CyberZは、ベルサール秋葉原にて「Shaeowverse」を競技タイトルとしたe-Sports大会「RAGE vol.3 Shadowverse GRAND FINALS」を、11月23日に開催した。
「RAGE」とは、CyberZが運営する、年間を通じて複数ジャンルのゲーム大会を開催する次世代型e-Sportsイベントだ。
第3回目の開催となる今回は、Cygamesがサービスを提供している本格スマホカードバトル「Shadowverse」を競技タイトルとし、10月22日・23日に行われたオフライン予選大会を勝ち上がってきた8人の選手達が、GRAND FINALSの舞台で雌雄を決する。
本大会の目玉は、何といっても賞金額だろう。賞金総額700万円、優勝賞金400万円となっており、これまで開催された「Shadowverse」の大会においては、過去最高の金額となっている。
大会のレギュレーションに関しては、それぞれクラスの異なる3つのデッキを使用して戦う、BO5のシングルエリミネーション方式トーナメントで競われる。
また、メインであるトーナメント以外にも、「Shadowverse」のプロモーションカードがもらえるサイドトーナメントや、「Shadowverse」グッズが購入できる物販、アーティストによるライブや、コスプレイヤーによるステージなど、「RAGE」を様々な角度から楽しめる催しで満載だった。
本大会のトーナメントを勝ち上がり「Shadowverse」初代王者の座に輝いたのは、「King of ポーカーフェイス」ま選手だ。オフライン予選時から、すでにラスボスと称された凄腕のプレイヤーで、その二つ名に違わぬ冷静沈着なプレイングの評価が高い選手であるが、ここぞという場面での勝負強さや、自分の読みを信じるメンタルの強さにも非凡さを感じた。
印象的だったシーンとして、決勝戦 第2ラウンドのroro選手との試合がある。ま選手が「ミッドレンジロイヤル」、roro選手が「エイラビショップ」を使用しての戦いだ。
roro選手の盤面には「ラビットヒーラー」、残り2カウントの「詠唱:獣姫の呼び声」が展開されている状態。一見すると、残りライフを9まで詰めていることもあり、「フローラルフェンサー」を召喚・進化して盤面を強化、次のターンでリーサルを狙うのが最適に思える。
だが、実はroro選手の手札には「テミスの審判」が握られており、そのプレイングは悪手なのだ。もちろんこれは、どちらの手札も見えている、観戦者目線であるが故にできる判断ではあるのだが。そして、ま選手はこのターン「テミスの審判」を警戒し、何もせずにターンエンド。そのターン内だけ切り取ってみれば、大幅なテンポロスにも思えるこの行為を、決勝戦という舞台で実行する胆力には驚くばかりだ。
roro選手としては、「テミスの審判」を1ターン遅らせて打たざるを得なくなり、結果として「詠唱:獣姫の呼び声」から召喚された自身のフォロワーを巻き込む形での使用となった。
このように、まるで相手の手札が見えているかのように、試合全体の流れをみて勝ち筋を作り出すのが上手いと感じる場面が多々あった。もちろんこれは勘で行っているわけではなく、普段からの並々ならぬ経験に裏打ちされた、分析の結果であろう。GRAND FINALSという舞台、どの選手も素晴らしいプレイングを見せてくれたが、全体を通してみると、ま選手が頭一つ抜けていると感じた。
ちなみにこの試合だが、「テミスの審判」を打たれた後、「メイドリーダー」からの「海底都市王・乙姫」でフォロワーを展開。10ターン目には「セージコマンダー」をトップでドローと、神がかった引きで勝利を収めた。 |
一方、そんなま選手と決勝戦で激突したroro選手はというと、ま選手がラスボスなら、roro選手はまさに主人公のような勝ち上がり方をしてきたプレイヤーだ。自身でも勝率は5~10%と見込んでいた初戦の相手、屈辱の決闘者選手との対決で勝利を収め、続く準決勝、hiroya選手との試合では、2連敗してからの逆3タテをみせるなど、良くできたサクセスストーリーを見ているような、そんな熱い試合展開をみせてくれた。
そんな二人が戦う決勝戦では、ま選手が2試合を先取。後が無くなったroro選手だが、追い込まれてからの逆転劇を準決勝でみせてくれたこともあって、試合の行方はとても予想できるものではない。運命の決勝戦 第3ラウンド。使用デッキはお互いに冥府エルフを使用してのミラーマッチとなる。そして、デッキの内容も、ほぼ同一のものとなっており、完全にプレイングが勝負を分けることになる、見応えたっぷりの試合だ。
序盤は、ま選手が盤面にフォロワーを並べ、優位な展開を作り出す。さらに、4ターン目に進化を絡め7/8というサイズの「エンシェントエルフ」を召喚することに成功。7点というダメージをフェイスで受けるわけにはいかず、roro選手はこれに対処するため「リノセウス」2枚と「フェアリー」を進化という、少し無理のある形を取らざるを得なくなった。
盤面上の有利はま選手が取っていたが、先に「冥府への道」を完成させたのはroro選手。このままroro選手が優勢となるかと思われたが、ま選手も次ターンで「冥府への道」を発動。試合展開はダメージレースの様相を呈すが、「自然の導き」「フェアリービースト」が手札にある、ま選手が俄然有利だ。
運命のラストターン。ま選手の手札には2枚目の「冥府への道」が既に握られていたため、roro選手の勝ち筋としては、このターン内で2枚目の「冥府への道」を引き当て、12点ひねり出すしかないという展開だ。しかし、roro選手は自分のライフが7あるため、一回は耐えられると判断。疾走を警戒し「ベルエンジェル」を召喚する。
これが勝負の分かれ目となり、次のま選手のターン。2枚目となる「冥府への道」で、roro選手の体力を削りきり、3タテで勝利。圧倒的な強さで「Shadowverse」初代王者の栄光に輝いた。
優勝した、ま選手には優勝トロフィーと、優勝賞金400万円、そしてゲーム内特別称号「RAGE初代王者」が贈られた。優勝賞金の使い道について尋ねられた、ま選手は「本当に考えていなかったので、これから考えます」とハニカミながら応えた。
表彰式では、CyberZ RAGE運営総括の大友真吾氏が登壇し、「選手の皆様には最高のパフォーマンスと最高の戦いをみせてもらい、感謝の言葉を申し上げたい」と本大会を振り返った。そして大友氏から、RAGEの新たな展開として「Vainglory アジアTOPリーグ Arena8 RAGE」の開催、そして「RAGE Shadowverse」の次回大会が、来春に開催されることが発表された。こちらの詳細に関しては、RAGE公式Twitterなどでアナウンスされるそうなので、続報に期待して待とう。
最後に、Cygames 取締役 木村唯人氏も登壇。優勝した、ま選手のプレイングを賞賛するコメントと、「もし条件が合えば、『Shadowverse』のCMに出演して欲しい」と突然のオファーを打診する一幕も。これには「King of ポーカーフェイス」を貫き通した、ま選手も驚く様子をみせたが、すぐに快諾した。
表彰式では、勝負を終えた選手たちも互いの健闘を称え合い、溢れる笑顔とともに「RAGE vol.3 Shadowverse GRAND FINALS」は幕を閉じた。