2月10日より千葉・幕張メッセにて開催された「ジャパンアミューズメントエキスポ 2017」。ここでは、スクウェア・エニックスブースに出展された最新アーケードタイトル「ロード オブ ヴァーミリオン IV」のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. “シンプルで奥深く”を実現するゲームシステム
  2. 意外なところに新キャラのヒントが―丹沢悠一氏インタビュー

「ロード オブ ヴァーミリオン」は、2008年6月より稼働を開始したアーケードタイトル。今年で9周年を迎える本タイトルの最新作「ロード オブ ヴァーミリオン IV」の詳細が、「ジャパンアミューズメントエキスポ 2017」にて公開された。

会場では、本作の試遊台も出展されており、体験者には会場限定のスターターパックもプレゼントされた。ここでは、一足先に触れることができた「ロード オブ ヴァーミリオン IV」のプレイフィールを紹介。また本稿の最後には、本作のプロデューサーを務める丹沢悠一氏へのインタビューも掲載している。気になる新要素についての質問や、過去作との繋がりまで、LoVファン必見の内容となっているので、ぜひ目を通して見てほしい。

今回使用できたJAEPOオリジナルの“白木優羽莉デッキ”

“シンプルで奥深く”を実現するゲームシステム

本作では、システムの変更などはもちろん、UIなどにも多くの変更が加えられている。カード登録画面では、プレイヤーカード1枚と7枚までの使い魔カードが登録できる。また、画面下部には本作からの新要素となるサポートカードが確認できる。

続いて「武装」「血晶武装」の選択画面では、「アタッカー」「ディフェンダー」「マジシャン」の3つのジョブの中から1つ、そして8つの血晶アビリティの中から2つ選択することができる。「血晶武装」を使い魔が使用すると、一定時間強化され自身のアビリティが発動するだけでなく、ここで選択した血晶アビリティが追加効果として使い魔に付与される。選択できるアビリティは以下の通り。

血晶アビリティ一覧

  • ATKアップ
  • DEFアップ
  • PSYアップ
  • MAXHPアップ
  • SPDアップ
  • ヘイスト
  • レンジアップ
  • オブジェブースト

「アルティメットレイド」の登録画面では、登録したカードによって発動時にどんな恩恵が得られるかを確認することができる。人獣は防御力、神族はHP回復、魔種は攻撃力、海種は精神力、不死は移動速度に関係しているようだ。また、ブリーフィングでは参加者全員の登録されている使い魔などを確認することができた。

戦闘画面では、操作感に大きな変化はないものの、キャラクターの演出やグラフィックなどには細かな調整が加えられているようだ。アルティメットレイドを発動中の使い魔は巨大化するのでひと目で分かりやすく、発動時のキャラクターボイスも相まってかなりの迫力がある。また、血晶武装を使用した際には、主人公たちが各々異なった血のまとい方をしているところにも注目。それぞれの主人公たちの性格や設定などが反映されているのだろうか。

今回はおまかせ編成でプレイしたため、血晶アビリティやアルティメットレイドのカスタマイズ要素についてはまだまだ未知数の部分が多い。今後開催が予定されているロケテストなど、カードの使用の幅が広がった際の研究に期待しよう。

意外なところに新キャラのヒントが―丹沢悠一氏インタビュー

――いよいよシリーズ最新作「ロード オブ ヴァーミリオンIV」(以下、IV)が発表となりましたが、今の心境をお聞かせください。

丹沢悠一氏:これはどのゲームにも当てはまりますが、やはり2年、3年と時間をかけて作っているものなので、“やっと”というのが正直なところです。これからリリースに向けてブラッシュアップをかけていく段階ではありますが、ひとまず一安心しました。

――稼働予定は2017年夏ということですが、発表から稼働までかなり短いスパンで行われるんですね。開発は、やはりかなり以前から進められていたのでしょうか。

丹沢氏:開発自体は2年以上前からスタートしていまして、「ロード オブ ヴァーミリオン Re:3」(以下、「Re:3」)が稼働している頃には、ほぼ「IV」の構想は決まっていました。「Re:3」の調整と並行して進めてきた形ですね。

――本作では世界観が現代へと変更になりました。こちらの経緯についてお聞かせください。

丹沢氏:世界観を現代にすることで、例えば現代ならではの施設名や用語など、説明せずとも現代に暮らす皆さんへ説明しやすくなるんです。今回最も重要視していることは、やはり新規のユーザーが入りやすい環境を整えることなので、そういった意味でも世界観を現代にするのはベストだったと思います。

