コーエーテクモゲームスが2016年11月2日に発売したPS4/PS Vita用ソフト「フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~」。“旅”を存分に味わえるゲームとしての仕上がりを感じさせた、本作序盤のプレイレポートをお届けする。

「アトリエ」シリーズの新たなスタンダードを目指した前作「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~(以下、ソフィーのアトリエ)」。そこから連なる物語を描く本作「フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~(以下、フィリスのアトリエ)」では、新たに“旅”をテーマとして、壮大なスケール感のフィールドを渡り歩いていく、これまでのシリーズとは一線を画した意欲作となっている。

今回は、PS4版を用いて本作のゲーム序盤をプレイ。発売前にはなかなか見えてこなかったゲームの全体像を紹介するとともに、序盤のうちから確認できた、旅という座組みならではの要素について紹介していきたいと思う。

ゲーム冒頭ではフィリスが“扉”を開くまでの物語を描く

ゲーム冒頭の舞台は、採掘を生業とする人々が暮らす、地中にある小さな町・エルトナ。風は吹かず、陽の光でさえも岩の隙間からかすかに差し込むような閉ざされた空間の中でフィリスは暮らしている。彼女は外の世界を自由に歩いてみたいというささやかな夢を抱いているものの、巨大な鉄扉が町の入口を塞いでいることもあって、外への想いを胸に秘める日々を過ごしているのだ。

そんな日々は突如、前作の主人公であるソフィーとプラフタの来訪によって終わりを迎える。錬金術士であるソフィーがもたらした錬金術は、町以外のことを知らなかった少女に希望を与え、旅へと誘っていく。

ただし、旅に出るにあたっては、町や両親から認めてもらう必要がある。ここでフィリスは、ソフィーから教えてもらった錬金術を用いて町での困りことを解決していくことに。調合や依頼にまつわる基本的な要素を確認しつつ、期限までに条件を達成したら、いよいよ外の世界へと旅立つことになる。

旅に出るまでの流れをかいつまんで紹介すると以上の通りだが、外の世界を知りたいという強い気持ちを隠さないフィリス、娘を案じるあまり反対を続ける母親のニコラ、2人の間に立って橋渡しをする姉のリアーネ、といったキャラクターごとの背景や、フィリス自身の持つ特別な力に頼っている町の人々といった、その後の展開にも関わりそうな要素が盛り込まれている。単純なチュートリアルに留まらない、ストーリー性の強いエピソードが展開していくのだ。

旅の道中はできることが盛りだくさん

そうした出来事を経て旅立ったフィリスとリアーネだが、長老であるベルントからは公認錬金術士になることができなければ、1年で町に戻ってくるという条件が突きつけられる。ここからが本当の意味でのスタートであり、フィリスは見も知らぬさまざまな地を、あふれんばかりの好奇心で旅していく。

実際に旅をするというニュアンスがどういうことなのかは、「アトリエ」シリーズをプレイしているユーザーであるほど伝わりにくいと思う。ここでは旅を続ける中で、実際にできることをいくつかに分けて紹介していこう。

広大なフィールドをくまなく探索

従来の「アトリエ」シリーズではワールドマップから決まったフィールドに移動し、そこでの探索を終えたらまたワールドマップに戻るという流れだったが、本作ではワールドマップ全体がそれぞれのフィールドに分かれており、フィリスは旅を通して各フィールドのマップを完成させていくことになる。

フィールドはこれまでのシリーズからは想像もつかないほどに広く、探索や採取といった行動による時間の流れ、土地ごとの特徴をもって変化していく天候など、プレイヤーが考慮すべき要素が多数存在している。闇雲に歩き続けると行き先に迷ってしまう局面もあるかもしれないが、一度発見するとマップ上に記載されて一瞬で移動が可能になる(ただし、移動する分の時間は経過)ランドマークがフィールド上に点在するなど、序盤からプレイヤーを助けてくれる要素が盛り込まれているので活用していこう。

同じくフィールド内で見つけることのできる“旅人のたき火”では、今作の特徴の一つであるテント型のアトリエを設定することができる。なぜこのようなアトリエが生まれたのかは、「ソフィーのアトリエ」の追加DLCとして配信中の後日談エピソードをチェックしてもらえるといいだろう。

そしてこのアトリエは、ただ調合をするためだけのものではなく、フィリスたちの休息においても非常に重要な意味合いを持つ。本作ではフィールド上でのさまざまな行動によってLPが消費され、LPが減れば減るほど探索の効率が落ちていく。また、戦闘を重ねていくとフィリスたちのHPやMPも当然減っていってしまうので、調合した回復アイテムを無駄に消費しないためにも、適度なところで休んでおくと効果的に回復できるのではないだろうか。

多彩な採取方法

「アトリエ」におけるフィールド探索の醍醐味の一つが、調合するための材料を集める採取だろう。今回は従来通りの拾い集めるものだけでなく、大きな岩を破壊して石系のアイテムを集めたり、木を叩いて果物などを集めたりといった、多彩な採取方法が用意されている。同じフィールド内でも、場所や時間帯、天候によって手に入るアイテムは異なってくるため、特に最初にフィールドを探索するときは、どんなアイテムが手に入るのかも気になるところだ。

また、これも「アトリエ」ならではの新要素といえるのが、ひとつのシチュエーションに対して複数の採取方法が用意されていること。先述の岩を壊す場合でも、杖の場合には何度も叩く必要があるため時間がかかってしまうが、フラムなどの爆弾系のアイテムを用いたり、ツルハシのような岩を壊すためのアイテムを調合して持ち歩いたりといった方法で、より短時間に壊すことも可能だ。ケースに応じた選択肢が持てるのも、探索の自由度が増した本作らしさといえるのではないだろうか。

