バンダイナムコエンターテインメントが2017年4月28日にリリースするPS4/Steam向け配信専用タイトル「LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-」のインプレッションをお届けしよう。
本作は、「リトルビッグプラネット」等の個性的なタイトルを開発してきたTarsier Studiosが開発を手掛ける、バンダイナムコエンターテインメントの最新作だ。物語の舞台は、不気味な雰囲気が漂う謎の巨大船舶「モウ」。プレイヤーは、黄色のレインコートに身を包んだ少女「シックス」を操作し、脱出を試みるべく船内を探索していくのだ。
なぜシックスは「モウ」の内部に囚われているのか。誰がシックスを囚えたのか。この先には何が待ち受けるのか。与えられた情報は少なく、公式サイトを覗いてみても作品の概要に触れているのみで、ストーリーの全体像は見えてこない。そのためプレイヤーは、ゲームを進めながらも、なかなか疑問符を取り去ることができないのだ。
シックスの行動は、「死」と隣合わせだ。何がきっかけでゲームオーバーになるか分からない。突然出現したヒルに噛まれる、電流の流れる鉄柵で感電するなど、予期せぬ危険を常に孕んでいる。とはいえ、その不明瞭さこそがプレイヤーの好奇心を掻き立てるスパイスとして味付けされており、先のストーリーを覗いてみたいと思わせる魅力へと繋がっている。
なお、ステージは全体を通して骨のある難易度になっており、プレイヤースキルをそれなりに求められる。シーンによっては操作ミスが即座に死に繋がるため、油断は厳禁だ。
骨のあるアクションと謎解き
公式のジャンルはアドベンチャーにカテゴライズされている本作であるが、アクション要素の割合も高く、攻略に与える影響は大きい。基本的な操作は、歩く、走る、ジャンプする、ライターをつける(周りが明るくなる)、しゃがむ、物に掴まるなど、アクションゲームにとっては必要最小限のものばかり。贅肉を極限まで削った洗練されたプレイフィール、という印象だ。
チュートリアルもあるにはあるが、うっとおしいと感じるレベルではなく、あくまでもプレイヤーへのささやかなヘルプというレベルに留まっている点も好印象。本作のように雰囲気を楽しむタイプの作品では、過剰な親切がゲームへの没入を阻害してしまうことを、制作陣は熟知しているのだろう。
もちろん、謎解き要素も本作のフィーチャーであり、それなりに頭を使わないと解けない歯ごたえだ。しっかりと考え、やっとの思いで謎を解けた時は、確かな達成感を感じたものである。
余談だが、シックスのちょこちょこと動き回るアクションは可愛らしく、薄暗く不気味なステージとのギャップをいい意味で感じる。「この子を助けてあげたい」、「脱出させてあげたい」と感情移入をしてしまうほど、気がついたらシックスへ愛着を感じていたのだ。
UIはほとんどない。BGMもなく、音は環境音のみ。しかし、そのシンプルさがいい。美術面も洗練されており、ステージのとあるシーンでは、光と影のコントラストが生み出す怪しい美しさを感じることができるだろう。また基本的にカメラの視点は固定(右スティックで上下左右に動かすことはできる)なのだが、ある程度までステージを進めると演出が入り、カメラがググッと引いていく。その際、脅威の正体(?)がわずかだが見えるのだ。その辺りの演出の上手さも特筆すべき点であることは間違いないだろう。
まとめに入るが、本作は、決して万人が好む作品ではない。とはいえ、職人芸とも言うべきデザインや、シンプルにまとめられたアクション性、適度に頭を悩ませる謎解きなど、全てが高いレベルでまとまっている。主人公が女の子ということもあり、ゲーム全体からはどこか無邪気さを感じるものの、迫りくる脅威は容赦ないものばかりだ。本稿を読んで「リトルナイトメア」に興味を持ったならば、ぜひあなたの手でシックスを悪夢から解き放ち、エンディングまで導いてあげてほしい。