【マリエッティのゲーム探訪】第10回：「追放選挙」―12人の少年少女が参加するデスゲームアドベンチャー

声優の三宅麻理恵さんが気になるゲームを実際にプレイして紹介する「マリエッティのゲーム探訪」。第10回は日本一ソフトウェアより2017年4月27日に発売されるPS4/PS Vita用ソフト「追放選挙」を紹介します。

「追放選挙」とは？
三宅麻理恵さんプロフィール

新生活でばたばたする時分もようやっと落ち着いた頃でしょうか。昨年春から始まった「マリエッティのゲーム探訪」も気が付けば一周年が過ぎていました。

第一回の「ライフイズストレンジ」ではインタビューをさせていただいたり、第六回では「SMILE GAME BUILDER」を紹介しつつ、期間限定で私が作成したゲームを配布させていただいたり、第八回では「JAEPO2017」にお邪魔したりと、ゲームにちなんだ色々な所を探訪して参りました。二年目ものんびり肩の力を抜いていただきつつ、みなさまにゲームの新たな一面や楽しみを提供できる探訪をしていきたいと思います。

今回紹介させていただきますのは、12人の少年少女が参加するデスゲームアドベンチャーゲーム、PS4/PS Vitaソフト「追放選挙」です。

「追放選挙」とは？

「追放選挙」は、12人の少年少女が参加する“追放選挙”を描いたデスゲームアドベンチャー。物語の舞台は、荒廃した世界に存在する遊園地「アリスランド」。主人公・一条要は妹を「追放」した9人の参加者に対して復讐を果たすため、「選挙」を利用していく。

選挙までの3日間で参加者との交流を深めつつ、人間関係、思惑、弱みなどを探っていく。それらの情報を駆使して臨む選挙では、舌戦を繰り広げ、より多くの票を集めれば勝利となる。敗北した選挙の対戦相手は、人間を喰らう「化け物」が闊歩する遊園地の外の世界に追放され、「化け物」の餌食となってしまう。

物語の舞台は、荒廃した世界に存在する遊園地「アリスランド」。主人公・一条要は妹を最初の選挙で「追放」した9人の参加者に、「選挙」を利用して復讐を決意します。9人の参加者とふれ合い、3日に1度開催される選挙に備えて情報を集め、果たして要は妹の敵を討つことができるのでしょうか。

「追放選挙」には様々なキャラクターが登場します。一人一人の魅力的な個性と共に、キャラクター同士の関係性も注目です。ここでは12人のキャラクターを紹介させていただきます。

一条要（いちじょうかなめ）

主人公。理性的で冷静に振る舞うが、妹の復讐のためこのゲームを利用する。利害が一致するものと手を組んだ「フリ」をするなど、復讐のために手段を選ばない冷酷な一面も。共感覚（ある刺激に対して、通常とは異なる感覚を引き起こすこと）を持つ。

蓬茨苺恋（ほうしいちか）

要の幼馴染。要に対して絶対的に信頼しており、協力者でもある。優しく心の支えになってくれそうな彼女ですが、首に巻かれてある鎖の謎や依存といえるほどの要への接し方など、一筋縄ではいかない幼馴染な気がします。

ノーリ

記憶を失った少女。言葉を理解しておらず、行動も未熟。要と苺恋に保護され匿われることになる。彼女を護ることも要の目的の一つ。

姫野実乃璃（ひめのみのり）

男性同士の「一線を越えた」友情を好み、弟・勇璃とその親友・道宗を暖かく見守っている。常に持ち歩いている日記には、その二人のカップリングを筆頭に「一線を越えた」妄想を書き連ねている。

姫野勇璃（ひめのゆうり）

女の子と間違えられる可愛らしい容姿をしており、親友・道宗への想いを秘めている少年。親友が姉に想いを抱いており、親友の恋路を応援したい気持ちと、自らの親友への気持の間で葛藤している。