ところどころで発生するクエスト

旅の道中では、いろいろな人が悩みを抱えて佇んでいる。彼らに話を聞くとクエストが発生し、それらをクリアするとさまざまな報酬を手に入れることができる。これも従来の、酒場のようなところで定期的に受注するような形式とは違い、あくまでも旅の中で請け負うというかたちをとっているのだ。

本作におけるクエストの大きな特徴は、ひとつのクエストが終わると、そこから連なる新たなクエストが発生していくこと。また、一連のクエストについては決して一本道というわけではなく、フィリス自身が取った行動によって別の展開に派生することもある。こうした点からもフィリス、ひいてはプレイヤー自身が行動を選択する、能動的な楽しさが味わえるようになっている。

また今作において非常にありがたいのが、発生したクエストについてはフィールドマップ上でロックすることで移動中も常に目的地を確認できるようになっている点だ。先ほども触れた通り、広大なフィールドを旅する上での位置確認にも役立つだろうし、加えて複数のクエストをロックできることもできるので、次に行うことの把握にも使えそうだ。

「ソフィーのアトリエ」から実は変わっている戦闘・調合システムも確認

ここまではゲームの肝である“旅”にフィーチャーしてきたが、実際にプレイしてみると、ゲームを進める上では欠かせない、戦闘と調合に関しても前作と比べていくつかの変化を感じることができた。

ターンバトルに回帰しつつも前作の要素も一部踏襲

前作は“ロジカルターンバトル”というターン毎に全ての行動を事前に決める仕組みを採用していたが、今回は近年の「アトリエ」作品同様に、順番の回ってきたキャラクターから順番に行動する、オーソドックスなターンバトルとなっている。

キャラクターごとに用意されているスキルももちろん健在なのだが、今作ではそこにサブウェポンと呼ばれるキャラクターの2つ目の武器が加わることで、スキルの活用法がより広がっている。今回のプレイは序盤だったこともあってあまり確認できなかったが、スキルの幅が広がることでキャラクターごとの活躍の機会が確実に広がっていることだろう。

もちろん、「ソフィーのアトリエ」に続いて本作でも全てのキャラクターがアイテムを使用できる。それぞれ個別に管理する必要があった前作とは違い、本作では探索時に使用できるアイテムが“アイテム装備”という形で一元管理されており、その中からキャラクターごとに使用できるアイテムが表示されるようになっている。フィリスにサブウェポンはないものの、どのアイテムも使えるメリットを持つので、常にアイテム装備を充実させて臨みたいところ。

その上で、ロジカルターンバトルの特徴でもあった行動を先行入力するという仕組みをシステムとして落とし込んでいるのが、ゲージを溜めることで発動できる“チェインバースト”だ。このモードに突入すると、味方の行動順が連続している場合に味方同士のアイコンがラインでつながる。この状況下でスキルかアイテムを使用すると連携攻撃が繰り出せるというものとなっている。

序盤ではほぼフィリスとリアーネの2人で行動していたため、あまり恩恵に預かる機会は少なかったものの、狙い目になるかもしれないと感じたのはブレイクとの相性。敵を上手くブレイク状態に落とし込んだところでチェインバーストモードに突入すれば、難なく連携攻撃が繰り出せそうだ。

釜に変わって触媒の要素が重要になった調合

調合に関しては、まず調合を行う上で必要なレシピの発想方法が少し変わっており、今回は採取や討伐などといった行動の積み重ねが、よりダイレクトに反映されるようになった。同時に、クエストの達成などで入手できる発想ポイントを使えば、その場でレシピを発想できるようになったので、ゲームの進行上でレシピを発想したい場合には活用するといいだろう。

また調合のフローも多少変わっている。前作が釜ごとに特徴を持っていたのに対して、今回では調合前に投入する“触媒”というアイテムが大きな役割を示している。触媒の選択後に表示されたラインを埋めるとボーナスが発生するので、ボーナスの内容を確認の上、選択していこう。

ちなみに今回はアイテムごとの特性の移り変わりが、従来の数字とゲージでの表示から☆マークの表現に変わって視覚的にわかりやすくなっている。今回は簡単に触ったぐらいではあるのだが、触媒によるラインごとの効果、そして材料となるアイテムの品質といった要素が組み上がっていく感覚を味わうことができて、前作のシステムを上手く昇華しているように感じた。

旅の中で出会う人々とフィリス自身の成長に注目

本作における仲間たちはフィリスが旅を進める中で出会っていく。つまりはゲーム冒頭から2人パーティでの戦闘がしばらく続くことになり、数時間プレイしたところでようやくほかのキャラクターが仲間になってくれるという具合だった。

これはパーティバトルが基本の「アトリエ」シリーズとしては比較的遅いタイミングではあるのだが、旅をしている中で出会った人と交流することで仲間になっていくというのは、非常にRPGらしい作りだと感じられた。

旅をしていく中でどういった出会いが待っているのかはプレイヤーはもちろん、フィリス自身も知る由もない。旅をテーマにするということは、ある意味で出会いを繰り返すことであり、そうした人々との交流を通して成長していくフィリスを見守りたいと思わせてくれる。

そして、オープニングムービーをはじめとした印象的な場面では歌曲が、旅の一コマでは世界観を演出するバラエティ豊かな楽曲たちが物語を彩る。プレイする際には、ぜひ耳も傾けつつ、プレイしてみて欲しい。

フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~

コーエーテクモゲームス

PS4ダウンロード

  • 発売日:2016年11月2日
  • 12歳以上対象

フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~

コーエーテクモゲームス

PSVitaダウンロード

  • 発売日:2016年11月2日
  • 12歳以上対象

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