイの中で思う存分味わえる、といった印象だ。

わずかなプレイ時間の間にも次々とイベントが発生し、メインの目的を追うか目の前の事件に一つずつ対応していくか、それともバトルで色々と試してみようかと考えているうちに終了してしまい、率直に「もっと続きを遊びたい！」と思わずにはいられなかった「サガ スカーレット グレイス」。どんどんクオリティアップしていく本作への期待がますます膨らんだので、シリーズファンも初めて触れるファンも発売を楽しみに待っていよう。

サガ スカーレット グレイス

スクウェア・エニックス

PSVitaパッケージ

• 発売日：2016年12月15日

• 12歳以上対象