スクウェア・エニックスは11月30日、iOS/Android向けアプリ「サムライ ライジング」のVer2.0アップデートを実施した。大型アップデートによって何が変わったのか、運営チームにメールインタビューを行った。
スクウェア・エニックスが2016年6月にリリースしたスマートフォン向けアクションRPG「サムライ ライジング」。和風ファンタジー世界を舞台に、10種類以上のジョブによる多彩なアクション、最大4人による協力プレイが楽しめるタイトルとしてリリースされたが、不具合の発生、マルチプレイの不便さなど、決して十分なサービスを提供しているとはいえない現状だった。
その点についてはユーザーへのアンケートなどを通して改善が図られていたが、各種機能の追加、新コンテンツの実装などの大型アップデートを実施する、Ver2.0がいよいよ11月30日に配信された(当初は11月25日の配信を予定していたが、アップデートに伴うアプリ提供の準備が遅れたこともあって延期、公式サイト上でお詫びを掲載している)。
実施に合わせて「サムライ ライジング」のディレクターを務める南里耕平氏(スクウェア・エニックス)と運営プロデューサーの平山載基氏(スクウェア・エニックス)に、大型アップデート実施の狙いについてメールインタビューを行った。リリース後の運営についてどのように捉えているのか、そして一体どのような点に注力したのかなどに触れているので、チェックしてもらえればと思う。
――今回の大型アップデート実施におけるポイントをお聞かせください。
ハックアンドスラッシュをコンセプトに作られたアクションRPGでありながら、現状はこちらのチューニング不足により、本来提供したかったゲームフローにプレイヤーが乗れていない状況です。従って、新しいコンテンツを追加することにより、遊びの基礎となるサイクルを正常な形に持っていき、プレイヤーに「なるほど、こうやって遊ぶのね」と感じてもらえるよう、フローの明確化に力を入れています。
――最高難易度の新コンテンツとして「神代の塔」が登場しますが、シングル専用の踏破型クエストとした理由はあるのでしょうか?
まず現状のシングルクエストは、しっかりと育てていなくてもやりようによってはすぐにクリアできてしまう状態で、適切な難易度に設定されていません。そのため、クエストに行き詰まり、少し戻って装備やユニットを強化して、また挑戦する… といった本来想定していたプレイサイクルが成り立っていませんでした。そこを再構築し、「神代の塔」という最終目標を実装しようと考えました。
どのプレイヤーでも神代の塔を楽しめるように、挑戦自体はエリア5をクリアすれば誰でもできます。難易度も最初から難しいわけではなく、低い階層なら、そこまで苦労せずにクリアできるはずです。ただ、極めたプレイヤーが十分に楽しめるよう、上層は僕らでも苦労するほどの何度に設定しています。
――今回新たに登場する新種族「ムルド」はゲームにおいてどういった立ち位置になるのか、そして種族としての特性についてお聞かせください。
ムルドは「神代の塔」の麓に住んでいる種族で、守り人という設定になっています。
今までは人間キャラクターしかいなかったんですが、キャラクターデザインにもっとバリエーションを増やしたい、魅力的なキャラクターを提供したいという思いがあり、等身が低目の亜人のイメージになりました。
ムルドは「一定確率で消費MPを0にする」というアビリティを所持していますので、「神代の塔」をクリアするのにはもってこいの性能になっています。
――新装備「神器」および新たな能力「神器技」の概要と、その実装の狙いについてお聞かせください。
神器は通常の装備品とは異なり、既存の能力(神秘度)に加えて第2の特殊能力「神器技」を持っています。「神器技」は、通常攻撃時にまれに三連かまいたちを発生させたり、敵を停止状態にさせるといった自動発動するアビリティと考えていただけると分かり易いと思います。神代の塔やシングルクエストで出てくる敵に合せて、武器を付け替えながら攻略に役立ててほしいです。
――クラフトシステムについては、不要な装備を消費することでカスタムポイントへの変換が可能とのことですが、これはユーザーの意見を受けてのものでしょうか?
不要な装備に関するご意見は多くいただいておりましたが、このクラフトは、我々が本作を立て直す上で肝となるとシステムとして考案してものです。当初、プレイヤーは同じ装備であっても神秘度効果やその効果の差によって性能が変わる、というところを目指していたのですが、それだけですとスマホの利用シーンに合わず、多くのユーザーにマッチしませんでした。そこでクラフトシステムにより、神秘度効果の継承を可能にしたり、神秘度効果をランダムに変化させる運の要素を追加したりしました。最強の1本を目指すというハクスラとしての遊び方は一緒ですが、その経緯が変わったと捉えていただければと思います。
――ユニット能力の強化についてもさまざまな要素が実装されていますが、その中でもポイントになる点がありましたらお聞かせください。
やはり神化でしょうか。レベル上限解放に伴う通過儀礼のようなもので、これを行うとレベル上限が80から100へとアップします。特に90になると、「神化能力」を獲得できますが、これは各ユニットで異なり、基本的には長所を伸ばすようなパッシブアビリティです。今まであまり活躍の場がなかったユニットも、この「神化能力」によって生まれ変わる可能性を持っていると言えます。
――ユーザーアンケートの結果を公開されていますが、その中で今回反映したもの、そして今後反映していくものがあればお聞かせください。
不満の声が大きかった「部位破壊」に関して、まずは各部位のHPを表示し、あとどれくらいで部位が破壊できるのかを分かり易くしました。「部位をロックしづらい」というご意見についてはロックオンの切り替えボタンの準備しておりますので、もう少しお待ちいただければと思います。また属性および種族を削減し、ダメージ効果を見直すことで、有利不利を体感しやすくなりました。
今後反映していくものとしては、バランスの調整のため、「ジョブごとの特殊攻撃の新規実装」や「ジョブ特性の見直し」などがあります。こちらも着々と準備を進めておりますので、もう少しお待ちいただけますと幸いです。
――本アップデート以降はどういった方針で運営をしていきたいとお考えでしょうか?
これまで本作はプレイヤーの皆さんの声を受け、良くも悪くも本作は変わりましたし、今後も変わっていきます。ご意見や要望にはできる限り応え、よりよいサービスを提供できるよう努力してまいりたいと思ってます。
スクエニIPとのコラボも予定しておりますので、お楽しみしていただければ幸いです。
――最後にユーザーへ一言メッセージをお願いします。
運営や開発のメンバーはサムライに限らず、すごくゲームをプレイしているので、プレイヤーの皆さまが感じたストレスや不満というのは、むしろ1番最初に感じていました。そこをすぐに改善できなかったのは、本当に力不足申し訳なかったと思います。
ですが今回、ようやくVer2.0アップデートという新しい一手を用意することができました。そしてすでに次のアップデートの準備もしております。プレイしていただくことで、また新たな課題が生まれてくると思いますが、一言ご意見いただければ、それをまた次回に活かせるようにいたします。まずは一度遊んでみていただいて、ご意見をいただけると嬉しいです。