コーエーテクモゲームスが、2月9日に発売を予定しているPS4用ソフト「仁王」。1月21日には最終体験版が配信される本作のプレイインプレッションをお届けする。
「仁王」は、「戦国死にゲー」と表現されるほどの緊張感と、高い難易度の果てにある達成感が魅力のダーク戦国アクションRPG。2005年のタイトル発表から約10年という歳月を経て、来る2月9日にいよいよ発売、そして1月21日には最終体験版が配信される。
過去にも、α体験版、β体験版が配信されており「Gamer」でもプレイレポートを掲載してきた。しかし、ここで敢えて本作にまったく触れたことのない筆者が、初心者目線で本作の内容に触れて感じた魅力を紹介していく。
主人公「ウィリアム」の数奇な運命を辿る物語に注目
本作をプレイして一番最初に気になったのは主人公「ウィリアム」についてだ。戦国アクションゲームなのにプレイアブルキャラクターがイギリス人なのは何故か? という点は誰しも思うことだろう。
しかしこれには理由があり、主人公のモデルとなった「ウィリアム・アダムス」は史実で、日本での功績を賞され徳川家康から帯刀を許されて、三浦按針との名乗りを与えられた人物だ。異国人でありながら日本の武士として生きる数奇な運命を辿った彼は、戦国時代末期の史実とダークファンタジーが融合した本作の主人公としては、まさにうってつけと言わざるを得ないだろう。
世界観は、「関ヶ原の戦い」が始まろうとしている戦国時代末期が舞台となっている。主人公・ウィリアムは徳川家康陣営と行動を共にするが、ウィリアムが追う謎の男・ケリーは石田三成陣営につき、怪異の裏で暗躍する。つまり、史実上には無い「関ヶ原の戦い」の裏側が描かれるのが本作だ。この辺は歴史ゲームを作り続けてきたコーエーテクモゲームスならではの、ハッタリが効いたストーリーとなっている。
先に紹介した世界観などぶっ飛ぶほどの激辛難易度!
ここからは、実際のゲーム内容をシステムと共に紹介していこう。本作は冒頭でも述べたように「戦国死にゲー」と評されるほどハードな難易度となっている。プレイしていると良い意味で嫌らしい敵の配置やマップの構造をしており、とにかくトライ&エラーをくり返して罠を看破していく必要がある。
いざ戦闘になると、その辺にいる雑魚敵ですら強敵となるのだから恐ろしい。さすがに一撃でやられるようなことは無いのだが、HPの回復手段が限られている本作では、かすり傷一つが後々、自分の首を締めるのだ。
死んでしまうと、アムリタと呼ばれる経験値を全て失ってしまう。救済要素としてリトライの際に、戦闘不能になった地点に戻れば失った分を取得することはできるのだが、最深部に行けば行くほど、再取得までの道のりが長くなり、プレッシャーは大きくなる。その分、困難を抜けきった時の達成感はひとしおで「死にゲー」と呼ばれる、一般的には喜ばしいことではないジャンルが多くの人に愛されている理由はここにあるのだろう。
冒険心をくすぐる要素として「血刀塚(ちかたなづか)」についても触れておきたい。
これはオンライン要素の1つで、他のプレイヤーが死んだ場所に赤いオーラを纏った刀塚が置かれる。これがたくさんある場所には何か罠があると予想することができ、危険信号としての役割を持っている。さらに、この血刀塚を調べることで、倒されたプレイヤーが「屍狂い(しぐるい)」となって襲いかかってくるのだ。
屍狂いを倒すことができれば、報酬として強い装備を獲得できる可能性があるのだが、他の敵と比べると強力なので非常に悩ましい。特に探索が順調に進んでいるときなどに血刀塚を発見した時などは、本気で悩むことになるだろう。
戦闘にこそ「仁王」の本質をみた。
基本的な操作は□ボタンで速い攻撃、△ボタンで強い攻撃、L1でガード、×ボタンで回避行動となっており比較的シンプルだ。もちろん他にも、ボタン同時押しによる特殊技などもあるのだが、序盤は基本的な操作だけで進んでいくことができた。攻撃が2ボタンだけなので、戦闘に関してはシンプルな作りになっていると感じるかもしれないが、実はそうではない。気力システムや武器の構えなど様々なシステムが絡み合い、実に奥深い戦闘を行うことが可能だ。
一番の特徴は気力システムだ。気力とは、特定のアクションを起こす度に消費し、時間経過で回復するゲージとなる。本作では攻撃や回避、防御など何をするのにもこのゲージを消費するため、考えなしにアクションを起こすとそれだけでジリ貧の戦いになってしまうのだ。まさにプレイヤーの一挙手一投足が生死に直結する、緊張感のある戦いを楽しむことができるのだ。
また、この気力に関係するテクニックの1つとして、残心というシステムがある。これは攻撃後にタイミングよくR1ボタンを押すことで、一定の気力を瞬時に回復し攻撃後の隙を消すことができる。この残心のタイミングがなかなかの曲者で、攻撃後の隙を消す目的で早いタイミングで使うと気力があまり回復せず、気力の回復を優先して時間を置いて使うと隙だらけになってしまう。そのためタイミングが重要になるのだが、これを敵との戦闘中に行う必要があるため非常に難しい。
しかし、これが慣れてくると自由自在に主人公を動かすことができる斬新なシステムに化けるのだ。「敵が隙を晒したから早めに残心して追い打ちをかけよう」とか「距離があるから気力回復を優先して残心しよう」など考える余裕ができ、一気に自身のプレイヤースキルの成長を感じられる。最初は使いづらく感じるため使用を控える人も多いかと思うが、是非とも積極的に戦闘に取り入れて使いこなしてもらいたい。本作の戦闘が2倍にも3倍にも面白くなるだろう。
「仁王」の戦闘に関してもう1つ、構えについても紹介しておこう。構えには「下段」「中段」「上段」が存在し、とっている構えによって攻撃モーションが変化する。基本的には「下段」が隙が少ないが威力も少ない攻撃、「上段」が威力が高いが隙も大きい攻撃となり、「中段」がその間の性能になる。
この構えはいつでも変更することが可能で、敵の状態を確認しながら、こちらの構えを変更することで有利な戦いを行うことができる。具体的には、敵が上段の構えをしているのでこちらは下段の構えで隙を突く、敵が背中を晒したので上段に切り替えて大ダメージを狙うなどといった駆け引きが楽しめる。これに加え、武器の切り替えなどもシームレスに変更可能だ。
これら全ての要素を内包した戦闘は前述した「死にゲー」要素も相まって、一戦一戦がひりひりとした緊迫感のある戦いになる。まるで本物のサムライになったかのような気分を味わえるのが「仁王」の魅力だと感じた。
まずは体験版に触れてみよう
本作は、筆者にはかなり魅力的に映ったが、その一方、人によって合う合わないがはっきり分かれるタイトルになっているとも感じた。ありがたいことに明日1月21日00:00より48時間限定で最終体験版が配信される。本記事をみて少しでも興味を持った人はぜひ一度、「仁王」の世界に触れてみて欲しい。