バンダイナムコエンターテイメントは、アーケード用3D対戦格闘ゲーム「鉄拳7 FATED RETRIBUTION」の公式大会「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016 GRAND FINAL」を、12月10日に竹芝ニューピアホールにて開催した。
「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016」は、"熱き拳の祭典"として、総額1,000万円の賞金をかけて闘う賞金制公式大会となっている。総額1,000万円の賞金額は国内にて開催されるアーケード用ゲームの大会としては国内最大規模となっており、予選大会を勝ち抜いた世界9ヶ国、総勢32名の代表選手達が「鉄拳界で一番強い奴」を決めるため、この「GRAND FINAL」の舞台で激突する。
本大会は、32名の出場選手を8ブロックに分けた予選リーグを実施、予選リーグを勝ち抜いた16名の選手によって決勝トーナメントが行われる。決勝トーナメントは、敗者復活戦のある「ダブルイリミネーション」方式によって実施される。
試合は3ラウンド先取で、先に2試合獲得した選手が勝利となる。ステージセレクトは、初戦はランダムで選択。2試合目以降は前試合を落とした選手がステージ選択権を得る。これは、ステージ毎に特色があり、使用キャラクターによってステージの相性がある「鉄拳」ならではといったところだろう。
日本ではメジャーではないが外国でよく使われている「ナス型レバー」も選手に合わせて用意されていた。他にもレバーの不調時には早急にコンパネの交換を行うなど、選手がベストなコンディションで挑めるように最大限の配慮が行われていた。 |
決勝トーナメントの組み合わせは以下のようになっており、日本選手6名、韓国選手8名、アメリカ選手1名、フィリピン選手1名が決勝トーナメントまで勝ち進んだ。決勝トーナメントはまさに死闘で、どの試合もハイレベルな攻防が繰り広げられた。
前回の「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2015」覇者であるのび選手や、韓国最強の呼び声も高いknee選手の脱落など番狂わせが起きる一方、本大会最年少でフィリピン代表のAK選手の台頭や、決勝トーナメントに進出した唯一の女性プレイヤーCanis選手の活躍など、驚くべき展開が続いた。
決勝トーナメントを勝ち抜けてTOP4まで上り詰めたのは、韓国代表のRushCash選手、CHANEL選手、Saint選手、そして日本代表の力口歯令(かれい)選手となった。韓国勢が層の厚さを見せつける形となった決勝トーナメントは、最後の日本代表となった力口歯令選手がどこまで勝ち上がれるかという点に期待がかかったが、初戦で惜しくもSaint選手に破れ敗退。日本勢の最高順位は4位となり、優勝争いは韓国勢の間で行われることとなった。
そして、最終的に決勝戦まで勝ち上がった選手は、CHANEL選手(アリサ)とSaint選手(ジャック7)になった。CHANEL選手は、前回優勝者であるのび選手を破り、ここまで負け無しで勝ち進んできた実力者。対するSaint選手はというと、トーナメントの初戦で敗北するも、ルーザーズトーナメントからここまで這い上がってきた実績を持つ。
本大会は、決勝戦に限りレギュレーションが変更され、今まで2試合先取で勝利だったのが3試合先取することで1セットを獲得、先に2セット獲得した選手が勝利となる。また、ウィナーズトーナメントから勝ち上がった選手はアドバンテージを持ち、既に1セット獲得した状態でスタートする。つまり、ルーザーズトーナメントから勝ち上がってきたSaint選手は6試合分の白星を挙げなければ勝利できないということだ。
Saint選手にとっては、かなり苦しい展開になるのではないかと思われた決勝戦だが、蓋を開けてみると、Saint選手が破竹の勢いで勝利を重ね、3-0というスコアで1セットを先取。CHANEL選手のアドバンテージを帳消しにした。
続くセットもSaint選手が勝利を続け2試合を先取、優勝まであと一歩のところまで迫る。後が無くなったCHANEL選手は、流れを変えるためにステージを変更。今までは一貫して無限ステージを選択していたが、ここで壁有りのステージ「三島道場」を選択した。
このステージ選択が功を制し、CHANEL選手は2試合を取り返すことに成功。2-2で迎えた最終戦、泣いても笑ってもこれが最後の対決となる。最終戦はお互いに2ラウンドずつを取り合う一進一退の攻防となった。
フルセットまでもつれ込んだ最終ラウンドは、CHANEL選手が操るアリサのスライディングに対して、Saint選手のジャック7は、しっかりしゃがみガードで対応。確反のアッパーからコンボを叩き込む。体力がミリまで減りダウンを奪われたアリサに対して選択した起き攻めは、まさかの「ヘルプレス」。今まで見せてこなかったこの択には、さすがのCHANEL選手も対応できずKO。「鉄拳界で一番強い奴」の座はSaint選手に輝いた。
優勝したSaint選手は、激戦に続く激戦に「とても疲れました。4年間このような賞を取ったことがなかったので、とても嬉しいです。友人の皆さんや家族の皆さん、そして『鉄拳』を愛する皆さん、本当にありがとうございました」と、涙ながらにコメントし感情をあらわにした。
表彰式では、受賞した選手に以下の報酬が贈られた。また他にも協賛であるフィールズからは、会場を一番盛り上げた選手にフィールズ特別賞を、山佐からは、最も「鉄拳愛」に溢れた選手に山佐特別賞が贈られた。
順位 | 受賞選手 |
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1位:賞金300万円、ゲーム内アイテム、チャンピオンリング | Saint選手(韓国) |
2位:賞金150万円、ゲーム内アイテム | CHANEL選手(韓国) |
3位:賞金50万円 | RushCash選手(韓国) |
4位:King Tekken 5 Exclusive Statue | 力口歯令選手(日本) |
フィールズ特別賞:旅行券20万円分 | AK選手(フィリピン) |
山佐特別賞:旅行券20万円分 | やまと選手(日本) |
表彰式ではサプライズ・プレゼンターとして小島瑠璃子さんが登壇。優勝者であるSaint選手にチャンピオンリングが手渡された。小島さんも本大会の一部始終をみて「各国から『鉄拳』を愛している人達が集まって戦うというのは、本当の格闘技をみているようで素晴らしい体験でした。今日は、新しい世界を知ることができて良かったです」とコメントした。
本大会を振り返ってみると、やはり「鉄拳」という作品は日本と韓国が双璧をなしており、この歴史を塗り替えるのは容易なことではないのかもしれないと感じた。しかし、本大会ではフィリピン代表のAK選手を筆頭に、各国レベルの高い戦いをみせてくれたのは間違いない。また今後、家庭用版が発売されることでその差は縮まっていくことだろう。鉄拳界の今後に目が離せないことになりそうだ。
ちなみに、本大会の最後には「鉄拳」に関わる様々な新情報が公開された。こちらに関しては別途記事にまとめてあるので、こちらも合わせて一読してほしい。