フリューが2017年6月22日に発売を予定しているニンテンドー3DS用ソフト「アライアンス・アライブ」。現在配信中の体験版をGamer編集部の面々でプレイし、それぞれの視点で評価してみた。
「アライアンス・アライブ」では、ゲームの発売に先駆けてニンテンドーeショップにて体験版が配信中だ。本体験版では、ゲームのストーリーの序盤を通じて、ワールドマップやダンジョンの探索、バトルや成長などのシステム、そして9人の主人公より、ガリルとアーシュラにフォーカスしたストーリーを楽しむことができる。
今回は、多様な魅力を持った体験版をGamer編集部のスタッフ一同がプレイ。それぞれの視点で感じたポイントをクロスレビュー形式で紹介していく。
TOKENの視点
わずかな時間ではあったが、本作ならではの魅力を存分に味わえる内容だった。
どこか懐かしさを覚えるRPGとしての雰囲気がゲーム全体に行き渡っていることにより、世界観をくどくどと説明するではなく、ガリルとアーシェラの視点で自然とゲームの物語へと没入していける。
そしてゲームシステムに関しては、キャラクターごとに多彩な武器を扱えるのが面白い。新たな戦技を覚えたりする「覚醒」によって常に刺激的な戦闘が提供される一方で、印術や魔術といった種族ごとの特徴にも期待が高まる。また、ギルドタワーのようなマップ上の効果も加わるなど、各要素はシンプルながらも重なっていくことでゲーム性に奥行きが生まれている。
何より、ゲーム内に登場するキャラクターたちを表情豊かに描写していることがプレイする楽しさを感じさせてくれる。おてんばなアーシェラとその尻に敷かれるガリルという2人のやり取りのテンポが面白く、周囲のキャラクターもどこか味があって印象的だった。
ばかいぬの視点
人間が魔族の支配下にあり、我々が当たり前に見ている「青い空」も失われ、その存在すら信じられないという重たい世界観。しかし主人公の2人・ガリルとアーシュラは、15歳という年齢らしく元気に生きている。さまざまな出来事に対する素直な反応は実に年相応で、プレイしているこちらもほっこりするほど。
体験版の終盤、この2人を衝撃的な展開が襲うわけだが、それはこれから成長せんとする男の子を旅立たせるには十分なものだ。ゆえに、プレイヤーもここから大きく広がる群像劇に自然と引き込まれていく。
オーソドックスなRPGシステムが組まれる中、幅広い育成システムが目を引く。体験版でバトルに参加したのはガリルとアーシュラのみだが、少なくともこの2人に武器の制限はなさそう。剣や槍、杖、弓に盾など多彩な武器ごとに成長要素が用意されており、陣形システムとあいまって好みのテイストにキャラクタライズできるのがうれしい。主人公然としたガリルに剣ではなく弓を持たせて、狩人っぽく仕立て上げてもいいのだ。
戦闘中に一定確率で新しい戦技を獲得したりする「覚醒」システムの導入で、ともすれば単調になりがちなコマンドバトル方式もより楽しめるものになっている。細部にさまざまな趣向を凝らした作品だ。
ささみの視点
本作をプレイしてまず感じたことは、とにかくキャラクターがよく動くということ。ゲーム内では、3Dにデフォルメ化された人物たちが登場するのだが、これが平尾リョウ氏が描く独特なキャラクターたちの雰囲気を忠実に再現しており、本作の持つおとぎ話のような世界観を支えている。
デフォルメ化されているものの、場面に合わせてキャラクターの表情がよく変化するので、感情の機微が分かりやすく物語に入り込みやすいのも◎。また、街を出るとワールドマップに切り替わるのは、往年のRPGファンには懐かしくも嬉しい演出ではないだろうか。
体験版ながら大筋とは全く関係ない場所を自由に探検できるのも、本作の大きな魅力の一つだろう。探索の幅を広げれば何時間でも遊んでいられるように思えた。川沿いや物語の大筋と少し離れた場所にいくと敵の強さが跳ね上がるのも、一長一短ではあるが筆者はドキドキ感があって楽しめた。
ここのつの視点
なぜ筆者には幼馴染がいないのか―
気が強くて怒らせると怖いけど、本当は優しくて面倒見が良くて、いつも自分をぐいぐい引っ張ってくれる―そんな幼馴染がほしいと思ったのは、20年ぶりくらいではないだろうか。
子どもの時に夢中になったRPGには、取り立てて美人でもお金持ちでもないけど、いつも側にいてくれるヒロインがいた。物語が進んで主人公が強くなると、この子を守ってあげなくてはと思える、アーシュラはそんな女の子だ。
アーシュラに青い空を見せるために、ここで終わることはできない、世界を救うより単純明快な冒険の目的を与えてくれた体験版だった。
ヨッシーの視点
往年の王道的RPGを彷彿とさせ、ノスタルジックな感情にひたりながら遊ぶことができる作品。本作は、非常に短いロードや最大4倍速の早送り機能などが搭載されており、徹底してプレイヤーにストレスを感じさせない作りになっているのが印象的だった。とにかくプレイに関わる部分のテンポが良いため、携帯機との相性は抜群。ちょっとした空き時間などに、ついついニンテンドー3DSを開いて遊びたくなってしまう。
敢えて重箱の隅をつつくのであれば、一部の機能が物理ボタンに対応しておらずタッチパネルでしか操作できないのが気になった。ただ、あくまで今回は体験版ということなので製品版でキーコンフィグなどが追加されることに期待したい。