――カードゲームは下準備も大変ですからね。

丹沢氏:そうなんです。カードゲームなのでスターターを買ったりNESiCAを買ったりといった手間があり、入り口の段階で敷居が高く感じてしまう人もいるので、そうしたハードルをもう一歩縮められるように世界観を再構築しました。

ファンタジー世界だと、例えばオリジナルの王国や神殿などがあったとして、じゃあそれらは一体何なのか、というのを説明しなければなりません。架空の世界を楽しめるというのがファンタジーの良い所でもあるんですが、ゲームを始める入り口で説明しなければ多くなってしまうと、どうしても新しいユーザーさんは手を出しにくくなってしまうと思ったんです。

ただでさえカードゲームという性質上、ゲームプレイで覚えることが増えてきますので、こうした部分から少しでも情報量が抑えられたらなと考えました。また、世界観は変更になりましたが、ストーリー的には実は繋がっている部分があるんです。

――と言いますと?

丹沢氏:例えば、本作の主人公である千尋と優羽莉ですが、キャラクターのビジュアルを公開した段階から「『Re:3』の主人公であるギデオンとアンジェラに似ている」という声がユーザーさんから挙がっていることは、僕たちも把握しています(笑)。でも、ギデオンは片目が赤色だったのに対して千尋は両目が赤色だったりと……ネタバレを防ぐために詳しくは言えませんが、今はこういったビジュアルからさまざまな繋がりを感じて頂ければと思います。

――かなり深みのあるストーリーが用意されているようですが、そういった物語を体験できるようなプレイモードはゲーム内に実装される予定があるのでしょうか。

丹沢氏:色々と検討してます。ただ、長々とストーリーを鑑賞するゲームはゲームセンターとマッチしないと考えているので、そこを補完する要素としてメディアミックス展開を予定しています。

漫画で説明しようとするものをゲームで表現するとなると、極端な話、2時間ぶっ通しでムービーを見せるような形になってしまうので、そういった部分は得意なメディアに任せようと思いました。

――1つのタイトルでも、展開の仕方を切り分けていくんですね。

丹沢氏:僕は、いろんなユーザーがいて良いと思っているんです。対戦ゲームとしての「LoV」が好きな人がいてもいいし、逆に対戦ゲームとしては興味ないけど「LoV」の世界観やストーリーが好きという人がいても良い。そういった人たちが、いろんな切り口から「LoV」の世界を楽しんでもらえたらと考えています。

――新しい「LoV」の形が、この「IV」から広がっていくように思います。

丹沢氏:決して既存のユーザーさんを切り離そうとしたり、入れ替えようというわけではないんです。ただ、シリーズももう8年サービスを続けています。20歳で「LoV」の世界に入ってきてくれた人が、もう30歳間近になると考えると、とても長く運営させて頂けていると思います。だからこそ、毎年毎年ある程度若いユーザーさんたちが新しく「LoV」の世界に入ってきて、コミュニティを底から盛り上げてもらわないと、徐々に衰退していってしまうと考えているんです。

――新しいユーザーさんがどんどん入ってきて、既存のユーザーさんと一緒にプレイして盛り上げていってもらえれば一番理想的な形ですよね。

丹沢氏:そういった意味でフックになると考えているのが、本作から新たに実装されるタッグマッチングだと思います。これに関しては本当に反省している部分でもあり、「Re:3」を運営する段階で入れられたら一番良かったと思っています。先述した通り、「Re:3」と並行して「IV」の制作を進めていたのと、根本的なシステムに手を加える必要があったため、ユーザーの皆さんには本当に長らくお待たせいたしました。

――タッグ戦については以前から期間限定で開催されていましたが、やはり反響は多かったのでしょうか。

丹沢氏:多くのユーザーさんから、「なんで期間限定なんですか!」「ずっとやってください!」などの声を頂いておりました。「IV」のことはまだ発表できない時期だったので、非常に歯がゆい期間でもありましたね。なので、このことも含めて今回ようやく発表することができたので、胸の突っかかりが取れた気持ちです(笑)。

――本作には複数の主人公が登場するとのことですが、大体何人くらい登場する予定なのでしょうか。

丹沢氏:まだこれから発表していく段階ではありますが、ユーザーさんからの期待に応えられるようになるべく前回と近い人数は用意したいと考えています。

――主人公ではありませんが、このドゥクスというキャラクターが気になります……。

丹沢氏:ドゥクスは、初代「LoV」から姿形を変えつつ、チュートリアル等で主人公たちを導く、いわゆるナビゲートキャラになっています。アーケードタイトルではありませんが、同じシリーズの「ロード オブ ヴァーミリオン アリーナ」にもドゥクス・ティアという名前で登場しています。