石動道宗（いするぎみちむね）

実乃璃に対して淡い恋心を抱いている。姫野姉弟を守ることだけを最優先するが、若さゆえに考えが足らず、空回りすることが多い。

伊純白秋（いすみはくしゅう）【画面中央】

アーシャ・カーシャが起こした事件により、双子に対して強い復讐心を抱いている青年。常に双子と共におり、復讐の機会を伺っているが、毎回失敗に終わってしまう。

蓼宮アーシャ【画面左】／蓼宮アーシャ【画面右】

双子の姉妹。アーシャ・カーシャ共に、自分だけが白秋と結ばれることを望んでおり、お互いの存在を邪魔に思っている。常軌を逸した倫理観を持ち、白秋を独占するためなら他人を傷つけることも厭わない。

絢雷雷神（あやら　いづき）

過去の出来事から、極度の人間嫌いになってしまった青年。基本的に議論などへは参加しないが、本心としては興味があるため、盗み聞きをすることも。要からは、協力関係を持ちかけられているが、信用できずにいる。

忍頂寺一政（にんちょうじいっせい）

孤立しがちな雷神・志歩理をまとめようとする青年。しかし、その試みはあまりうまくいっていない。人を喰らう「化け物」に対して異常なまでの興味を示し、アリスと共に生態調査を行っている。

百合園志歩理（ゆりぞのしほり）

他人に対して一切の興味がないが、何故か要に対して興味を抱き、一方的に接触する。その度に、苺恋に制止され、両者の関係は険悪なものになる。

「選挙」により、キャラクター達の関係は各々変化していきます。

最初に実乃璃を追放すると、勇瑠と道宗はどんな関係になってゆくのか。アーシャ・カーシャのどちらかを追放すると白秋との関係はどうなるのか、いっそ白秋を追放したら双子が持っていた白秋への想いはどこへゆくのかなど、興味は尽きないことでしょう。また、追放する順番が後の参加者になるほど接触の機会が増えて意外な一面が見られたり、追放する順番によりストーリーや人間関係も変化するので、どのタイミングで追放するかも考える楽しみがあります。すべてはプレイヤー次第です。

主人公の要は、共感覚を持つため、音を色として認識でき、嘘をついた言葉を赤色として視覚化することができます。これにより、読み進めるだけでないゲーム性が生まれ、赤色の文字が表示された瞬間に緊張が走ります。なぜ嘘をついたのか、真実は何なのか。嘘に振り回されて足元をすくわれないようにご注意ください。

選挙ではまず「立候補者」「対立候補」の二人を選出し、その他の参加者は「支持者」となります。主人公が立候補者となり、どの参加者を対立候補にするかは、プレイヤー自身で選択できます。

与えられたテーマに対して候補者たちが賛成・反対の立場に別れて討論し、支持者はどちらの意見を支持するかを投票します。議論しているうちに候補者自身の個人的な感情で発言したり、矛盾した発言が生まれたり、時には不利な立場での討論が行われることもあるでしょう。相手の意見をしっかり把握して突き崩しましょう。そして多くの票を得たものが勝者となります。

主人公たちがいる遊園地「アリスランド」の外には、どこまでも荒廃した世界が広がっています。化け物が徘徊し、出くわせば喰い殺される。選挙の敗者は遊園地の外の世界に追放され、化物の餌食となります。物悲しい最期と絵本を読んでいるような演出が相まって美しくすらあります。追放することで、次のプレイではその参加者をより深く知りたい、最後まで生き残らせたいと思う事でしょう。

荒廃し、人類が絶滅寸前のなかで行われるデスゲーム。一筋縄ではいかないキャラクターと、復讐に燃える主人公。巻き込まれてしまった形ではありますが、平和的な解決策を模索せず、そのゲームを利用して他者を能動的に追い込んでいくのがこのゲーム特徴であり、主人公の意思でもあります。

あなたがもし大切な人を誰かに追放されたら、復讐しますか？

私は…そうですね。何もできないまま追放されるかもしれません。