ソニー・ミュージックエンタテインメントは、PS VR専用アプリケーション「anywhere VR」を2016年12月8日に配信する。発表以来ベールに包まれていた同アプリケーションを、配信に先駆けて体験してきた。
VR元年とも言える今年より、我々はVRヘッドセットを介して様々な体験が可能になった。あるときは巨大ロボットのパイロットとなり戦場を駆け、あるときはオオワシになってパリの大空をフライトする。どれもエキサイティングで、現実の世界ではまず実現不可能な体験だ。
しかし、現実的に実現できることを、あえて自宅で手軽に体験できるようにしたアプリケーションが存在する。それがソニー・ミュージックエンタテインメントより12月8日にリリースされるPS VR専用アプリケーション「anywhere VR」だ。
2016年9月13日に開催された「2016 PlayStation Press Conference in Japan」にて発表された本アプリケーションは、お気に入りの場所、いつもの事をコンセプトに、PS VRの映像の中でいつもの遊びが可能になる。
様々なロケーションの映像美に酔いしれる
VRヘッドセットを装着し、「anywhere VR」を起動すると、白い砂浜と青い海が目の前に広がる。人っ子一人存在しない、このビーチを自宅で手軽に独り占めできるのは、それだけで優越感に浸れるだろう。もちろんVR空間なので、360度、あたりを見渡すことだってできる。映像に合わせて聞こえてくる波の音を聞いていると、本当に自分はこのビーチにいるのではと錯覚すら起こす。
VRに映すロケーションは、リリース段階では全部で22種類用意されており、砂浜と、富士の山中湖は最初から楽しむことができる。他にも追加コンテンツとして、満点の星空や、滝のせせらぎが聞こえる森林、水族館など多岐に渡るロケーションが存在している。自分のお気に入りのロケーションで一日の疲れを癒やそう。
いつものスマホをもって、お気に入りのロケーションに出かけよう!
PS VRの宿命として、VRヘッドセットを被っている間は、現実の「オブジェクト」に干渉することが難しい。そこに一石を投じるのが「anywhere VR」だ。
VR空間に、スマートデバイスを映し出すことができる本アプリケーションでは、まさに「スマートデバイスを持って大自然に遊びに行く」という感覚を味わうことができる。現実ではなかなか見ることができないロケーションを"ながら見"しながらスマートデバイスを弄るというのは、非常に贅沢な体験だろう。
さらに、VR空間ならではのメリットとして、スマートデバイスを持つ現実の手は、どんな格好でも良いという点が挙げられる。現実世界でスマートデバイスを触るときは、当然、目線の位置に画面をもってくる必要があるのだが、「anywhere VR」はVR空間上に仮想画面を移しだすので、スマートデバイスを握ってさえいれば、ソファーに手を投げ出した格好になっても、画面を視界に捉えることができる。
最高にリラックスした格好でスマートデバイスを触れるのは、実際に体験してみると非常に有意義な体験だった。デメリットとしては、他の人にはとても見せられない格好になっているかもしれないということぐらいか…。
VR空間上でスマートデバイスを映し出すということで気になるのが、どこまでVR空間上でスマートデバイスを触れるのか? という点だろう。
結論から言うと、スマートデバイスでできることは全てできると言っていいだろう。もちろんコンテンツの特性上、向き不向きはある。Webブラウジングや、SNS、電子書籍の閲覧など静的なコンテンツとの相性は非常に良く、特にTwitterはアプリケーションとして完全に同期しているため、VR空間の背景にタイムラインを流すといったことも可能だ。
また、動的なコンテンツとしてMV(ミュージックビデオ)を実際に流してみたところ、僅かなラグは感じたものの、ほぼ違和感なく視聴することができた。ただし、音声はスマートデバイス側から流れるため、スマートデバイスにイヤホンを装着するなど、一工夫、必要になりそうだ。他にもスマートデバイス側でのゲームアプリなども、推奨はしないが遊ぶことは可能とのことだった。
少し面白い試みとして、スマートフォンのカメラを起動し、VR空間上に現実の世界を映すといったことも可能だ。一周回って元の場所に着地している感はあるが、自分がヘッドセットを被っている姿というのは、あまり見ることができないため、これはこれで貴重な体験だ。 |
また、「anywhere VR」本体にもミニゲームが幾つか搭載されているので、ミニゲームでちょっと一息。といったことも可能となっている。
画像のように、背景を"ながら見"しながら、動画を流してミニゲームなんてことも。ここまでマルチタスクで遊ぶとまったりはできない…かも? |
最後に小ネタとして、ロケーションにマッチしたアロマを炊くという技も紹介された。視覚や聴覚にプラスして嗅覚を刺激することで、より深い没入感を楽しむことができた。 |
「anywhere VR」の製作者であるソニー・ミュージックエンタテインメント 阿部達矢氏・原口竜也氏によると、PS VR向けのコンテンツを出すために、ソニー・ミュージックの強みである映像コンテンツを活かそうと思ったことが、本アプリケーションの開発の経緯だという。映像を流すというアイデアに一捻り加えるために着目したのが、スマートデバイスとの連携。スマートデバイス画面を用いることで新しいことにチャレンジできると考えており、今後もアニメや動画などのコンテンツとの親和性を試していきたいと意気込みを語った。
「anywhere VR」は、現時点でコンテンツとして非常に面白い体験だったが、今後、さらにこの技術が発達することで、例えばVRゲームを遊びながら、スマートデバイスでWEB上の情報を見るなど、ゲーム体験が便利になる未来がくるかもしれない。そんな未来を想像しながら、「anywhere VR」でまったりくつろいでみるのもいいだろう。
概要
タイトル
anywhereVR
発売元
ソニー・ミュージックエンタテインメント
※開発会社:株式会社ディンプス
※映像撮影:株式会社ランドスキップ
フォーマット
PlayStation4
※PlayStationVR対応
※スマートフォン、タブレット(Android5.0)でキャスト機能が楽しめます。その場合には専用キャストアプリ(無料)のインストールが必要になります。
ジャンル
リラクゼーションVR
発売日
2016年12月8日
販売方法
基本プレイ無料(アイテム課金あり)
追加DL(ローンチ時同時販売)
01)リラックスSelection A:1,980(税込)
※映像10本入り
02)リラックスSelection B:1,980(税込)
※映像10本入り
03)BGM Selection A:650(税込)
※6曲の楽曲入り
04)リラックスCollection 1:4,500(税込)
※01)、02)、03)がセットになった全部入りパック
※リリースと同時に、記念セールを実施予定
プレイ人数
1人