――シリーズを通して登場するナビゲートキャラクターというわけですね。

丹沢氏:ドゥクスという名前を継承しつつ、中身を変えて各作品に登場してるんです。その秘密については一部のユーザーさんは気づいているかもしれませんが……二年ほど前に、15分位のショートムービーを作ったことがあるんです。このムービーは、「LoV」の資料集「Ultimate ARCANA Archives」の特典として付属されたもので、その最後のほうを見て頂くと、ドゥクスの秘密について何かが分かるかもしれません。

――ドゥクスは本作のストーリーに直接関わってくるキャラクターなのでしょうか。

丹沢氏:いろいろなところで彼女の姿を見ることになると思いますが、詳しくはゲーム本編を楽しみにしていてください。「Ultimate ARCANA Archives」をお持ちの方はぜひ、本棚から久々に引っ張り出してきて、ムービーを注意して見ていただければ本作との繋がりが感じられると思います。

――新要素である「武装」「血晶武装」について、詳しく教えて下さい。

丹沢氏:前作の「覚醒」「超覚醒」の名称を改めたもので、新要素として血晶アビリティが追加されています。血晶アビリティは8つあり、好きな組み合わせで「血晶武装」に付与することができます。これは前作の反省点を反映した部分でもあり、前作では主人公の武器を作れるようにして非常に多彩なバリエーションを用意しました。しかし、結局使われるものは一部だけになってしまったので、今作では多すぎず少なすぎずという塩梅の8つに絞ってあります。

――「アルティメットレイド」について質問です。サポートカードの組み合わせで発動効果をカスタマイズできるとのことですが、特定のカードを組み合わせることで、特定の効果が発揮するようなことはあるのでしょうか。

丹沢氏:そういった要素はありません。あくまで選んだサポートカードの種族やコストによって上昇するパラメーター、およびその値が変化するというだけです。

――新パラメーターとして“PSY”が追加されますが、丹沢氏はPSYの追加によってどのように戦闘が変化していくと思いますか。

丹沢氏:今まではATKとDEFの2つしかなかったので、新カードが出たとしてもATKが低いから使わない、DEFが低いから使わない、あるいはその逆というように、数値の高さに終始してしまい、バリエーションが増やし難くありました。あとは、各ジョブ毎の特徴がPSYの値によって際立つので、よりデッキ構築の幅が広がると考えています。

また、タッグマッチシステムも導入されるので、例えば片方がPSYの高い使い魔を多く編成したデッキで施設の制圧やそのほかのサポートに徹したり、片方がATKなどの素のステータスが高い使い魔を多く編成して攻撃役に徹したりというように、お互いに弱点をカバーし合うようなデッキの編成も可能になるのではないかと思います。

――そうなると、より大勢でのチーム戦などの実施も面白そうですね。

丹沢氏:ここはかなり悩んだ部分でもあるのですが……本作は4対4で戦うので、ならタッグじゃなくて4人で一緒に出撃できるようにすればいいのでは、とも考えたんです。しかし、ほかの人を3人集めるというのは、意外とに大変なんですよね。期間限定で開いていたタッグ大会も非常に多くのユーサーさんからご参加頂いていますし、そういった結果から見ても2人というのがベストだと思いました。

――ちなみに、タッグマッチでのマッチングシステムはどのようになっているのでしょうか。

丹沢氏:ここは随時調整していこうと考えている部分なのですが、基本的にリーグが高い人を基準に同じくらいのリーグの人と当たるようになっています。マッチングについては現状でもかなり細かい選定条件があり、例えば曜日によってもマッチングによっても条件に差があります。日によっては、どうしてもゲームセンターに人がいない場合もあるので、どのように調整すればより平等にマッチするかは、実際にデータを取ってみて修正していきたいと考えています。

――新たなレアリティとして「EXTRA COSTUME RARE」が追加されました。今回ミリアが例として紹介されましたが、同一キャラで複数の「EXTRA COSTUME RARE」が実装されることはありますか。

丹沢氏:ない、とは言い切れませんが、現状は1キャラにつき1つと考えています。特に人気の高いキャラクターはいますが、さまざまなキャラクターに愛着を持って頂いているユーザーさんもいるので、いろんなキャラのいろんな姿を楽しんで頂ければと思います。ただ、例えば何かのイベントのプロモーションカードなど、さまざまなカードを作っていくので、いずれかの場合に同一キャラクターの異なる「EXTRA COSTUME RARE」を制作してもいいかな、とは考えています。あと、「ULTIMATE RARE」のカードだけじゃなく、コモンなどのレアリティの低いキャラクターの「EXTRA COSTUME RARE」も実装できればと考えています。

――ありがとうございました。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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